アソシエーション分析の効果や特徴とは?活用シーンも併せて解説
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初回公開日:2021年10月28日
更新日:2022年03月01日
マーケティングにおけるアソシエーション分析の効果
アソシエーション分析とは、主に購買データを基に消費者の購買行動の中にある関連性を見つけ出す分析手法です。「もし~だったら~になるであろう」という関連性を見つけ出すことができます。
マーケティングにおけるアソシエーション分析では、店頭で顧客が持っている購入かごの中身を推測するような効果があります。
商品同士の関連性を探ることにより、「商品Aを購入する場合は商品Bも一緒に買う可能性がある」ということを予測できるようになるため、販売戦略を検討する上で役に立ちます。
アップセル効果がある
アップセルとは「より高額な商品の購入」を意味する言葉です。マーケティングにおけるアップセルは、商品の購入を検討している顧客やすでに商品を購入したことがある顧客により高額な上位商品に乗り換えてもらい、顧客単価を上昇させることを意味します。
アソシエーション分析を行うことによって同時に売れた商品の傾向を分析することができるため、同時にセールを実施するなどの施策を講じることで、アップセルによる顧客単価の向上も目指すことができます。
クロスセル効果がある
クロスセルとは「併売」を意味する言葉です。マーケティングにおけるクロスセルは、商品の購入を検討している顧客に対して別の商品もセットで購入してもらうことを意味します。
アソシエーション分析を行うことによって一緒に購入されている併売商品を分析することができるため、併売傾向が高い商品と近くに陳列するといった施策を実施することにより、クロスセルによる売り上げアップが期待できます。
アソシエーション分析を知る上で重要な3つの要素
アソシエーション分析は「連関分析」とも呼ばれるもので、何と何が一緒に購入されているかを分析することにより、売り上げ向上のための施策を検討することができます。アソシエーション分析を実施する場合は、いくつかの重要なポイントについて押さえておく必要があります。
ここではアソシエーション分析を知る上で重要な3つの要素を紹介していきますので、参考にしてみてください。
1:「共起性の指標」について
アソシエーション分析では「共起性」と呼ばれる同時に起こる性質を判断する尺度があります。
たとえば、アソシエーション分析でスーパーのレシートのデータを基に同時に購入されやすい野菜について分析を行う場合、分析対象の5人中2人がジャガイモと人参を同時に購入しているとします。
その場合は、ジャガイモと人参の共起性の指標である「共起頻度」は2ということになります。他にも、Dice関数、Jaccard関数、Simpson関数、Cosine関数といったさまざまな指標が存在します。
2:レコメンデーションに使われる3つの指標
アソシエーション分析は顧客に対しておすすめの商品を提案できるレコメンドルールの作成にも役立ちます。レコメンデーションに使われる指標には、「Support(支持度)」「Lift(リフト)」「Confidence(信頼度)」という3つの指標があります。
先ほどの野菜の購入データを基にレコメンドルールを生成する場合は、まずはSupportの%を設定します。Supportが50%の場合は、全体の半分が購入している野菜のみを対象とするということです。
残った野菜のConfidence(同時に購入されている率)と人気度(全体の何人が買っているか)を算出し、Confidenceが60%以上、Lift(リフト)が1以上を採用すると、Confidenceが低い野菜や、人気度よりもConfidenceの小さい野菜は除外することになります。
このように絞り込んでいくことで、何に対して何をおすすめすればよいのかが判断できるようになります。
Supportとは
Support(支持度)とは、何に対して何がどのくらい一緒に売れているかという指標です。全体の中からXもYも纏めて購入される確率を指します。
Supportという指標がなければ、偶然1人の顧客がXとYをまとめて購入していた場合、 Confidence(信頼度)が100%と言うことになってしまい、他の顧客にもレコメンドしてしまうことになってしまいます。
Liftとは
Lift(リフト)とは、売れ筋と判断される商品をどのように扱うかという指標です。「施策の効率性」とも言える指標で、施策を実施することで実施しない場合に比べてどのくらい持ち上がったのかと考えると分かりやすいでしょう。
多くの顧客がすでに購入している商品をレコメンドしても、効果は大きくはありません。そのため、レコメンドすることで効果が期待できる商品であるかどうかをLiftという指標で判断します。
