フリーランスは保育園入園に不利？審査通過のポイントや申請手順を徹底解説

「フリーランスは保育園の審査に不利」
「会社員より点数が低い」
そんな噂を目にするたび、本当に子どもを預けて仕事と育児を両立できるのか、不安になりますよね。

実際は、フリーランスだからという理由だけで、保育園に入れないということはありません。
しかし、会社員とは異なる「正しい準備」をしなければ、審査で不利になってしまうのは事実です。

この記事では、フリーランスが保育園の審査で不利になる本当の理由と、その状況を乗り越えるための具体的な方法を徹底解説します。

とはいえ、お住まいの自治体の細かなルールや、ご自身の活動状況に合わせた「最適な戦略」まで一人で考え抜くのは、とても大変ですよね。
特に、出産を控えながら、あるいは慣れない育児と両立しながらの準備は、時間も気力も限界に近づいてしまうはずです。

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フリーランスは保育園申請で不利になる？その理由と現状

結論から言うと、フリーランスは保育園の申請で不利になる可能性はありますが、正しい知識と準備で乗り越えられます。
「フリーランスは保育園に入りにくい」と言われるのには、主に3つの理由があります。

しかし、近年はフリーランスとして働く人の数が増加しており、自治体側の理解も進みつつあります。
実際に、多くのフリーランスがしっかりと準備をして、お子さんの保育園入園を実現しています。

保育園審査の仕組みを理解しよう

保育園の入園選考は「利用調整」と呼ばれ、単純な先着順ではありません。
保護者の就労状況などを点数化した「指数」の高い世帯から順に入園の内定が決まる仕組みです。

この指数は「基準指数」と「調整指数」の2種類で構成されています。
フリーランスがどのように点数を積み上げていくべきか、まずはこの仕組みの基本を理解しましょう。

基準指数

基準指数とは、保護者の基本的な就労状況や健康状態などを評価する点数のことです。
自治体によって項目は異なりますが、一般的には以下のような項目でランク分けされています。

フリーランスの多くは「就労（居宅内）」に該当します。多くの自治体では、「月20日以上、1日8時間以上の就労」といったフルタイム勤務が最も高いランクに設定されています。
審査を通過するためには、まずこのフルタイム相当の基準を満たしていると証明することが重要です。

調整指数

調整指数とは、各家庭の個別の状況に応じて点数を「加点」または「減点」するための指数です。

フリーランスが不利な状況を挽回し、戦略的に点数を上乗せするために狙うべきなのが、この「調整指数の加点」です。
代表的な加点の例は以下の通りです。

特に、事前に認可外保育施設へ子どもを預けている実績を作ることは、多くの自治体で大きな加点につながるため、有効な戦略の一つとされています。

優先順位

優先順位とは、複数の世帯が全く同じ指数で並んだ場合に、どちらを優先するかを決定するためのルールです。
一般的に、以下のような世帯が優先される傾向にあります。

フリーランスであることが直接的に影響するケースは少ないですが、自治体によっては「所得の低い世帯を優先する」という項目があり、開業直後などで収入が低いフリーランスが該当する可能性も考えられます。

フリーランスが保育園の審査を通過するためのポイントと準備

ここからが本題です。フリーランスが保育園の審査を有利に進めるための、具体的なアクションプランを4つのポイントに分けて解説します。

開業届を提出しているか確認する

保育園申請において、フリーランスは「個人事業主」として扱われます。
そのため、公的な事業証明である「開業届の控え」は必須書類です。

まだ提出していない人は、すぐに所轄の税務署へ提出しましょう。
提出方法は窓口持参または郵送です。
控えには必ず税務署の受付印をもらう必要があるので、忘れないようにしてくださいね。

就労実績・収入実績を作っておく

選考で最も重視されるのは「保育の必要性」です。
これを客観的に示すため、具体的な「実績」の積み上げが欠かせません。

これから独立する人は、会社員のうちに副業で実績を作っておくか、独立後すぐに小規模でも良いので契約を結び、数ヶ月分の実績を作ってから申請に臨むのがおすすめです。

認可外保育・企業常駐案件を利用する

調整指数の加点を狙う、あるいは基準指数そのものを上げるための具体的な戦略です。

まず、認可外保育施設を利用する方法についてです。
自治体が定める基準を満たす認可外保育施設に子どもを預け、有償で利用している実績を作ります。
これは最も確実な加点方法の一つで、「点数稼ぎ」とも呼ばれます。
自治体によっては利用料の補助金制度もあるため、確認してみてください。

次に、企業常駐案件を探す方法についてです。
フリーランス向けの案件の中には、企業に常駐して働くものもあります。
この場合、「居宅外就労（オフィス勤務）」として扱われ、在宅ワーク（居宅内就労）よりも高い基準指数を得られる可能性があります。

