マーケティングの8つのデータ分析|メリットと重要性・分析のポイント
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初回公開日:2021年08月25日
更新日:2022年03月03日
マーケティングにおいてのデータ分析とは?
企業が業績を伸ばすためには、効果的なマーケティング戦略が不可欠です。 しかも、人の経験や直感だけに頼った主観的な施策ではなく、データ分析に基づいたマーケティング戦略を実行することによって、より具体的で効率的なアプローチが可能になるでしょう。
マーケティングにおけるデータ分析のメリットや重要性について説明していきます。
データ分析のメリット
データ分析のメリットは、客観的に現状の把握ができることです。現状を正確に把握できれば、精度の高いアプローチ法につながる、施策の成果を正確に判定できる、的確な改善方法のアイディアを立案できる、などの効果が見込めます。
また、データ分析によって視覚的に現状把握できることで、社内での意思統一に役立つことや、多様なデータ分析結果から新たな着想を得られるチャンスが広がります。
データ分析の重要性
近年のマーケティングにおいて、データ分析の重要性が高まりつつあります。それは、企業が蓄積している膨大なデータ群である「ビッグデータ」の存在が大きいと言えるでしょう。
豊富なデータを入手・分析し、その結果を活用する技術やシステムが開発・導入されるにしたがって、マーケティング戦略に活用する企業が増えてきています。
そして、今後も多様化する顧客のニーズに応えて企業が成長していくためには、データ分析の活用が重要なカギの1つとなるでしょう。
マーケティングの8つのデータ分析
マーケティングに活用されるデータ分析には多くの方法があります。データ分析の効果を引き出すためには、多くの手法の中から企業の特徴や利用の目的によって方法を選ぶ必要があります。
それでは、実際にマーケティングで使用できるデータ分析の手法とその特徴を紹介します。
1:クラスター分析
「クラスター分析」とは、異なる要素が混ざり合ったデータを、似ている特徴を持つデータごとにグループ分けする分析方法です。この共通性があるグループのことをクラスターと呼び、データの関連性を見つけ出すことで顧客のニーズを把握できます。
たとえば、商品の価格や顧客の年齢、顧客の嗜好などで分類してクラスターを作ることで、セグメンテーションやターゲティングに活用します。
2:クロス集計分析
「クロス集計分析」とは、アンケートにおける設問とその回答による集計と、回答者の属性をかけ合わせて集計し、分析する統計手法です。
たとえば、「この商品をどこで知りましたか?」などという特定の質問の答えを、回答者の属性ごとに分けて集計していきます。すると、性別、年齢、職業など属性ごとの消費者の嗜好やトレンドとの相関関係が見えてくるため、それを広告や販売数に反映させることができます。
3:因子分析
「因子分析」とは、集めたデータにおける因子と変数から共通性や相関性を見つけ出して、事象の原因を導き出す分析方法です。この手法は、マーケティングだけでなく、多くの分野で活用されており、基本的には専用の統計ソフトを用いて分析します。
たとえば、ビジネスにおいては商品の価格や品質、ブランド力などの、顧客が商品を選定する基準から、選ばれた理由を見つけ出します。これにより、企業や商品の課題の発見につなげます。
4:アソシエーション分析
「アソシエーション分析」とは、多数の要素を分析することで、一見関連性のない要素同士の隠れた関係性を発見する方法です。たとえば、Aの売上が伸びたらBも伸びる、天気が悪い日はCの売上が増える、などといった関連性の発見に役立ちます。
主にスーパーやネット通販などに活用されていますが、それ以外のマーケティングにおいても活用することで、直接つながりのないように見える予想外の関係性が見つかり、新たな施策のヒントになる可能性があります。
5:ABC分析
「ABC分析」とは、要素を重要度の高いものからランクづけして分析する手法で、「重点分析」とも呼ばれます。たとえば、商品の売上を多い順に並べ、それぞれの売上割合を算出し、それをA、B、Cなどとランクづけしていきます。
