セグメンテーションの定義とは|基準やSTP分析を行うメリットもあわせて解説
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初回公開日:2021年08月25日
更新日:2024年06月24日
セグメンテーションの定義とは
セグメンテーションとは日本語で「区分」を意味する言葉で、マーケティング分野においては市場や市場にいる不特定多数の顧客をさまざまな切り口で分類し、属性ごとにグループ分けすることを指します。
セグメンテーションは、顧客を年齢や性別、地域などの切り口によってグループ分けし、細分化することで自社のターゲットを決定するために用いられます。
セグメンテーションを活用したSTP分析とは
STP分析とは、Segmentation(セグメンテーション)、Targeting(ターゲティング)、Positioning(ポジショニング)の頭文字を取ったものです。
STP分析はマーケティングで用いられているフレームワークの1つで、セグメンテーションはSTP分析の最初のステップとして、さまざまなニーズを持つ消費者に対応したマーケティング施策を売り出すための必須の工程となっています。
セグメンテーションで市場をどのような精度で分類分けするのかによって、その後のターゲティングやポジショニングにも大きな影響を与えます。
セグメンテーションの必要性
大量生産・大量販売のひと昔前の時代までは、不特定多数へ向けたマスプロモーションだけで商品が売れていたため問題はありませんでした。
しかし物が売れなくなってきている現代では、自社の製品やサービスがどの顧客層にとって価値があるのかを見極めるセグメンテーションの必要性も増してきています。
ここではセグメンテーションの必要性を紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
急速なIT化やテクノロジー化への対応のため
近年、急速にIT化が進んだことにより、多くのユーザーがTwitterやFacebook、InstagramなどのSNSを利用するようになりました。そのため、企業もこのようなSNSを活用することにより、ターゲット層の関心や興味、購買行動についての情報を入手できるようになりました。
また、これらの情報を活用して消費者グループごとに最適化されたWeb広告を配信するなど高度なマーケティング施策を実施する企業も増加してきたことから、セグメンテーションの必要性が増してきています。
多様化したニーズへの対応のため
大量生産大量販売の時代であれば、対象を絞らないマスマーケティングを行うだけで商品は売れていました。
しかし市場が成熟して消費者のニーズが多様化した現代においては、かつてのような不特定多数へ向けたマスマーケティングでは消費者の個々のニーズに対応できず、消費者の興味を引くことができなくなりました。
多様な消費者ニーズに対応するには、市場のさまざまな消費者をセグメンテーションすることで自社がもっとも優位性を保てるターゲットを見つけ、個別の戦略を立てることが重要です。
セグメンテーションの4つの基準
セグメンテーションは切り口を変えればいくらでも細分化することができますが、思いつくままに細分化しても意味がありません。セグメンテーションを行う場合は、基準である4つの指標をもとに効果的なセグメンテーションを行うことが大切です。
ここではセグメンテーションの4つの基準を紹介していきますので、参考にしてみてください。
1:規模の有効性を調べること
セグメンテーションには規模の有効性(Realistic)と呼ばれる、対象のセグメントで十分な売り上げや利益を上げられるかどうかを検討するための基準があります。
たとえば、規模が小さすぎるセグメントでは事業として採算が取れない場合もあります。そのため、規模の有効性では採算が合うセグメントであるかどうかを調べるために重要な基準となります。
2:優先順位をつけること
セグメンテーションには優先順位(Rank)と呼ばれる、自社の商品やサービスの重要度によってセグメントに優先順位をつけていく基準があります。
優先順位では、自社の戦略と各セグメントの特徴とを照らし合わせることによって、セグメントをランク付けしていきます。たとえば、自社製品のターゲットが若い女性である場合、高齢者や男性のセグメントの優先順位は低いということになります。
3:測定可能性を確認すること
セグメンテーションには測定可能性(Response)と呼ばれる、セグメントの規模や購買力、特性などの要素を明確に測定できるかどうかや測定方法を検討するための基準があります。
また、マーケティング後の反応や、実際に商品やサービスを購入した消費者の反応が測定できるかどうかも測定可能性によって確認しておきます。
4:到達可能性を調べること
セグメンテーションには到達可能性(Reach)と呼ばれる、対象となるセグメントに対して自社の商品やサービス、プロモーションなどを実際に届けられるかどうかを調べるための基準があります。