入園しやすいエリアや0歳児クラスを検討する

保育園の選考は、自治体や園ごとの定員枠をめぐる「椅子取りゲーム」のような側面があります。
そのため、競争率の低い場所を戦略的に狙う視点も重要です。

自治体のWEBサイトで「保育園別の申込・内定状況」や「待機児童数」を確認し、比較的空きのあるエリアや新設の保育園をリストアップしましょう。

次に、募集人数が最も多い「0歳児クラス（4月入園）」が、最も入園しやすいゴールデンチケットです。
1歳児クラスは0歳からの進級組で枠が激減するため、可能であれば0歳4月入園を狙うことを強くおすすめします。

要注意！フリーランスが保育園審査で不利になる3つの落とし穴

これまでのポイントを押さえても、些細なミスで評価を下げてしまうことがあります。
フリーランスが特に陥りがちな3つの落とし穴を解説します。

開業届を出していないと「無職」と見なされる

最も致命的なミスが、開業届の未提出です。
役所の審査担当者から見れば、公的な証明書がなければ「事業を行っている」とは認められません。

その結果、求職活動中の「無職」と同じ区分で審査されてしまう可能性があります。
この場合、基準指数が最低ランクになり、選考の土俵にすら上がれないため、必ず事前に提出してください。

収入実績がない・少なすぎると就労実態を疑われる

開業していても、収入実績が全くない、あるいは月に数千円程度と極端に少ない場合も注意が必要です。
審査では「保育の必要性」が問われるため、収入が低いと「その収入であれば、子どもを預けてまで働く必要はないのでは？」と判断され、評価が下がる可能性があります。

具体的な基準は自治体によりますが、最低でも月5〜6万円程度（自治体が定める保育の必要性の下限である月48〜64時間労働に相当する額）を継続的に得ている実績を示すのが望ましいでしょう。

業務時間の証明が曖昧だとフルタイム換算で評価されない

フリーランスの就労証明で最も難しいのが「客観的な労働時間の証明」です。

自分で「1日8時間、月20日活動しています」と申告しても、それを裏付ける客観的な証拠がなければ、役所はより短い時間（例：1日4時間、月12日など）で認定せざるを得ません。

対策として、以下のような工夫が有効です。

フリーランスの保育園申請に必要な書類一覧

ここでは、フリーランスが保育園申請で一般的に求められる書類をまとめました。
不備なく完璧な書類を準備するためのチェックリストとしてご活用ください。

書類名	何を証明する書類か
就労状況申告書・就労実績表	事業内容、就業場所、就業時間、収入など、自身の就労状況を自己申告するための最重要書類。 会社員の「就労証明書」の代わりです。
収支明細・請求書・通帳コピー	申告した収入に実態があることを証明するための証拠書類。 直近3ヶ月分などを求められることが多いです。
開業届・青色申告承認申請書など	「個人事業主」として公的に活動していることを証明する書類。 税務署の受付印がある開業届の控えは必須です。
事業内容がわかる資料	事業内容を補足説明するための資料。 WEBサイトのURLや、事業用のパンフレットなどがあれば添付すると良いでしょう。 Google スプレッドシートにエクスポート

就労状況申告書・就労実績表

自治体指定の様式で、自身の就労状況を申告するための最重要書類です。
会社員の「就労証明書」に相当します。

「誰が読んでも客観的に就労実態を理解できるか」という視点で、事業内容や1週間のタイムスケジュールなどを具体的に、かつ詳細に記入することが評価を高める鍵となります。

収支明細・請求書・通帳コピー

申告した収入が事実であることを証明するための証拠です。

収支明細書は自治体によっては、直近数ヶ月の事業収入と経費をまとめた書類の提出が求められます。
請求書の控えや通帳のコピーは、実際の取引を証明するものとして、これらの提出も有効です。

開業届・青色申告承認申請書などの事業証明書類

あなたが個人としてではなく、「個人事業主」として公的に活動していることを証明するための書類群です。

必須となるのは税務署の受付印がある「開業届の控え」です。
その他、もしあれば「青色申告承認申請書の控え」や、事業内容がわかるWEBサイトのURL、事業用パンフレットなども、事業の実態を補強する材料として有効活用しましょう。

フリーランスの保育園申請から入園までの手順

情報収集から実際に入園するまでの流れを、7つのステップで解説します。
計画的に「保活」を進めるためのロードマップとしてください。

保育園の見学に行き、保育方針や雰囲気を確認する

申請書類を提出する前に、必ず複数の保育園を見学しましょう。
WEBサイトの情報だけではわからない、実際の教育方針や施設の雰囲気、先生や園児たちの表情などを自分の目で確かめることが大切です。
子どもが長い時間を過ごす場所になるため、見学を通して「我が子に本当に合っているか」を肌で感じ、納得できる園を選ぶことが、後悔しない保活の第一歩となります。

必要書類を役所または自治体の窓口で確認する

保育園の申し込みルールや必要書類は、自治体によって毎年更新される可能性があります。
必ずお住まいの自治体の役所（保育課など）へ直接足を運び、最新の「入園のしおり」を入手してください。

その際、フリーランス（自営業）の場合はどのような書類が必要になるか、担当者に直接確認することが重要です。
このひと手間で、書類の不備といったミスを防ぎ、スムーズな申請につなげられます。

