ターゲティングとは?フレームワークと戦略策定のポイントについても紹介
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初回公開日:2021年08月25日
更新日:2024年05月31日
マーケティングにおけるターゲティングとは?
ターゲティングとは、セグメンテーションを行った上で自社の強みが活かせる場所(ターゲット)を絞り込み、マーケティング戦略を立てるマーケティングプロセスにおける工程です。
ターゲティングは顧客の年齢やニーズ、趣味嗜好などの要素によって絞り込みを行い、属性によって市場を細分化していきます。ターゲティングを行うことによって、セグメンテーションした市場の中から標的となる市場を見極めることができるでしょう。
なぜターゲティングが重要なのか
マーケティングプロセスの中でも、ターゲティングはセグメンテーションによって限定した市場の中で、さらに自社の商品を購入する可能性のある顧客層を絞り込む重要なフェーズです。
そのため、ターゲティングが誤っているとそれ以降の戦略にも誤りが生じ、全てのビジネスが失敗してしまう可能性もあります。
このようにターゲティングは、マーケティングにおいて非常に重要な役割を持つため、ターゲティングは適切に行う必要があります。
STP分析とは
STP分析とは、マーケティングプロセスの「セグメンテーション」、「ターゲティング」、「ポジショニング」という3つの段階の頭文字を取ったフレームワークです。
STP分析では市場を属性ごとに細分化し、施策を実施するターゲットを絞り込み、自社の強みが発揮できるポジションを検討します。適切なSTP分析を行うことにより、競合他社との競争を避けることも可能になるでしょう。
ここではSTP分析の3つの段階をそれぞれ紹介していきます。
セグメンテーション(Segmentation)
セグメンテーション(Segmentation)とは、市場や消費者をさまざまな属性によって分類していく作業です。マーケティング戦略を立てるための土台となる工程だと言えるでしょう。
セグメンテーションでは、主に「地理的変数」「人口動態変数」「心理的変数」「行動変数」という4つの基準を使用して市場を細分化します。セグメンテーションを行うことによって、自社がアプローチするために適切な市場を選定することができるのです。
ターゲティング(Targeting)
ターゲティング(Targeting)とは、セグメンテーションした分類の中から自社の製品やサービスの強みが活かせるターゲットを見つける作業です。
消費者のニーズや競合といった要素を考慮し、ターゲットの絞り込みを行っていきます。セグメンテーションによって消費者を分類し、その中からターゲティングし、対象とする消費者を選ぶという流れです。
ポジショニング(Positioning)
ポジショニング(Positioning)とは、ターゲットに対して自社の製品やサービスの魅力を認識してもらう作業です。
ポジショニングは他社との差別化を図るのではなく、自社がどの立ち位置で活動するのかを検討するもので、ターゲットに自社の価値を知ってもらうための段階だと言えます。
ポジショニングを正しく行い、ターゲットにとって他社と比較するまでもないブランドになることが、他社に勝てる状態へとつながるでしょう。
ターゲティング設定で重要なフレームワーク6R
ターゲティングを実施する際には、「Realistic Scale」「Rate of Growth」「Rival」「Reach」「Rank/Ripple Effect」「Response」の6つのフレームワークがポイントになります。
ここではターゲティング設定で重要なフレームワーク6Rを紹介していきます。どのようなフレームワークがあるのか参考にしてみてください。
1:見込みのある市場の規模か(Realistic Scale)
「Realistic Scale(見込みのある市場の規模か)」は、自社商品やサービスが売れる見込みのある市場規模でなのかどうかを検討するフレームワークです。また、単純に成約が見込めるというだけでなく、その市場規模でビジネスが成り立つかどうかまで見る必要があります。
商品が売れても市場規模が小さすぎると、将来的にはビジネスとして成り立たなく可能性もあります。一方、市場規模は大きすぎると競合他社も多いため、適切な顧客が確保できる規模の市場を選ぶことが大切です。
2:市場の成長性はあるか(Rate of Growth)
「Rate of Growth(市場の成長性はあるか)」は、長くその市場で事業を展開するために市場の成長性を検討するフレームワークです。たとえば市場がまだ成長過程にある場合、将来的には売り上げがアップしていくことも期待できるでしょう。
一方で、すでに成熟している市場の場合は、将来的には衰退していく可能性があります。そのため、将来的にも成長が見込める市場を選ぶことが大切です。
3:競合の状況はどうか(Rival)
「Rival(競合の状況はどうか)」は、市場内に競合他社がいるかどうかを検討するフレームワークです。当然ですが、市場に競合他社がいない状態がベストと言えます。
まだどの企業も開拓していないような市場であれば、競合を気にせずに参入することもできるでしょう。また、自社が参入することで市場を拡大し、確固たる地位を築くことも期待できます。
4:顧客に到達できるか(Reach)
「Reach(顧客に到達できるか)」は、そもそも顧客にリーチできないセグメントをターゲットから外すためのフレームワークです。たとえば、地理的な事情などから自社の商品を購入できない顧客に対してマーケティングを行ったとしても、効果を期待することはできません。
そのためこのフレームワークでは、そのセグメントに対して自社の製品やサービスが到達できるかどうかを検討します。
5: 波及効果はあるか(Rank/Ripple Effect)
「Rank/Ripple Effect(波及効果はあるか)」は、商品が売れた場合に見込める周囲への影響力を検討するフレームワークです。たとえば、SNSで紹介されやすい市場であれば、売れた商品の拡散効果が期待できます。
