ブランディングのメリットや進め方を解説|企業による成功事例も併せて紹介
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ブランディングのメリットや進め方を解説|企業による成功事例も併せて紹介

記載されている内容は2021年10月28日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。

また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

初回公開日:2021年10月28日

更新日:2022年03月01日

自社ブランドを強化するにあたって、ブランディングに取り組みたいと考える方も多いのではないでしょうか。今回はブランディングのメリットや進め方の解説に加え、企業による成功事例を紹介していきます。ブランディングについて理解を深めたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

ブランディングについて知っておくべき4つの基本

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企業の成長において、ブランディングは欠かせない戦略です。そのため、ブランディングに力を入れる際には、まず基本を理解しておくことが重要と言えるでしょう。

ここからは、ブランディングについて知っておくべき4つの基本を紹介していきます。基礎的な知識を正しく理解しておくために、ぜひ参考にしてみてください。

1:ブランディングの定義とは

ブランディングは、顧客にブランドのイメージを共通して持たせ、商品やサービスの価値を認知させる方法と定義付けられています。

企業が商品やサービスの価値について唱えても、顧客がそれを認めなければブランドは成立しません。したがって、ブランディングにはブランドならではの独自性と顧客が持つイメージを一致させ、価値を認めてもらうことが重要と言えるでしょう。

2:ブランディングに重要なゴールデンサークルの考え方とは

企業のブランディングにおいて重要なのが、まず「WHY」の部分を構築するゴールデンサークル理論を取り入れることです。

多くの場合、物事の考え方は「WHAT→HOW→WHY」の順になるでしょう。しかし、ゴールデンサークル理論は最後の「WHY」が物事の本質であると示しており、「WHY→HOW→WHAT」の順で構成されています。

人々の共感を得るには「WHY」を示すことが重要であるため、本質を構築することが企業のミッションと言えるでしょう。

3:ブランディングの役割

ブランディングは、ユーザーと企業、両視点において役割が存在し、それぞれに影響をもたらします。以下では、ユーザー側と企業側の視点に分けて、ブランディングの役割を解説していきます。

ユーザー側の役割

ブランディングにおけるユーザーへの役割として、主に意思決定を容易にすることが挙げられます。

例えば、ブランディングでは、購入や契約に関するユーザーの意思決定のために、必要な情報を補完できます。結果として、意思決定の時間短縮や選択のストレス軽減など、探索におけるコストの低減に繋がる可能性が高まります。

他にも、選択の失敗における時間的リスクや商品の価値が価格に見合わない金銭的リスクなど、ユーザーが様々なリスクを回避できる点でも大きな役割を果たしていると言えるでしょう。

企業側の役割

ブランディングにおける企業側の役割として、主に市場での差別化が挙げられます。競合と差別化を図り、ユーザーの感情移入の度合いが強まった場合、リピート率の向上に繋がるでしょう。

高いリピート率を維持することで収益アップを狙えることはもちろん、広告費や人件費などのコストも削減でき、結果として利益アップに繋がります。

また、ブランディングにより知名度が向上した場合、優秀な人材採用や働きがいと誇りを向上させることにも効果があるため、社員から物や金銭以上の価値を引き出せるでしょう。

4:ブランディングの種類

ブランディングは、「何を」「誰に」「誰が」という大まかな基準を元に、3つの種類に分けられます。例えば、「何を」ブランディングするかを基準に分類した場合、「商品・サービス」と「企業」の2種類に分けられます。

また、「誰に」向けてブランディングするかを基準にしたブランディングは、「ユーザー」と「従業員」に対して展開することを指しており、それぞれ「インナーブランディング」と「アウターブランディング」に分けられます。

さらに、「誰が」ブランディングするかを基準に分類した場合は、一般消費者を対象にした企業が行う「BtoCブランディング」と、企業を対象にした企業が行う「BtoBブランディング」の2種類になります。

このように大きく3つの種類に分類され、さらに細かく6種類のブランディング手法に分類されています。

ブランディングによるメリット

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ブランディングは数多くのメリットをもたらし、その効果は企業と顧客の両方に大きく影響します。ここからは、企業と顧客の2つの視点に分けて、ブランディングによるメリットを解説していきます。

