ダイレクトマーケティングの6つの手法|特徴とメリット・デメリットを紹介
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初回公開日:2021年08月25日
更新日:2022年03月03日
ダイレクトマーケティングとはなにか
ダイレクトマーケティングとは、「売手の企業と買手の顧客が直にやり取りをして販売を行うやり方」ということです。
ダイレクトマーケティング(英語ではdirect marketing)の歴史を辿ると、その始まりはアメリカで19世紀頃に生まれた通販(通信販売)です。
しかし、この「ダイレクトマーケティング」という言葉を初めて提唱したのはアメリカのレスター・ワンダーマンで、1961年頃のことです。ワンダーマンは伝達よりも反応(レスポンス)を獲得することに主眼を置く広告を提案しました。
マスマーケティングとの違い
ダイレクトマーケティングの対義語(反対語)に当たる言葉はマスマーケティング(英語ではmass marketing)です。
マスマーケティングはすべての買手を対象にし、同じ方法で販売を行うやり方で大量生産と大量販売を前提にしたものです。例えば、マスマーケティングではテレビや雑誌などの広告を通して、1つの商品を宣伝します。
ダイレクトマーケティングは会社と顧客との1対1の双方向的なコミュニケーションによって行うことから効果が予測できる販売方法であるのに対し、マスマーケティングは1対多数の一方的なコミュニケーションで行うため、効果の予測はできない点に違いがあります。
ダイレクトマーケティングの6つの手法
上記ではダイレクトマーケティングとはなにか、ということと、その対義語に当たるマスマーケティングとの違いについて解説しました。
ダイレクトマーケティングは、不特定多数の顧客を相手に一方向のコミュニケーションを行うマスマーケティングとは違い、顧客と1対1のやり取りを行いながら販売する新たなやり方で、インターネットが普及した現代にとてもマッチした販売方法です。
このダイレクトマーケティングを実際に使うための手法はいろいろあります。以下に、ダイレクトマーケティングを実践するための6つの手法をご紹介します。
1:直接顧客に合わせたダイレクトメール(DM)
ダイレクトマーケティングの手法として最初に紹介するのは、「直接顧客に合わせたダイレクトメール」です。
ダイレクトメールとは、チラシやパンフレット、カタログなどを一人一人の顧客に直接送る方法で、郵便や宅配便などを使うため、印刷費や送料などの費用がかかります。
送付先の相手は既に購入歴のある顧客や資料を請求した方、また名刺交換などで接触歴のある方などから選びます。
ダイレクトメールは受け取った方の多くが内容を確認して、その広告に対してネットで調べたり、実際に店に出かけたりなどのレスポンスをしているため、有効な方法と言えるでしょう。
2:直接顧客のニーズにあわせた情報を表示
ダイレクトマーケティングの手法として次に紹介するのは、「直接顧客のニーズにあわせた情報を表示」です。
具体的には各顧客宛にEメールを送信して表示するため「Eメールマーケティング」とも呼ばれます。既存顧客の購入歴や購入商品の評価のクチコミを見て、おすすめの商品の情報をEメールで送信したり、季節に合わせた商品やセールの情報を送信したりします。
Eメールマーケティングはあまり費用がかからずに運用できるという利点がありますが、送信回数が多過ぎると迷惑に思われる可能性がある点には注意が必要です。
3:Webサイト訪問者向けのチャットツール
ダイレクトマーケティングの手法として次に紹介するのは、「Webサイト訪問者向けのチャットツール」です。
現在、いろいろなビジネス用チャットツールが用意されています。自社のホームページや商品紹介のWebサイトにこれらのビジネス用チャットツールを設置しておくと、そのWebサイトの訪問者とチャットのやり取りができ、双方向のコミュニケーションが成立します。
個人用のチャットツールは無料で利用可能です。しかし、ビジネス用のチャットツールを設置して利用する場合には有料になるため、費用がかかります。
4:ソーシャルメディアによるコミュニケーション
