企業規模別のランチェスターの法則を活用したビジネス戦略法|企業事例も紹介
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初回公開日:2021年08月25日
更新日:2024年05月31日
ランチェスターの法則の発祥元
ランチェスターの法則は、自動車・航空工学のエンジニアであるイギリスのフレデリック・ランチェスターが、第1次世界大戦の際に発表しました。
軍事戦略をベースとした数理モデルで、兵数と武器効率から戦闘力を導き出すという理論から、戦闘力を数学的にアプローチすることによって、勝つための体制を算出するといったものです。
彼の発表した法則は軍事的な研究から提唱された理論であり、第二次世界大戦においても軍事作戦に応用され、大きな成果をあげています。また、現在では経営学の応用にまで発展しており、ビジネス戦略思想として体系づけられています。
ランチェスターの法則の基本となる3つの法則
ランチェスターの法則は、弱者の戦略、強者の戦略、そしてビジネスに応用したマーケットシェア理論の3つの基本法則からなっており、それぞれ戦略が異なります。
ここからは、ランチェスターの法則の基本となる3つの法則について、それぞれ解説していきます。ぜひ参考にしてみてください。
1:第一法則とは
弱者戦略である第一法則は、1人が1人を狙い撃ちする一騎打ちをモデルとしており、一騎打ちの法則とも呼ばれます。戦闘力=武器効率(質)×兵力数(量)の計算式で、双方の武器性能と兵士の技能が同じ場合、兵力数の多い方が勝つといったものです。
例えば、同じ武器を持った兵士が、30人いる軍と20人いる軍とで近距離戦を行った場合、戦闘後は30人いる軍が10人を残して勝ちます。この場合、弱者が勝つためには兵士の戦闘力(質)を高めていくことが有効でしょう。
これをビジネスシーンに置き換えた場合、中小企業は人数や能力も豊かな大企業に勝つ見込みはないと言えます。しかし、一点集中で特定の分野に特化し、相手の戦力を消耗させることができれば、中小企業でも大企業に勝てる可能性が出てくるのです。
2:第二法則とは
強者戦略である第二法則は、1人で多数の相手を攻撃する広域戦をモデルとしており、集中効果の法則とも呼ばれます。
戦闘力=武器効率(質)×兵力数の二乗(量)の計算式で、双方の武器効率が高く戦力的に優位である場合、双方の兵力数を二乗したうえで、戦闘力が優勢な軍が勝つといったものです。
例えば、10人の軍と5人の軍が同じ性能の武器を持って戦った場合、10人の軍は10発の弾丸を発射し、5人の軍は5発の弾丸を発射することになるでしょう。その場合、10人の軍に弾丸が当たる確率は2分の1となり、5人の軍に弾丸が当たる確率は2倍となります。
この場合、遠距離戦の方が消耗を抑えられるため、兵力数の多い軍の優位性が高くなります。これをビジネスシーンに置き換えた場合、資金や人員などのリソースが豊富な大企業は、広域の覇権を取るような打ち手である第二法則が優位と言えるでしょう。
3:マーケットシェア理論とは
ランチェスターの法則をビジネスシーンに応用し、現状でのシェア率によって目標とすべき数値を算出した理論が、マーケットシェア理論です。マーケットシェア理論には7つのシンボル目標数値が設定されており、それぞれ以下のようになります。
・シェア73.9%上限目標値:シェアを独占できる上限の数値
・シェア41.7%安定目標値:首位独走の条件として、多くの大企業が目標とする数値
・シェア26.1%下限目標値:市場を安定的に独占できる最低限の数値
・シェア19.3%上位目標値:弱者の中の強者である企業が当面の間、目標とする数値
・シェア10.9%影響目標値:市場参入時の目安となる数値
・シェア6.8%存在目標値:市場で生き残るためには、最低限確保すべき数値
・シェア2.8%拠点目標値:存在価値がないに等しく、新規参入時に目標とする数値
これらの目標数値は、自社のシェアが現時点でどの段階にあるのかを判断するのに役立ちます。そして、それぞれの段階において適切な戦略を考えることによって、実践的な経営プランを生み出していくことが可能となるのです。
出典:クープマンの目標値|株式会社シナプス
参照:https://cyber-synapse.com/dictionary/ja-ka/market-share-targets.html
