ABC分析の手順は5ステップ|計算ツールや分析の注意点も併せて紹介
記載されている内容は2021年10月28日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。
初回公開日:2021年10月28日
更新日:2022年03月01日
ABC分析をする目的
ABC分析とは、自社の商品やサービスを売り上げや利益などの貢献度が高い順にA、B、Cにグループ分けし、管理するというフレームワークです。ABC分析は、自社の商品やサービスの売り上げを効率化することで企業の経営力を高めることが目的になります。
Aグループは最も売り上げに貢献しているため、今後も注力し、在庫も準備しておくことが大切です。一方で、Cグループは最低限の在庫だけを用意したり、場合によっては他の商品に入れ替えたりといった施策を検討することができます。
ABC分析とパレートの法則との関連性とは
ABC分析はパレートの法則をベースにしています。パレートの法則とは、経済における大部分の数値は一部の要素が生み出しているという法則のことです。
企業でのビジネスに置き換えると、売り上げの8割は2割の商品によって生み出されていると言えます。ABC分析はこの法則に基づいており、自社製品の中でも上位の2項目を改善することによって8割の効果を期待することができるというものです。
ABC分析をする手順5つ
ABC分析を行うことで、自社の商品やサービスそれぞれの需要度が可視化できるようになり、効率的な在庫管理を行えるようになります。それでは実際にABC分析を行う際にはどのような手順で実施すれば良いのでしょうか。
ここではABC分析をする手順5つを紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
1:売り上げデータをまとめる
まずは自社商品やサービスの売り上げデータをまとめましょう。ABC分析を行う場合は構成比を計算する必要があるため、期間を決めて商品全体での売り上げ金額や粗利額、販売個数といった売り上げデータをまとめていきます。
また、売り上げ金額が多い順番に並べてABC分析表を作りましょう。
2:商品の構成比を計算する
次に商品の構成比を計算しましょう。構成比とは対象の商品の売り上げが全体売り上げに占める割合のことで、「売上構成=対象商品の売り上げ金額÷全体の売り上げ金額」という式で表すことができます。
そのため、構成比を計算する場合はまとめた売り上げデータを使用して対象商品の売り上げ金額を算出し、全体の売り上げ金額で割りましょう。
3:累計合計費を計算する
累計合計費とは先に算出した構成比をすべて合算した値のことです。売り上げ金額が多い順番に構成比を足し合わせていくことで、累計合計費を算出することができます。
ABC分析でグループ分類を行った後はパレート図を作成する必要がありますが、累計合計費はパレート図を作成するために必要な項目となります。
4:累積売り上げ割合を3つのグループに分ける
累積売り上げ割合をもとに、Aグループ、Bグループ、Cグループという3つのグループに分類していきましょう。Aグループは売り上げへの貢献度が高く重要度の高い商品、Bグループは重要度が中程度の商品、Cグループは重要度の低い商品となります。
また、グループ分け自体は企業ごとに独自ルールで行うことができます。
Aグループの売り上げ累積割合
Aグループは売り上げ累積割合が7割までの商品です。商品別の売り上げの割合が大きなものから足していった場合、Aグループは売り上げ累積割合が7割に達する商品ということになります。
Aグループは特に売り上げへの貢献度の高い商品であるため、企業として最も重視する商品と言えます。
Bグループの売り上げ累積割合
Bグループは売り上げ累積割合が7割~9割までの商品です。Bグループの商品は重要度が中くらいの商品群となっています。
また、売り上げ高だけを見ると貢献度が高い商品であっても、原価率が高いことから粗利を稼げず、実際にはBグループに割り振られるような商品もあります。このような商品を分析するには、クロスABC分析を使ってさまざまな指標で分析を行うことが大切です。
Cグループの売り上げ累積割合
Cグループは売り上げ累積割合が9割~10割までの商品です。Cグループは重要度が低い商品群となっているため、積極的に在庫確保する必要はありません。
また、売り上げへの貢献度が低いことから、陳列スペースの縮小や商品の入れ替えなども視野に入れると良いでしょう。
5:パレート図を作成する
ABC分類を行った後は、データをもとにパレート図を作成しましょう。パレート図はABC分類の内容をグラフで表したもので、グラフ化することで商品の貢献度や影響などを可視化し、問題点を絞り込むのに有効です。
パレート図を作成する場合はABC分類表を作成し、その次にABC分類表をグラフ化するという流れになるでしょう。ここではそれぞれの手順をご紹介します。
ABC分類表の作り方
ABC分類表を作成する場合は、本記事でも紹介したとおり商品の売り上げや構成比、累積構成比などをまとめましょう。重要度や売り上げ高によってA、B、Cグループにランク付けし、ランクごとに色分けしておくと見やすくなります。
また、ABC分析表はExcelで作成すると、後から売り上げ高やランクなどによってソートすることができるためおすすめです。
ABC分類表のグラフの作り方
パレート図は売り上げの棒グラフと累計合計費の折れ線グラフを1つのグラフ内に表すのが基本です。売り上げ高を降順で並べてグラフ化し、累計合計費を棒グラフで表現すればパレート図になります。
