マーケティングにおけるペルソナ設定とは?作成方法やメリットについても紹介
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初回公開日:2021年09月13日
更新日:2022年03月03日
そもそもペルソナ設定って何?
ペルソナは、ラテン語で「人」また「演劇の役割」を表す言葉です。マーケティングにおいては、サービスや商品を届けるべき相手を指す言葉として利用されています。つまり、サービスを「利用してくれる顧客像」となります。
ペルソナによって、商材の機能やマーケティングの手法が変わります。マーケティングを考える上で、ペルソナの設定は不可欠といえるでしょう。
ターゲットとの違い
ペルソナとターゲットは混同されがちな言葉です。ペルソナとターゲットの違いは、設定する内容の細かさや嗜好など分析することです。
例えば、ターゲットは「40代の男性」や「子どもを持つ主婦」となります。一方、ペルソナはプロフィールまでを詳細に表します。例えば以下の粒度がペルソナです。
・地方でエンジニアをしているが、東京で仕事をしたいという20代前半の男性。
・地方のメーカーで働き年収は400万円弱。
・未婚で、実家暮らし。
・車を持っており、休日にはドライブやアーティストのライブに参加する。
・大学時代の友だちとよく遊んでおり、東京にショッピングで遊びに出かけることもある。
このように、ターゲットの家族構成や思い、休日の過ごし方までを設定します。
大まかなターゲット設定は、その人の悩みがいつ、どこで解消するために商材を利用するのかわかりません。ターゲットが悩みを解決するために、ペルソナは設定する必要があるのです。
ペルソナが活用されるタイミング
新しくサービスを立ち上げるとき、Webマーケティングを行うときなどにペルソナが活用されます。マーケティングにおいて、ユーザーやターゲットの人にアンケートやインタビューなどのヒアリングを行うことは、よく使う手法です。
アンケートでは、母数を集めることがハードルになる可能性があります。現在オンラインでアンケートフォームを作成し、それをWEBやSNSなどで拡散する手法が一般的です。
また、BtoBの商材は、営業担当者から顧客にアンケートを行ってもらうことが有効です。
マーケティングにおけるペルソナ設定の重要性
ここからがペルソナ、ここまでがターゲットとペルソナとターゲットを明確に線引きがなされるものではありません。
具体的であれば、十分なのかというとそうではありません。勝手なイメージ、期待するイメージの情報で作られたペルソナでは、マーケティングで活用するペルソナの目的を達成ができないからです。
ペルソナ設定を行う5つの手順
ここからは、実際にペルソナ設定を行う時の手順をご紹介します。
ペルソナは闇雲に設定するのではなく、手順を踏んで的確な人物像を設定することで、より効果的なマーケティングを実現しやすくなります。
1:3C分析などを用いて自社の分析を行う
3Cとは、3つの頭文字Cを取っており、「Customer:市場・顧客」「Competitor:競合」「Company:自社」のこの3つの視点から分析していくフレームワークです。
「顧客が欲しがっていて、競合が提供できていないものを、自社が提供できれば売れる」という考えをベースに、「顧客が欲しがるものは何か?」「競合のサービスはどんなものがあるか?」「自分たちが提供できるサービスは何か?」を掘り下げていきます。
2:ペルソナを設定する項目を決定する
ペルソナを考えるときは、以下の項目を考慮します。そうすることで、具体的な人物像が描けます。
・年齢
・性別
・住んでいるところ
・職業(内容、役職)
・収入、貯蓄状況
・最終学歴
・ライフスタイル(1日の過ごし方)
・性格、価値観
・人間関係、家族構成
・趣味、興味
・不満、悩み
・インターネット利用状況、利用時間
・所持するデバイスの種類
明確なペルソナが設定ができたら、その後は、そのペルソナに合わせたマーケティングを行なっていきます。
3:ペルソナに設定する人物の情報を収集する
ペルソナの人物像を作るために必要な情報をできるだけ集めます。具体的な方法としては、以下のものが挙げられます。
・お客様へのインタビューやアンケート
・営業担当者へのインタビュー
・社内データの分析
・政府やシンクタンクのデータを利用
・検索エンジンやSNSでの反応調査
また、日々顧客の反応を見ている営業担当者からも、ヒアリングをする必要があります。有益な情報が得られる可能性が高いです。そのほか、統計など政府が公開しているデータや、ネット上の投稿なども役立ちます。
4:収集したデータを整理する
集めた情報を分類し、整理していきましょう。一番欲しい情報に加え、一見すると関係のなさそうな情報に関してもマーケティングのヒントに繋がることがありますので、取捨選択をしながら分類していきます。
5:具体的なペルソナを作成する
ペルソナを作成するときは、皆が共有できる実在しそうな一人のユーザー像を目指しましょう。
もし、ペルソナとして顧客にしたいユーザー像を複数人、作ってしまうと、サービスやプロダクトの軸がぶれます。 また、ペルソナを利用したキャンペーンなどを行う場合にも悪影響です。
マーケティングにおけるペルソナ設定のメリット5つ