住んでいる場所などの距離が遠すぎて、自社の商品が届かない消費者に対してプロモーションを行っても意味はありません。また、到達可能性ではWeb広告への反応などを分析することで、対象セグメントにリーチする難易度を調べる場合にも利用されます。
セグメンテーションを活用分析の代表的な変数と分類方法4つ
セグメンテーションを行う場合、何を基準として顧客を分類するのかが重要なポイントになります。このような基準のことを変数と呼びます。
セグメンテーションには幅広い切り口が存在しており、どのような商品やサービスを販売するのかによっても使用する変数は異なります。ここではセグメンテーションを活用分析の代表的な変数と分類方法4つを紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
1:心理的・サイコグラフィック変数の場合
「心理的・サイコグラフィック変数」とは、感性や心理などの要素によってセグメンテーションする場合に用いられる変数です。サイコグラフィック変数では、「パーソナリティ」「価値観」「社会階層」「ライフスタイル」「購買動機」などの要素を変数として使用します。
たとえば、人口動態変数で分類した場合は同一のセグメントに属している男性であっても、心理的・サイコグラフィック変数では異なるセグメントに分類されるケースもあります。そのため、サイコグラフィック変数は他の変数と併用することで活用されています。
2:地理的・ジオグラフィック変数の場合
「地理的・ジオグラフィック変数」とは、地理的な要素によってセグメンテーションする場合に用いられる変数です。ジオグラフィック変数では、「世界の地域」「日本の地域、地方」「気候」「経済発展度」「人口密度」「文化」「宗教」といった要素を使用します。
地理的・ジオグラフィック変数は、たとえば食料品や衣料品などの気候や生活習慣などによって売り行きに違いがでるような商品を扱う場合のセグメンテーションに有効な変数です。
3:行動変数の場合
「行動変数」とは、消費者が実際に購入した要素によってセグメンテーションする場合に用いられる変数です。行動変数では、「使用する頻度」「知識の有無」「利用頻度」といった要素を使用します。
行動変数は消費者の行動パターンなどによってセグメンテーションしたい場合に用いられる変数で、商品に関する知識のないライトユーザーと知識のあるヘビーユーザーを切り分けて最適なプロモーションをしたい場合などに活用できます。
4:人口動態変数の場合
「人口動態変数」とは、客観的な要素によってセグメンテーションする場合に用いられる変数です。人口動態変数では、「年齢」「性別」「職業」「所得」「最終学歴」「家族構成」「世帯規模」といった要素を使用します。
人口動態変数は消費者ニーズにも強く結びついており、客観的な属性によって簡単に測定することができるため、セグメンテーションでもっともよく使用される変数です。
セグメンテーションを活用したSTP分析を行う3つのメリット
STP分析は市場細分化やターゲット市場の決定、自社の立ち位置の明確化などを行うマーケティングフレームワークです。また、STP分析を行うことでさまざまなメリットがあります。
ここではセグメンテーションを活用したSTP分析を行う3つのメリットを紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
1:競合企業と差別化できる
STP分析は主に自社と競合他社の差別化のポイントを見極めるために用いられています。STP分析を行うことにより、自社商品やサービスがフィットするターゲットを見つけ出すことも可能になるため、その市場での自社の優位性を際立たせることができます。
また、優位性が際立つことで競合企業との差別化を図ることも可能になり、独自のポジションを築けるようになるでしょう。
2:自社内でプロモーション戦略に共通認識を持たせられる
STP分析を行うことにより、自社の商品やサービスの強みが明確化します。そのため、STP分析の結果をもとに社内全体で自社のアピールポイントを明確にし、プロモーション戦略にも共通認識を持たせることができるでしょう。
また、チーム全体で共通認識を持つことにより、組織力を強化することにも繋がります。
3:ユーザーのニーズの分布を把握できる
STP分析では、顧客にどのようなニーズがあるのかや、ニーズの中でどのような市場をターゲットにすべきなのかを分析します。そのため、STP分析を行うことによってユーザーのニーズの分布も把握できるようになります。
STP分析を活用することにより、実際の商品購入に繋がるペルソナも具体的に作ることが可能になるでしょう。
セグメンテーション後に行うべきSTP分析のポイント
