シックスハット法ってなに?テーマに応じて帽子の順番を決めてみよう
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初回公開日:2022年03月25日
更新日:2022年04月07日
シックスハット法ってなに?
日々の会議で、ブレインストーミング(以下、ブレスト)を行う機会があるでしょう。ブレストは、新たな企画やアイデアを生み出したいときの効果的な手法の1つです。
しかし、毎回同じメンバーと内容でブレストを行えば、新鮮なアイデアが出てこなくなることもあります。そのようなときには、シックスハット法(強制連想法)という手法を用いると効果的です。
シックスハット法はブレストを応用したもので、思考パターンを6つに分け、強制的に決められた視点から発想する手法です。この手法は、エドワード・デ・ボノ博士という水平思考を提唱した人によって考案されました。
シックスハット法の利点
シックスハット法では、各色のフェイズで視点を切り替えてブレストすることになります。個人の意見を自由に発言できない制約があるため、一見意見が出にくくなるようにも思えるでしょう。
では、シックスハット法がどのようなメリットをもたらすのか順番に解説します。
柔軟な発想を得やすい
思考パターンを強制することで、自分とは別人のような考え方ができます。
参加者には、各個人の意見やアイデアが必ず存在しますが、無意識にも似たような考え方になってしまいがちです。そのようなときに個人の思考パターンの偏りを除去することにより、別人のような柔軟で自由な発想ができるようになります。
つまり、思考パターンの強制化により、新鮮で柔軟なアイデアが生まれやすくなるでしょう。
議論が進行しやすい
シックスハット法では、メンバー全員が同じタイミング・方向性で思考します。
一般的なブレストの場合、さまざまな意見が飛び交いますが、それによって意見がまとまらず議論が進まなくなるデメリットが存在します。
一方シックスハット法では、メンバー全員が同じ見解をしていくため、統一性のある議論になります。また、メンバー全員が同じ視点から思考することで、メンバー全員の思考力をより発揮できるようになります。
また、多面的な思考をする傾向にある脳を強制的にシングルタスクさせることで、各色の思考パターンに集中できます。その結果、スムーズな議論の進行につながるでしょう。
ネガティブな人からもアイデアが出やすい
シックスハット法は、ネガティブ思考の人も強制的にポジティブ思考になってもらいます。
ネガティブな人にも強制的にポジティブに思考させることで、普段ネガティブな人では考えないようなアイデアが創造されることがあります。シックスハット法は、ネガティブな人や消極的な人からも、独創的なアイデアを引き出せるものといえるでしょう。
シックスハット法の帽子6種類
シックスハット法では6つの視点から思考しますが、それぞれの視点には帽子の色が定められています。6つの視点を順番に切り替えていきながら、議論を進めていきます。帽子の色は順番に、白、赤、緑色、黄色、青、黒です。
それぞれの帽子の色がどのような視点かを順番に解説します。
1:白い帽子
白色には、客観的・中立的という意味があります。
白色の帽子をかぶっている間は、客観的な情報(データ、事実、数字など)をもとに議論を進めます。事実や具体的なデータなどを出し合って、現状でわかりうる情報を整理します。
あくまでも情報の整理なので、情報をもとにして仮説を立てたり提案したりするフェイズではありません。
2:赤い帽子
赤い帽子には、感情的・直観的という意味があります。
赤い帽子をかぶっている間は、議題に関して感情の赴くままに発言します。理由や根拠は一切いりません。「なんとなく」でよいので、とにかく思ったことを発言してみましょう。
ここでは感情的な印象までです。テーマに関する利点や欠点まで掘り下げないように、注意しましょう。
3:緑色の帽子
緑色の帽子には、革新的・創造的という意味があります。
緑色の帽子をかぶっている間は、アイデアを自由に発案します。議論で整理された情報や利点・欠点などをもとに、そのテーマを直接的な解決に導きます。
このフェイズで大切なのは、積極的な発案です。固定概念や現実性に囚われず、自由に発言しましょう。そのような自由な発想こそが、クリエイティブなアイデアにつながるのです。
4:黄色い帽子
黄色い帽子には、積極性・希望的という意味があります。
黄色い帽子をかぶっている間は、テーマに対するポジティブな視点や希望的観測を挙げていきます。利点や長所のことです。なぜそのような利点が挙げられるのか、論理的に発言できるとよいでしょう。
多少大げさでもよいので、楽観的に考えてみましょう。
5:青い帽子
青い帽子には、分析的・俯瞰的という意味があります。
議論が円滑に進むように、次になにをするべきか(どの帽子に切り替えるか)という会議全体の流れを管理する役割を持ちます。また、意見を統合し結論をまとめる役割もあります。
青い帽子は他の5つとは異なり、全体のまとめを担います。主に議長や司会の誰かがかぶり、常に会議の進行を把握・分析します。
6:黒い帽子
黒い帽子には、批判的・消極的という意味があります。
黒い帽子をかぶっている間は、テーマに対してネガティブな視点で思考します。欠点、短所、リスクなどを列挙しましょう。黄色い帽子のときと同様に、理由も含めて発言するとよいでしょう。
