戦略を決定する際に用いる3C分析とは?対象となる項目やポイントもあわせて解説
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初回公開日:2021年08月25日
更新日:2024年05月31日
戦略を決定する際に用いる3C分析とは
3C分析とは、企業がマーケティングに関する戦略や計画を決定する際に用いられるフレームワークのことです。
「Customer(顧客や市場)」「Company(自社)」「Competitor(競合)」の3つの環境を分析することで、自社に適した意思決定を行いやすくします。
3つの異なる視点から分析し、それに基づいた戦略を立てることで事業をより良い方向へ導くものです。
3C分析の目的
3C分析を行う主な目的は、成功要因(Key Success Factor)を発見することです。
3C分析は、自社の状況はどうか、顧客や市場のニーズは何か、競合他社のシェア状況や評価はどうかといった要因を把握することで、3つの関係性を明らかにします。
そして、自社の強みや弱みを知ることでマーケティング戦略を決定する際の判断材料とするのです。それでは、3C分析のマーケティングにおける目的についてそれぞれ見ていきましょう。
成功要因を見つけ出す
3C分析の主な目的は、成功要因(KSF)を発見することです。
成功要因を見つけ出すことで、マーケティングを成功させるためにどのように戦略を進めるべきか、方向性を明確にできます。
有効な戦略を立てられればマーケティングに注力しやすくなるため、成功要因の発見は重要であるといえるでしょう。
事業戦略へ活かす知見を得る
3C分析を実施することで得られる知見も目的のひとつです。
3C分析を行うことによって、成功要因だけでなく、自社の課題を発見したり新たな強みを発見したりすることにも繋がります。
一度実施して終わりのその場限りのものでなく、将来にも活かせる知見が得られるというポイントも3C分析のメリットです。
3C分析の対象となる3つの方法
ここでは、3C分析の対象となる3つのCについて、それぞれの分析方法をご紹介します。
Company(自社)、Customer(市場環境・顧客)、Competitor(競合)の3つの要素がありますが、各要素に効果的な分析方法が存在します。
それでは、分析方法と各分析で用いられる手法について見ていきましょう。
1:自社(Company)環境の分析
自社(Company)環境の分析では、自社が取るべき戦略について検討します。順番としては、3つの分析のうち最後に行われます。
市場や顧客、競合他社の状況から、自社が持つ強みや差別化ができるポイントを見つける段階です。ここでは、「VRIO分析」「SWOT分析」というフレームワークについて説明していきます。
VRIO分析
VRIO分析とは、Value(経済的な価値)、Rarity(希少性)、Imitability(模倣可能性)、Organization(組織)という4つの観点から分析するフレームワークです。
自社の要因だけでなく、市場や周囲環境などの外部要因を考慮に入れながら企業を分析することで、企業独自の強みを明確にし、資源をつぎ込むべきでない部分についても明らかにします。
SWOT分析
SWOT分析とは、Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)という4つの視点から分析する手法です。
自社の内部環境から自社の強みや弱みを分析し、外部環境については市場や競合のほか、経済や社会全体の動向など、広範囲を対象として機会や脅威を分析します。
2:市場環境・顧客(Customer)環境の分析
市場環境・顧客(Customer)環境の分析では、市場の規模や将来性、顧客のニーズや顧客層がどのようなものかを分析します。3つの分析のうち、はじめに行われる分析です。
市場の分析については、マクロ分析、ミクロ分析と対象を分けて行われます。外的な環境を切り分けて分析し、明らかにすることで、自社に関係する機会や脅威を発見します。
マクロ分析
マクロ分析とは、巨視的分析のことで、物価や国民所得から経済全体の動きに法則性を見つけようとする分析手法です。