また、インフルエンサーに取り上げてもらえれば、自社で広告などを出さなくても商品の宣伝ができ、商品がヒットする可能性もあります。
6:顧客の反応を測定できるか(Response)
「Response(顧客の反応を測定できるか)」は、アクションに対してどのくらいの効果があったのかを具体的に測定できるのか検討するフレームワークです。
たとえばWeb広告を出したことによって、どのくらいの人が実際にサイトを訪問したのかを測定することができれば、その後のマーケティングにも役立ちます。
ターゲティング後に戦略を策定する際のポイント4つ
ターゲティングは、あらゆるビジネスのスタートポイントとも言える重要な工程です。入念なターゲティングを行うことで、その後のビジネスや、戦略の策定の成功へつなげることができるでしょう。
それでは、戦略を策定する際にはどのような点が重要になるのでしょうか。ここではターゲティング後に戦略を策定する際のポイント4つを紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
1:ターゲットの特性を理解する
まずはターゲットとなる顧客の特性を把握しましょう。ターゲットの特性によって、その後のポジショニングの際に決める自社の立ち位置や、マーケティングミックスでの最適な組み合わせが変わってきます。
2:アプローチの手法を具体的に策定する
ターゲットが明確になったら、ターゲットに対するアプローチの手法を具体的に決めましょう。
アプローチの手法を検討する上では、「製品(Product)」「価格(Price)」「流通(Place)」「プロモーション(Promotion)」の4つのPに対して、ビジネスが成り立っているかどうかを考える必要があります。
アプローチの方法にも、訪問や宣伝広告などさまざまな手法があります。たとえばテレアポの場合、ただやみくもに電話をかけると効率が悪くなりますが、正しくターゲティングをした上で行えば、直接効果が出やすいアプローチ手法だと言えるでしょう。
3:策定した施策へリソースを集中的に投入する
ターゲットとアプローチ手法が定まったら、策定した施策へ営業リソースを集中的に投入しましょう。ターゲティングが正しくできていた場合、営業リソースを集中投下することによって、最大限の効果を得ることができるでしょう。
4:自社のコスト面も加味して策定する
戦略やアプローチ方法を検討する場合、ターゲットの特性だけでなく自社のコスト面についても考慮することが重要です。経済的なコストや自社のマンパワーといった要素も総合的に加味することで、アプローチ自体が自社の経済的な負担にならないように注意しましょう。
戦略的なターゲティングのメリット3つ
ターゲティングを行わずに顧客へアプローチを行ったとしても、あまり利益にはつながりません。しかし戦略的なターゲティングを行うことによって、顧客拡大や利益拡大などさまざまなメリットが得られます。
ここでは戦略的なターゲティングのメリット3つを紹介します。参考にしてみてください。
1:既存顧客の顧客単価アップ
戦略的なターゲティングを行うことにより、既存顧客の客単価を上げて売り上げをアップすることも可能になります。顧客単価を上げる方法としては、利用中のサービスのアップグレードや競合他社から自社のサービスへの乗り換えなどが考えられます。
これらの方法で顧客単価を上げるためには、ターゲティングを正確に行ったり、顧客からヒアリングして悩みを解決することが重要です。
2:新規の顧客の獲得
戦略的なターゲティングを行うことにより、新規顧客を獲得することが可能になります。新規顧客が獲得できれば、それだけ売り上げもアップします。
ターゲティングが的確にできていれば、成約の可能性が高い顧客へ営業をかけることができるため、コストを抑えて最大の効果を上げることができるでしょう。
一方で、ターゲティングを行わずに営業活動を行っても、見込みがない層も含めて営業してしまうため、無駄なコストがかかります。
3:効率的な施策の立案
戦略的なターゲティングを行うことにより、ターゲティングを行わない場合よりも現実的で効率的な施策の立案が可能になります。
ターゲットがどのような不満や悩みを持っているのか、どのような時間に何をしているのかといった点を考慮することにより、効率的なアプローチができるようになるでしょう。
ターゲティングを活用したマーケティング戦略の成功事例
これからターゲティングを行ってマーケティング戦略を立案していこうと考えている場合、どのような成功事例があるのか知っておくことも重要です。
ここでは最後に、ターゲティングを活用したマーケティング戦略の成功事例を2点紹介していきます。
大手家電メーカーの電動歯ブラシの例
大手家電メーカーでは、従来であれば高齢の男性をターゲットとしていた電動歯ブラシのターゲットを、20代~30代の職場で歯磨きをする女性に変更しました。
また、従来の電動歯ブラシの「音が大きくうるさい」といったイメージを覆すために、化粧ポーチに入るサイズで可愛らしいデザインの電動歯ブラシをリリースしました。その結果、電動歯ブラシはヒット商品となったのです。
人気ボディローションの例
某人気ボディローションはもともと、ターゲットを20代~30代の海に行く男性にしていましたが、海へ行く人が減少してきていたことから、ターゲットを街にいる女子高生に変更しました。
また、肌をひんやりさせる効果ではなく、汗のにおいを抑える効果をアピールポイントに変更したことで、従来よりも売り上げをアップさせることに成功しました。
マーケティングにおけるターゲティングについて知識を深めよう
ターゲティングは、ビジネスを成功させる上で非常に重要なスタートポイントとなります。
ぜひ本記事で紹介したマーケティングにおけるターゲティングの重要性や、ターゲティング設定で重要なフレームワーク、ターゲティング後に戦略を策定する際のポイントなどを参考にして、マーケティング戦略に活かしてみてはいかがでしょうか。