戦略BASiCSの5つの構成|独自資源と強みの比較・キャリアへの応用
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戦略BASiCSの5つの構成|独自資源と強みの比較・キャリアへの応用

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戦略BASiCSの5つの構成|独自資源と強みの比較・キャリアへの応用

記載されている内容は2021年08月25日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。

また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

初回公開日:2021年08月25日

更新日:2024年05月31日

戦略BASiCSというシンプルな経営戦略論が話題となっています。複雑な経営戦略理論に頭を悩ませている人も多いのではないでしょうか。この記事では戦略BASiCSの構成やポイントをわかりやすくまとめました。経営戦略論を学びたい方は、ぜひ読んでみてください。

戦略BASiCSとは?

「戦略BASiCS」とは、企業の強みを活かしながら顧客重視のビジネスを展開していく経営戦略のひとつです。

数々の複雑な経営戦略の理論をかみ砕き、5つのシンプルな構成に分けて成果が出やすいようにまとめてあります。

戦略BASiCSの5つの構成

戦略BASiCSは売上に直結する様々な経営理論を単純化し、明瞭・簡潔にしたものです。重視するポイントは以下の5つに絞られています。

1. Battlefield(競合)
2. Asset(資源)
3. Strength(差別化要素)
4. Customer(顧客)
5. Selling Message(メッセージ)

5つそれぞれの戦略の内容を、具体例を交えながら解説していきましょう。

1:Battlefield(競合)

Battlefield(競合)は、市場での企業の立ち位置をさします。市場における業界内での競争を避け、戦わずに勝てるポジションを確保することを目的としますが、この場合、ユーザーの選択肢の集合が競合となります。

例えば、「映画を観たい」ユーザーがいたとします。「スクリーンで映画を観たい」のが目的であればシネコンが競合となりますが、「自宅で映画を観たい」のなら配信サービスやレンタルが競合となるでしょう。

戦場はユーザーの頭の中にあり、競合はその選択肢といったイメージです。

2:Asset(資源)

Asset(資源)は、他社が真似できない企業独自のサービスや商品、品質などをさします。

おおまかに、設備面などの「ハード資源」と、マニュアルやノウハウなどの「ソフト資源」に分けられますが、こういった企業独自の資源は長期的な低価格での商品の提供や、高品質な商材の開発などの強みにつながるため、優先して独自の資源を作ることが大事です。

3:Strength(差別化要素)

Strength(差別化要素)は、ユーザーが競合ではなく自社を選ぶ要素のことです。

ユーザーが決める基準なので、競合によって何を差別するかは変わります。例えば、「スクリーンで映画が観たい」ユーザー相手なら、上映タイトルや設備・音響、会員割引の設定のほかに、フードメニューの種類や交通の便の良さなども差別化要素になりえます。

全く新しい優れた要素を作り出して、競合との差別化に成功すれば、市場競争で有利になるでしょう。

4:Customer(顧客)

戦略BASiCSは、基本的にCustomer(顧客)を中心に据えたマーケティングを展開する考え方です。

先に解説したBattlefield(競合)はユーザーの目的であり、Asset(資源)とStrength(差別化要素)はユーザーがその商材やサービスを選ぶきっかけになります。大事なのはユーザーをニーズで区別することです。

例えば、喫茶店のモーニングメニューは出勤するサラリーマンだけでなく、夜勤明けの人が利用する場合もあります。ニーズの変化によって競合が変わるため、それに合わせて有効になる資源と差別化要素も変化していくといえるでしょう。

5:Selling Message(メッセージ)

Selling Message(メッセージ)は、ユーザーに伝わりやすく行動を促すメッセージを打ち出すことです。

宣伝文句を考えるという単純なものではなく、先に解説した「競合」「資源」「差別化要素」「顧客」をメッセージに落とし込み、シンプルでわかりやすく価値を伝えるものにする必要があります。

独自資源と強みの比較

戦略BASiCSの大きな特徴は、Asset(資源)とStrength(差別化要素)、つまり独自資源と強みを分けた点にあります。

独自資源に支えられた強みは、競合によって変化するため、独自資源がそのまま強みになることはありません。例えば、低価格の飲食店といえばファストフードを思い浮かべますが、牛丼チェーン店やラーメン屋でも同レベルの価格帯の店は数多く存在します。

これらの企業は「食事を安く提供するためのノウハウ」である独自資源を持っているといえますが、「低価格の食事」というニーズに対しての選択肢はかなり多くなるでしょう。「何と比べて」強みになるのか、競合とあわせて考えておく必要があります。

戦略BASiCSのポイント

戦略BASiCSの5つの構成|独自資源と強みの比較・キャリアへの応用
※画像はイメージです

戦力BASiCSのポイントは、5つの戦略すべてで整合性をとっていく必要があるということです。

顧客の中の競合や、企業が持つ資源によって差別化要素が変わり、打ち出すメッセージも変わっていきます。また、企業の持つ資源をもとにした差別化要素を活かすために、ニーズを区別し、そこにいる顧客へ向けたメッセージを送るという逆のパターンもあるでしょう。

また、同じ人物であってもTPOによってニーズは変化します。平日と休日、勤務中と家族との団らんの時間では、求めるものはまったく違うものになります。戦略BASiCSの中心となる顧客を定める際には、年齢や性別でなくニーズで括るのがポイントです。

戦略BASiCSの事例

戦略BASiCSの5つの構成|独自資源と強みの比較・キャリアへの応用
※画像はイメージです

戦略BASiCSの成功例としてよく挙げられるのが、パーソナルトレーニングで有名なライザップ(RIZAP)です。

「トレーニングと食事で身体を健康的に絞る」ということから、市場はスポーツジムやパーソナルジム、また食事面ではダイエット食品やサプリ業界も「競合」となるでしょう。

運営会社は元々健康食品を販売していた実績という「資源」を持っていました。社長自らトレーニングと食事制限で10㎏以上のダイエットに成功しており、これをノウハウとした「差別化要素」として成り立っています。

当初想定した「顧客」はジム通いをしているメタボや運動不足が気になる30代~40代の男性でしたが、女性タレントのCM起用が増えていることから30代~50代の男女に変化しているのがわかります。

「メッセージ」はCMでおなじみの「結果にコミット」です。ダイエット成功者のビフォーアフターを大胆に映し出し、強烈なアピールで認知拡大と顧客の獲得に成功しました。

戦略BASiCSについての理解を深めよう!

戦略BASiCSを使った経営戦略は、企業全体に大きな変化をもたらし、市場での生存競争にも大いに役立ちます。

「強みを活かして戦う」というシンプルな理論は、様々な業界だけでなく個人のキャリア形成にも使えるでしょう。戦略BASiCSについての理解を深めて、ぜひ様々な分野で応用してみてください。

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