マーケティングリサーチを行う手法|調査する方法もあわせて解説
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マーケティングリサーチを行う手法|調査する方法もあわせて解説

記載されている内容は2021年08月25日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。

また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

初回公開日:2021年08月25日

更新日:2022年03月03日

マーケティングリサーチにはどのような手法があるのでしょうか。本記事では、マーケティングリサーチを行う手法やマーケティングリサーチによる分類、マーケティングリサーチを行う方法などを紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

マーケティングリサーチとは

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マーケティングリサーチとは、企業のマーケティング活動をサポートするための調査や分析です。マーケティングを行う場合、自社がターゲットとするべき顧客層や既存顧客、新商品の適正価格など、さまざまな解決するべき問題が発生します。

マーケティングリサーチには、このようなマーケティング課題に対する意思決定を助ける役割があります。ここではマーケティングリサーチについて詳しく紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

1:行う必要性について

マーケティングリサーチは現状の市場を把握したり、開発中の商品やサービスが売れるかどうか予測したりするために必要な調査です。また、マーケティングプロセスによって必要となるマーケティングリサーチの種類は異なります。

2:行う目的について

マーケティングリサーチは、生活者の意見を知ってマーケティング活動に活かすことが大きな目的です。どのように優れた商品やサービスであっても、消費者が求めていなければ購入に至ることはありません。

そのため、マーケティングリサーチによって生活者のリアルな声を商品やサービスに取り入れることで、マーケティング活動の成功につなげることが大きな目的だと言えます。

3:行う利点について

マーケティングリサーチを行うことで、生活者の生の声を商品やサービスに取り入れることができるため、生活者が受け入れる可能性が高い商品やサービスを開発することが可能になります。また、経営資源を無駄にするリスクも軽減することができるでしょう。

また、消費者も調査に協力することで、自分が求めている商品やサービスが開発されることを後押しできるといった利点があります。

4:プロセス毎に出てくる課題について

マーケティングプロセスでは、プロセス毎にさまざまな課題が発生します。たとえば「顧客の不満やニーズを明らかにしたい」「自社がターゲットとするべき顧客層を分析したい」など、フェーズによってさまざまな課題が発生するため、実施すべきマーケティングリサーチも異なってきます。

適切なマーケティングリサーチを行うことで、課題を解決するための有効な意思決定を後押しできるでしょう。

マーケティングリサーチと市場調査の違い

市場調査は数値やデータによって市場把握するものですが、マーケティングリサーチは現状の市場の把握だけでなく、将来的な市場動向まで予測するものです。そのため、市場調査はマーケティングリサーチに含まれていると言えるでしょう。

ただし、マーケティングリサーチと市場調査は同義の言葉として用いられることも多いため、明確に住み分けがなされているわけではありません。

マーケティングリサーチを行う14個の手法

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マーケティングリサーチは、企業が行うマーケティングプロセスのあらゆる段階において、意思決定を行うための重要な情報収集手段として用いられています。また、リサーチの方法にもさまざまなバリエーションが存在しています。

ここではマーケティングリサーチを行う14個の手法について紹介していきますので、どのような手法があるのか、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。

定量調査

マーケティングリサーチの手法は、主に「定量調査」と「定性調査」の2種類に大きく分けることができます。定量調査とは調査結果を数値として集計、分析することができる調査のことで、アンケートなどによって収集した情報を使用して分析を行います。

ここでは、まずは定量調査のマーケティングリサーチ手法を紹介していきます。

1:郵送調査

郵送調査とは、調査対象者の住所にアンケートを送付し、回答を記入の上で返送してもらうマーケティングリサーチ手法です。郵送調査は調査費用を抑えて調査を実施することができるというメリットがありますが、回答の回収率が低いのがデメリットでしょう。

郵送調査は相手の住所がわかっていれば行うことができるため、学校や自治体などが主体となって行う場合によく用いられます。

2:会場調査(CLT)

会場調査(CLT)とは、会場に調査対象者を集め、商品やサービスを利用してもらい、その場でアンケートに回答してもらうマーケティングリサーチ手法です。

調査対象者に同一条件で商品やサービスを試してもらうことができ、他の手法に比べて短時間で情報収集できるというメリットがあります。ただし、会場の手配や展示物を準備しなければいけないといったデメリットもあるでしょう。

3:インターネット調査

インターネット調査とは、インターネットを使って情報収集を行うマーケティングリサーチ手法です。インターネット調査では、事前に調査モニターとして登録しているユーザーに回答してもらうクローズ型が主流となっています。

インターネット調査はフィールドから調査までが短期間で終了するというメリットがありますが、調査モニターが20~30代に偏っているといったデメリットもあります。

4:ホームユーステスト (HUT)

ホームユーステスト (HUT)とは、調査対象者の住所へ商品やサービスを送付し、利用してもらうことで回答を収集するマーケティングリサーチ手法です。会場調査と違って自宅に送付することから、日常生活の中で利用してもらいたいような商品やサービスで用いられます。