ダイレクトマーケティングの手法として次に紹介するのは、「ソーシャルメディアによるコミュニケーション」です。ソーシャルメディアの代表的なものはSNS(Twitter、Facebook、Instagram、LINEなど)で、これは「SNSマーケティング」とも呼ばれます。
これらのSNSは相互のやり取りができ、双方向のコミュニケーションが成立し易いメディアであることから、自社の商品に関心を持つ顧客も集め易くなる販売方法です。
但し、場合によっては売手の企業側からの発信に対して、批判が殺到する「炎上」という事態が持ち上がる恐れもあります。従って、企業側からの発信内容は顧客との信頼関係が築けるように慎重に作る必要があります。
5:メルマガの配信
ダイレクトマーケティングの手法として次に紹介するのは「メルマガの配信」です。メルマガとはメールマガジンの略称です。
メールマガジンを配信する方法には手動の配信や配信サービスを利用するなど、いくつかの方法があります。このうち「MAツール」というものを使用する配信は、高い効果が得られる配信方法としておすすめできます。
MAツールに備わっている「パーソナライズ機能」を用いると、各顧客に適合したメールが配信できるため、その顧客が関心を持って読んでくれる可能性が高まるでしょう。
6:テレマーケティング
ダイレクトマーケティングの手法として最後に紹介するのは「テレマーケティング」です。見込みの顧客に対して電話をかけて問題点を聞き取り、それに音声で対応する手法です。
電話する相手は、過去に自社となにかしらの接点があった見込み顧客です。テレマーケティングは、相手の声を通してその顧客の気持ちを感じ取りながら対応ができるため、信頼関係が築き易くなります。
また一方、ダイレクトメールやEメールに比べて多くの人手が必要になるというデメリットもあります。従って電話をする相手は、これから顧客になる可能性が高い方に絞って有効な実践をする必要があるでしょう。
ダイレクトマーケティングの4つの特徴
ダイレクトマーケティングは、古いマスマーケティングとは違って、企業と顧客の間に1対1のコミュニケーションを取りながら行われる、新しい販促戦略と位置付けられます。
この言葉は、1961年頃にレスター・ワンダーマンが提唱して以来、使われるようになりました。以後、Webマーケティングの隆盛の時代を迎え、Amazonや楽天、Yahoo!など、大手のネットビジネスでも大いに使われています。
IT技術の発展という潮流を背景にした、魅力ある販売方法のダイレクトマーケティングの4つの特徴を以下にご紹介します。
1:ターゲットを選定してコミュニケーションを取る
ダイレクトマーケティングの特徴の1つ目は、「ターゲットを選定してコミュニケーションを取る」です。
ターゲットを選定するにはREM分析という手法を使うことができます。REM分析では、最近の購入日、購入頻度、購入金額という3つの指標に基づいて、ターゲットである顧客のランク付けを行います。
2:複数のメディアを活用する
ダイレクトマーケティングの特徴の2つ目は、「複数のメディアを活用する」です。メディアという用語の意味は、情報を伝達する手段となるものです。
ダイレクトマーケティングで使われるメディアには、ダイレクトメール、SNS、メルマガ、テレマーケティングなどがあります。これらのメディアを使い分けて、企業と顧客が1対1のコミュニケーションを取ります。
3:顧客の反応を測定できる
ダイレクトマーケティングの特徴の3つ目は、「顧客の反応を測定できる」です。例えば、ダイレクトメールの場合は、送信したメールの数、そのメールの開封率やメールへの応答率、企業サイトへのアクセス率などが分かります。
また、SNSの場合は「いいね」という反応の数やコメントの投稿の数などが分かります。このように顧客の反応が数値として測定できることは、ダイレクトマーケティングの強みの1つです。
4:場所の制限がない
ダイレクトマーケティングの特徴の4つ目は、「場所の制限がない」です。ダイレクトマーケティングはパソコンやスマホを使って、インターネット経由で実施できる販売方法です。従って、実際に店舗を構える必要もなく、どこでも販売が行えます。
近年、ZoomやChatwork、SNSなど企業側と顧客側が1対1で双方向のコミュニケーションを取ることを可能にするツールが増えてきているため、ダイレクトマーケティングには好都合な環境が整っています。