ランチェスターの法則が持つ3つの特徴
ランチェスターの法則は軍事戦略として考案されたものですが、戦場と市場を置き換えることによって、ビジネスシーンにおいても活用することが可能です。ここからは、ランチェスターの法則が持つ3つの特徴について紹介していきます。
それぞれのビジネスシーンにおける特徴を詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
1:大企業や中小企業に活用できる
ランチェスターの法則は、企業の規模を問わず、大企業や中小企業に活用できる点が大きな特徴として挙げられます。理論の内容的に、弱者が強者に打ち勝つことに重点が置かれており、その弱者が勝つために理論化された「弱者の戦略」が、この法則の醍醐味と言えます。
経営規模の観点においても大が小に勝てるのは当然であるため、大企業にも有効な戦略です。しかし、中でも弱者である中小企業が活用することによって、大企業に太刀打ちできる戦略が生み出せるでしょう。
2:Web業界にも向いている
ランチェスターの法則は、Web業界においても有効活用できます。インターネットでの強みは、弱者戦略の近距離戦にも、強者戦略の遠距離戦にも使える点にあります。
SEO施策でニッチなターゲットに訴求することによって、ニーズに合致した顧客をダイレクトに集客できるでしょう。また、ニッチと言えど、そのニーズは特定の地域であるとは限らず全世界に及ぶ可能性もあります。
このように、弱者と強者の戦略をバランス良く実行できるWeb業界は、ランチェスターの法則の活用に向いていると言えるでしょう。
3:BtoBビジネスへ応用が可能である
BtoBビジネスの場合、市場を細分化することによって、優位な戦略を立案することが可能です。強者である場合、豊富な経営資源と経営力を活用することによって、多くの市場に乗り込み弱者を圧倒する戦略が取れるでしょう。
しかし、弱者の場合、強者との一騎打ちでは能力差が大きくないため、勝てないでしょう。そのため、競合との差別化やリソースの集中、スキル向上などがポイントになってきます。
あえて一点集中で局地戦の状況を作り、特定の顧客層だけを対象としたビジネスを展開することによって、BtoBビジネスにおいても応用が可能であると言えます。
ランチェスターの法則で可能な3つの戦略
ここからは、ランチェスターの法則で可能な戦略を3つ紹介していきます。ビジネスに活用する場合、それぞれの詳細を理解しておくことが大切です。戦略を成功させるためのポイントとなるため、ぜひ参考にしてみてください。
1:2位以下を圧倒的に引き離す
市場において2位以下を圧倒的に引き離す戦略は、ナンバーワン主義と呼ばれ、第二法則である強者戦略に基づくものです。
僅差ではなく圧倒的に引き離すことによって、競争原理が働かないため、自社の市場でのポジションが確約されます。したがって、企業は商品やサービスの開発に集中できるでしょう。
この場合、総合力や市場規模は関係なく、ある市場においてナンバーワンであることが重要です。これにより、1位の立場は上位企業より優位性を確立でき、経営基盤が強固なものになるのです。
2:一点に絞り集中して勝負をかけていく
一点に絞り集中して勝負をかけていく戦略は、一点集中主義と呼ばれ、第一法則である弱者戦略に基づくものです。
市場において総合力の劣る弱者は、広域戦では強者に勝つことは至難の業です。したがって、市場を細分化し、地域や顧客層、商品などから勝ち目のある要素を一点に絞り込んだうえで勝負する必要があります。
要素を分散させず一点に集中することによって、隙間市場やニッチを見つけられるため、勝てる状況を作り出せるでしょう。
3:足下の敵となる企業を攻撃する
足下の敵となる企業を攻撃する戦略は、足下の敵攻撃の原則と呼ばれ、弱者強者問わず応用できるものです。
自社よりワンランク下の企業(足下の敵)に攻撃をかけ、顧客や売り上げを奪うことによって、市場シェアにおいて成果を出し、加えて競合との差を広げるといったものです。
ワンランク下の企業に狙いを定めることは、強者との戦いに比べ体力の消耗も少なく、自社にとって勝ちやすい戦いであると言えるでしょう。この戦略は、自社を伸ばすこと、競合を下げることを同時に行うため、その差は倍にも及びます。
企業規模別のランチェスターの法則を活用したビジネス戦略法