メリットを理解しておくことで効率の良い戦略を組み立てられるため、ぜひ参考にしてみてください。

企業への5つのメリット

企業へのメリットとして、価格決定権や競合との差別化、自社内のモチベーション向上などが挙げられます。以下で、企業が得られるメリットを5つに分けて解説していきます。

1:利益獲得に有効な価格設定ができる

ブランディングが確立されている場合、価格競争をする必要がないため、利益獲得に有効な価格設定にできます。

ブランドには、憧れや共感などユーザーからの感情移入の度合いが強まるほど、付加価値が向上しファンが定着するという性質があるためです。

それによって、ユーザーに選ばれやすくなるため、高い商品価格を維持しやすくなります。また、定着したファンは、他社製品と比較せず指名買いをしてくれる可能性も高まるため、障壁も低くできるでしょう。

2:他社製品と差別化を図れる

他社製品との差別化は、商品を確実に選んでもらう際にとても重要です。また、他社製品と差別化を図り獲得した顧客の満足度を上げることで、リピート率の向上が狙えるでしょう。

高いリピート率を維持することは、新規顧客獲得コストの回収や、商品開発によるビジネスの収益向上などにも繋がります。他社製品よりも高い価値を認められている場合は障壁も高くなるため、新規参入する企業を抑制することにも役立つでしょう。

3:法的な保護が付く

ブランドは、登録商標や著作権、特許権などの法的保護のもとで庇護されます。また、その権利により著作権料などが発生した場合、プラスアルファで利益を上げられるのも大きなメリットです。

そのため、企業は商品やサービスを育てるだけでなく、法的保護により商品やサービスの価値を守り、その独自要素を他社に不正利用されないよう管理していくことが重要です。

4:自社内の意思統一とモチベーションの向上が期待できる

ブランディングは商品やサービスだけでなく、自社内にも大きく影響します。ブランディングを現場の社員を巻き込んで行うことによって、チーム全体でブランドの理解が深まり組織が一体化されます。

それにより、組織全体が同じ方向を向き意思統一が図れるため、モチベーションの向上に繋がるでしょう。社員同士の信頼関係の構築やサービスレベルの統一も図れるため、社内における課題解決に有効です。

5:採用活動が効率化する

ブランディングにより企業の知名度が向上した場合、優秀な人材を獲得できる可能性が高まります。知名度の高い企業は就職候補として選ばれやすく、自社が求める人材を効率的に獲得できます。

加えて、ブランドの価値観に共感した顧客が、指名入社してくれる場合もあります。企業に対する愛着が強い人材は、優れた商品開発やブランド育成に貢献してくれるため、ブランドの強化に繋がり好循環を生み出せるでしょう。

顧客・消費者への8つのメリット

顧客へのメリットとして、主に機能や情緒的な価値の獲得や、様々なリスク回避などが挙げられます。

以下では、ブランディングにより顧客・消費者が得られるメリットを8つに分けて解説していきます。ぜひ参考にしてみてください。

1:機能的価値や情緒的価値を得られる

顧客は商品やサービスから、機能的価値と情緒的価値の2種類の価値を獲得します。「機能的価値」とは、商品そのものが提供する価値を指しており、「情緒的価値」は商品を持つことで得られる心理的な価値を指します。

情緒的価値が顧客に与える影響は大きく、心を動かされることで商品に対する満足感はもちろん、他社製品では得られない価値を引き出すことにも繋がります。

そのことを踏まえ、機能だけではなく心で感じる価値を盛り込むことが、企業におけるポイントと言えるでしょう。

2:時間を浪費しない

ブランディングによって競合との差別化が適切に行われた場合、顧客は商品に関する調査や検討の時間を減らせるでしょう。

自分に最適な商品を見つけるには、多大な時間を要します。そこで重要となるのが、ブランドが確立されていることです。それにより、顧客は商品選択の際に他社製品と比較検討するまでもなく選べるようになるでしょう。

失敗による買い直しを防げることも、大きなメリットと言えます。

3:他者に伝える手段になる

特定のブランドの使用は、顧客の自己イメージを他者に伝えるための手段にもなります。ブランドのイメージと自分自身を重ね合わせることによって、自分がどのようなタイプの人間なのかをスムーズに伝達できるでしょう。

このようなシンクロは一種のステータスにあたり、自己の理想実現にとても役立ちます。どのようなタイプの人間に見られたいのか、自己を表現する手段として有効なのも大きなメリットと言えるでしょう。

4:機能的リスクを回避できる

機能的リスクは、顧客が商品において期待した機能を果たさないといったリスクを指します。例えば、顧客が特定の機能が搭載された商品を探す場合、商品情報の記載がなければ、購入した際に機能的リスクを負う可能性が高まります。

