AIDMAの5つの仕組み|ポイントとその他のフレームワーク12選
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初回公開日:2021年08月25日
更新日:2024年05月31日
AIDMAってどんなフレームワーク?
AIDMAは、消費者が商品やサービスを買おうと決定するまでの段階的な心理的プロセスであり、マーケット戦略でよく使われる消費者行動の基本的な法則のことです。
大量生産、大量消費の時代の中にあったアメリカで必要とされたのがAIDMAモデルです。1920年にサミュエル・ローランド・ホールというアメリカの経済学者が著作の中で提唱した仮説で、現代の消費者行動にも十分つなげることができる内容です。
AIDMAの特徴
AIDMAは購入行動のひとつのモデルであり、マーケティングに関わる人たちがコミュニケーション戦略を練るために役立てることができます。
AIDMAの法則を意識することで効率的なセールスが可能になり、マーケティング心理に関する理解も深まると考えられています。
プロセスのどの段階にユーザーの意識があるかを知ることで、購買までの行動に結び付けることが可能になります。
フレームワークとは
フレームワークはビジネスを成功させる上で必要な、思考方法、意思決定、分析、問題解決、戦略立案などの枠組みを指します。
誰もが使いこなすことのできる汎用的なパターンとして、目的別にまとめられた成功ポイントでもあります。
フレームワークの活用によりビジネスの成功には何が必要か、また何が課題なのかを明確にするための論理的なモデルです。フレームワークを使うことで、開発における効率が大幅に上がるのが特徴です。
AIDMAの5つの仕組み
AIDMAとは、Attention(注意)、Interest(関心)、Desire(欲求)、Memory(記憶)、Action(行動)の頭文字を組み合わせた言葉です。
これは購入するときの心理プロセスを表しており、商品を知り、興味を持ち、欲しいと思い、記憶し、購買行動を起こす、が一連の流れになっています。
この5つの仕組みが順番に心理的なプロセスをたどって、購入行動に向かいます。ここではこの5つの仕組みについて1つずつ詳しく紹介していきます。
1:Attention(注意・注目)
Attention(注意・注目)は、商品をもともと知らなかった消費者に対し商品の存在をまず知らせることです。
例えば、テレビやインターネットの広告を使うなど消費者に対してわかりやすくアピールします。
他にもダイレクトメールを送ったり、目立ちやすいポスターを利用したり、目立つ見出しを使った広告などを使って消費者に認知してもらうよう働きかけます。
2:Interest(関心・興味)
Interest(関心・興味)は、認知してもらったのち、消費者に関心・興味を持ってもらうよう働きかける段階です。人は商品を知っただけでは購買行動には向かいません。
購買までの段階的なプロセスを進むため、関心や興味を持ってもらうことが必要になります。具体的なマーケティング方法として、詳細な情報を伝えるためリーフレットやWebサイトなどを使ってアピールします。
3:Desire(欲求)
商品やサービスに関心を持てば、次に人はDesire(欲求)の段階に入ります。ただ、興味があっても買うまでには至らない場合もあります。
本当にこれが必要なのか、この商品がベストなのかといった疑問が障壁になって、購買行動に進むのをためらうことがあります。そのため、同じような商品と比べても、買う価値があると思ってもらう必要があります。
4:Memory(記憶)
消費者の記憶がしっかりと定着して商品を深く印象付けることができたなら、購入を決心するMemory(記憶)の段階と言えます。
この段階ではほぼ購入を決めていますが、購入した場合のお得な情報を重ねて伝えるなど、後一押しのアクションが必要になってきます。
5:Action(行動)
Action(行動)は、実際に購入するプロセスの最終段階です。この段階では購入機会の提供が必要なアプローチになります。
購入しやすいように近隣の店舗での販売、インターネット通販での提供、購入ページがすぐに表示されるWeb広告など手間のかからない仕組み作りが求められます。
AIDMAの3つの段階と5つのプロセス
AIDIMAの5つのプロセスは、段階毎に進んでいきますが、これらは大きく3つの心理段階に分けられます。
認知段階、感情段階、行動段階が消費者のモチベーションから見た心理過程であり、このことを論理的に知っておくことはマーケティング戦略で消費者を知るための重要なポイントです。
ここでは段階毎に具体例を挙げて紹介します。
1:認知段階
どんなに良い商品でも知ってもらわないことには購入活動には結び付きませんし、欲しいと思っている人が潜在的にたくさんいても、知らせることができなければ購入活動にはつながりません。
顧客は商品を知らない状態なので、まずは知らせる、というのが認知段階です。
Attention
Attention(注意)では、認知してもらうことが目的です。第一段階になるため、とても重要です。この時必要となってくる具体的なアピール方法は、商品やサービスを必要としていると考えられる人向けに考えられなくてはなりません。