ランチェスターの法則における戦略は、企業規模別に見て「地域戦略」「流通戦略」「営業戦略」「市場参入戦略」という4つの体系に分けられます。
地域戦略は、地域ビジネスにおいてナンバーワンを目指す戦略で、流通戦略とは、流通網をコントロールし、いかにシェアを上げていくかという点に着目した戦略です。
営業戦略は、営業現場のマネジメントを中心とした戦略で、市場参入戦略とは、商品開発や市場開拓、新規事業など新規市場に参入する場合に有効な戦略です。
このように4つの体系に分かれているため、自社の状況に適した戦略を選ぶことが重要です。
大企業の3つのビジネス戦略法
ランチェスターの法則では、強者が弱者を圧倒するという考えが存在し、その理論は大企業に応用することが可能です。
ここからは、大企業のビジネス戦略法を3つ紹介していきます。大企業はどのように戦っていくべきなのか、ぜひ参考にしてみてください。
1:基本法則は第二法則を使う
戦う相手が多い大企業の場合、第二法則を活用した戦略が有効です。複数の弱者と戦う場合、相手と武器効率が同等とすると、強者は兵力を活かした戦いが有利です。
これをビジネスシーンに置き換えた場合、中小企業と商品やサービスの品質が同等とすると、大企業は従業員数や売り場の規模などを活かした戦いが有利ということになります。
強者のアドバンテージを存分に活かす戦略となるため、資金や人員といった豊富なリソースを持つ大企業ほど、戦闘力が高まると言えるでしょう。
2:総合力を活かす意識を持つ
大企業の場合、ブランド力や資金力など、総合力を活かして広域戦に持ち込むことが重要です。例えば、中小企業が一点集中で特定の商品を打ち出した場合、大企業は多数の商品でシェアを確保するといったものです。
総合力を活かすことによって、大企業は優位性を確立できるでしょう。したがって、中小企業との差をさらに広げることが可能になります。
3:商品の宣伝では資金力を活用する
商品の宣伝において、大企業は資金力を活用することによって、様々な顧客へのアプローチが可能になります。大規模な広告やイベント開催など、あらゆる媒体で宣伝するには豊富な資金力が必要でしょう。
したがって、大企業の持つ資金力は、宣伝においても有利と言えます。テレビCMやラジオなど、あらゆるアプローチ方法が採用できるため、資金を有効的に活用することによって、シェアを一気に拡大できるでしょう。
中小企業の4つのビジネス戦略法
経営においてリソースが限られている中小企業でも、ランチェスターの法則を基に、取るべき戦略を実践することによって、シェアの拡大が可能です。
ここからは、中小企業のビジネス戦略法を4つ紹介していきます。中小企業が勝つためにはどのように戦っていくべきなのか、ぜひ参考にしてみてください。
1:基本法則は第一法則を使う
経営資源や事業規模が限られている中小企業の場合、第一法則を活用した戦略が有効です。弱者にとって、強者に兵力で対抗するのは至難の業です。そのため、局地戦に持ち込むことが重要な戦略です。
これをビジネスシーンに置き換えた場合、資金力や人員などのリソースが豊富な大企業に勝つには、ニッチ市場や隙間市場を狙うなどといった戦略が重要であると言えます。これによって、競合と差別化を図れるため、戦いが有利になるでしょう。
2:質を高める意識を持つ
大企業に比べ社員数の劣る中小企業は、質を高める方向に意識を持つ必要があります。量で勝てない場合、社内環境の見直しなど業務効率化を図り、個々の戦闘力を高めるための内部施策を講じることが重要です。
また、自社の強みを活かして商品の品質を向上させることも有効でしょう。中小企業のフットワークを活かし、質的優位性を築くことが需要なポイントと言えます。
3:4Cや4Pのフレームワークを活用する
マーケティング戦略を実行する際、最適な施策を考えるためには、4Pや4Cといったフレームワークの活用が有効です。4Pとは、製品(product)、価格(price)、流通(place)、販促(promotion)の4つの要素で構成されており、企業からの視点を表します。
また、4Cは顧客視点を表しており、顧客価値(Customer Value)、経費(Cost)、顧客利便性(Convenience)、コミュニケーション(Communication)の4つの要素で構成されます。
このフレームワークを用いて施策を考えることによって、まとまりやすく、具体的な内容に落とし込みやすくなります。市場を深く理解することにも繋がるため、隙間市場やニッチ市場を探し出すことにも有用と言えるでしょう。