具体的には、Liftが1よりも小さい場合はレコメンドしないというルールとなります。
Confidenceとは
Confidence(信頼度)とは、ある商品(X)とある商品(Y)をどれくらいの人が同時に購入したかを見る指標です。共起性の指標との違いは、ConfidenceではXとYに方向性があるということです。
たとえば、プリンター(X)を購入した人にプリント用紙(Y)をレコメンドするのは問題ないですが、プリント用紙(Y)を購入した人にプリンター(X)をレコメンドするのは方向性に誤りがあると言えるでしょう。
3:Aprioriアルゴリズムについて
Aprioriアルゴリズムとは、Supportが一定以下のアイテムを含む組み合わせの場合は、はじめからConfidenceを計算しないというアルゴリズムです。
ここまでレコメンデーションの1対1の事例を紹介してきましたが、実際のアソシエーション分析では複数同士の組み合わせを検討する必要があります。
すべての組み合わせを計算するには膨大な数の共起計算が必要となりますが、Aprioriアルゴリズムを用いることで、素早く相関ルールを検出できるようになります。
アソシエーション分析の4つの特徴
ここまでアソシエーション分析で用いられる指標などについて解説してきましたが、アソシエーション分析には具体的にどのような特徴があるのでしょうか。ここではアソシエーション分析の4つの特徴を紹介していきます。
1:データマイニングの手法の一つである
アソシエーション分析とはビッグデータのデータマイニングの分析手法の1つです。「もしこうだったら(if)こうなるであろう(then)」を仮定することで、事象同士の関連性を見つけ出す手法となっています。
データマイニングにおいて、アソシエーション分析は顧客の購買行動を予測する際に役立ちます。
データマイニングが注目されている理由
「データマイニング(Data mining)」とは、データを分析してそこから有益な情報を抽出する作業を指します。近年では多種多様なビッグデータを活用できるかどうかによって、企業の発展にも大きな差が出るようになっています。
このようなビッグデータから必要な情報を抽出する方法として、データマイニングは注目を集めています。
データマイニングが持つ役割とは
データマイニングの役割としては、主に「データの分類」「関連性の抽出」「発生確率の予測」という3つがあります。データマイニングによってデータを分類すれば、マーケティング対象を絞り込むことができます。
また、売れる商品の共通点がわかれば陳列にも無駄がなくなり、購入予測を行うことで顧客に的確なレコメンドもできるようになるでしょう。
2:量販小売業におすすめの手法である
アソシエーション分析はもともと店舗が保有しているPOSデータを解析する目的で開発された手法となっており、量販小売業におけるマーケティング施策におすすめの手法です。
POSデータには商品の売れた商品や販売数、販売時間などの記録が残っていますが、商品同士の組み合わせを把握することはできません。しかしアソシエーション分析を利用すれば、商品の相関性も把握できるようになります。
3:アソシエーションルールを抽出する
アソシエーションルールとは、関連性、同時性の高い事象間の相関関係を指す言葉です。アソシエーション分析ではアソシエーションルールを抽出することで評価を行います。
「もしこうだったらこうなる」というアソシエーションルールを抽出することで、マーケティング施策を打つ上での大きなヒントになります。
4:商品やサービスの関連性が見つかりやすくなる
ここまで紹介したとおり、アソシエーション分析では消費者の購買履歴などを分析することにより、商品やサービスの関連性を見つけ出すことが可能です。
一見何の関連もないような商品同士の隠れた関連性を発見することにより、商品の陳列などに活かして売り上げアップの施策を打ち出せるのがアソシエーション分析です。
アソシエーションルールを導き出す5つのポイント
アソシエーションルールを抽出することができれば、マーケティングに活かしてビジネスを拡大することもできるでしょう。しかしアソシエーションルールを導き出すためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。
ここではアソシエーションルールを導き出す5つのポイントを紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
1:調べる目的を明確にする
データ分析を実施する場合、明確な目的を立てずに手持ちのデータでとりあえず分析してみたものの、ビジネスに活かせないまま終わるという失敗パターンは多々あります。
アソシエーション分析を実施する場合は、何のためにデータを抽出するのかという調べる目的を明確化しておきましょう。どのような課題解決のために分析を行うのかがわかっていれば、必要なデータをピンポイントで抽出できます。