自社が影響を与えることができない社会全体の要素という外部環境が分析対象となります。今後の動向や社会全体のニーズがどのように自社に影響するかを分析し、自社の戦略に分析結果を取り込みます。
顧客分析
顧客分析では、顧客のニーズや具体的な購買行動、商品やサービスに関わる動向について分析します。
また、他の分析で得た情報から、競合他社や経済全体の動向が顧客にどのような影響を与えているかを確認しましょう。
例えば、アンケートのような形式で調査することで、直接顧客からニーズや意見を聞くことも可能です。
ミクロ分析
ミクロ分析とは、微視的分析のことで、個別の消費者や生産者の行動から経済全体の動向を分析することを指します。マクロ分析の対照となる分析です。
マーケティングにおいては、ある特定の業界の行動が自社にとってどのように影響するかを分析する手法となります。特定の脅威について分析することで、ミクロな視点での自社と外部の関係性について明らかにします。
3:競合(Competitor)環境の分析
競合(Competitor)環境の分析では、競合しているサービスや商品、市場シェアなどについて分析します。市場環境や顧客の分析の次に行われる分析です。
この段階では、競合の調査結果と要因の2つに分けて分析するのが良いとされています。それぞれ分析する軸について、ここから見ていきましょう。
競合企業の比較結果
競合企業の分析では、競合の市場シェアや売り上げなど、成果を挙げている面について調査します。
また、成果だけでなく、その成果を上げるのに使用した資源についても可能な限り調査が必要です。顧客単価や、社員1人あたりの利益についても確認し、しっかりと調査しましょう。
結果に繋がった要因の分析
この段階では、競合企業が成果を上げる要因となった環境や施策について分析します。
競合企業がどのように成果を上げたのか、さまざまな観点から要因を調査しましょう。体制の変更や商品開発、製造工程の効率化など、売り上げを高める要素を発見することで、自社のマーケティングに取り入れることが可能になります。
3C分析の活用事例
ここからは、3C分析を活用して企業の事例について、ある2社を取り上げて紹介していきます。
飲料メーカーと海外から参入したコーヒーチェーンを例にしていますが、業界が異なるものの、両者とも3C分析を活用したことで、自社の強みを前面に押し出した施策を打つことができています。
効果的なマーケティングを進めるためには、しっかりと分析を重ねた上で明確なコンセプトを持って戦略を立てることが大切です。
これから紹介する実際の活用事例を参考に、3C分析を取り入れてみてください。
清涼飲料水のシェアを伸ばした事例
国内の飲料メーカーでは、清涼飲料水のシェアを伸ばすために3C分析を行った事例があります。
競合企業がすでにシェアを確立している市場への参入でしたが、他社が提供している商品のコンセプトが顧客のニーズと少しずれている部分を見つけ出し、自社の強みである研究開発を活かした商品を打ち出すことでシェア獲得につなげました。
この例では、競合の調査で得た情報と顧客ニーズから自社の強みを発見し、戦略の決定に影響しています。
日本国内に参入する時に分析した事例
ある海外のコーヒーチェーンでは、日本に参入する際に3C分析を行っています。
従来の市場は成長過程にあったものの、顧客のニーズが満たされていない部分が多くありました。そこで、自社の強みを活かすことで、競合との差別化と顧客の潜在的なニーズを満たすことに成功し、日本で大きく成長することとなりました。
この事例では、市場調査や顧客ニーズの調査、競合の現状から、自社の既存の強みを見出し、市場参入を成功させています。
3C分析を行い今後の戦略に活かそう
ここまでは、マーケティングにおける3C分析とは何か、目的とやり方、活用事例についてご紹介しました。
3C分析を行うことで、経済全体の動向や業界の動向をはじめとした外的な要因を考慮に入れつつ、自社の強みや弱みを見出すことができます。
また、ひとつのサービスや商品についての戦略を決定する上で活用するだけでなく、分析によって得られた知見や自社の性質について、将来的なマーケティングにおいても分析結果を活かせるでしょう。
実際に3C分析が活用された事例を参考にして、3C分析についての理解を深め自社のマーケティングに取り入れてみてください。