マーケティングに効果が期待できる行動心理学23選|説得力の原則
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マーケティングに効果が期待できる行動心理学23選|説得力の原則

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マーケティングに効果が期待できる行動心理学23選|説得力の原則

記載されている内容は2021年08月25日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。

また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

初回公開日:2021年08月25日

更新日:2024年05月31日

マーケティング心理学は、顧客に購入を促すのに有効だと言われています。そのため、マーケティング心理学について知りたいという方も多いのではないでしょうか。この記事ではマーケティングに効果が期待できる行動心理学を紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。

マーケティング心理学とは?

マーケティング心理学とは、行動心理学を利用して顧客に購買行動を起こさせることです。顧客が商品を購入する際の心理を知ることで、対面やネットでのセールスに役立ちます。

人間が購買行動を起こすのには特定のパターンがあり、これらのパターンを理解することで、商品の売り上げを向上させられるのです。

マーケティングに効果が期待できる行動心理学23選

マーケティングに効果が期待できる行動心理学23選|説得力の原則
※画像はイメージです

ここではマーケティングに効果があると言われている行動心理学を23個ピックアップしてきました。これらの心理学を理解して上手く活用することで、商品を魅力的にみせ、顧客に購入行動を起こさせることができるでしょう。

1:ハロー効果

ハロー効果とは、特定の対象を評価する際に、目立つ特徴に引きずられて他の特徴がゆがめられてしまう現象のことです。

ハロー効果には、ポジティブ・ハロー効果とネガティブ・ハロー効果があります。ポジティブ・ハロー効果は、目立つ特徴が良い場合別の特徴も高く評価することです。ネガティブ・ハロー効果はその反対で、特定の部分が悪いと他も低く評価してしまうことを言います。

企業が自社の商品をアピールする際に有名人を利用するのもその例です。

2:バンドワゴン効果

バンドワゴン効果とは、多くの人が所有していたり利用していたりするものほど需要が増える効果のことです。周りの人がみんな持っているから自分も欲しいと思ったり、流行に乗り遅れたくないと思ったりする心理が働きます。

「全米が泣いた」「行列のできる」といったキャッチコピーや、SNSで話題になった商品が人気になるのもこの効果によるものです。

3:ザイオンス効果

ザイオンス効果とは、何度も同じものに接するとそのものに対して好印象を持つようになる現象のことです。

テレビCMが良い例です。何度も同じCMを見るうちに、その企業や商品に対して好意を持つようになります。あるいは、実際に何度も顧客と合ったりDMやメールを送って接触回数を増やしたりすると印象が良くなるということがあります。

ただし相手が自分に対して悪いイメージを持っている場合は注意が必要です。接触回数を重ねても悪いイメージが悪化するだけで逆効果になります。

4:スノップ効果

スノップ効果とは、入手するのが困難なものほど需要が増え、簡単に手に入るものほど需要がなくなることです。他人と違うものが欲しいという願望が働くことによります。バンドワゴン効果と反対のパターンです。

限定品や高価なブランド品がこの例です。自分だけが持っているという希少性が価値を持つようになります。また、「〇個限定」「後残り〇個」といった言葉も、この効果を利用しています。

5:ディドロ効果

ディドロ効果とは、理想的な価値を持ったものを手にすると、その価値に合わせて自分の持ち物や環境を統一させようとする行動心理です。

人間は一貫性や統一性を好む傾向があります。良いものを手にすると今まで持っていたものとの差異が生じ、一貫性が崩れます。価値の低いものに合わせることを嫌がり、より価値の高いものに合わせようとするのです。

インテリアのショールームでベッドやソファー、デスクなどがセットでレイアウトされているのはこの効果を狙ったものです。

6:アンカリング効果

アンカリング効果とは、最初に与えられた情報がその後の意思決定に影響を及ぼすことを言います。対象についての情報が不十分な時に、特定の情報を基準にするという人間の心理を利用したものです。

例えば、セールで元の値段の書かれた値札に〇割引というシールが貼られているのはこの効果を利用しており、元の値段を基準にして商品の値段を安いと判断してしまいます。

7:カリギュラ効果

カリギュラ効果とは、禁止されると反対に興味を持って禁止されたことを破ってしまうことです。「絶対に見てはいけない」「絶対に押してはいけない」といわれると逆に見たり押したりしたくなる心理が働くことによります。

人間は自分の行動が禁止された際に感じるストレスを解消するために、禁止されたことを破りたくなるのです。「行動心理学に興味のある人は参加できます」というよりも、「行動心理学に興味がある人以外は参加できません」とした方が興味を引く表現になるでしょう。

8:シャルパンティエ効果

シャルパンティエ効果とは、同じ重さのものでも体積が大きなものは軽く、小さなものは重く感じられる現象のことです。1gの綿と鉄はどちらも同じ重さにもかかわらず、綿の方が軽く、鉄は重く感じます。