商品を買いたい人が見ると思われるような媒体向けの広告を出す必要があります。広告を流す時間帯なども、ターゲットを絞って選ぶなど、しっかりと情報を届けられるように工夫をします。
2:感情段階
感情段階は消費者の心が動き、購入を決定するまでの心理プロセスです。全体の流れの中で、この部分が一番多くの段階を踏みます。
購入を決定づけるまでには、興味を持ち、欲しいと思い、深く記憶に刻む流れがあると考えられています。
Interest
消費者は商品を知ってはいますが、興味はない状態です。そのため多くの有益な情報を提供するアピールが必要です。
本当に必要なのか疑問も抱く段階なので、商品の特徴をわかりやすく伝え、消費者の欲求をかなえたり、悩みを解決するような性質を持っていることをアピールする段階です。例えば、問いかけ調の広告なども効果的です。
Desire
消費者は、興味は持っているが欲しいとまでは思っていない段階です。ここではニーズを呼び起こす必要があります。
どうしても必要ではないと考えてしまえば、購入までは至らないこともある段階です。他社製品との比較や自社製品にしかない特長などをアピールして差別化が必要です。
お得なキャンペーンや時間的制約を使ったタイムセールなどを行って、購買につなげる段階です。
Memory
Memoryでは消費者がある商品を欲しいと思って一度記憶したとしても、その思い自体を忘れてしまう状態にあります。
そのため強く思い出させるように印象付け、記憶に残す必要があります。購買までの最後の一押しが必要な段階で、消費者にとって有利になるような、より具体的なメッセージを付け加えるなどのアプローチが必要になります。
3:行動段階
行動段階は、購入への最終的なアプローチを必要とする段階です。消費者の購入の動機や意欲があっても、購入する機会がない状態にあります。購入の手間を省いて、購入機会を提供することがこの段階のアプローチです。
Action
Actionでは消費者は購入を決定している状態です。そのため、後は具体的な購入までの流れを伝える必要があります。
どこで買うのか、どの方法で買えるのかを明確化するアプローチが求められます。最終段階で購入を諦めてしまうこともあるので、スムーズに買えるように環境を整えることが必要です。
AIDMAを効果的に機能させる4つのポイント
AIDMAは基本になる購買行動のプロセスモデルですが、有効に使うためのポイントを知っておきましょう。ここでは効果的に機能させる4つのポイントについて紹介します。
1:消費者のペルソナを設定
ペルソナとは。消費者がどんな人物なのか人物像をイメージすることです。例えば、商品を買う消費者の性格、生活、嗜好などから、何を望み、何を改善したいと思っているかなどを想像することがペルソナを考えることになります。
ペルソナから商品やサービスの宣伝やアプローチ方法を考えることができます。そしてペルソナのイメージをAIDMAのプロセスに当てはめながら、マーケティング戦略を練ることができます。
2:KPIを設定し指標に達成する
事業にとっての中間目標KPIを実現させるためには、課題を明確にして改善点を把握しておくことが重要です。KPIの設定により目標がはっきりします。
そしてKPIにAIDMAのプロセスを当てはめて、不足している部分がないかを考えていきます。それにより、より具体的なマーケティング戦略を建てやすくなるでしょう。
3:自動化ツールを用いて業務の効率化を図る
自動化ツールを使うことによって、業務の効率化が進みます。適切なタイミングで効果的に、AIDIMのプロセスに自動化を取り入れていきます。
主にIDMのプロセスに導入するのが効果的で、Webサイトやブログ、メールや電話、ダイレクトメールなどを適切に使って、最適なタイミングで迅速な情報提供を可能にします。
4:仕組み毎にユーザーニーズに応える施策を行う
効果的な広告の作成やマーケティング施策を考える上で、消費者ニーズを深く理解することがAIDMAを活用するときには大切な部分です。
AIDMAの段階毎に心理プロセスが変わっていくため、そのときどきの消費者ニーズを正確に把握し、その心理に沿ってタイミングを合わせたアプローチを考えることが重要です。
AIDMA以外のおすすめフレームワーク12選
AIDMA以外にも活用できるフレームワークは数多くあります。マーケティング戦略はさまざまな観点から施策を考えていく必要があります。
ここでは12選を取り上げ、それぞれの特徴を紹介していきます。
1:AIDCAS(アイドカス)
AIDCAS(アイドカス)は、企業と顧客が直接やりとりを行うダイレクトマーケティングで、見込み客向けに作られたフレームワークです。AIDMAのプロセスの中にConviction(確信)とSatisfaction(満足)が加えられています。
「買おう」「買わなきゃ」という「確信」が入り、購入後の「満足」が含まれます。販売時や返品・交換時の対応の良さやアフターサービスの丁寧さによる「満足」が含まれ、リピート率もあげることが可能になるのが特徴です。
2:AIDCA(アイドカ)
aidca(アイドカ)は、AIDMAのMemory(記憶)が含まれず代わりにConviction(確信)のみが含まれたパターンです。見込み客向けで、広告の展開が早いのが特徴です。
広告の内容が濃さによって消費者が商品やサービスに価値を感じやすく、購入意欲が強くなるため購買までの展開が早まるのが特徴です。AIDIMAと同時期に考えられたモデルです。
