マーケティングミックスの4Pを活用するコツとは|企業事例も併せて紹介
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マーケティングミックスの4Pを活用するコツとは|企業事例も併せて紹介

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マーケティングミックスの4Pを活用するコツとは|企業事例も併せて紹介

記載されている内容は2021年09月24日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。

また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

初回公開日:2021年09月24日

更新日:2024年05月31日

マーケティングミックスとはどのようなものでしょうか。この記事では、マーケティング戦略の流れの中で、マーケティングミックスはどこに位置付けされるのか、使用するフレームワーク(4P、4Cなど)の組み合わせ方法や考え方について、企業事例も併せてご紹介します。

マーケティングミックスが意味すること

マーケティングミックスという言葉は、マーケターの仕事のみならず、様々な場面で耳にする機会が増えています。

マーケティングミックスは、全体的なマーケティング戦略の一部分であり、「実行戦略」を指して使われています。

ここでは、マーケティングミックスの意味と、マーケティング戦略の流れの中で、マーケティングミックスはどこに位置付けられるのか、使用するフレームワークの種類、マーケティングミックスの成功事例を紹介していきます。

マーケティングミックスにおける代表例

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※画像はイメージです

マーケティングミックスで使われる代表的な指標は2つあります。

マーケティングミックスとは、構成する要素の頭文字を取って、4Pとも呼ばれます。

昨今では4P以外に、4Cと呼ばれる構成要素も広がりつつあり、4Pと4Cを合わせて、マーケティングミックスと呼ばれるケースも増えてきました。ここでは代表例として、4Pと4Cをご紹介します。

4Pの構成要素

まず、4Pの構成要素を紹介します。

4Pの構成要素は、製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、プロモーション(Promotion)の4つです。

製品(Product)は、ターゲットに対し、商品・サービスを提供し、売れるための差別化をどのように行っていくのか、コンセプト設計がとても重要です。

価格(Price)では、商品やサービスをどの価格帯で提供するのか、価格を決めるための重要な要素です。

流通(Place)は、商品やサービスをどのように届けるかを決めます。店頭で販売するのか、卸売りなのか、通信販売するのか、ネットで販売するなど、それぞれの商品に適合した流通を考えます。

プロモーション(Promotion)は、ターゲットにどのように商品やサービスの存在を届けるか手法を考えます。手段としては、広告やホームページ、SNSなどが挙げられます。

4Cの構成要素

4Cとは顧客の視点から考えるマーケティング戦略の一環で、価値(Customer Value)、コスト(Cost)、利便性(Convenience)、コミュニケーション(Communication)の4つより、Cの頭文字を取って4Cと表します。

価値(Customer Value)とは、商品やサービスが顧客にもたらす価値のことを指し、コスト(Cost)とは、商品やサービスを得るために、顧客が支払う費用のことです。

利便性(Convenience)とは、顧客にとって、商品およびサービス自体、もしくは入手方法や利用しやすさに利便性があるか顧客目線で考えることです。

コミュニケーション(Communication)では、顧客とコミュニケーションをとるために、使用するツールを選択し、円滑にするか顧客の目線で手法を含めて構築していきます。

マーケティング戦略の7つの流れ

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※画像はイメージです

マーケティング戦略を策定する際には、大まかに7つの流れに沿って戦略を立てていきます。

マーケティングリサーチ、STP分析、ターゲティングの設定、ポジショニングを設定してから、マーケティングミックスを実施し、最終的にマーケティング戦略を実行し、分析するのが大まかな流れです。

マーケティングリサーチは、マーケティング戦略を実行する上で、実行戦略を担う重要な要素です。次からはマーケティング戦略の7つの流れについて、1つずつ紹介していきます。

1:マーケティングリサーチを行う

マーケティングリサーチでは、マーケティングを考える中で発生する課題を解決するために、様々な手法を用いてデータを収集し分析します。

商品やサービスを提供する中で、これから必要なものは何か、定量調査や定性調査など様々な調査方法を用いて調査を実施してデータを収集し、ニーズを探し求めます。

2:STP分析を行う

STP分析とは、セグメンテーション(Segmentation)、ターゲティング(Targeting)、ポジショニング(Positioning)の頭文字を取った分析法で、フィリップ・コトラーが提唱しているフレームワークです。業種を問わず、様々なシーンで活用できます。