元のイメージが錯覚を生むという効果はマーケティングで利用されています。有名な例として、「ビタミンC 2000mg配合」よりも「レモン100個分のビタミンC」とした方がイメージしやすいというものがあります。

9:アンダードッグ効果

アンダードッグ効果とは、ある勝負において不利な側に同情票が集まり、その結果逆転勝利する現象のことです。不利な状況になっても頑張っている姿をみると応援したくなったり、弱いものを守りたいという人間の本能を利用しています。

例えば、「売れ残って困っています。」という言葉で同情を買い、商品が売れるということがあります。

10:コンコルド効果

コンコルド効果とは、そのまま投資を続けても損するということが分かっていても、それまで投資した分をもったいないと思い、投資を継続してしまうことです。

パチンコなどのギャンブルでは、勝つ可能性が低くても今まで使った分を取り戻そうとついやり続けてしまいます。課金ゲームもこの効果を表す良い例でしょう。

11:ツァイガルニク効果

ツァイガルニク効果とは、達成できたことよりもできなかったことの方を覚えているという現象のことです。ある欲求が完了しないと緊張感が持続し、達成された時に緊張感が解消されるという人間の心理によります。

例えばテレビ番組では続きが気になるところでCMが挟まれます。緊張感を解消させるためについそのまま見続けてしまうのです。

12:ストループ効果

ストループ効果とは、文字の色と文字の意味が矛盾している場合に、答えを出すのに時間がかかってしまう現象のことです。

例えば、青い文字でりんごと書かれた文字があり、突然文字の色を聞かれたとします。りんごの赤のイメージと青い文字が矛盾するためすぐに答えられなくなるのです。

ストループ効果は相手にストレスを与えるため、広告を作成する場合には、色と情報に矛盾が生じないようにすることが重要です。

13:ウィンザー効果

ウィンザー効果とは、第三者からの情報によって信ぴょう性が増すという効果のことです。口コミやレビューはこの効果を利用しています。

当事者が自身の商品について良いと言っても、本当かどうか疑う人もいます。利害関係のない第三者だと嘘をつく必要がないため、本当のことを言っていると信ぴょう性が増すのです。

マーケティングにおいては、お客さまの声を載せることで信ぴょう性を獲得するというように使われています。この場合、良い意見だけを載せるのではなく、悪い意見も載せることが重要です。

14:フレーミング効果

フレーミング効果とは、同じ価値でも表現方法を変えると捉え方に変化が生じる現象のことです。

人間は良い状況にいる時と悪い状況にいる時とで価値観の基準が異なります。良い状況の時は安定や確実性を求め、悪い状況の時はリスクがあっても今の状況が変化することを求めます。

つまり、良い状況になる商品を宣伝したい場合はポジティブな表現にし、その商品によって悪い状況を避けられる場合はネガティブな表現にした方が効果的ということになります。

15:プロスペクト理論

プロスペクト理論とは、不確実な状況下で意思決定する場合に、置かれた状況や感情により客観的な認識ができず、不合理な判断をしてしまうことです。「価値関数」と「確率荷重関数」で成り立ちます。

価値関数とは、人間が感じる価値と客観的な価値との差のことです。人間は同じ金額であっても、得するより損する方が大きく感じるという性質があります。

確率荷重関数とは、確率が高い時に過大評価をし、低い時に過小評価する傾向のことです。

マーケティングでは、損することを避けたいという心理を利用して「返金キャンペーン」や「期間限定キャンペーン」などといった形で応用されています。

16:テンション・リダクション効果

テンション・リダクション効果とは、緊張から解放されると、注意力が散漫になり警戒心が解かれる効果のことです。

最初に商品を購入する際には、どの商品を買おうか考えたり迷ったりすることによる緊張感があります。そこを乗り越えて実際に商品を購入すると、それまでの緊張感が一気にほどけてしまうのです。

この状況を利用したのが「ついで買い」です。ネットショッピングで商品を購入した後におすすめが表示されたり、店舗で商品購入したすぐ後に店員に他のものを進められたりすると顧客はつい購入してしまいます。

17:カクテルパーティー効果

カクテルパーティー効果とは、周囲が騒がしい状況でも、自分に関係のある話はしっかりと耳に入ってくる現象のことです。

脳は聞こえた音すべてを処理することが困難であり必要な情報を選び取っています。そこからこのような現象が生じるのです。

多くの顧客に向けてぼんやりとアピールするよりも、特定の顧客に対して具体的にアピールする方が効果的だと言えます。「いらっしゃいませ。」と言うよりも、「夏物がセール中です。」と言った方が集客率を上げることができるのです。

18:ビジュアル優位の法則

ビジュアル優位の法則とは、人間の脳はテキストよりも画像の方が素早く情報処理できることを言います。説明や説得をする際には文字だけでなく、画像やイラストなどのイメージも利用した方が相手の目を惹きつけることができると言えます。

