指数平滑法の特徴と計算式|代表的な5つの需要予測とメリット・デメリット
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指数平滑法の特徴と計算式|代表的な5つの需要予測とメリット・デメリット

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指数平滑法の特徴と計算式|代表的な5つの需要予測とメリット・デメリット

記載されている内容は2021年10月28日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。

また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

初回公開日:2021年10月28日

更新日:2022年03月01日

企業活動の根幹となる在庫管理をより効率化する方法の「需要予測」について解説します。代表的な予測手法の紹介からメリット・デメリットまで、需要予測が企業にもたらす内容をわかりやすく、ふんだんに盛り込んでいます。自社の計画策定を考える際に、ぜひご活用ください。

需要予測とは?

需要予測とは、自社が提供する商品やサービスがどれだけの需要を得るかを短期的・長期的に予測することを指します。仕入れから資金調達に至る自社の計画策定に大きな影響を及ぼす需要予測は、企業活動を支える重要な業務です。

需要予測の目的

需要予測する目的は、大きく「製造」と「流通」の2つの観点から確認できます。

まず「製造」に関して需要予測することで、工場の生産量を最適化することが可能です。また「流通」の観点からは、仕入れの際に必要部品の調達量を最適化できるという点で、需要予測は優れていると言えるでしょう。

需要予測の価値

需要予測は、その精度の高さや簡便性から、ビジネスチャンスの獲得や過剰在庫の防止が期待できる点で優れています。

例えば、人間の力で予測しようとすると、特に生産品目が多すぎる場合、膨大な時間を要し、さらに不注意によるミスも避けられません。過去や将来の数値を用いて予測を割り出す需要予測であれば、こういった労力を最小限に抑えられるでしょう。

代表的な5つの需要予測

指数平滑法の特徴と計算式|代表的な5つの需要予測とメリット・デメリット
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需要予測の目的や価値について述べてきましたが、ここからは需要予測する際に使用される手法について紹介していきます。より正確な需要予測ができるように、しっかり確認していきましょう。

1:移動平均法

需要予測における移動平均法では、過去データの平均を算出し、導き出した数値を予測値として確定します。

考え方や計算式がシンプルで、初めて需要予測する方にも扱いやすい手法でしょう。

2:加重移動平均法

加重移動平均法は、より新しいデータの影響を大きく、より古いデータの影響が小さくなるように調整して、需要予測を導き出す手法です。これは、各データに加重係数を掛けるやり方で求めます。

3:指数平滑法

指数平滑法は、過去の予測値と実際のデータ値を用い、これらの時系列データから将来の需要予測を割り出す手法です。指数平滑法の特徴として、時系列に沿ったデータであればいかなるデータでも利用できる利便性があげられます。

前述の加重移動平均法と同様、直近のデータにより大きな比重を掛け合わせることで、最新の動向を色濃く反映した予測が可能です。

4:ホルト・ウィンタース法

ホルト・ウィンタース法は、前述の指数平滑法における時系列データを季節変動、そしてトレンドの観点からも考慮した上で、需要予測を求める手法のことを指します。

本来、季節変動を考慮する際には、十分な標本数のあるデータを用いて季節指数を作成しなければなりません。しかし、ホルト・ウィンタース法であれば、仮にデータの標本数が少なくても、外部で作成した季節指数を利用して季節変動を求められます。

なお、季節変動とは過去に一定の周期で発生している(季節性の)変化のことを意味し、トレンドとは、過去のデータにみられる特徴的な上昇・下降傾向のことを表しています。

5:多変量解析

多変量解析は、お互いに関連のある多くのデータ・情報(変数、もしくは変量)を利用して将来のデータの推移を予測し、データから読み取れる事柄をわかりやすく要約する、解析作業の総称のことを言います。

多変量解析する主な目的として、大きく「予測」と「要約」に分類できます。今回のように需要予測をしたい場合には、過去のデータの推移を要因とともに分析し、将来の動向を予測します。