マーケティングを行うときにペルソナを設定することには、効果的なメリットがいくつかあります。顧客像を想定することで、アプローチを工夫することが可能になります。ここからは、5つのメリットをご紹介します。
1:自社のリソースを効率的に使うことができる
ペルソナを設定することで適切な人材配置やアプローチを効率的に行うことができます。
ペルソナ設定に近い社員での効果測定や企画会議を行うことで、より顧客に響くアプローチを打ち出しやすくなる他、ターゲットを具体的に絞ることで不要なリソースがどこなのか明確になります。
上記がわかることで、リソースを効率的に配分することが可能になります。
2:マーケティング戦略の方向性が固まる
マーケティングを行うということは、効果的な集客方法を考えたり、ブログ記事のテーマを選んだりなど、さまざまな意思決定を行います。設定したペルソナを常に意識していれば、方向性がぶれることなく、マーケティングの計画が立てられます。
3:ターゲットとなる人物像を認識ズレを防げる
単に「30代男性向けの商品を作る」とだけ言っても、人によってイメージする「30代男性」は異なるため、意見がまとまらない可能性があります。しかし、ペルソナを設定し、共有できていれば、認識違いを避けることができ、スムーズな目標設定を行えます。
4:ユーザーに響きやすい情報を想定しやすくなる
人物像が明確になることで、生活や嗜好・ライフスタイルに合わせたぶれない製品開発が可能です。そうすることで、アプローチ方法や情報発信の方法も考えやすくなり、マーケティング手法が定まります。
5:ユーザーの目線に立つことができる
ユーザーの目線に立てるという点で、ペルソナ設定は有効です。ある一人の顧客(ペルソナ)が求めるものを焦点をあてて突き詰めるため、結果的にユーザーが手に取るような商品・サービスの開発ができます。
マーケティングにおけるペルソナ設定の5つのコツ
ペルソナを的確に設定するためにおさえておきたいコツをご紹介します。
優れたペルソナを設定することはマーケティングの成功のカギともいえます。ペルソナ設定の手順と合わせて、事前に把握しておきましょう。
1:新規の顧客の視点から考える
ペルソナを設定する際に注意することは、新規の顧客の視点から考えることで、ユーザー像を想像や理想だけで作らないことです。ペルソナは実在はせず、架空の人物を想定することになります。新規の顧客の視点を考えて、ペルソナを作成する必要があります。
2:PDCAサイクルでペルソナを更新していく
ペルソナは一度作ったら終わりではありません。市場を取り巻く環境が日々変化するなか、ユーザーのニーズや価値観は変わっていきます。また、続けていくことで、一人のユーザーの視点からは見えなかった、別ユーザーの視点から気づきを得る場合もあります。
日々、状況や環境は変わっていきます。環境やトレンド、ユーザーのニーズの変化をキャッチアップしながら、ペルソナが現在のお客様を反映しているか、定期的にPDCAサイクルで更新していきましょう。
3:誰にでもわかりやすい人物像を設定する
誰でもわかりやすい人物像を設定する必要があります。
顧客を考えるうえで、学歴や職業、性別、年齢などの情報は必要ですが、本質的ではありません。大切なのは「何を求めているのか」です。「東京に住むことにあこがれを抱いている20代前半の女性」について重視するのは「20代女性」「地方」などの情報ではなく、困っていることや、願望、課題の情報が必要です。
「孤独になることを恐れている」という情報であり、ここから「彼はどんな願望を持っているのか」を考えるべきです。「気軽に友達を募集できる場があると嬉しい」などになります。
4:先入観や理想を反映しないように注意する
ペルソナを設定する際に避けるべきことは、想像や理想だけで作ることです。実在するユーザーのデータに基づいて、客観的なペルソナを作成するからこそ、現在の市況に合わせた、サービスや商品、マーケティング自体のヒントになるといえます。
情報収集の時に、どれほど精緻な調べができるかがペルソナの完成度を左右します。事前の調査には時間をかけて取り組みましょう。
5:必要な情報を厳選する
ペルソナを間違ってしまう原因として2つ要因があります。確かなエビデンスを見つけていないこととユーザーのニーズを把握できていないことです。
1つ目のミスに関しては、実際にペルソナになりそうな人にインタビューをすることで問題を解決できます。アンケートという手もありますが、回答率が低く、情報の信頼性も薄くなるので、インタビューをするのがおすすめです。
2つ目のユーザーニーズの把握に「ジョブ理論」を活用することで、問題を解決します。ジョブ理論とは顧客の行動を「ジョブ」、解決するためのサービスを使うことを「ハイア」ととします。顧客行動に沿ったニーズを再定義することで、ニーズにマッチした事業モデルをつくるための理論です。
マーケティングにおけるペルソナについて理解を深めよう
ここまで、ペルソナとターゲットの違いから、ペルソナをどのように設定し、どのように役に立てればいいのか、注意するべきポイントなどについて説明してきました。
ペルソナ自体を作ることが目的ではありません。ペルソナを設定する意味は、顧客側の目線で、商品・サービスを創るためです。その目的を理解して、ペルソナの理解を深めていきましょう。