19:松竹梅の法則

松竹梅の法則とは、3つの価格帯の商品がある場合、真ん中の価格の商品が選ばれやすいという法則です。松竹梅3つのコースがあり、松が6000円、竹が4000円、梅が2000円の場合、4000円の竹が最も売れることです。

心理学的に、人間は極端な選択を避けることが分かっているため、中間の価格を選んでしまうのです。マーケティングでは、売りたい商品を真ん中の価格に設定し、それよりも高いものと安いものを揃えるというように利用されています。

20:決定回避の法則

決定回避の法則とは、選択肢が多くなると逆に選ぶことが困難になり選ぶことを避けるという法則のことです。

マーケティングでは、決定回避の法則が起こらないようにすることが重要です。そのためには選択肢を増やすのではなく、選びやすいように絞ることが有効になります。おすすめ商品を紹介したりランキング形式にするといった例があります。

21:奇数の法則

奇数の法則とは、人間は偶数よりも奇数の方が自然で心地よく感じるということです。人間の性質として、割り切れる数字は人工的で不自然だと感じるというところがあるため、マーケティングで数字を用いる際は、3、5、7といった奇数を用いる方が効果的だと言われています。

22:認知的不協和理論

認知不協和理論とは、自分が考えていることと実際の行動が矛盾している場合に、考えを変えることで行動を正当化する現象のことです。

喫煙者がタバコを辞められないのはこの例です。タバコが健康に悪いと知りつつタバコを吸う行動を続けることは矛盾しており、不快感が生じます。この不快感を解消するために「タバコはストレス解消になるから良いものだ。」と認知を変えて矛盾をなくすのです。

この理論をマーケティングで考えると、商品を購入する理由を提示することが有効だということが分かります。

23:おとり効果

おとり効果とは、実際に売りたい商品を顧客に選択させるために、その商品を魅力的にみせる選択肢を含めることで顧客の意思決定に変化を及ぼす効果のことです。

雑誌購読をする場合の選択肢に、「①ネットのみ2000円」「②ネットと紙5000円」の2つがあったとします。この場合、ほとんどの顧客は①の安い方を選ぶ傾向があります。ここにおとりである「③紙のみ5000円」と加えると②を選ぶ顧客が増えるのです。

マーケティングで活用するには、まずどの商品を売りたいかを明確にしておくことが必要です。

説得力の6原則

マーケティングの分野で有名な本に、ロバート・B・チャルディーニの「影響力の武器:なぜ、人は動かされるのか」というものがあります。説得力の6原則とは、この本の中でも特に重要な項目を抜き出したものです。具体的な内容についてみていきましょう。

1:返報性

返報性とは、人は他人から何かを与えられるとそれに対して返礼したいと感じる性質があるということです。心理学的には「人間は他人に借りを作りたくない」という事実から説明されます。

顧客が無料プレゼントを受け取った場合、返納性の法則により顧客は何かを買わなければいけないと感じるのです。

2:希少性

希少性とは、手に入れるのが困難なものほど魅力的に感じられるという現象のことです。心理学的には、チャンスを逃したり損をすることを嫌うという人間の性質から説明できます。

タイムセールなどの時間制限や限定商品などはこの希少性を活かしたものです。

3:権威

人間の本質として、権威のある人物に従うという性質があります。たとえその人物の性格が悪く、批判されるような行動をしていたとしても従ってしまうのです。

医者や博士、先生あるいは著名な会社やリーダーなどは権威になります。広告やCMでは、このような人物を採用しているものがよく見られます。

4:コミットメントと一貫性

人間には、一貫性があるようにみられたいという欲求があります。そのため、何か特定の対象と接触した場合、一貫性を維持しようと最後までやり続ける可能性が高くなります。

心理学的には、人間は自分のイメージと一致することをするということから説明できます。

マーケティングでは、最初に無料でサービスを利用してもらうことで、その後も有料のサービスを購入することが容易にできるということで利用されます。

5:好意

人間は、自分が好意を寄せる人物の意見を聞き入れやすくなるという性質があります。自分と似ている部分やその人物に魅力的な部分があると好意が生じます。趣味や興味関心といった個人情報を開示することは、顧客から好意を得るのに有効です。

6:社会的証明

社会的証明とは、人間は他人と同じ行動を取るということです。自分に自信がない時や、対象となる人々が自分とひている場合にこの現象は起こりやすくなります。

SNSの「いいね」はその例です。「いいね」が多く付いているとフォローが増えたり、紹介されている商品が多く購入されたりするようになります。

マーケティング心理学を理解して顧客心理をつかもう!

マーケティング心理学を理解すると、効果的に商品をアピールし、顧客の購入行動を自然に促すことが可能になります。顧客心理を理解して、マーケティングに活用しましょう。

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