アドテク業界とは?種類別から見るサービスや仕組み・今後の動向を紹介
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初回公開日:2022年03月25日
更新日:2022年03月31日
アドテク業界とは?
アドテクノロジー(アドテク)とは、「デジタルテクノロジー」を駆使したインターネット広告のことで、現在ではテレビ広告に次ぐ広告市場と言われています。
近年ではアドテクノロジーを提供する企業が年々増加しており、インターネット広告業界のみならずネット通販などの異業種も続々と参入している状況です。
インターネット広告は、広告主とメディア(広告媒体)の二者間の取引にアドテクノロジーが介入してきたことで効果的で収益性の高い広告に進化しました。
広告主に関わるアドテクの代表的なサービスや仕組み
ここでは、広告主に関わるアドテクの代表的なサービスや仕組みについて紹介します。広告主はこれらのアドテクノロジーを活用することにより、さらに効果のあるユーザーに広告を配信できるでしょう。
ユーザーへ再び広告を配信する「リターゲティング」
「リターゲティング」は、過去に自社のサイトに訪れたことがあるユーザーに対して、再度広告を配信するシステムです。
過去に自社サイトを訪問した履歴を元に、再度その訪問者に対して広告掲載面やバナー広告などを使い、自社のサービスや製品などに関する広告を配信する仕組みになっています。
広告主側収益の最大化を担うプラットフォーム「DSP」
DSP(Demand Side Platform)は、広告効果の最適化を計った広告配信を一元管理してくれる仕組みです。
広告主側でターゲット設定、予算設定をすることで、広告出稿の費用対効果を高めた最適化がなされます。
広告主と広告枠の利害を一致させる仕組み「RTB」
RTB(Real Time Bidding)は、広告枠のインプレッションに対してリアルタイムで入札を行う仕組みです。
広告主側のなるべく低い予算でより高い売上を得ることと、メディア側の広告枠をなるべく高く買ってもらいたい、という利害を一致させるために開発されました。
ユーザーに関わるアドテクの代表的なサービスや仕組み
ここでは、ユーザーに関わるアドテクの代表的なサービスや仕組みについて紹介します。これらのアドテクノロジーを活用することにより、目的に合ったユーザーに有益な広告を配信できるでしょう。
ユーザデータを管理するプラットフォーム「DMP」
DMP(Data Management Platform)とは、インターネット上に蓄積されている様々なユーザデータを管理するためのものです。
過去にサイトを訪れたユーザーのデータを活用することで、購入履歴のあるユーザーのみに配信するなどターゲティングの精度が高まり、より費用対効果の高いマーケティングを目指せます。
広告の効果を計る「SDK」
SDK(Software Development Kit)とは、ソフトウェア開発キットのことで、特定のカスタムアプリやソフトウェアを開発する際に必要となるツールセットです。
アプリ広告は、Web上の広告からアプリストアやアプリに遷移する際、一度セッションが遮断されてしまうため、アプリのインストールや起動後の行動が追えません。そのため、アプリに広告効果計測SDKを組み込むことで、その後の行動が計測できるようになります。
広告の効果を計る「トラッキング技術」
トラッキングとはユーザー属性や行動履歴を計測・分析するために、ユーザーの情報を取得し追跡することです。
トラッキング技術を利用し、ユーザーがサイトを訪れた際の閲覧場所、滞在時間、コンバージョンの有無、年齢や興味関心、検索場所や日時などの情報を取得できます。
メディアに関わるアドテクの代表的なサービスや仕組み
ここでは、メディアに関わるアドテクの代表的なサービスや仕組みについて紹介します。
これらを活用することによりメディア側の収益を最大化し、広告枠の自由な売買を可能にしたり複数のアドネットワークを一元管理したりできるようになるでしょう。
メディア側収益の最大化を担うプラットフォーム「SSP」
SSP(Supply Side Platform)は、メディア側の収益最大化を目的としたシステムのことです。