しかし、ブランドが確立されていれば、顧客は機能とブランドを結びつけて想起できるため、機能的リスクを回避することに繋がります。

5:身体的リスクを回避できる

身体的リスクは、購入した商品が使用者の健康や身体に危害を加えるリスクを指します。食品や飲料など、「健康に悪影響を及ぼすのではないか」と考えた場合、顧客は購入をやめてしまうでしょう。

これは、調理器具や工具、自動車など、怪我の可能性がある商品にも同じことが言えます。ブランディングは安全性の周知徹底にも有効なため、ブランドが確立されている商品を購入することは、顧客の身体リスクの回避にも繋がります。

6:金銭的リスクを回避できる

金銭的リスクは、購入した商品の価値が支払った価格に見合わないといったリスクを指します。顧客が商品に対して、ランニングコストや維持費の発生、故障の不安を持つ場合、それは金銭的リスクに値します。

前述の通り、ブランディングは品質保証にも有効なため、顧客は商品に対して安心と信頼を持てるようになるでしょう。購入前の不安の排除から購入後の損失を防げるため、結果として金銭的リスクの回避に繋がります。

7:社会的リスクを回避できる

社会的リスクとは、購入した商品が社会的な迷惑をもたらすリスクを指します。衣類やアクセサリーなど、趣味や趣向が反映された商品は、自分の社会的な評価につながる場合もあるでしょう。

社会的リスクの回避とは、商品を使用した際に「似合わないと言われてしまうのではないか」「批判されるのではないか」などといった不安を排除できることです。この不安は、商品の購入後に影響するリスクのため、損失を防ぐことにも有効と言えるでしょう。

8:心理的リスクを回避できる

心理的リスクは、商品を使用した際に精神・心理に悪影響を及ぼすリスクを指します。

例えば「商品を上手く利用できないのでは」「買って後悔しないだろうか」などといった不安が心理的リスクに値します。この場合は、顧客が失敗を恐れていることが多いと言えるでしょう。

ブランディングはこれらのリスクを心理的に軽減させることにも有効です。そのため、顧客の購買行動に大きく影響を与えるでしょう。

ブランディングを進めるための10の手順

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ブランディングを成功させるには、手順を正しく理解し、適切な手順を踏むことが重要です。ここからは、ブランディングを進めるための10の手順を解説していきます。

自社にとってより効果的にブランディングを進められるよう、ぜひ参考にしてみてください。

1:ブランドの目指す方向性を示す

ブランドの目指す方向性を示すことは、具体的に行動していくためにはとても重要なポイントです。目指す方向性を示すことにより、組織全体が一体となって同じ目標に向かえます。

ブランドにおける理想の未来像や、ブランドが持つ唯一無二の価値を明確にすることにより、独自の世界観が築けます。その世界観を元に、方向性を定めて行きましょう。

2:ブランディングの必要性やメリットを共有する

ブランディングにおいて、その必要性やメリットを組織で共有することは、スタートの足下を固めることに繋がります。ブランディングの必要性やメリットを組織で共有できていない場合、方向性や施策にブレが生じてしまう可能性があります。

その場合、顧客との長期的な関係構築が図れず、成功はおぼつきません。成功の基盤を作るためには、何のためにブランディングを行うのか、得られるメリットを明確に理解し共有することが重要です。

3:PEST分析・ファイブフォース分析・3C分析等の環境分析を行う

PEST分析・ファイブフォース分析・3C分析等の環境分析は、戦う場所を決める際にとても重要です。

まずPEST分析で、世の中の流れを理解するための分析を行います。次に、ファイブフォースで、買い手・売り手の交渉力や新規参入の脅威など、業界構造を分析します。さらに、3C分析で顧客のニーズ・競合の強み弱み・自社の強み弱みなど、市場の変化から成功要因を発見します。

これらの環境分析は環境変化を捉えることにも繋がり、今後の戦略のベースにもなるため、手抜かりのないように進めていくことが重要です。

4:ブランドコンセプトを言語化する

ブランドコンセプトの言語化は、組織全体でブランドの方向性を具体的に共通化させることに有効です。ブランドが目指す方向性に沿って、ターゲット層にどんなイメージを持ってもらいたいか、どのように価値提供したいかなどをさらに明確にしていきます。

