SWOT分析って何?やり方と戦略を導くコツやクロス分析についても紹介
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SWOT分析って何?やり方と戦略を導くコツやクロス分析についても紹介

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SWOT分析って何?やり方と戦略を導くコツやクロス分析についても紹介

記載されている内容は2021年08月25日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。

また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

初回公開日:2021年08月25日

更新日:2024年05月31日

本記事では、マーケティング戦略立案に有用なSWOT分析の流れや注意点、大手企業の実例をあげて説明しています。また、SWOT分析と併用してよく使われている手法や、SWOT分析に使用する情報を収集する際に有用な分析手法についても取り上げています。

SWOT分析について

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※画像はイメージです

SWOT分析とはどのようなものでしょうか?SWOT分析とは、経営戦略や事業計画などを策定する際に使う手法の1つです。自社の置かれている現状をStrength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の4つの切り口から分析するやり方です。

SWOT分析と併用して使われる分析方法3つ

SWOT分析を行う上で、併用して使われる分析手法があります。PEST分析、クロス分析、ファイブフォース分析の3つです。SWOT分析の詳細説明の前に、これらの手法について簡単に触れておきます。

1:PEST分析について

SWOT分析を行う上では、自社を取り巻く外部要因がどのような状況にあるのかを知ることは重要です。この外部要因を分析するための手法としてよく使われるのがPEST分析です。

Politics(政治的)、Economy(経済的)、Society(社会的)、Technology(技術的)の4つの切り口から外部要因を分析します。

2:クロス分析について

クロス分析とは、アンケート集計の際などでよく使われる手法です。選択肢ごとの単純な集計ではなく、選択肢を複数組み合わせて立体的に結果を分析していく手法をクロス分析といいます。

3:ファイブフォース分析について

ファイブフォース分析とは、SWOT分析の切り口の中でThreat(脅威)についてさらに深く分析する手法です。自社が存在している業界で、さらされている5つの脅威(Five Force)について明らかにするものです。

業界内の既存競合他社、他分野からの新規参入、自社製品に取って代わりうる代替品、サプライヤーの交渉力アップ、顧客の交渉力アップを5つの脅威として捉えて分析をします。

SWOT分析を行う目的とは?

マーケティングにおいて、SWOT分析はどのような活用ができるのでしょうか?

SWOT分析は自社が置かれている現状や将来に起こりうる課題を抽出・整理するのに有効な手法です。このようにして把握した課題を基に、経営戦略や事業戦略を策定するために、SWOT分析はよく使われます。

SWOT分析の主な4つの流れ

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SWOT分析を行う際の手順としては、主に4つのステップがあります。内部環境の分析、外部環境の分析、各要素を箇条書きにする、それぞれの関係性をグルーピングして文章化する、の4つです。

1:内部環境の分析を行う

まず、内部環境の分析を行います。SWOT分析での内部環境とは強み(Strength)と弱み(Weakness)です。強みをより強くする、あるいは弱みを補うなどのように、内部環境とは自社でコントロールできる要因をいいます。

内部環境としては具体的に次のようなものがあげられます。強み(Strength)としては技術力や蓄積されたノウハウ、多くの拠点数などがあります。弱み(Weakness)としては、自社が苦手な分野(競合他社の得意分野)や他社比較した際のコスト高などがあります。

2:外部環境の分析を行う

次に、外部環境の分析を行います。SWOT分析での外部環境とはOpportunity(機会)とThreat(脅威)です。PEST分析やファイブフォース分析で取り上げたような、自社でコントロールできない要因をいいます。

3:各要素を箇条書きにする

内部環境と外部環境を取り出すことができれば、次に各要素を箇条書きにします。それぞれをプラスになりうる要因(StrengthやOpportunity)とマイナスになりうる要因(WeaknessやThreat)に分けて、4つの切り口に沿ってマトリクスとして並べていきます。

4:それぞれの関係性をグルーピングして文章化する

マトリクス化できれば、続いてそれぞれの関係性を考えてグループを作り、文章化していきます。前のステップでは要素が箇条書きにされていて、項目だけが取り出されているため、グループを作り文章にすることでその項目の強みや弱みがより明確に浮かび上がります。

SWOT分析を活用して戦略を導く7つのコツ

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SWOT分析を活用して経営戦略や事業戦略を導き出す場合にはコツがあります。

プラスの要素に着目する、マイナスの要素に着目する、効果を生むための内部と外部の関係性を知る、目的を明確化する、SWOT分析のメリットとデメリットを理解する、前提となる条件を設定する、クロスSWOT分析を活用する、の7つです。

1:プラスの要素(強みと機会)に着目する

まず、プラスの要素に着目してみます。SWOT分析でのプラス要素は強み(Strength)と機会(Opportunity)です。自社の強みはどのようなところにあるのか、自社にとって利益となる機会はどのようなものがあるのかを考えます。