広告枠や金額、出稿の希望条件などを設定するだけで、メディア側にとって最も収益が上がる広告を自動で選び、配信してくれる仕組みになっています。
広告枠を自由に売買できる「アドエクスチェンジ」
複数のメディアや広告ネットワークが持っている広告掲載枠を集約して、交換できるようにした仕組みを、アドエクスチェンジと言います。
これにより、広告主側の需要である広告出稿数と、メディア側の供給である広告枠という需要と供給のバランスによって、インプレッションごとに自由に売買できるようになりました。
広告配信管理システム「アドネットワーク」
アドネットワークとは複数の広告媒体を集めた広告配信ネットワークのことで、WebサイトやSNS、ブログなどが当てはまります。これにより広告枠の一元管理ができ、複数の広告媒体に一括して配信できるようになりました。
アドテク業界で活用されるヘッダービディングとは
複数のSSPでオークションを行い、一番高い単価の広告を表示させることをヘッダービディングと言います。
広告収入で利益を得ているメディア側の収益最大化を支援するもので、複数のSSPやアドエクスチェンジに広告在庫を同時に提供する仕組みです。
国内で活用されている代表的なヘッダービディングソリューションには、Googleが提供している「Exchange Bidding」、Amazonが提供している「TAM(Transparent Ad Marketplace)」、オープンソースの「Prebid」、OpenXの「OpenX Bidder」などがあります。
日本のアドテク業界が海外に比べ遅れている理由
日本のアドテク業界は海外に比べて遅れていると言われており、その大きな原因は代理店文化にあると考えられます。
前述したヘッダービディングはアドテクノロジーが理解できていて、かつエンジニアリングの知識が不可欠です。常に変動していく技術情報に対処するには、アドテクの知見に精通している必要があります。
そのハードルの高さから多くの日本企業は、自社での導入や運用を断念し代理店任せにしてしまっています。それに対して、代理店側はアドテクに精通する部分が不足している、あるいは精通している代理店が少ないのが現状です。
アドテク業界における今後の動向
アドテクの登場によって広告のデジタル化が進み、効果的かつ効率的な広告配信が可能になりました。今後はこれまでのRTBによる広告配信の仕組みが広がるだけではなく、新しい付加価値を持つ広告商品が登場すると言われています。
ここでは、アドテク業界における今後の動向について紹介します。
CTVでの計測における需要が増える
CTV(コネクテッドTV)の視聴者数は顕著に増加しており、広告配信に対応したCTVコンテンツも増えています。
近年ではユーザーのライフスタイルも変化し、デジタル動画とCTVはより身近なものとなりました。デジタル動画とCTVの技術進歩に伴い、CTVでの計測における需要は高まることが予想されます。
コンテキスト・ターゲティングの活用が進む
コンテキスト・ターゲティングとは、AIがWeb上のテキストや画像を自動で解析し、ページに合った内容の広告を配信する施策のことです。
コンテキスト・ターゲティングが着目される背景には、プライバシー規制、セキュリティの観点、クッキーの利用制限などの対策から、個人データの有用性が問題になっている点が挙げられます。
コンテキスト・ターゲティングの活用が進むことにより、リスクのあるコンテンツを回避し、適合性の高いコンテンツを提供できるようになるでしょう。
チームを率いるリーダーには共感性が必要になってくる
近年、海外では従来型のリーダーシップの大きな要素として求められてきた強力な牽引力から、高い共感性にシフトしてきています。
以前から、チームを率いるリーダーの共感性は経営者にとっても重要な要素の1つと捉えられてきましたが、今後はより一層この要素が求められると考えられます。
アドテクについての知識や将来性を理解しよう
アドテクノロジーの登場によって、ユーザーに最適な情報が届けられるようになり、広告の正確な効果も把握できるようになりました。
限られた広告予算のなかで最大限の効果を得るために、アドテクノロジーの活用は欠かせないものとなるでしょう。