この言語化ではブランドの価値や強み、武器を明確にし、コンセプトに沿ったキーワード候補から、ブランドの特徴が伝わる言葉を的確に選定することが重要です。

5:個性を生かしたブランドアイデンティティを設定する

ブランドが持つ武器を有効に使うには、個性を生かしたアイデンティティを設定することが重要です。

ブランドアイデンティティとは、顧客に印象づけたいブランドの特徴を明確にしたものを指します。理想として、ブランド名だけで顧客が共通のイメージを具体的に持てると良いでしょう。

6:ユーザーに提供するブランドの価値を決める

ユーザーに提供するブランドの価値を決めることは、ブランドに対する愛着や思い入れなど、感情移入を形作る際に有効です。

ブランドの提供価値は、顧客が感じ取る喜びを示し、その度合いを高めていくことで、かけがえのないブランドに育っていきます。

これはブランド力の向上を意味しており、顧客のブランドに対する感情移入を形作りブランドを育てていくには、品質や性能はもちろん、デザインやブランドイメージ、自己表現や社会実現など、様々な角度から価値提供していくことが重要です。

7:ブランドの世界観を的確にアウトプットする

ブランドの世界観を的確にアウトプットしていくことは、ブランドを発信していく上でとても重要です。ブランドの世界観を形作る要素には、ブランド名やキャッチコピーに加え、写真やロゴデザインなどが挙げられます。

ターゲットとする顧客が認識しやすく、さらに的確に伝わるよう、視覚情報に訴える要素が重要です。また、動画やWebサイトなど、発信する上で最適な広告媒体を選ぶことによって、より効果的にアウトプットできるでしょう。

8:ロゴマーク・ブランド名を作成する

ロゴマークとブランド名は、ユーザーの記憶と直結しやすい要素です。ロゴマークとブランド名を作成し、広告やプロモーションにおいて大きな効果が発揮できれば、ブランド価値の向上に繋がります。

作成する際には顧客が認識しやすく好感を抱きやすいことに重点を置き、さらにブランドストーリーや価値観、コンセプトなどが想像しやすいものであると良いでしょう。

9:タッチポイントに一貫性を持たせる

タッチポイントに一貫性を持たせることは、顧客にブランドメッセージを正しく伝えるために重要です。「タッチポイント」とは、アプローチしたい顧客との接点を指し、アウトプットの際には一貫性を持たせることで、ブランドの独自性を的確に伝えられます。

タッチポイントにはロゴマークやブランド名をはじめ、キャッチコピーや商品のパッケージなど様々な要素があります。この要素を魅力的に、かつ継続して伝えることにより、大きなブランディング効果が期待できるでしょう。

10:調査指標を元にプロジェクトのPDCA・広告手段・媒体の見直しを行う

調査指標を元にプロジェクトのPDCA・広告手段・媒体の見直しを行うことは、ターゲット層の認知度を高める際に有効です。

ブランドを形作る際には、認知度の向上は欠かせない要素でしょう。そのため、プロモーション施策を講じる中でタッチポイントを活用し、認知度を検証する必要があります。

認知度の指標には、マーケティングリサーチ会社が行うアンケート調査や、Web広告のインプレッション数やクリック率などが挙げられます。また、ブランドをどのような経路を介して認識したかという情報も、タッチポイントを活用した認知向上には重要と言えるでしょう。

インナーブランディングについて知っておくべき5つのこと

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インナーブランディングは、社外ではなく社内に対して行うブランディングを指しており、ブランド価値やビジョンなどにおける社内理解を目的として実施されます。

ここからは、インナーブランディングについて知っておくべき5つのことを解説していきます。企業を内側から強化することにも繋がるため、ぜひ参考にしてみてください。

1:インナーブランディングの必要性

インナーブランディングは、自社の社員に企業ブランドの理解を促し、ビジョンを浸透させていく点に意義があります。これにより、社内全体で価値観を共有でき意識や行動が統一されるため、仕事に対する取り組み方も変わるでしょう。

特に接客においては、社員がブランドイメージとなることも多く、顧客からのイメージに大きく影響します。ユーザーのブランドに対する愛着にも影響があるため、ブランド力を内側から強化できるでしょう。

2:インナーブランディングがもたらす効果

インナーブランディングは、組織の一体化やモチベーション向上など、様々な効果をもたらします。

特に、企業のビジョンを共有し組織に一体感が生まれれば、組織全体が同じ方向を向けるようになります。これは、エンゲージメントの向上にも大きく影響を及ぼすため、自社に対する愛着心や社員自身の満足度の向上も期待できるでしょう。