開業届・就労証明・収入証明などの書類を準備する

役所で確認した必要書類を基に、具体的な準備を進めます。
特にフリーランスの場合、就労状況申告書や収支明細書などが審査の重要な判断材料です。

この記事で解説したポイントを踏まえ、客観的で説得力のある内容を心がけましょう。
単に書類を揃えるだけでなく、不備がないか、より有利な評価を得るための工夫ができないか、戦略的に作成・準備することが合否を分けるカギとなります。

入園申請書類を自治体へ提出する

準備した全ての書類を、自治体が定める申請期間内に提出します。
1日でも遅れると受け付けてもらえないため、期限は厳守してください。

提出する前には、全ての書類のコピーをとっておくことを強くおすすめします。
万が一の提出トラブルに備えるだけでなく、翌年度の申請や、他の手続きで内容を確認したい場合に自身の控えとして役立ちます。

不備がないか最終チェックをしてから窓口へ向かいましょう。

審査結果の通知を待つ（通常は2〜3ヶ月程度）

申請書類を提出した後は、自治体からの審査結果を待つことになります。
結果が通知されるまでには、通常2〜3ヶ月程度の時間がかかります。

この期間は、落ち着かないものですが、万が一入園できなかった場合（不承諾だった場合）の次の一手を考えておきましょう。
認可外保育園の情報を集めたり、ベビーシッターの利用を検討したりと、プランBを準備しておくことで、どんな結果でも冷静に対応できます。

内定後、健康診断や面談などの入園前準備を行う

自治体から無事に内定通知（承諾通知）が届いたら、入園に向けた次のステップに進みます。
通知書に記載された期日までに、保育園で実施される保護者面談や、子どもの健康診断を受ける必要があります。

面談は、子どもの普段の様子やアレルギーの有無、健康状態などを園に伝える大切な機会です。
園からの案内に沿って、速やかに手続きを進めていきましょう。

契約手続き・入園説明会に参加し、必要書類を提出する

入園前には、保育園で実施される入園説明会への参加が求められます。
ここで、園での生活ルールや持ち物などの詳しい説明を受け、最終的な契約手続きを行います。

保育料の支払い方法に関する書類など、指定されたものを提出したら、いよいよ入園準備のスタートです。
お昼寝用の布団や着替えなど、園生活で必要になる物品を揃え、親子で新しい生活に備えましょう。

入園後にフリーランスとして働くときの注意点

念願の保育園入園後も、フリーランスならではの注意点がいくつかあります。
安定した園生活を継続するために、以下の3つのポイントを覚えておきましょう。

収入減少や休業時の対応に注意する

保育園の継続利用には「保育の必要性」が認められ続ける必要があります。
仕事が減って収入が著しく減少し、自治体が定める就労時間の下限（例：月48時間以上など）を下回ると、「退園勧告」を受ける可能性があります。

また、休業や廃業をする場合は、速やかに役所に届け出る義務があることも忘れないでください。

二人目出産・育休後の再申請に注意する

会社員と違い、フリーランスには法的な「育児休業」制度がありません。
そのため、上の子が在園中に下の子を出産した場合、自治体によっては「下の子の育児に専念できるため、上の子の保育の必要性はない」と判断され、上の子が退園になってしまうケースがあります。

出産後も事業を継続していると見なしてもらうための条件などを、事前に自治体へ確認しておくことが非常に重要です。

長時間労働による健康管理に注意する

子どもを預けられるようになった解放感から、働きすぎてしまうフリーランスは少なくありません。
特に在宅ワーカーは仕事とプライベートの境界が曖昧になりがちです。
意識的に休息をとり、心身の健康を管理しないと、結果的に仕事も育児も共倒れになる危険性があります。

フリーランスも利用できる「預かり保育」「認可外保育」の活用法

認可保育園だけが選択肢ではありません。
フリーランスの柔軟な働き方と相性の良い、他の保育サービスとその活用法を紹介します。

預かり保育の無償化制度の内容

お住まいの自治体から「保育の必要性の認定」を受ければ、預かり保育の利用料も月額1.13万円まで無償化の対象となります。
教育方針によっては、幼稚園＋預かり保育という組み合わせが有力な選択肢になり得ます。

認可外保育施設の選び方とメリット

認可外保育施設（いわゆる無認可保育園）は、国の設置基準は満たしていないものの、自治体独自の基準を満たして運営されている施設です。

メリットは、独自の教育プログラム、柔軟な保育時間、比較的入園しやすいなどの点があります。

利用を検討する際は、必ず見学に行き、自治体への届出状況、職員の配置人数、施設の安全性などを自分の目でチェックすることが大切です。

シッターサービスの併用活用例

ベビーシッターやファミリーサポートは、フリーランスの流動的な働き方と非常に相性が良いサービスです。

「保育園のお迎えに間に合わない1時間だけ」
「急な打ち合わせが入った2時間だけ」

上記のように、必要な時に必要なだけスポットで利用できるのが最大のメリットです。
自治体によっては利用補助金制度を設けている場合もありますので、調べてみると良いでしょう。

フリーランスの保育園に関するよくある質問