2:マイナスの要素(弱みと脅威)に着目する

次に、マイナスの要素に着目します。SWOT分析でのマイナス要素は弱み(Weakness)と脅威(Threat)です。他社と比較してどこが弱いのか、外部環境としてどのような脅威があるのかを考えます。

3:効果を生むための内部と外部の関係性を知る

内部環境と外部環境の関係性を知ることも必要です。内部環境(自社の強みと弱み)と外部環境(機会と脅威)は独立しているものではなく、深く関係しています。

環境政策などの外部環境によって、それまで強みだった部分が弱みに変化する場合や、その逆もありえるため、効果を生むためには内部環境と外部環境の関係性を知ることは重要です。

4:目的を明確化する

SWOT分析を行う上では、目的を明確に定める必要があります。SWOT分析からどのような戦略を立てたいのか、何を知りたいのかを明確にしていないと、分析結果の把握が曖昧になってしまいます。

5:SWOT分析のメリットとデメリットを理解した上で戦略を立てる

SWOT分析にもメリットとデメリットがあります。戦略を立てる上では、メリットとデメリットをよく理解しておく必要があります。

メリットは、自社の強みや弱みのような内部環境だけでなく、社会的状況や政治的状況などの外部環境にも着目することで、自社を外部から客観的に見ることができることがあげられます。

デメリットは、内部環境を強みと弱みに二分しようとすることに起因します。明確に分類できない項目もありえますし、外部環境の変化に影響されて強みから弱みに変わる可能性もあるなど、目的や状況によって区分に注意する必要があるというところです。

6:前提となる条件を設定する

分析の前に前提となる条件を設定することも必要です。何について分析するのか、立てたい戦略は何なのかなど、前提条件によって分析で取り上げる対象も変わってきます。

場合によっては、強みだったものが実は弱みだったというように、結果に影響を及ぼす場合もありえるため、前提条件を整理・設定しておくことは重要です。

7:クロスSWOT分析を活用する

SWOT分析においては、クロス分析を併用したクロスSWOT分析が非常に有用です。単純に強みと弱み、機会と脅威を並べて眺めるのではなく、それらを組み合わせて、たとえば強みを機会で活かすためにはなどのクロス分析手法を併用することが一般的です。

クロスSWOT分析を使用した戦略立案の4つの方法

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上記の通り、SWOT分析を活用する際は、クロス分析を併用したクロスSWOT分析を活用するのが一般的です。クロスSWOT分析を使って戦略立案を行う際には4つの組み合わせから考えることが重要です。

「強み×脅威」の場合、「強み×機会」の場合、「弱み×脅威」の場合、「弱み×機会」の場合の4つの組み合わせです。

1:「強み×脅威」の場合

1つめは「強み×脅威」の場合です。自社の強みを活かして、脅威を避ける方法を考える場合がこれにあたります。

たとえば、政策が変わって環境対応を強く求められた場合に、自社の技術力を活かして環境対応製品をいち早く出すことなどは、この場合の例としてあげられます。

2:「強み×機会」の場合

2つめは「強み×機会」の場合です。自社の強みを活かして機会を捉え、事業を大きく伸ばす場合がこれにあたります。

自社の環境対応技術力は強かったがコスト高だったところに、政策変更の補助金などでコスト高を埋めることができる環境が整った機会を捉えて、その分野での先行者となるような場合はこの例にあたります。

3:「弱み×脅威」の場合

3つめは「弱み×脅威」の場合です。自社の弱みを把握して、脅威を避ける方法を考える場合がこれにあたります。

環境対応製品が弱かったところに政策変更で環境対応を義務づけられたため、大きな損失を出す前にその分野の事業から撤退するという判断も選択肢に入れるという場合などがこの例にあたります。

4:「弱み×機会」の場合

4つめは「弱み×機会」の場合です。自社の弱みを把握して、機会を捉えて弱みを補強し、強みに変えていく戦略を考える場合がこれにあたります。

政策変更で環境対応が義務づけられたものの、自社の技術力が弱かったため、強い技術力を持つベンチャーをM&Aで取り込んで新しい事業分野を立ち上げるような場合がこの例としてあげられます。

SWOT分析に活用できる分析手法3つ

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SWOT分析を行う際に活用すると有用な分析手法があります。PESTEL分析、3C分析、VRIO分析の3つは、その中でも有用でよく活用される手法です。以下でこの3つの手法を取り上げます。

1:PESTEL分析について

SWOT分析を行う際に外部環境のマクロ要因情報を収集する手法がPESEL分析です。PESTEL分析は上記であげたPEST分析のアップグレード版になります。

PEST分析の4つの切り口であるPolitics(政治的)、Economy(経済的)、Society(社会的)、Technology(技術的)に、Environmental(環境的)とLegal(法律的)を加えたものがPESTEL分析です。

