マーケットインとは?4つのメリット・デメリットを紹介!
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初回公開日:2021年09月24日
更新日:2022年03月03日
マーケットインとプロダクトアウトの違いとは?
自社製品やサービスを市場に投入する際のポイントに、「マーケットイン」と「プロダクトアウト」という2つの概念があります。
マーケットインとは、顧客のニーズをポイントに自社のビジネスを展開することです。一方、プロダクトアウトは自社の商品やサービスを基準に開発を進めることです。
そのため、マーケットインは顧客のニーズを優先する概念で、プロダクトアウトは自社が作りたいものを優先するという概念であるという点が違います。
マーケットインの4つのメリットとは?
マーケットインは顧客のニーズに注目し、自社が作りたいものではなく顧客のニーズが高いものを重視して開発していくものです。つまり、「売れるものを作る」ことがマーケットインとなりますが、マーケットインにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
ここではマーケットインの4つのメリットについて紹介していきます。
1:顧客のニーズに合った商品を作れる
マーケットインはターゲットとする市場の顧客ニーズをあらかじめ調査、分析したうえで商品やサービスを開発するというものです。そのため、顧客ニーズが高いものをピンポイントに開発することができるため、顧客が求めているものを市場に投下することができます。
顧客にしてみれば企業が自分の欲しいものを開発して提供してくれるため、顧客ロイヤリティを向上させることができます。
2:低リスクで短期間の開発が可能
マーケットインではあらかじめ市場のニーズを把握した状態で商品やサービスを開発することから、最小限のリスクで商品開発を行うことができます。また、顧客が求めているものを開発すればよいため、商品開発にかかる期間も短期間で済みます。
プロダクトアウトよりも短い期間で顧客にアプローチすることができる点は、マーケットインの大きなメリットだと言えるでしょう。
3:開発目標の設定がしやすい
マーケットインでは、最初から顧客が求めているものを開発するというスタンスで商品開発を行うことになります。市場分析が完了した時点で、顧客が求めているものがわかります。
そのため、どのようなものを開発すればよいのかわかりやすく、開発目標の設定もしやすいです。マーケットインであれば、製品開発までのスケジュール設定や製品のスペック設定などがスムーズに行えるでしょう。
4:売上予測がしやすい
マーケットインは企業が開発したいものではなく、市場ニーズを満たすための商品やサービスを市場に提供することになります。ターゲットとする市場ニーズをとらえたモノを提供できるため、売上予測も行いやすくなるでしょう。
商品やサービスの開発には大きなコストがかかりますが、マーケットインであれば事前に売上予測が立てやすいことから、利益が出ることを見越した商品開発が行えます。
マーケットインの4つのデメリットとは?
マーケットインは顧客ニーズの高い商品やサービスをピンポイントに開発、提供するという概念です。そのため、非常にメリットが大きいように思えますが、一方でデメリットも存在しています。
ここではマーケットインの4つのデメリットについて紹介していきますので、どのようなデメリットがあるのか参考にしてみてください。
1:斬新的なヒット商品は生まれない
マーケットインは市場のニーズを調査したうえで、ニーズを満たす商品を提供します。そのため、ある程度顧客が想定しているような商品やサービスが生まれやすく、ヒット商品の開発には繋がりにくいと言えるでしょう。
特にマーケットインでは斬新な大ヒット商品の誕生は期待できません。市場調査や製品開発に費用を掛けたわりに、大きな利益に繋がりにくいのはマーケットインのデメリットだと言えるでしょう。
2:他社の商品と似てしまう
市場のニーズを調査して商品開発を行っている企業は多いです。そのため、マーケットインではどうしても他の企業と似た商品やサービスが生まれやすくなります。
また、マーケットインの場合は自社の技術力で勝負するわけではないため、模倣も比較的容易になります。そのため、業界を変えるようなイノベーティブな開発を行いたい企業には向いていないと言えるでしょう。
3:自社の固定ファンがつきにくい
マーケットインでは市場や顧客のニーズが重要視されるため、企業としてのこだわりや技術力を商品開発に活かすことができません。そのため、自社製品に固定のファンがつきにくくなります。