そのため、厳重な管理を行わなければいけないような商品やサービスの場合は、会場調査の方が良いでしょう。

5:訪問調査

訪問調査とは、調査対象者の自宅や職場などに訪問して調査を行うマーケティングリサーチ手法です。訪問調査には、質問紙を使用してインタビューする「質問紙法」、質問紙を使用せずにインタビューする「ディテールド法」などの種類があります。

訪問調査は調査員を使って行われるため、質問内容やボリュームなどの制限が少ないです。その一方で、オートロック設備付きのマンションの増加などによって調査を行うことが厳しくなってきています。

6:街頭調査

街頭調査とは、調査員が街頭で調査対象者を選別し、同意を得た上でアンケートなどを路上で行うマーケティングリサーチ手法です。街頭調査では特定の地域に限定した調査が実施できます。

また、駅や店頭などで実施される街頭調査の場合、「駅頭調査」や「店頭調査」と呼ばれるケースもあります。

7:FAX・電話調査

FAX・電話調査とは、調査対象者にFAXや電話をかけることで質問に回答してもらうマーケティングリサーチ手法です。電話調査の場合は音声のみでも理解できるような簡単な内容に限られます。

FAX・電話調査は調査対象が地域に左右されず、効率的に情報収集を行うことができるでしょう。しかし、近年では電話帳に電話番号が掲載されていない世帯も多くなってきています。

定性調査

定性調査とは、インタビューや観察などによって数値として表現することが難しい調査対象の意見や行動に関する情報を収集し、購買に至るまでのプロセスや意識、因果関係などを分析する調査のことです。

つまり、定性調査は生活者の心理や背景などを探る調査だと言えるでしょう。ここでは定性調査のマーケティングリサーチ手法を紹介していきます。

8:訪問観察調査

訪問観察調査とは、調査員が調査対象者の自宅などを訪問し、現場で観察した事実に即してデータを収集するマーケティングリサーチ手法です。訪問観察調査では直接調査対象者を観察するため、精度の高いデータを取ることができます。

一方で、訪問観察調査だけでは「なぜそのような事実に至ったのか」といった事実を引き起こした背景データまでは得ることはできないでしょう。そのため、調査担当者のスキルによってデータの価値が左右されます。

9:日記調査

日記調査とは、調査対象者に一定期間日記システムなどを利用して商品やサービスの感想を記録してもらうマーケティングリサーチ手法です。日記調査では一定期間記録してもらうことになるため、調査対象者の気持ちの変化まで把握することが可能になります。

近年ではスマホを利用することで、手軽に日記調査に回答することができます。また、他の調査を組み合わせて実施することで、より詳細に消費者の実態を調査できるようになるでしょう。

10:デプスインタビュー

デプスインタビューとは、インタビュアーと調査対象者が1対1のインタビュー形式で行われるマーケティングリサーチ手法です。デプスインタビューはさまざまな種類がある定性調査の中でももっとも代表的な手法となっています。

1対1でインタビューを行うことにより、調査対象者の深層心理を深く掘り下げていくことができるでしょう。

11:MROC調査

MROC調査とは、特定のテーマに興味を持つ調査対象者にオンラインのコミュニティに参加してもらうことでアンケートなどを行うマーケティングリサーチ手法です。

MROCは「Market Research Online Community」の略称で、日本では1~2か月程度の期間で20~100人程度のコミュニティで実施されるケースが多いです。

MROC調査では地理的な制限なく参加者を募れると言ったメリットがあります。

12:グループインタビュー

グループインタビューとは、モデレーターと呼ばれる進行役と複数の調査対象者との座談会のような形式で行われるマーケティングリサーチ手法です。

グループインタビューも定性調査における代表的な手法で、モデレーターの進行によって調査対象者が自由に発言を行い、調査内容に関する仮説を導き出します。

グループインタビューにはさまざまな意見が得られるというメリットがありますが、場合によっては他の方への遠慮などによって話題が深まらない可能性もあります。

13:覆面調査(ミステリーショッピングリサーチ)

覆面調査(ミステリーショッピングリサーチ)とは、顧客を装った調査員が小売店や飲食店などの接客現場に出向いてスタッフの対応を観察、評価するマーケティングリサーチ手法です。

覆面調査では、清掃や陳列状況、接客態度などさまざまな細かい項目で評価が行われます。もともとは従業員の監視を目的として行われていた調査ですが、近年では顧客の満足や不満足の要因を調査するために用いられるケースが多いです。

14:ディテールドインタビュー

ディテールドインタビューとは、あらかじめ用意した話題リストに沿って進めるインタビュー形式のマーケティングリサーチ手法です。前述の「デプスインタビュー」の別名としても用いられます。

インタビューを行う際に拡張探査法の原則を取り入れる場合、事前にさまざまな話題の枝分かれを想定する必要があり、話題リストの内容が広範囲となります。そのため、ディテールドインタビューと呼ばれています。