ダイレクトマーケティングの6つのメリット
ダイレクトマーケティングという言葉を分かりやすく定義すると「売手である企業と買手である顧客が1対1でやり取りを交わしながら行われる販売方法」となります。
これは1961年頃に提唱された言葉で、その後のインターネットの普及に伴って、売上を伸ばす上で大きな役割を果たす販売方法として認知されており、今後益々発展することが見込まれています。
このように現代にマッチした新しい販売方法であるダイレクトマーケティングについて、以下にその6つのメリットをご紹介します。
1:安定した収益に繋がる
ダイレクトマーケティングのメリットの1つ目は、「安定した収益に繋がる」です。ダイレクトマーケティングは、一度商品を購入した顧客についての情報を蓄積して、それに基づいてメールなどを送って、その顧客とコミュニケーションを取ります。
こうしてその顧客にマッチした情報を発信すると、顧客がリピーターになる可能性が高まり、営業利益が上がって安定した収益に繋がります。
2:PDCAを回しやすい
ダイレクトマーケティングのメリットの2つ目は、「PDCAを回しやすい」です。PDCAとは計画(Plan)、実行(Do)、評価(Chek)、改善(Action)を意味する言葉で、この4つをサイクルとして回すことにより、業務の効率を上げるという方法です。
ダイレクトマーケティングでは顧客の反応を数値化して測定できるため、これを基にして改善を計画して実行するというサイクルの繰り返しができます。
3:費用対効果が高い
ダイレクトマーケティングのメリットの3つ目は、「費用対効果が高い」です。ダイレクトマーケティングはターゲットの顧客を選定して情報を送るため、同じ費用に対する効果の割合が高くなります。
メルマガ配信を行う場合、一度システムを整備すれば、各ターゲットに適合する個別メールを自動配信することができ、特に高度なスキルも必要としません。また、SNSを使う場合は無料で行うことができ、費用がかかりません。
4:事業の拡大がしやすい
ダイレクトマーケティングのメリットの4つ目は、「事業の拡大がしやすい」です。ダイレクトマーケティングは大勢のスタッフを必要とせずに実施できます。また、店舗などの場所も必要としないため、初期投資も少なく、事業の拡大がしやすい販売方法です。
5:人件費コストがかからない
ダイレクトマーケティングのメリットの5つ目は、「人件費コストがかからない」です。上に述べたようにダイレクトマーケティングは大勢のスタッフを必要としないため、人件費のコストがかかりません。
さらに、店舗を構える必要もないため、店舗を購入するコストも、店舗の維持管理のコストも不要です。このように、低コストで運営できる販売方法となります。
6:顧客満足度の向上ができる
ダイレクトマーケティングのメリットの6つ目は、「顧客満足度の向上ができる」です。ダイレクトマーケティングは顧客と1対1の双方向のコミュニケーションを取って運営されることから、企業側のサービスに対する顧客の感想を把握できます。
そのため、顧客に不満がある時には、その不満を把握して改善することにより、顧客の満足度を向上させることができます。
ダイレクトマーケティングの3つのデメリット
ダイレクトマーケティングのメリットを6つご紹介しました。このようにメリットが多く、評判の良いダイレクトマーケティングには、今後の課題となるデメリットもあります。以下にダイレクトマーケティングの3つのデメリットをご紹介します。
1:表現方法に工夫が必要
ダイレクトマーケティングのデメリットの1つ目は、「表現方法に工夫が必要」です。ダイレクトマーケティングは各顧客と1対1のコミュニケーションを取りながら実施される販売方法です。
従って、それぞれの顧客に適合した広告情報や提案などを発信する必要があり、そのために顧客のデータベースを作るなど、表現方法にいろいろな工夫が必要になります。また、化粧品や健康食品、サプリメントなどについては広告内容に規制があるため、注意が必要です。
2:ターゲットにより手法を変える必要がある
ダイレクトマーケティングのデメリットの2つ目は、「ターゲットにより手法を変える必要がある」です。ダイレクトマーケティングでは、各顧客のそれぞれに、その顧客に適合した情報を発信するため、メルマガもしくはSNSなど手法も変える必要があります。
