PDCAサイクルって何?有効に回すポイント5つとOODAループについて紹介
記載されている内容は2021年09月24日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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初回公開日:2021年09月24日
更新日:2024年05月31日
PDCAサイクルの4要素
PDCAサイクルは、計画であるPlan、それを実行するDo、実行後評価するCheck、実行後に対策や改善を行うActionの4つの検証型プロセスを循環させることになっています。
これを繰り返していくことで品質を高めていきます。
1:Plan(計画)
PDCAサイクルの4要素の最初が、Plan(計画)になります。Plan(計画)の段階では、目標を設定し、実行計画を立案していきます。
過去の実績などから計画を立てるのではなく、自らの仮説による論理的なPlan(計画)を作ることがポイントです。
2:Do(実行)
PDCAサイクルの4要素の次は、Plan(計画)を実行に移す段階に入ります。
ここで大切なのは結果をデータとして残すことです。実行結果として時間や数字(数値や数量)など客観的に計測できたものを記録しておくことで、結果を公正に評価することができます。
3:Check(評価)
ここでは、Do(実行)で得られたデータを用いてCheck(評価)を行うことになります。
Check(評価)では、実行した内容の検証を行います。計画通りにできなかった失敗事例の場合は、なぜ計画通りに進まなかったのかについて、要因分析を詳細に行う必要があります。
4:Action(改善)
Action(改善)では、実行した内容の結果をCheck(評価)したのちに、要因分析を行い同じ失敗を再度起こさないようにします。
仮説の検証、要因分析を行うことで、さらなる目標にむけた改善を行うことができるのです。
PDCAサイクルの利点4つ
PDCAサイクルを循環させていくことで、実行すべきことが明確になっていきます。また、継続的に業務を改善し課題を見つけることが可能です。
これから、PDCAサイクルの利点を4つ紹介していきます。ぜひ参考にしてください。
1:実行すべきことが明確になる
PDCAサイクルの利点として、実行すべきことが明確になることがあります。まず、PDCAを行うことで、目標とタスクが明確になっていきます。仕事を行う上で、目標が明確化されていなければ、具体的なタスクを立てることが難しくなり、実行すべきことがはっきりしません。
また、PDCAを行うことで、具体的な計画を立て、それに従って行動をしていくことができます。どこに向かって何をすべきなのかを把握することで、仕事に対するモチベーションを維持していけます。
2:継続的に業務を改善し課題を見つけられる
PDCAサイクルの利点として、継続的に業務を改善し課題を見つけられることがあります。また、PDCAを行うことで課題を発見することができたり、良かった部分と悪かった部分を把握できたりします。
悪かった部分を客観的に分析すれば、業務の改善や課題を見つけることができます。そして、業務の改善案を含めた新たなPDCAプランを回すことで、さらに新しい課題を見つけるという流れができます。
PDCAサイクルを繰り返すことにより、目標と現実の違いを縮めていくことができるでしょう。
3:重要な作業を見極めることができる
PDCAサイクルには、重要な作業を見極めることができるという利点もあります。
PDCAサイクルでは、プランに沿った行動をするための計画を立てることから、余計なタスクに取り組むことがないため、タスクの実行に集中することができるでしょう。目標と関係のない作業に取り組むことが減り、作業の無駄を省くことができます。
4:評価すべきポイントがはっきりする
PDCAサイクルの利点には、評価すべきポイントがはっきりするということも挙げられます。PDCAサイクルでは計画を実行して評価を行い、良かったところと悪かったところを客観的に分析します。
そのため、改善するための仮説が作られていきPDCAサイクルを回すほど改善案が増えていくことから、評価すべきポイントもはっきりしてきます。
PDCAサイクルの注意点4つ
PDCAサイクルを上手く使えば、効率的に物事を改善することが出来ます。しかし、そのようなPDCAサイクルにも注意点があるのです。
PDCAサイクルの注意点として、すぐに結果が出ることが少なく改善に時間を要することや、うっかりするとPDCA自体が目標になってしまいかねないことなどが挙げられます。
次は、このようなPDCAサイクルの注意点を、4つに分けて紹介します。
1:改善に時間を要する
PDCAサイクルの注意点には、改善に時間を要するということが挙げられます。PDCAで結果を得るためには、PDCAサイクルを繰り返し回していくことが求められるのが普通です。
したがって、PDCAサイクルによって明確な改善案を得るにはサイクルを回し続ける必要があります。改善が得られるまでには時間がかかることを想定しておきましょう。
2:PDCAを重視しすぎない