マーケティングリサーチによる分類

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実際に調査を実施する場合、代表的な調査手法としてここまで紹介した定量調査や定性調査が該当する「アドホック調査」と、継続的にアンケートに回答してもらう「パネル調査」に分類することができます。

ここではマーケティングリサーチによる分類について、それぞれ紹介していきます。

アドホック調査について

アドホック調査とは、調査設計や調査の実施、集計、分析といった作業が1回で完結する単発調査のことを指します。アドホック調査には本記事でも紹介した「定量調査」や「定性調査」があり、目的に合わせて調査はカスタマイズされたり、オーダーメイドで作成されたりします。

パネル調査について

パネル調査とは、調査対象者を一定期間固定して継続的に行う調査のことを指します。一定期間同じ調査対象者からの回答を収集し、分析することにより、特定の商品をどのようなチャネル、頻度でどのくらい購入したのかを明らかにすることができるでしょう。

パネル調査の例としては、調査対象者に購入商品の記録を行ってもらう消費者パネル調査や、調査対象の店舗からPOSデータを収集する小売店パネル調査などの種類があります。

マーケティングリサーチを行う方法8つ

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実際に自社のマーケティング課題を解決するためにマーケティングリサーチを実施する場合、どのように行えば良いのでしょうか。マーケティングリサーチは多くの場合、「企画」「調査票作成、実査」「分析」のような流れで実施されます。

ここでは最後に、マーケティングリサーチを行う方法8つを紹介していきます。

1:企画を行い課題点を明確にする

企画のフェーズでは、自社のマーケティング課題の洗い出しを行い、課題を抽出しましょう。

マーケティングリサーチはマーケティング課題の解決を行うための有効な意思決定のサポートを行うことを目的としているため、まずはどのような課題を解決したいのかを明確にすることが重要です。

2:仮説を立てておく

マーケティング課題を明確にしたら、次に仮説を立てましょう。調査を行う際には課題に対する仮説を構築することで、仮説を調査の道しるべにすることができます。

構築した仮説によって調査内容や調査結果なども変わってくるため、仮説は内容が偏っていたり、漠然とした内容になっていたりしないことが重要です。

3:調査設計のポイントを押さえる

マーケティング課題を明確にし、仮説を構築したら、次に調査設計を行いましょう。調査設計では、「どうやって」「誰に」「何を」という3つのポイントを押さえることが重要です。

「どうやって」は「調査方法」のことで、必要な情報の性質について検討します。「誰に」は「対象者の条件」のことで、調査対象者を誰にすべきか、「何を」は「調査項目」のことで、具体的に必要な情報は何なのかとセットで検討することになります。

4:定性と定量の組み合わせを考える

マーケティングリサーチで用いられる調査手法は、必ずしも1種類でなければいけないというわけでもありません。

また、定性調査と定量調査はそれぞれ異なった役割を持っているため、調査を組み合わせて実施することでより目的にマッチした精度の高い調査を行うことも可能になります。

そのため、定性調査と定量調査を組み合わせて実施することも検討しましょう。

5:アドホック調査とパネル調査の組み合わせを考える

本記事でも紹介した通り、マーケティングリサーチにはさまざまな手法が存在しています。また、定性調査と定量調査の組み合わせと同様に、アドホック調査とパネル調査のどちらか1つを選ばなければいけないということもありません。

そのため、より目的に合った調査を行うために、アドホック調査とパネル調査を組み合わせて実施することも検討しましょう。

6:対象者の条件は具体的に決める

調査対象者の条件は曖昧なものは避け、具体的に設定するようにしましょう。たとえば、「ビールを飲む人」ではなく「ビール(発泡酒や新ジャンルは含まない)を自宅で週に3回以上飲む人」といった風に、細かい条件を設定します。

また、調査対象者の条件設定に合わせて、何人からデータを収集するのかも検討しておきましょう。もちろん、調査対象の母集団は大きい方が精度は高まりますが、大きいほどコストがかかります。

7:調査票の作成と実査を行う

調査したい内容を調査項目として決定し、設問の順番を検討して調査票を作成しましょう。設問の順番は調査対象者が答えやすく、過去から現在、未来といった流れで思考を妨げない順番になるような構成にしましょう。

また、調査票が作成できたら実際に調査を行っていきましょう。

8:収集したデータの分析を行う

目的を達成するために、実査によって収集したデータの分析を行いましょう。分析方法にもクロス集計などのシンプルなものから複数の変数を使用して行われる多変量解析などさまざまな種類があるため、目的の達成にマッチした分析手法を選択する必要があります。

また、マーケティングリサーチの目的はマーケティング活動の意思決定をサポートすることが目的となっているため、分析結果は正しく報告することが重要です。

効果が上がるマーケティングリサーチを行おう

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マーケティングリサーチとはマーケティング活動をサポートするための調査です。

ぜひ本記事で紹介したマーケティングリサーチを行う手法やマーケティングリサーチによる分類、マーケティングリサーチを行う方法などを参考にしてください。

効果的なマーケティングリサーチで、マーケティング課題の解決を目指しましょう。

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