セグメンテーションで市場を細かく分類し、ターゲティングで分類した中から ターゲットとする顧客を絞り込み、ポジショニングで競合他社との差別化と、自社のポジションを確立します。

ターゲティングとポジショニングは次でそれぞれ紹介していきますので、ここではセグメンテーションを行うための一般的な指標を4つご紹介します。

1.デモグラフィック変数(人口統計的変数):年齢・性別など人として変わらない情報をもとにしたセグメント指標

2.ジオグラフィック変数(地理的変数):国・市町村など、地理情報をもとにした指標

3.サイコグラフィック変数(心理的変数):アンケートやヒアリングを実施した結果の中で、価値観や購入動機など心理的要因をもとに判断する指標

4.ビヘイビアル変数(行動変数):行動追跡データなどをもとに、購入回数、頻度などを分析し判断する指標

3:ターゲティングを設定する

セグメンテーションで顧客の分類を終えた後は、ターゲティングを設定します。3Cなどをもとにターゲットとする顧客のペルソナを設定します。

3Cとは、Customer(顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)の頭文字を取った用語です。設定したターゲットは成長性・収益性があるのか、競合の状況チェックと優位性が保たれるかどうか、自社のこれまでのブランドや販売戦略と合致しているのかを確認します。

4:ポジショニングを定める

セグメンテーションが終わり、ターゲティングを設定した後は、ポジショニングを定めます。

セグメンテーションで分類した顧客の中で、顧客となるターゲットを設定した後に、ポジショニングで競合他社との差別化を図り、自社の立ち位置を決めていきます。

5:マーケティングミックスを行う

マーケティングリサーチを実施し、STP分析を実施した後は、マーケティングミックスを行います。

マーケティングリサーチ等で環境分析を実施、STP分析を行って得られた結果をもとに、実行戦略と位置付けられるマーケティングミックスを4Pや4Cなどのフレームワークを使って行います。

6:マーケティング戦略を実行する

ここまで、様々な分析を実施し、STP分析やマーケティングミックスを活用し、顧客の絞り込みやアプローチをしてきました。

マーケティング戦略を決めたら、STP分析とマーケティングミックスの導き出す結果が合致しているかをチェックし、戦略を実行します。

7:分析を行う

マーケティング戦略を実行した際に、とても大切なことは分析です。実行したことで、効果はどのように表れたのかを確認することも重要でしょう。

施策の結果が芳しくない場合や効果が得られない場合は、効果が出ない原因を見つけるために、すみやかに分析をしましょう。

マーケティングミックスの4Pを活用する4つのコツ

マーケティングミックスの意味や、使用するフレームワークの構成要素と、全体的なマーケティングの流れについて説明しました。

ここでは、マーケティングミックスの4Pを活用するコツを4つご紹介します。

1:4Pに相乗効果を与える

4Pの中での、それぞれの要素と要素を掛け合わせて、相乗効果が出せるように、可能性を探っていきます。

流通(Place)とプロモーション(Promotion)を掛け合わせて相乗効果を生み出すなど、単体ではなく組み合わせて、相乗効果を与える工夫が必要です。

2:バランスを考える

4Pは、それぞれの要素を掛け合わせることで、相乗効果を生み出すことが可能です。

ただ組み合わせ方を間違えてしまうと、バランスが崩れてしまい、マーケティングミックスの効果が薄れてしまいます。4Pにおける構成要素のバランスを考えることが大事です。

3:STP分析を参考に4Pと4Cに矛盾がないか確認する

マーケティングミックスで使われる指標は主に4Pが使用されますが、顧客目線の4Cと組み合わせて矛盾がないかを確認することも必要です。4Pと4Cは対になっています。

顧客価値と製品、コストと価格、利便性と流通、コミュニケーションとプロモーションで組み合わせて考えましょう。

この組み合わせで考えた時に、矛盾が生じた際は、マーケティング戦略の組み直しも必要となります。

4:BtoBマーケティングの場合では5Pも活用する

マーケティングミックスの中で4Pが語られることがありますが、昨今、BtoBマーケティングの場合は、4Pプラス1Pで5Pの活用を提示する声もあります。

それぞれ定義が異なりますが、5Pとしてあがっているのは、People(人)、Popularity(人気)、Process(業務プロセス)です。

マーケティングミックスにおける4Cと3Cの違い

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マーケティングミックスでは、4P、4C、など様々なフレームワークを用います。その中で、4Cと3Cの違いをお伝えします。