2:指標のバランスに確認しながら判断すること
アソシエーションルールは「Support」「Lift」「Confidence」という指標それぞれのバランスを確認しながら、有益なルールであるかどうかを判断しましょう。
先に紹介したとおり、データ上は売れ筋商品であってもLiftが1以下の商品はレコメンドしなくても売れる商品であるため、レコメンドルールとして好ましくありません。
3:現場での応用ができるか念頭に置くこと
アソシエーションルールは実際に現場で応用が利くルールかどうかも念頭に置くことが大切です。アソシエーションルールのみを見ると有益であっても、そのルールを現場で活用できなければ意味がありません。
4:分析対象データの順序を守る
アソシエーション分析では複数の事象間の相関関係を分析するため、「商品Aを購入した人は商品Bも購入する」という因果関係を出すことができます。しかしこの結論が出たからと言って、「商品Bを購入した人は商品Aを購入する」ということにはなりません。
アソシエーション分析を行う場合は、分析対象のデータの順序を守って分析を行いましょう。
5:分析結果における因果関係について仮説を立てること
アソシエーション分析ではすでに当たり前となっているルールが多く抽出されたり、どのように判断すべきかわからない結果が上がってきたりするケースもあります。
このような分析結果をマーケティングに活かすには、因果関係について仮説を立てることが必要です。仮説を立てたうえで検証し、どのような理由から結果が導き出されたのかを考察していきましょう。
アソシエーション分析の3つの活用シーン
アソシエーション分析によって導き出された商品同士の因果関係は、マーケティングでは具体的にどのように活用することができるのでしょうか。ここではアソシエーション分析の3つの活用シーンを紹介していきます。
1:小売店の商品陳列やレイアウト方法
アソシエーション分析では同時に購入される傾向がある商品同士の相関関係を見つけ出すことができるため、小売店の商品陳列やレイアウト方法に活用することができます。
アソシエーション分析の有名な例として「おむつとビール」というものがあります。「おむつを購入する人はビールも購入している」という結果が出たことからおむつの隣にビールを配置したところ、店舗の売り上げがアップしたというものです。
このように、アソシエーション分析の結果を陳列に活かすことで売り上げアップにもつなげることができるでしょう。
2:ECサイトにおけるリコメンド
アソシエーション分析はECサイトでの「この商品を買った人はこんな商品も買っています」というリコメンドに活用することができます。
Amazonなどのリコメンドエンジンにもアソシエーション分析が利用されており、ユーザーの購入履歴からユーザーが興味を持ちそうな商品をおすすめしています。
3:企業の運営するサイトのサービス向上
アソシエーション分析は運営サイトのサービス向上にも活用することができます。たとえばユーザーが閲覧したページの組み合わせなどをアソシエーション分析することで、アソシエーションルールを抽出し、ユーザーに対して訴求力の高いWebサイトを構築することも可能になります。
アソシエーション分析とその他の分析との違い3つ
アソシエーション分析には「マーケットバスケット分析」や「ABC分析」などの似た内容の分析手法が存在します。ここでは最後に、アソシエーション分析とその他の分析との違いを紹介します。
1:マーケットバスケット分析との違い
マーケットバスケット分析とは購買行動に着目した分析手法です。アソシエーション分析と同じ意味で使われることもありますが、アソシエーション分析が小売業以外にも利用されるのに対して、マーケットバスケット分析は小売業での購買行動で用いられます。
2:ABC分析との違い
ABC分析は自社商品やサービスを売り上げ高などの重要度の高い順に整理し、ランク付けする管理手法です。ABC分析もデータマイニングの手法の1つで、商品管理を効率化し、経営戦略を立てるために活用されます。
3:商品カテゴリー分析との違い
商品カテゴリー分析とは商品の性質を知ってグループ分けする手法です。商品の大分類、中分類、小分類は、顧客がどんな商品なのかイメージできるようにカテゴリー分けする必要があります。
商品カテゴリー分析を行うことによって顧客視点で商品がイメージできるようになり、さらに今後売れそうな商品を予測する際に具体的なイメージを特定できるようになります。
アソシエーション分析を活用してマーケティングを進めよう
アソシエーション分析を行うことで、同時に売れやすいというような商品同士の関連性を抽出することができます。
ぜひ本記事で紹介したアソシエーション分析の重要な要素やアソシエーション分析の特徴などを参考に、アソシエーション分析を自社のマーケティングに活用してみてはいかがでしょうか。