PEST分析の場合、環境的要因は社会的要因に、法律的要因は政治的要因に含まれていましたが、世界的に環境が社会問題化していく状況や昨今の法改正による事業環境の激変などから、この2つを独立させて考えた方が有用となってきて、PEST分析からPESTEL分析に変化してきました。

2:3C分析について

外部環境のマクロ要因情報収集がPESTEL分析だったのに対して、ミクロ要因情報収集が3C分析です。Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)の3つのCを取って3C分析と称しています。

市場・顧客に関しては、業界の市場規模やその成長性、顧客のニーズや購買行動などを考えます。

競合に関しては、競合他社のシェア割や特徴、新規参入や代替品の可能性などを考慮する必要があります。

自社に関しては、企業理念やビジョン、売上やシェアの現状、特徴と強み弱み、保有している経営資源などを把握する必要があります。

3:VRIOについて

外部環境要因情報収集の手法がPESTEL分析や3C分析だったのに対して、内部環境要因情報収集の手法がVRIOです。

自社の保有する経営資源に対して、経済的価値(Value)、希少性(Rarity)、模倣可能性(Imitability)、組織(Organization)の4つの面から、その資源の強みや弱みを分析します。

経済的価値(Value)とは、ある経営資源を保有している場合と保有していない場合を比べた際の売上の変化をいいます。

希少性(Rarity)とは、その経営資源が自社の置かれている業界で希少性を有しているかどうかを考えます。

模倣可能性(Imitability)とは、自社の保有する経営資源を他社が獲得しようとする場合にコスト的に簡単かどうか、すなわち簡単に真似されるかどうかをいいます。

組織(Organization)とは、その経営資源を活用する場合に、簡単に誰でも使える組織や手続きが整っているかどうかをいいます。

SWOT分析を行う際に注意する点

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SWOT分析を行う際には注意すべき点もあります。特に内部環境を分析する際に注意が必要です。

内部環境を分析する際には自己満足に陥らないためにも、主観的に決めず客観性を持たせること、外部環境要因を必ず加味すること、データや数値など具体的な観点で分析することの3点が重要になります。

SWOT分析の具体例

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SWOT分析の具体例として2つの企業の場合を取り上げて説明します。大手AV機器メーカーであるソニー株式会社の場合と、大手百貨店である株式会社三越伊勢丹ホールディングスの場合です。

大手AV機器メーカーの場合

具体例の1つめとしてソニー株式会社を取り上げます。携帯音楽機器や映像機器の先進企業であるソニーのSWOT分析例は以下の通りです。

強み(Strength)としては、世界的に強いブランド力や映画製作、音楽レーベルなど多角的に事業を展開している点、携帯音楽機器をいち早く出したアイデアと開発の力などです。

弱み(Weakness)としては、事業分野が分かれていて開発が重複することもある水平分業の仕組みや労働コストアップによる国内での製造力が弱体化していることなどです。

機会(Opportunity)としては、リーマンショックやコロナ禍からの世界的な景気回復の兆しが見えていることやベータの高品質業務用カメラがオリンピック・パラリンピックで大量に使われる可能性があること、アメリカの対中政策によるファーウェイの失速などがあげられます。

脅威(Threat)としては、中国や韓国のメーカーによる液晶テレビ市場への参入とそれに伴う世界的な競争激化、パソコンやスマートフォンの低価格化による収益低減などがあげられます。

大手百貨店の場合

具体例の2つめは株式会社三越伊勢丹ホールディングスを取り上げます。三越・伊勢丹・岩田屋・丸井今井の4つの百貨店を中心にクレジット・金融・友の会業、不動産業など多角的な経営を実践している会社です。SWOT分析例は以下の通りです。

強み(Strength)としては、百貨店売上高において日本有数の会社であること、三井グループの発祥である三越の歴史と中高年富裕層の優良顧客、伊勢丹の強いブランド力と若年富裕層の優良顧客などがあげられます。

弱み(Weakness)としては、高齢化による三越の顧客数減と顧客層の固定化による収益改善が困難なところ、伊勢丹が新宿店に依存しているところなどです。

機会(Opportunity)としては、インバウンドによる中国人富裕層観光客の増加、経済力アップによる東南アジアの市場成長などです。

脅威(Threat)としては、消費税増税による景気低迷や人口減による日本国内の個人消費の減少、百貨店業界全体の売上縮小、EC市場の広がりによる来店客数減などがあげられます。

SWOT分析について知識を深めよう

SWOT分析は経営戦略や事業戦略を策定する上でよく活用される手法です。マーケティングの場合でも置かれている環境を分析して、対応策を考える上で有用な手法です。

SWOT分析の流れや注意点を十分に把握して知識を深め、マーケティング戦略立案に活用しましょう。

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