4:1つの市場に定める場合はトップと一騎打ちを行う
自社が勝負できる市場を1つに定めた場合、トップである競合と一騎打ちを行う戦略が有効です。資金や人員などのリソースが限られている場合、広域で戦うことは不可能でしょう。
その場合、地域や商品、顧客の分類など市場を細分化し、自社が勝てる領域を見極め、定めることが重要です。一騎打ちは、中小企業が持つハンディキャップを埋めることにも繋がります。対等な勝負に持ち込めるため、トップを脅かすことが可能と言えるでしょう。
Webにおけるランチェスターの法則の活用方法
Webにおいてランチェスターの法則は、弱者強者問わず、バランス良く戦略を実行できる点に強みがあります。
ここからは、Webにおけるランチェスターの法則の活用方法を紹介していきます。方法を理解しておくことで戦略を効果的に実行できるため、ぜひ参考にしてみてください。
検索キーワードを分析する
検索キーワードを分析することは、ランチェスターの法則において市場の細分化を意味します。顧客の潜在ニーズを可視化できるため、市場を細分化し、ターゲットを定めることに有用です。
そのため、コンテンツの分野を絞り、一点集中させる戦略が有効と言えます。また、新たなニーズを掴み、状況を見ながら対策を講じることも可能なため、競争力を強化することにも繋がるでしょう。
SEO対策を行う
ランチェスターの法則のベースは市場の細分化にあり、SEO対策はそのベースを基にニッチな市場を狙うことに有効です。ニッチなニーズに訴求する内容のページを作ることによって、合致するニーズを持った顧客を効率よく集客できます。
コストをかけずに新市場を開拓できるため、特に広告費が限られる中小企業が活用することによって、競争優位性の構築を図れるでしょう。
営業現場におけるランチェスターの法則の活用方法4つ
ランチェスターの法則は、地域の細分化や流通網のコントロールなど、営業シーンにおいても活用できます。
ここからは、営業現場におけるランチェスターの法則の活用方法を4つ紹介していきます。自社の営業戦略に取り入れるためにも、ぜひ参考にしてみてください。
1:商品開発・市場開発・新規事業開発を検討する
新規市場への参入を検討する戦略は、成長期にある企業に有効です。例えば、商品開発や市場開発、新規事業開発などを行うことによって、思わぬ市場が開拓できることは少なくありません。
この場合、高いシェアを占める企業と同じ土俵で戦うのではなく、奇抜な販売方法やネーミングなどによって、競合他社との争いに乗り出すことも有効でしょう。そうすることによって、競合との差別化を図れることに加え、事業拡大に繋げられる可能性が高まると言えます。
2:営業地域を細分化する
営業地域の細分化は、ランチェスターの法則において地域の領土を奪うことに当たります。つまり、特定地域のシェアにおいて強者になることを目的としており、細分化により一点集中主義の戦略を取ることで、費用対効果を上げるといったものです。
また、地域内でのシェアを上げることによって、知名度の向上にも繋がります。このことから、営業地域の細分化は、弱者に有効な戦略と言えるでしょう。
3:チーム全体をマネジメントする
市場での優位性を確立する点に主眼を置いた場合、チーム全体をマネジメントすることが有効です。市場における自社商品の価値を見極め、営業活動に重点を置いたうえで、顧客に購入してもらうための戦略を立てるといったものです。
この場合、ターゲットとなる市場を絞り込むことが重要です。そのうえで、営業方針や商談方法など営業活動において競合と差別化を図り、市場を拡大していくことがポイントと言えます。
4:流通チャネルをコントロールしてシェアを広げる
流通チャネルをコントロールしてシェアを広げることによって、流通コストを抑えながら、高い利益の確保が実現できます。自社商品の占有率が高い店舗や、高い売り上げが見込める店舗を絞り込み、集中して対策を展開するというものです。
流通チャネルを集約することは、ランチェスターの法則において一点集中主義の戦略に当たり、弱者に有効な戦略と言えるでしょう。
ランチェスターの法則を活用した企業事例4選
ランチェスターの法則は、これまで様々な企業で活用され、その効果が実証されてきました。