ただし、多変量解析には種々の分析手法が含まれるため、例えば、分析目的が予測で、独立変数、従属変数がともに量的データであれば「重回帰分析」という分析手法が、適切になるでしょう。

指数平滑法の特徴

指数平滑法の特徴と計算式|代表的な5つの需要予測とメリット・デメリット
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今回は、前述した5つの需要予測で用いる手法のなかから、指数平滑法について紹介していきます。指数平滑法は統計的な予測をする際に使用します。

前述した通り、直近のデータにより大きな比重を掛け合わせることで、最新の動向を色濃く反映した予測が可能な点が特徴と言えるでしょう。

指数平滑法の計算式

指数平滑法で予測値を求める場合の計算式は、予測値=α×前回の実際データ値+(1-α)×前回予測値となります。「前回の実際データ値」と「前回予測値」に掛けるαが平滑化係数です。

平滑化定数α

指数平滑法で用いられるαは、「平滑化係数」と呼ばれる係数です。αは必ず0以上1未満の数字で、分析者が任意で設定することができます。

このαを掛けることで、前回の実際データ値が予測値とどれだけ違うか、そしてそれに伴う修正値を求め、さらに前回予測値に加減することで予測値を導き出しています。

需要予測の3つのメリット

指数平滑法の特徴と計算式|代表的な5つの需要予測とメリット・デメリット
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ここからは、上述の手法を用いて需要予測することのメリットを大きく3つに分けて紹介していきます。

人件費などのコスト削減や、担当者の負担軽減、判断ミスを防ぐためにも、積極的に取り入れてみましょう。

1:機会損失を防ぐ

機会損失とは、本来得られたはずの利益や成果を失ってしまうことを指します。定食屋さんが、稼ぎ時であるお昼前に材料を切らしてしまい、多くのお客様を迎え入れられないような状況が例としてあげられます。

需要予測を用いた在庫量を最適化することによって、欠品などによる機会損失を防ぐことが可能になり、業務の効率化にもつながるでしょう。

2:スムーズに在庫管理ができる

最近の需要予測は、AIやMicrosoft社のExcelといった表計算ツールを使用します。このようなツールを活用すれば、いかに膨大で複雑なデータでも複合的に分析できるため、結果としてスムーズな在庫管理が実現するでしょう。

さらに、AIやExcelはデータの急な変化に対応することにも長けており、各データが上昇・下降した際の予測もできます。これにより、欠品や過剰在庫といった望ましくない在庫状況を改善できるでしょう。

3:従業員の負担軽減

今まで人の手作業で行ってきた面倒な需要予測をAIやExcelが肩代わりし、人手不足や長時間労働といった、多くの企業に蔓延する課題の解決が期待できます。

また、人手で需要予測する場合、その担当者の精神的プレッシャーが深刻なものであることに留意する必要があります。彼らが感じる、予測を外してしまう重圧、予測にかける膨大な労力と時間を取り除くためにも、AIやExcelによる需要予測の導入が求められます。

需要予測のデメリット

需要予測が持つデメリットは、ずばり需要予測自体に頼りすぎてしまうことでしょう。AIや表計算ツールを用いて導き出される予測は信頼性が高く、その信頼のあまりに完全な依存状態に陥る可能性があります。

このような状態になると、予測と違った事態に直面した際に代替案がないまま在庫調整せざるを得ません。これでは先にあげた、機会損失の防止やスムーズな在庫管理といったメリットとは真逆のことが起こってしまいます。

需要予測は、企業の計画策定に良い影響をもたらす反面、頼りすぎると不測の事態に対応できなくなるという点に気をつけましょう。

需要予測について理解を深めて活用しよう!

ここまで、企業の活動の根幹を支える需要予測という手法についてと、その特徴や代表的な手法、そしてメリット・デメリットの観点から紹介してきました。

企業活動の効率化の後押しをする一手として、需要予測は大いに有用でしょう。現在従業員による手作業で予測している企業は、ぜひ需要予測についての理解を深め、その利点を十分に確認した上で業務に組み込んでみてください。

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