そのためには、各顧客に関するデータを蓄積しておく必要があります。年齢、性別、年収、保有資格の種類、学者なら専門領域や書いた論文・記事・書籍、映画オタクなら好む映画など、様々なデータをデータベースに蓄積しておくと便利です。
3:収益化に時間がかかる
ダイレクトマーケティングのデメリットの3つ目は、「収益化に時間がかかる」です。ダイレクトマーケティングは、収益を上げるという目的を達成するためには、長い時間がかかります。
収益化に長い時間がかかる理由は、各顧客のそれぞれに適合したコミュニケーションを取るために、データベースの構築など多額の初期投資が必要になるからです。また、顧客からのレスポンスの分析などにも長い時間を必要とします。
ダイレクトマーケティングを使った事例5つ
ダイレクトマーケティングの実践のサポートを目的として「ダイレクトマーケティング支援」、「ダイレクトマーケティングサービス」、「トライステージ」などの会社や「ダイレクトマーケティング協会」などがあり、講座やセミナーも企画されています。
以下にダイレクトマーケティングを使った事例5つをご紹介します。いずれも成功事例のため、ダイレクトマーケティングの実践の仕方を学ぶことができるでしょう。
1:SNSを利用した流行の投稿を継続した事例
ダイレクトマーケティングを使った事例の1つ目に紹介するのは、「SNSを利用した流行の投稿を継続したSHARP株式会社の事例」です。
SHARPはInstagram、Facebook、LINE、YouTubeなどのSNSを使って新しい製品の広告を投稿しています。これらはSHARPの公式サイトの「ソーシャルメディア公式アカウント」のページから開くことができます。
2:企業と顧客の双方向のやり取りをした事例
ダイレクトマーケティングを使った事例の2つ目に紹介するのは、「企業と顧客の双方向のやり取りをしたAmazonの事例」です。
Amazonでは公式サイトから欲しい商品を検索して注文でき、その商品について問い合わせしたい時は、出品者とのメールのやり取りをAmazonが仲介してくれます。また、購入後にAmazonから出品者と商品についての評価をしてほしいというメールが届きます。
3:顧客同士の繋がりを持った事例
ダイレクトマーケティングを使った事例の3つ目に紹介するのは、「顧客同士の繋がりを持ったネスレ日本株式会社の事例」です。この会社名は公式サイトの会社概要を見ると分かりますが、ネスカフェの会社です。
ネスレ日本ではFacebook、YouTube、Twtter、Instagramのアカウントを設けており、これらの中で、顧客同士の繋がりを持たせています。
4:顧客を絞り好感を上げた事例
ダイレクトマーケティングを使った事例の4つ目に紹介するのは、「顧客を絞り好感を上げたSoftBankの事例」です。
SoftBankではカスタマーサクセスという部門を設けて、法人の顧客を対象にスマホや他のITツール、アプリのいろいろな機能を使いこなすサポートをしており、好評を博しています。
5:広告商品購入での個別的な対応をした事例
ダイレクトマーケティングを使った事例の5つ目に紹介するのは、「広告商品購入での個別的な対応をした株式会社ニッセンの事例」です。
ニッセンでは、ニッセンオンラインに会員登録してログインすると、商品のサイズや品質などについての情報を得ることができ、また問い合わせもできます。さらに、電話番号を登録しておくと、商品案内の電話も受けることができます。
ダイレクトマーケティング手法を検討しよう
ダイレクトマーケティングはインターネットの発達を背景にした新たな販売方法として注目を集めています。
この記事では、企業の広報、マーケティングを担当され、新たな宣伝・販売戦略を模索されている方々のために、ダイレクトマーケティングの手法、特徴、メリット、デメリット、成功事例などをご説明しました。
ダイレクトマーケティングは各顧客と1対1のコミュニケーションを取りながら行う販売方法であるため、採用する手法もそれぞれの顧客に適したものを選ぶ必要があります。いろいろな手法をよく検討して、ダイレクトマーケティングを成功させましょう。