さらに、仕事に対して誇りを持てるため、主体的に行動できるなど、社内に好循環が生まれるのも大きな効果と言えます。

3:アウターブランディングとの違い

インナーブランディングとアウターブランディングの違いは、対象を社内とするか社外とするかという点が挙げられます。

社内を対象としたインナーブランディングに対し、アウターブランディングは顧客や消費者など社外を対象として行います。どちらも企業の価値を最大化させ、ブランドに一貫性を持たせるには欠かせない施策となるため、並行して取り組むことが重要です。

4:インナーブランディングに重要な理解・共感・実践フェーズとは

インナーブランディングを効果的に行うためには、理解・共感・実践と段階を踏んで企業ビジョンを浸透させていく必要があります。

企業ビジョンを浸透させるためには、理解を促すだけではなく、ビジョンに共感してもらうことが重要です。共感が得られることで主体的な行動へと繋がり、日常への落とし込みから行動変化が加速されるでしょう。

さらに実践することで社員の行動が変われば、企業の成果に繋がります。

5:インナーブランディングの取り組みで使われる手法

インナーブランディングでは、社内報や動画、ワークショップなど、様々な手法が用いられます。例えば、社内報を通じて経営層や顧客の思い、社員の仕事内容を発信することで相互理解が深まります。

動画制作では、視覚効果で企業ブランドやビジョンがより的確に伝わりやすくなるでしょう。また、社員が直接交流できる場を設けられるワークショップは、意見交換ができるため、企業のイメージについて共通認識を持つきっかけになります。

他にもポスターや社員向けサイト、クレド制作など、自社に最適な手法を取り入れることで、より効果的にインナーブランディングが行えるでしょう。

企業によるブランディングの成功事例8選

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実際のブランディングの成功事例を知っておくことで、より具体的に自社の成功イメージが掴みやすくなります。

ここからは、企業によるブランディングの成功事例8選を紹介していきます。成功企業が行った施策からブランディングへの理解も深まるため、ぜひ参考にしてみてください。

1:大手家庭用品メーカー

大手家庭用品メーカーは、発信したブランドメッセージにより、世界中の女性たちから強い共感と支持を得ることに成功しています。

このメーカーのブランドアイデンティティである「自分らしい美しさの肯定」は自己肯定を意味しており、既成の価値観にとらわれず本当の美を知ってもらいたいというメッセージがありました。

その中で、自分が美しいかどうかを悩まない世界であるべきだというライフビジョンを提唱しています。このライフビジョンとブランドメッセージが商品に対する信頼感を構築し、さらにブランドに対する感情移入の形作りに成功しました。

2:大手農機・建機・小型船舶の製造・販売メーカー

大手農機・建機・小型船舶の製造・販売メーカーは、新たなブランドプロジェクトを立ち上げ、巷に驚きと好感を与えることに成功しました。この新たなプロジェクトの立ち上げにより、このメーカーのビジュアルアイデンティティはとても洗練されたものになりました。

また、企業カラーを最大限に活かし、企業ブランディングを商品ブランディングに落とし込むことにより、主要商品のデザインにも磨きがかけられています。さらに、広告の集中投下も新ブランドステートメントを伝えることに役立ちました。

ブランド・ビジュアル・商品を徹底的に一貫させることで、企業ブランディングに成功した例です。

3:大手コーヒーチェーン店

大手コーヒーチェーン店は、スタッフの徹底したサービスで企業理念を体現することにより、ブランドイメージの確立に成功しました。このコーヒーチェーン店は、顧客にサードプレイスという「家でも職場でもない快適な空間」を提案しています。

さらに顧客への対応を徹底し、スタッフのサービス品質を高めることによって顧客の体験価値を高め、競合他社との差別化を図りました。

それにより、広告宣伝を行わずに「落ち着ける空間」というブランドイメージの確立に成功しました。

4:大手自動車メーカー

大手自動車メーカーは、自ら招いたブランド価値の低下から、リブランディングを成功させました。このメーカーでは、販売数を増加させるために実施した戦略が成功せず、さらに在庫処理のための値引き戦略がブランド価値を大きく低下させてしまう事態に陥りました。

