ABC分析を行う方法|パレートの法則とランク付けの指標の例
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初回公開日:2021年08月25日
更新日:2022年03月03日
ABC分析とは?
ABC分析とは、売上や販売個数、コストといった指標の中から、ウェイトが高い順にA、B、Cのグループに分類して管理することです。分類後は、重要度が高いグループを重点的に管理することから「重点分析」とも呼ばれています。
数値化されたデータがあれば分析が可能なため、多方面で使える汎用性の高さが特徴です。
ABC分析の基となるパレートの法則
パレートの法則とは、「全体の構成の一部が、全体の数値の大部分を作り出している」というものです。その構成の「一部」を2割とみなすことから2:8の法則とも呼ばれています。
パレートの法則は、各国の国民所得を調査した結果「人口の20%が、全体の富の80%を所有している」ことに由来しており、「ウェイトの高いグループを重点的に管理する」というABC分析の基となっている法則です。
ABC分析の目的
ABC分析の目的は、「経営資源の配分」と「経営の効率化」です。
2:8のパレートの法則によれば、2割の顧客が8割の売上を生み出すことから、2割の顧客に優先して経営資源を配分・投入した方が、全ての顧客を対象とするよりも効率的といえます。
ABC分析により、優先して力を入れるべき商品や顧客などを把握し、重点的に「経営資源の配分」を行うことで「経営の効率化」が図られ、最終的には、経営力の増大へと繋がっていきます。
ABC分析を行う方法
ABC分析を行うには基となるデータが必要です。データをABCに分類することで、重点的に管理すべき事項が明確化します。
例えば、売上に関するデータの準備ができたら、以下の3つの作業を行います。
1.各商品の「売上全体に占める割合(売上割合)」を算出する
2.1を基に累積売上割合を求め、「A」「B」「C」に分類する
3.2の結果を基に「パレート図」を作成する
ここでは売上を例に、「A、B、Cに分ける方法」と「パレート図の作成方法」について紹介します。
商品を「A」「B」「C」に分ける方法
商品を「A」「B」「C」に分けるためには、前提として、各商品の「売上全体に占める割合(売上割合)」を計算します。この売上割合から累積売上割合が算出されるため、累積売上割合を基準に、売上の上位を「A」、中位以下を「B」、下位以上を「C」と分類します。
以上が「ABC分析」におけるA、B、Cの基本的な分類方法です。「売上全体に占める割合の計算」と「割合からABCに分類する方法」については、次の項目で詳しく見てみましょう。
商品ごとに売上全体に占める割合を計算する
まず、商品名・単価・販売数をリスト化し、商品ごとの売上データを作成します。「売上」に重点を置くため、売上金額の多い順に並び変えましょう。
次に、「商品ごとに売上全体に占める割合」を計算します。計算方法は「商品の売上金額÷全体の売上金額」です。
割合を見て分類する
ABC分析では「商品ごとに売上全体に占める割合(売上割合)」から算出した「累積売上割合」により、次のように「A」「B」「C」に分類します。
「A」:累積売上割合が70%未満の商品
「B」:累積売上割合が70%以上~90%未満の商品
「C」:累積売上割合が90%以上の商品
「A」に分類されたものが、売上に「貢献している商品」であり、重点を置く商品です。
ABC分類表に沿ってパレート図を作成
ABC分類表を作り、それをベースにパレート図を作成します。パレート図は「棒グラフ」と「折れ線グラフ」を組み合わせた複合グラフです。ABC分析をパレート図にして表すことで商品別の重要度が明白になります。
「ABC分類表の作り方」と「分類表からグラフにする方法」について、次の項目で紹介します。
ABCの分類表を作る
「ABCの分類表」は、商品を売上の高い順に並べ、「売上高」「売上割合」「累計売上割合」「ABCで分類したランク」の4項目を記載して作成します。
累計売上割合は、「1位の売上割合」から順に「次順位の売上割合」を加算していく数値で、最下位の累計売上割合は100%です。
「A」「B」「C」ごとに文字を色分けして作成すると、分類別が視覚的に分かりやすくなります。
分類表をグラフにする
ABCの分類表をグラフにする手順は、次のようになります。
1.第1軸を売上の数値、第2軸を累計売上割合の数値とする
2.商品を売上の多い順に並べ、売上を棒グラフで表示する
3.累計売上割合を折れ線グラフで表示する
Excelで作成する場合は、グラフ作成のテンプレート内にある「パレート図」を利用したグラフの作成が可能です。基となるデータの範囲を選択し、Excelの「挿入タブ」から「おすすめグラフ」をクリックし「パレート図」を選択すると自動的にパレート図が作成されます。
ABCランク付けの指標の例
ABC分析は、どこに重点をおいてマーケティングを行えば良いかを把握しやすく、数値化されたデータがあれば分析が可能です。主に在庫管理の分野で活用されるというイメージが強い分析方法ですが、実は幅広い分野で活用できます。
つまり、取引先や顧客、人員など「指標」を変えて分析の活用ができるということです。例えば、取引先ごとの利益率をデータ化してABC分析することで重点を置くべき取引先が明確になります。
ビジネスにおける様々な場面で、「経営資源の配分」を行う際は、ABC分析も判断材料の一つとして活用しましょう。
ABC分析の方法を理解して経営判断に活かそう!
ABC分析は、重要度が高いグループを重点的に管理することで経営を効率化してくれます。しかし、ABC分析はあくまで分析の一つにすぎないため、総合的に判断することが必要です。
また、商品や顧客など、あらゆる事は常に同じではありません。そのため、定期的にABC分析を行うことも必要になります。
以上を踏まえた上でABC分析を行い、経営力向上のための経営判断に活かしていきましょう。