自社をブランディングしにくい点は、マーケットインのデメリットだと言えるでしょう。
4:自社製品の軸がブレやすい
マーケットインでは、市場や顧客のニーズを満たすことだけを考えて開発が行われる傾向にあるため、自社製品の軸がブレやすいです。固定のファンがつきにくくなる理由でもありますが、自社の方向性に一貫性がなくなりやすい点には注意が必要です。
マーケットインの3つの成功事例
マーケットインにはメリットもデメリットもありますが、うまくマーケットインのメリットを生かすことで、ヒット商品を生み出した事例もあります。
ここではマーケットインの3つの成功事例を紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
1:ビジネスマンの飲み物の需要に応えた事例
アサヒ飲料では、市場調査によってビジネスマンが朝デスクに着いた際に朝食と一緒にコーヒーを求めていることに注目し、缶コーヒーの「ワンダ・モーニングショット」を開発しました。
また、「朝専用の缶コーヒー」と銘打ってワンダ・モーニングショットを売り出したことから、発売から10年以上経過した現在でも多くのビジネスマンの朝の定番の缶コーヒーとして親しまれています。
2:顧客の痩せたいという需要を元にしたサービスの事例
ライザップは痩せたくてもダイエットがなかなか続かない顧客のニーズに注目し、生まれたサービスです。
ライザップではマンツーマンのトレーニングや食事制限、栄養指導など徹底的にダイエットをサポートしており、一人ではダイエットができない人でも痩せられるプログラムを提供しています。
そのため、ダイエットを希望している幅広い年齢性別の顧客から人気になりました。
3:顧客の需要のある流行を積極的に取り込んで伸ばした事例
USJでは開業当初、ハリウッド映画のみに特化したテーマパークでしたが、顧客ニーズの高い流行を取り入れてエリア設計を見直しました。
当初のコンセプトでは顧客ニーズにマッチしていなかったため、収益が伸び悩んでいました。そのためマーケットインの発想を取り入れ、人気のあるアニメやハリーポッターとコラボを行ったことで、収益を回復して過去最高の集客を行うことにも成功しています。
マーケットインとプロダクトアウトの対比は時代遅れ?
マーケットインとプロダクトアウトは、企業が商品やサービスを開発する際にそれぞれ対比する概念として比較されることが多いです。
しかしさまざまな消費者ニーズが存在するようになった現代において、顧客から選ばれる商品やサービスを提供するためには、この2つの概念のみを考えるという点自体がすでに時代遅れだと言えるでしょう。
マーケットインとプロダクトアウトは同時に行えないというわけではないため、どちらか一方を選択しなければならないということもありません。そのため、マーケットインとプロダクトアウトを対比して考えを見直す必要があると言えるでしょう。
マーケットインとプロダクトアウトを融合した分析方法を紹介
マーケットインとプロダクトアウトはどちらか一方を選択するのではなく、この2つを融合することが大切です。また、この2つの概念を融合した分析を行えるフレームワークも存在しています。
ここでは最後に、マーケットインとプロダクトアウトを融合した分析方法について紹介していきます。
4P分析とは?
4P分析とは、Product(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(販促)という4つのPを分析するフレームワークです。4P分析は企業側の視点をベースとしているため、プロダクトアウトの概念を利用した分析方法だと言えます。
4P分析では、どのような商品を、どのような価格や流通で、どのように販促しているのかを検討することができます。
4C分析とは?
4C分析とは、Customer Value(顧客価値)、Cost(経費)、Convenience(顧客利便性)、Communication(顧客対話)という4つのCを分析するフレームワークです。
4C分析は4P分析と違い、顧客側の視点をベースとするマーケットインの概念を利用した分析方法です。4C分析では顧客視点で顧客が受ける価値や顧客が費やす費用、顧客にとって入手しやすい状況、顧客とのコミュニケーションが取れているかといった点を検討します。
マーケットインとプロダクトアウトを活用する
マーケットインとプロダクトアウトはモノやサービスを開発するうえで重要な概念です。
ぜひ本記事で紹介したマーケットインとプロダクトアウトの違いやマーケットインのメリットとデメリット、マーケットインの成功事例などを参考に、マーケットインとプロダクトアウトという2つの概念を自社のマーケティングに活用してみてはいかがでしょうか。