3:SIPS(シップス)
現代のSNSの普及が背景にあるため、SIPS(シップス)は全く新しいプロセスとなっています。
SIPSとは、「Sympathize(共感)」「Identify(確認)」「Participate(参加)」「Share(共有)」の頭文字を取った組み合わせです。
2011年に提唱されたもので、消費者同士のつながりを持つ消費者に合わせたものになっています。
4:AISCEAS(アイセアス)
AIDIMAをさらに細かく分け、インターネットを介した新しいプロセスがAISCEAS(アイセアス)になります。
Search(検索)、 Comparison(比較)、Examination(検討)が入り、インターネットでの情報収集や商品の比較、購入の検討のプロセスを踏みます。
購入後にShare(共有) が加わり、商品の感想を、SNSなどでつながる者と共有するのが特徴です。
5:AISAS(アイサス)
AISASの法則は上記のAISCEAS(アイセアス)から Comparison(比較)、Examination(検討)が抜けています。
Attention(注意)と Interest(関心)の次には Search(検索)、Action(行動)、Share(共有)の流れになっていて、こちらのプロセスもAIDMAのプロセスに加えてインターネットの普及が反映されています。
情報を主体的に調査する検索と、購入後の感想などのSNSでの共有が特徴です。
6:AIDA(アイダ)
AIDA(アイダ)は、AIDMAよりも古く1898年にアメリカの広告研究家のセント・エルモ・ルイスが唱えたものです。Attention(注意)、Interest(関心)、Desire(欲求)のプロセスに対して、Action(行動)の頭文字が加えられました。
その他のプロセスのベースになる考え方で、インターネットの登場する前の時代に新聞や雑誌、チラシやラジオ・テレビCMなどのマスメディア広告に使われていました。
7:AISA(アイサ)
AISA(アイサ)は、Attention(注意)、Interest(関心)、Social Filter(ソーシャルフィルター)、Action(購買)のプロセスになっています。
SNSでの反応を重要視した考え方で、新しい消費行動モデルとして唱えられています。能動的な検索の代わりに、SNSの反応というフィルターを通して購入を決めるという受動的な流れを表しています。
8:VASAS(ヴィサス)
前述のSIPSと同様に、「共感や共有」がポイントになったプロセスです。Viral (口コミ)、Influence (影響)、Sympathy (共感)、Action (行動)、Share(共有)の頭文字が集められたプロセスになっています。
消費者が口コミをもとに商品を知り、影響を受け、共感し、購入してその評価を他の人とまた共有するといった流れになっています。SNSの口コミがベースになったプロセスで、自分の潜在的ニーズを掘り起こすという特徴があります。
9:AMTUL(アムツール)
AMTUL(アムツール)は、AIDMAやAIDAと同様にマスメディア広告型のモデルです。1978年に経済評論家の水口健次氏が唱えたもので、心理プロセスを長期的に捉えた概念です。
Awea(認知)、Memory(記憶)、Trial(試用)、Usage(本格的な使用)、Loyalty(固定客化)の頭文字を使っています。
安定的な固定客を得るために重要なプロセスのモデルとして知られており、各段階を数値化しやすい特徴があります。
10:ARCAS(アルカス)
ARCAS(アルカス)は、店頭プロモーションで特化したモデルです。 Attention(気づき)、Remind(思い起こし)、Compare(比較)、Action(行動)、Satisfy(満足)の頭文字を使っています。
来店から購入を経て、再来店といった一連の流れを想定しています。来店後に思い起こすのは、今まで見てきた広告でこれが購入の動機になります。
比較することで冷静な目で購入へと進み、満足を得て、再来店へと至ります。
11:SAIDCAS(サイドキャス)
SAIDCAS(サイドキャス)は、インターネットを使う世代向けのプロセスモデルで大口顧客の開拓向けに作られています。
Search(検索)、Aware(認知)、Interest(興味)、Desire(欲求)、Conviction(確信)、Action(行動)、Satisfy(満足)の頭文字を取ったモデルです。
12:AIDEES(アイデス)
AIDEES(アイデス)もインターネットの普及によって考えられたモデルです。AIDMAの3文字以外には、Experience(体験する、購入する)、Enthusiasm(感動する、心酔する)、Share(共有する、推奨する)の頭文字が使われています。
最初の3段階まではAIDMAと同じで、その後は口コミによって広がるインターネット時代に対応しています。
AIDMAを活用して消費者の購買意欲を促進させよう
数多くあるプロセスモデルのフレームワークですが、AIDMAはそのベースになる考え方です。また、AIDMAをベースにした他のフレームワークを商品やサービスの種類や販売方法、消費者の年代などによって使い分けることもおすすめです。
マーケティングの基本的な法則として、AIDMAを活用してみましょう。