STP分析では、セグメンテーションを行ったあとはターゲティングとポジショニングを行うことになります。ここではセグメンテーション後に行うべきSTP分析のポイントを紹介しますので、参考にしてみてください。
ターゲティングのやり方
ターゲティングとは、細分化した市場や顧客グループの中から自社の商品やサービスにもっともマッチするターゲット設定を行うことです。自社の商品やサービスの特徴に応じて、アプローチすべきセグメントを絞り込んでいきます。
企業が持つリソースには限りがありますが、ターゲティングを行うことで限られた経営資源を有効に活用してプロモーションを行えるようになります。
ポジショニングのやり方
ポジショニングとは、狙う市場の中での自社のポジションを決定することです。セグメントの競合他社を分析することで、自社が勝負すべき立ち位置を見極め、他社商品と差別化していくことができます。
ポジショニングマップの活用
ポジショニングを行う際には、業界を2軸で分析するポジショニングマップを用いることが多いです。ポジショニングマップではターゲットが重要視している項目を選び、自社の立ち位置を当てはめていきます。
ポジショングマップを用いることにより、自社の優位性などを検証することができます。
アパレルブランドのポジショニングマップ活用例
アパレルブランドの場合は「低価格&高価格」「ベーシック&トレンド」などの2軸によってポジショニングマップを作成しましょう。このような2軸で分析していくと、自社や競合がどの位置にいるのかを把握したり、競合がいないポジションを確保したりすることに役立ちます。
セグメンテーションを効果的に活用する4つのコツ
セグメンテーションは企業のマーケティングプロセスにおいて非常に重要な役割を持ちます。それでは、セグメンテーションを活用するにはどのようなコツがあるのでしょうか。
ここではセグメンテーションを効果的に活用する4つのコツを紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
1:MAを導入する
MAとは「マーケティングオートメーション」を略した言葉で、マーケティング業務を自動化して効果測定まで実施できるツールのことです。セグメンテーションやSTP分析を行い、ターゲットを絞ってマーケティング施策を実施するには、MAを導入するのがおすすめです。
MAを活用することで、手間がかかるセグメンテーションを効率的に実施し、狙ったターゲットに最適なタイミングでアプローチすることが可能になります。
2:Webマーケティングへの活用を検討する
セグメンテーションはWebマーケティングでも活用することができます。Web上にはユーザーの検索履歴や行動履歴、個人情報などが記録されているため、セグメンテーションにも活用しやすいです。
ここではディスプレイ広告とリスティング広告でのセグメンテーションの活用についてそれぞれ解説します。
ディスプレイ広告への活用
ディスプレイ広告とは、ユーザーの閲覧履歴や行動履歴などをもとに広告を配信するインターネット広告です。
ディスプレイ広告であれば、購入者のセグメントを利用することで自社の商品やサービスと相性の良いセグメントを特定することができるため、購入に結びつきやすいセグメントに対して効果的なアプローチを行うことができます。
リスティング広告への活用
リスティング広告とは、ユーザーの検索キーワードに連動するインターネット広告です。リスティング広告であれば、検索ワードによってユーザーをセグメンテーションし、自社の商品の購買行動に至る可能性が高いセグメントに対して効率的に広告を表示することができます。
3:コンテンツマーケティングへの活用を検討する
コンテンツマーケティングとは、ユーザーにとって価値のある情報を継続的に発信するマーケティング手法です。
コンテンツマーケティングには、オウンドメディアでさまざまな読み物を提供したり、YouTubeチャンネルを立ち上げて動画を配信することで集客を行うなどの方法があります。
コンテンツマーケティングは広告色も弱いため、一般的な広告のような押しつけがましさを感じさせることなく自然に集客することができます。
4:STP分析でカスタマージャーニーを作成する
カスタマージャーニーとは、ペルソナの動きを時系列で表したものです。カスタマージャーニーを作成することで、顧客に対して適切なタイミング、場所でアプローチできるようになります。
STP分析を行うことで自社がターゲットとするペルソナも明確化することができるため、カスタマージャーニーも作成しやすくなります。
セグメンテーションを活用してマーケティングを進めよう
セグメンテーションはSTP分析の1つの要素であり、顧客を分類して属性ごとにグループ化することです。
ぜひ本記事で紹介したセグメンテーションの定義やセグメンテーションの基準、セグメンテーションを活用したSTP分析を行うメリットなどを参考に、セグメンテーションを活用した自社のマーケティングを行ってみてはいかがでしょうか。