注意点として、PDCAを重視しすぎないことがあります。PDCAサイクルに過度な期待をかけてしまうと、PDCAを回すこと自体が目的になってしまいかねません。
PDCAサイクルを回すことは、本来は改善策を含めた目標を達成するための手段でしかありません。
PDCAサイクルを回すことだけに集中してしまうと、改善策を学ばなくなってしまうため、目標達成にむけた計画遂行や、計画の改善などの本来の目的をとらえた上で取り組むことが必要といえます。
3:前例に捉われやすくなってしまう
PDCAサイクルを使う場合は、前例に捉われやすくなってしまう傾向があることにも注意が必要です。
PDCAサイクルは、新しい問題点を発見しそれを改善するために行いますが、どうしても前例にとらわれてしまい、過去の事例から改善を進めてしまいやすくなります。
PDCAサイクルを回しながら、過去の事例にとらわれず、新たな課題の抽出が進められるように注意する必要があります。
4:継続的にサイクルを繰り返す
PDCAサイクルは、継続的にサイクルを繰り返していく必要があります。PDCAサイクルによって新しい課題が発見され、次はそれに対する改善策を取り入れたPDCAサイクルを回していくことなります。
一度きりではなく継続して回すことで、より高い成果が得られるでしょう。
PDCAサイクルを有効に実行するポイント5つ
PDCAサイクルを行う際には、Plan自体を詳細を明確にすることやPlan通りに行動することなどのポイントがあります。このポイントを踏まえずにPDCAサイクルを回そうとすると、効果的に使用できない可能性があります。
こちらでは、PDCAサイクルを有効に実行するポイントを5つ紹介していきます。PDCAサイクルを実行する際には、ぜひ参考にしてください。
1:Planは詳細を明確にする
PDCAサイクルを有効に実行するポイントの1つは、Planの詳細を明確にすることです。そのためには、定量的な数値目標を掲げることがおすすめです。
PDCAサイクルでは、評価して改善することが重要です。定量的な数値を設定すると、評価を正確に行うことができるようになります。
2:PlanとDoのすり合わせをする
PDCAサイクルでは、PlanとDoのすり合わせをする必要があります。そのためには、計画に必要なタスクをリストアップするなどして、しっかり管理できるようにしておきましょう。
タスクの進捗具合や日程などを把握し、優先度を明確にすることが大切です。
3:Plan通りに行動する
PDCAサイクルを有効に実行するポイントとして、Plan通りに行動することが求められます。また、PDCAサイクルを有効に回すためには、立てた計画は必ずやり遂げる必要があります。
立てた計画を実行しなければ、結果が出ないため評価することにつながりません。評価ができなければ、次の改善計画を立てることもできなくなってしまいます。したがって、PDCAサイクルではPlan通りに行動することが大切です。
4:目標は具体的な数値を掲げる
PDCAサイクルを有効にするために、評価して改善することを継続していきます。評価をわかりやすくするためにも、目標を具体的な数値で掲げることも重要です。
また、効果を高めるには現実的な計画を立てることが大切です。現実的でない計画を立ててしまうと机上の空論となってしまい、実際の行動にも悪影響が出てしまいます。そのため、達成可能な範囲の目標を掲げるということも常に考慮しておきましょう。
5:Planに対するCheckを重点的に行う
PDCAサイクルを有効に実行するためには、Planに対するCheckを重点的に行う必要があります。PDCAサイクルを1つ回すごとに検証であるCheckを行いますが、回すごとにCheckするだけでなく、1つのサイクル内で定期的な振り返りを実施してください。
こうすることで、PDCAサイクル内での進捗率の確認や行動の修正を行うことができます。
PDCAサイクルを使った改善効果の事例
大手自動車メーカーでは改善を重視していることで注目されています。また、大手情報・通信会社でも、早いPDCAサイクルの実施を行い効果を上げています。こちらでは、PDCAサイクルを使った改善効果の事例を紹介していきます。
PDCAサイクルを使う際に、ぜひ参考にしてください。
大手自動車メーカー
PDCAサイクルを使った改善効果の事例として、大手自動車メーカーであるトヨタ自動車株式会社のPDCAがあります。トヨタ自動車株式会社のPDCAのポイントは、Planの数字を過去の数字にとらわれずに設定している点です。
その数字を、机上の計算ではなく現場へ足を運ぶことではっきりさせています。そして、Checkにおいてはベンチマーキングという評価方法をとり、その結果を改善策として社内で展開しています。
大手情報・通信会社
別の事例としては、大手情報・通信会社のソフトバンク株式会社のPDCAがあります。
ソフトバンク株式会社のPDCAサイクルは、高速PDCAともいいます。大きな目標の下に小さな目標を立て細かくチェックする体制により、期間を決めて複数の作業を進め、評価を行っています。
最も効果があった方法を絞って進めていくことで、早い展開のPDCAサイクルが繰り返し行われています。
PDCAサイクルとOODAループの関係とは?