3Cとは、市場・顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の頭文字をとったフレームワークです。4Cと異なるのは、4Cは顧客視点なのに対し、3Cは売り手視点のフレームワークであることです。

マーケティングミックスの企業事例5選

これまでは、マーケティングミックスの意味や代表例、マーケティング戦略での位置付けについてご紹介しました。

ここからは、マーケティングミックスに成功している企業事例を5選紹介します。

1:大手生命保険会社

保険商品の販売をすべてインターネット販売に切り替えているライフネット生命の事例です。対面販売をやめて人件費や事務所の賃貸料を減らし、そのぶん保険商品の価格を値下げしています。

競合とは別のターゲット設定、プライスは明確に安価で、プロモーションや流通はインターネットで拡大して広がっていくため、契約や保険内容に関する問い合わせ対応のコールセンターは夜遅くまで対応するなど、4Pの掛け合わせを上手く組み合わせています。

2:SaaS型クラウドサービスを開発・運営する企業

買い切り型のシステムが多く、クラウドサービスやサブスクリプションが浸透していない分野で、いちはやくSaas型のクラウドサービスを開発・販売しているfreee株式会社は、現在でも販売シェアを広げています。

月額固定で価格も安価なため、専門知識をもっていないユーザーや、中小企業でも導入しやすく、インターネット上で完結できるため、4Pに相乗効果を与えている事例として紹介します。

3:大手コーヒーチェーン店

スターバックス コーヒーは世界各地に店舗がありますが、4Pのプロダクトの設定が競合とは大幅に異なります。価格も高額に設定し、プロモーションはほとんど行わず、店頭看板や口コミのみで、先に紹介している2社とは全く異なるマーケティングミックスを実施しています。

競合とは一致しないプロダクトの設定により、プライスを高額に設定可能となり、プロモーションに力を注がなくても、プレイス(流通)で集客を見込める、ほかにはない4Pの活用事例です。

4:化粧品・医薬品・医薬部外品の通信販売業企業

続いて、化粧品や医薬品・医薬部外品を販売する再春館製薬所の事例をご紹介します。プロダクトは化粧品のため、女性が中心となりますが、プライス(価格)は通常よりかなり高額で設定されています。

プロモーションは、ドモホルンリンクルで有名なテレビのCMや、新聞、折り込みのチラシなど、広告宣伝費用は多額の資金を投入しています。広告宣伝により、見込み顧客を獲得した後は、オペレーターがお客様に寄り添ったコミュニケーションをとり、悩みを解決します。

4Pにプラス1PでPeople(人)を考えることで、ロイヤル顧客が多くリピート販売で収益の拡大に繋げています。

5:印刷・広告の運営企業

最後に、ラクスル株式会社の事例をご紹介します。

プロダクトとしては、中小企業や店舗、個人といった今までにない客層をターゲットとしており、印刷会社の印刷機が稼働していない時間を使うことで、印刷会社にもメリットのあるサービスを展開しています。

ターゲットとする客層は競合と差別化されており、価格は安価で、利用者のみならず、サービスを提供する印刷会社の影響も少なく、収益が上がるビジネスモデルとなっています。

プロモーションはマスメディアで広告展開していますが、流通(Place)では、インターネット上で注文する独自のビジネスモデルで、4Pの相乗効果を上手に活用している事例といえるでしょう。

マーケティングミックスについて理解してマーケティングを進めよう

これまで、マーケティングミックスとはどういう意味なのか、マーケティングミックスを実施する上での代表的なフレームワーク、マーケティング戦略の流れでの位置付けや、成功事例を紹介してきました。

マーケティングをすすめていく上で、マーケティングミックスは欠かせないでしょう。4P、4Cを正しく理解し、活用することで、今後のマーケティング活動をすすめていきましょう。

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