また、Excelを使用している場合はテンプレートにある「パレート図」を使用すれば簡単にグラフ化できます。棒グラフはランクによって色分けすると見やすくなるでしょう。
また、売り上げ高に限らず粗利を分析することによって、前述したように売り上げが高くても減価率が高いことからBグループにとどまる商品を可視化することも可能になります。
ABC分析をしてくれるツール5選
ABC分析を行う場合は、手作業で行うよりもツールを利用するのがおすすめです。ある程度のスキルがあればExcelで問題なくABC分析が行えますが、専門のツールを利用すれば初心者であってもABC分析からパレート図の作成まで手間なく進めることができるでしょう。
ここではABC分析をしてくれるツール5選を紹介していきますので、便利なツールを活用してABC分析を行ってみてはいかがでしょうか。
1:Excel超簡単 ABC分析グラフfree
Excel超簡単 ABC分析グラフfreeは自動的にランク分けができるツールです。データをコピー&ペーストしてクリックすれば、自動的にABC分析グラフfreeがA、B、Cのランク分けを行い、ABC分析の棒グラフをランクごとに塗り分け、自動的に線を引きます。
また、横棒のABC分析グラフを作成したり、左下端の原点から折れ線を表示したりすることも可能です。
2:Excel
ExcelやGoogleスプレッドシートなどの表計算ソフトを利用することで、ABC分析を行うことができます。これらのソフトにある関数を利用すれば、累積売り上げ割合なども自動計算することが可能です。
Excelを利用する場合は、「並べ替えとフィルター」を使って売り上げ高をベースに降順に並べ替え、SUM関数で累積値を入力し、累積割合を計算して、最後にVLOOKUP関数でABCのランク分けを行えばABC分類表が完成します。
3:Customer Rings
Customer Ringsは顧客実感型のマーケティングプラットフォームです。ECサイトや通販業界向けのツールで、顧客データを統合し、分析、セグメント、アクションまでノーコードで実行できます。
また、多彩な分析ツールを提供しており、ABC分析ではECサイトの売り上げを自動的に集計できるため、売り上げに貢献している商品に絞った施策へとつなげることができます。
4:Google アナリティクス
Google アナリティクスは、Googleが提供している無料のビジネス分析ツールです。Google アナリティクスでは集客、行動、コンバージョンのサマリーを1つの画面で管理することができます。
また、複数のサイトをまとめて管理することも可能です。Google アナリティクスを活用すれば、訪問者がどのようなルートでWebサイトに流入し、サイト内でどのような行動をとり、コンバージョンに至ったのかを分析することが可能になります。
5:active core marketing cloud
active core marketing cloudは、さまざまなデータを統合して管理することができるマーケティングプラットフォームです。データの統合、可視化、AIによる最適化、1to1のアプローチまでを1つのプラットフォームで行えます。
また、直感的なUIになっているため、誰でも簡単に操作することができ、ABC分析の結果も豊富なレポート作成機能によって管理できます。
ABC分析をする時の注意点3選
ABC分析を行う場合は、いくつかの注意点があることも知っておかなければいけません。ここではABC分析をする時の注意点3選を紹介していきますので、参考にしてみてはいかがでしょうか。
1:一過性の商品の売り上げ分析に注意
ABC分析では、一過性の人気で売り上げが上がった商品や季節性のある商品がAグループに含まれる可能性があります。このような商品は普段は他のランクでも一時的にAグループに入るケースがあるため、在庫管理に注意する必要があります。
また、このような商品はABC分析上で判別することはできないため、自分の目で分析結果をきちんと確認しておくことが重要です。
2:顧客の注目を惹く役割を持つ商品の売り上げ分析に注意
顧客の注意を惹く客寄せ効果を目的に扱っている見せ筋商品の場合、そのものの売り上げは低くても取り扱う価値があります。
そのため、ABC分析の結果だけを見て、見せ筋商品の取り扱いを辞めてしまうと、見せ筋商品によって売れていた他の商品の売り上げが下がってしまう可能性があります。
3:インターネットで販売する商品の売り上げ分析に注意
ABC分析では、基本的には売り上げに貢献しないCグループの商品は販売を取りやめるなどの判断を行うことになります。
しかし、インターネット上で販売する商品の場合は在庫を維持するのにコストがあまりかからないことから、Cグループでも販売を続ける方が在庫の種類を増やせるなどの点がメリットです。
また、幅広い商品を販売している方がトレンドなどの影響も受けにくく、全体の売り上げへの貢献度も高くなります。そのため、実店舗とインターネット販売では分析方法も変わる点を押さえておきましょう。
在庫管理や経営判断をするならABC分析の方法を覚えておこう
ABC分析は自社商品やサービスの貢献度をランク付けして可視化し、効率的に管理するための分析フレームワークです。
ぜひ本記事で紹介したABC分析をする手順やABC分析をしてくれるツール、ABC分析をする時の注意点などを参考に、効率的な在庫管理を行って売り上げをアップするためにABC分析を活用してみてはいかがでしょうか。