PDCAサイクルとOODAループは開発された目的が違うため、両者を使い分けることが大切です。PDCAサイクルは、もともと工場などで生産性を高めるために考案されたもので、業務改善に適したフレームワークです。
対してOODAループは、変化していく状況の中で、現状で最善の判断を下し即座に行動を起こすことを目的としている意思決定のためのフレームワークです。
OODAループの4要素
OODAループの4要素は、Observe(観察)、Orient(状況判断)、Decide(意思決定)、Act(行動)です。このOODAループは、アメリカの軍事戦略家が発明した意思決定方法だといわれています。
OODAループは、PDCAサイクルと同じく4つのステップに分かれていますが、目的が業務改善ではなく、変化する状況の中で迅速に意思決定をして行動に移すこととなっています。
1:Observe(観察)
OODAループの4要素の最初のステップが、Observe(観察)です。ここでいう観察とは、単なる見るということではなく、情報の収集を意味しています。
この第1ステップで行われることは、自分の置かれている状況、相手の行動や置かれている状況、そして周囲の環境などの外的状況を幅広く収集することです。
2:Orient(状況判断)
次のステップはOrient(状況判断)です。これは、OODAループの中でとても重要なステップとなっています。
この第2ステップのOrient(状況判断)で行われるのは、自身が持つ経験や文化の特徴、身体的特徴などを、前のステップで手に入れたデータを統合して分析し、仮説を立てることです。
この仮説次第で、最終的な行動が大きく異なってくるため重要なステップといわれています。仮説構築を成功させるためには、以前の判断の誤りや他者の判断の誤りに気づくことが必要とされています。
3:Decide(意思決定)
OODAループの4要素の次のステップが、Decide(意思決定)です。ここで最終ステップのAct(行動)にむけて、何をするのかを決めることになります。
第2ステップのOrient(状況判断)では、仮設を立てることで方向性を決めますが、その方向性として見いだされる選択肢から、OODAループの第3ステップであるDecide(意思決定)で、効果的な意思決定を行います。
この意思決定のプロセスは、どうなりたいかを確認し、選択肢をリストアップした中から、仮説に従って最も効果的と思われるものを選択していきます。この3段階のプロセスを踏むことで円滑な意思決定を行います。
4:Act(行動)
OODAループの4要素の最終ステップが、Act(行動)です。第3ステップで意思決定した選択肢を実行に移していく段階です。このAct(行動)が終了すると、2回転目のOODAループを回していきます。
2回転目のOODAループでの観察のステップは、実行したことによって現状が変わっているかを確認します。Act(行動)による変化が良い方向に向いているかどうかに関係なく、次のOODAループを回していくことになります。
PDCAサイクルを有効に使って組織をより良くしていこう
PDCAサイクルは、もともとは工場の生産性を高めるために作られたものですが、業務改善にも向いているフレームワークです。
組織をより良くしていくために、PDCAサイクルを有効に使っていきましょう。