このフェイズでさまざまなリスクを考慮し管理することで、最悪のケースを把握できリスク管理につながります。
シックスハット法を使ったブレストの流れ
シックスハット法を用いる場合、ブレストの4つの重要なルールに則ることが前提とされています。ブレストの4つのルールとは、アイデアの批判禁止、自由な発想および発言、質より量を重視、アイデアの統合です。
会議の事前準備として、テーマの決定、帽子の準備、議長や司会(青い帽子担当)の任命は済ませておきましょう。ちなみに、3人から多くても10人の少数精鋭で議論するとよいでしょう。
シックスハット法ではフェイズごとに全員が同じ色の帽子をかぶり、各色で議論する時間を制限して進行します。実際にどのような進行がよいのか、シックスハット法を用いたブレストの例を紹介します。
会議の前に色ごとの思考パターンの特徴や会議における注意事項を説明します。
まず白い帽子をかぶり、テーマに関わる情報を整理したら、次に赤い帽子をかぶりテーマや整理された情報に対して直感的に発言します。
続いて黄色い帽子をかぶりテーマが持つポジティブな面、黒色の帽子をかぶってネガティブな面を順番に考えていきます。
緑色の帽子をかぶったら、4つの色での発言をもとに自由にアイデアを発想し、最後に青い帽子をかぶった人が会議の結論を出します。
この流れはあくまでも一例です。テーマや議論の進行度に応じて、適宜帽子の色を変えながら進めるとよいでしょう。
シックスハット法を行う際のポイント
シックスハット法は一般的なブレストの特徴も持ちますが、通常のブレストとは異なる要素を持っている特殊な技法です。
ここでは、シックスハット法によるブレストを円滑に進めるための、ポイントを解説します。
- 帽子が準備できない場合は色紙などを使う
- テーマに応じて帽子の順番を決める
- 性格に合わせて色ごとにメンバーの比重を変える
- 慣れたら敢えて反対の色を組み合わせてみる
- 担当の色以外の意見を言わない
- 意見自体ではなく色の違いのみを指摘する
帽子が準備できない場合は色紙などを使う
シックスハット法においては、一般的に帽子を用います。しかし、6色の帽子を人数分用意するのは、手間も費用もかかります。そのため、帽子の代わりによく色紙などで代用しましょう。色紙であれば容易に調達できますし、安価で入手可能です。
肝心なのは、6色に色分けすることです。視覚的にはっきりと色分けさえできれば、どのようなアイテムでも問題ありません。あまり小さなアイテムでは、色を認識しづらい場合もあるため注意しましょう。
テーマに応じて帽子の順番を決める
シックスハット法では、帽子の色を順番に変えて議論を進めます。白→赤→黄→黒→緑→青の順番で進めるのが一般的です。
しかし、テーマによってはすべての色を使わない場合や、同じ色を複数回使うケースもあります。ただ、1つの色に時間をかけすぎてしまうと思考力が鈍くなります。会議のテーマに応じて、各色の順番と時間を事前に決めておくと、進行がスムーズになるでしょう。
性格に合わせて色ごとにメンバーの比重を変える
6つの異なる視点から思考するにあたり、どの色の思考パターンが得意・苦手といった個人差が生じます。
そのためどの色のフェイズでどのメンバーの意見に比重を置くのか、それぞれの性格によって判断することが求められます。
慣れたら敢えて反対の色を組み合わせてみる
シックスハット法は、多角的視点から思考することで、より創造性のあるアイデアを出すことを目的としています。目的を理解しシックスハット法によるブレストに慣れてきたら、テーマによって使い方を応用できるでしょう。
例えば、参加者を赤と白、黄と黒のように相反する色にグループ分けします。1つのフェイズで異なる視点のアイデアが結合することで、思いがけないアイデアにつながるでしょう。
担当の色以外の意見を言わない
シックスハット法では、強制的にかぶっている帽子の色の視点で思考します。これは、参加者全体で視点を統一させることで、参加者の思考力が発揮されやすくなるとともに、会議のスムーズな進行につながるためです。
他の色で思考した意見は言わないようにしましょう。
意見自体ではなく色の違いのみを指摘する
クリエイティブなアイデアを出すためにも、自由な発想は非常に重要です。万が一、かぶっている帽子の色と異なる視点の意見が出たとしても、色の違いだけを指摘するようにしましょう。
1人でシックスハット法を試してもよい?
シックスハット法は、主に3人以上の議論で用いることが多い手法ですが、1人で思考する場合にも効果的です。
1人の場合では個人の性格や癖が影響し、思考がある方向に偏る場合があります。情報、直感、利点、欠点と無理にでも色ごとに思考することで、各視点に集中できアイデアが出やすくなるでしょう。
また、色ごとに整理できるため議論の要点を把握しやすく、結論を導きやすくなります。
シックスハット法を試して円滑な会議を試みよう
一般的な会議のブレストでは、複数の視点から同時に意見・アイデアが飛び交うことが利点ですが、アイデアがまとまりづらいという欠点もあります。会議に無駄な時間がかかる場合や、同じ手法によるマンネリ化も懸念されるでしょう。
万が一通常のブレストで行き詰った場合には、シックスハット法を用いたブレストを推奨します。参加者にルールや目的を把握してもらう必要はありますが、それだけのメリットは大いにあるでしょう。
創造性・生産性を上げるためにも、シックスハット法を活用し、ワンランク上の議論をしてみましょう。