その解決のために大胆な方向転換を図り、主役を商品ではなく顧客の生活や価値観として、新たなコンセプトを打ち立てました。

その結果、ブランドの価値を取り戻すリブランディングは成功し、再び独自のブランドポジショニングの確立に成功しています。

5:沼津の水族館

沼津の水族館は、深海生物という独自の魅力に注力することで、差別性と卓越性を兼ね備えたブランディングに成功しました。

この水族館には「深海」という独自性があるものの、深海生物は捕獲や飼育が難しいため、水族館に重要である展示を約束できませんでした。

それを逆手に取り、「展示」ではなく「発見」を価値提供として約束し、「何がいるかわからない」「今すぐ行かないと見られない生物がいるかもしれない」と、見せ方を変え弱点を強みに変換することにポジショニングをシフトしました。

その上で他社に真似できない卓越性も兼ね備えたことで、ユニークな存在としてブランディングに成功した例です。

6:ノベルティグッズの企画・販売企業

ノベルティグッズの企画・販売企業は、経営体制の移行に伴い自社の独自性を見直すことで、時代に合ったアイデンティティを確立することに成功しました。

この企業は、経営の世代交代のタイミングで企業理念を策定し、「販売促進」から「購買促進」を常識にするという、時代に合ったビジョンを掲げました。

また、ワークショップの開催や動画を用いたコンテンツ作りにより、社員の結束を強めることに成功しています。これは従来のトップダウン型の社風を変え、社員が主役という組織への変革を意味しています。

時代に合わせた施策にすることで、アウターブランディングとインナーブランディングの両方を成功させた例です。

7:廃材処理プラント・リサイクル製品製造会社

廃材処理プラント・リサイクル製品製造会社は、企業の志を「見える化」することで独自のアイデンティティを確立することに成功しました。

企業の志に重点を置き、スローガンとして言語化し、ロゴマークとしてビジュアル化するなど、伝わりやすくすることで共感を増やすことに成功しています。また、工場に見学通路を設けるなど、組織を「見せる化」することで社員の意識向上に繋げています。

社内も社外も「見える化」にこだわることにより、健全で透明性の高い経営を実現し、加えて社員教育にも役立つ、アウターブランディングとインナーブランディングの両方を成功させた例です。

8:石灰石の採掘・銅鉱山の開発・操業企業

石灰石の採掘・銅鉱山の開発・操業企業は、実情をありのままに伝えるという視点に立ち、採用ブランディングに成功しました。

この企業は、本社が都心にあることや資源を扱う会社という背景にもかかわらず、実際の勤務場所が鉱山であるというギャップから、離職率の高さに課題がありました。

その解決策として講じたのが「鉱山で働き山で暮らす」という実情をありのままに伝え、理解した上で入社してもらうという考えです。

その上で、コンセプトを雄大な自然を相手にすることで得られる人間的な成長をフォーカスし、リーフレットなどで視覚的に訴求することで、入社後のギャップによる離職が減り採用ブランディングが成功しました。

ブランディングと関連する用語との相違点

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ブランディングには関連する用語があり、その定義も曖昧なため、混合してしまうこともあるでしょう。

ここからは、ブランディングと関連する用語との相違点について解説していきます。それぞれ根本的な目的も異なるため、ぜひ参考にしてみてください。

マーケティングとの相違点

ブランディングとマーケティングの相違点は、主にイメージを伝えるか理解してもらうかということです。

まず、ブランディングの場合は、企業や商品の価値を高め、何らかの形で相手に自分のイメージを理解・認識してもらいます。一方、マーケティングは、自分のイメージを自己申告で相手に伝えることを指します。

ブランドの自己紹介がマーケティングだとすると、ブランドを好きになってもらうことがブランディングと言えるでしょう。

どちらも相互に関係し合うものではありますが、自社にとってどちらが必要なのか見極めることが重要です。

プロモーションとの相違点

ブランディングとプロモーションの相違点は、イメージの醸成であるのか、あるいは顧客獲得のための販売促進であるのかということです。

プロモーションとは販売促進における全ての行動を指しており、情報やメッセージの配信など、第三者に届くよう宣伝することで効果を発揮し、売上促進を目的とした戦略を指します。

一方、イメージを醸成し商品の価値を高めるブランディングは、販売促進を目的としていません。そのため、大きな違いは販売促進の有無にあると言えるでしょう。

ブランディングについて理解しよう

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本記事では、ブランディングのメリットや進め方の解説に加え、企業による成功事例を紹介しました。ブランディングは、競合との差別化を図る上で重要な施策であると共に、企業と顧客の両方にあらゆるメリットをもたらします。

ぜひこの記事で紹介したブランディングの進め方や成功事例を参考に、ブランディングについて理解を深めてみてはいかかでしょうか。

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