ここからは、ランチェスターの法則を活用した企業事例を4つ紹介していきます。それぞれ具体的な活用事例を紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
1:株式会社セブンイレブン・ジャパン
地域戦略において成功を収めた企業が、株式会社セブンイレブン・ジャパンです。1974年頃、株式会社セブンイレブン・ジャパンは東京都江東区1号店をオープンして以来、急速に店舗拡大を進めていきます。
しかし、関西地域への進出には課題がありました。そこで弱者の戦略である一点集中主義を採用し、関西地域の出店に集中的に資本を投下することによって、シェアを独占することに成功したのです。
2:アップルジャパン株式会社
流通戦略において成功を収めた企業が、アップルジャパン株式会社です。世界中のモバイル市場を制圧したアップルは、日本において販売当初、特定の店舗のみに販売権を与えました。
その戦略は、販売会社を売り上げ成長率が見込める1社に絞り込むことによって、シェアを広げ高い利益の確保を目指すといったものです。そして、一点に集中的に対策を講じることによって、流通コストを抑え、着実なシェアの拡大に成功したのです。
3:株式会社エイチ・アイ・エス
営業戦略において成功を収めた企業が、株式会社エイチ・アイ・エスです。株式会社エイチ・アイ・エスは、海外旅行という市場で大手の資本力に勝てない状況にありました。
そこで打ち出したのが、当時メジャーではなく、大手会社がタッチしないバリ島やタイといった国にターゲットを絞るといった戦略です。そして、営業活動に重点を置き戦略を立てた結果、大手との差別化に繋がり、ニッチ市場でのシェア獲得に成功したのです。
4:ソフトバンク株式会社
市場参入戦略において成功した企業が、ソフトバンク株式会社です。ソフトバンク株式会社が携帯電話キャリア事業に参画した当時、市場には既に圧倒的強者となる競合の存在がありました。
そこで、競合と同じ土俵では戦わず、他社にはない「低価格」を武器にすることによって、差別化戦略を図ったのです。これはランチェスターの法則において局地戦を表しており、競合にないサービスを提供することで、結果的に勝利を収めたというものです。
ランチェスターの法則と関連した用語との違い
ランチェスターの法則には関連した用語が存在し、それぞれ違いを理解することによって、より具体的かつ効率的に戦略を立てることができます。ここからは、ランチェスターの法則と関連した用語との違いについて解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
パレートの法則との違い
パレートの法則は80:20の法則とも呼ばれ、顧客全体の上位2割程である優良顧客が、約8割の売り上げをあげているというものです。マス市場を差別化することによって売り上げを維持し、高い費用対効果を追求できるという点が特徴です。
全体的にニーズのある商品ではなく、ターゲットを絞りニッチ市場の獲得を狙う点は、ランチェスターの法則と通じる部分があります。
しかし、戦力の一点集中が有利であるランチェスターの法則と比べた場合、パレートの法則は2割程に集中して戦略を立てることで効果が出るといった理論です。したがって、注力領域を集中しているか、選択しているかという点が違いとして挙げられます。
ロングテールの法則との違い
ロングテールの法則は、2割程のヒット商品よりも8割程のニッチ商品の方が売り上げが上回る現象を表し、前述したパレートの法則を覆すものです。主にWebマーケティング戦略に用いられる法則で、パレートの法則において切り捨てられた8割程に着目している点が特徴です。
ニッチ市場に狙いを定める点は、ランチェスターの法則に通じるものがあります。しかし、一点集中で競合を攻撃するランチェスターの法則に対し、ロングテールの法則は広域に及ぶニッチ市場に注力することによって、全体の売り上げを確保するといった理論です。
したがって、注力領域を集中しているか、分散しているかといった点が違いとして挙げられます。
ランチェスターの法則を活用してマーケティングを進めよう
本記事では、ランチェスターの法則を活用したビジネス戦略法や、企業事例などを紹介しました。ランチェスターの法則は企業規模問わず活用でき、ビジネスに応用することによって大きな成果が期待できます。
ぜひ、この記事で紹介した活用方法を参考に、自社のマーケティングを進めてみてはいかがでしょうか。