これにより、売れ筋商品やヒット商品などが可視化でき、人員や予算をどこにかけるべきか、どの商品の販売を縮小すべきか、などが明確になります。ランクづけする指標は、売上高や顧客数、価格などさまざまな指標を用いて分析されます。
6:バスケット分析
「バスケット分析」とは、アソシエーション分析から派生した分析方法で、2つのデータの関連性でなく、顧客ごとにどの商品を同時購入したかを分析する手法です。
この分析方法を取り入れることにより、より顧客のニーズに合致したものを勧めることができ、さらに追加購入を促すことも可能です。
バスケット分析が活用されているのが通販サイトで「この商品を購入した人はこの商品も購入しています」といったおすすめは、この分析によるものです。
7:ロジスティック回帰分析
「ロジスティック回帰分析」とは、ある事象の発生率を予測する分析方法です。この分析方法は、多変量解析の一種で、「はい」または「いいえ」で答えられる設問を用意し、回答は0から1の間の数値で表します。
たとえば、広告を見て商品を購入した人を「1」、広告を見て商品を購入しなかった人を「0」と定義してロジスティック回帰分析を行い、広告の効果測定を行ないます。そして、より高い効果が得られた施策を推進していくとよいでしょう。
8:決定木分析
「決定木分析」とは、1つのデータに対してさまざま結果予測を行ない、枝分かれした分岐モデルを作成し、分析する方法です。 この方法は、その要素に影響する、より確実な関連性や根拠を発見できます。
たとえば、「商品を購入したか」という設問から、「どのくらい購入したか」や「どの色を購入したか」など、ツリー状になるモデルを作成し、分析していきます。その結果、 顧客の購買意欲や意思決定などを把握できます。
また、この手法は可能性や要因を明らかにできるため、リスクマネジメントにも活用されています。
マーケティングの目的に合わせたデータ分析の例3つ
ビジネスインテリジェンス(BI)の重要性がより認識されつつある中で、データ分析は欠かせないBIツールです。ただし、良質なデータを集めることだけでなく、分析の目的の明確化とそれに合わせた分析方法の選定、その結果を施策につなげる手法が重要です。
ここでは、マーケティングの目的に合わせたデータ分析についてまとめてますので、参考にしてみてください。
1:市場を正確に把握したい
市場を正確に把握するためには、アンケートやインタビューによる調査が基本です。たとえば、商品の選定基準や顧客満足度、顧客自身の属性などを知るために、それらの調査で全体の傾向、および細部の情報を得て、分析を行い、顧客ニーズや商品の課題の明確化につなげます。
現状把握のための分析には、リサーチによってデータを入手した後、クロス集計分析や単純集計分析などが用いられます。
2:ターゲット層を明確にしたい
マーケティングにおいてはターゲティングが重要で、そのためにはデータ分析が欠かせません。すべての顧客にすべての商品を同じように広告していては非効率なため、データ分析の結果を活用します。
たとえば、集めたデータでクラスター分析やABC分析、アソシエーション分析(バスケット分析)をすることで、顧客の属性や商品ごとにポジショニングができます。
その結果を活かしてターゲットや商品、状況ごとに異なる施策を打つことができ、効率的なマーケティング戦略が可能となります。
3:将来性を予測したい
マーケティング戦略を練る際、結果を予測して施策を立案しますが、その精度を上げるためにはデータ分析が必要です。将来的な社会状況や消費者動向の変化とともに、施策の結果をできるだけ正確に予測できれば、より効率よくマーケティング戦略を進めることができます。
決定木分析やロジスティック回帰分析などは、関連する事象が起きる確率を予測できるため、将来性を予測するために有用と言えるでしょう。
マーケティングにおけるデータ分析のポイント
前述したとおり、データ分析を行う際に重要なのが目的の明確化です。分析によって何をしたいのかを意識しながら、データを収集して分析方法を選びます。
データを収集する際は、目的や分析方法にそって行ない、そのデータを細分化して比較します。重要なのはデータを集めることではなく、それをどう活かすかということであり、分析のために分析することにならないように注意しましょう。
マーケティング戦略における最終的な目的は、業績を伸ばす施策を立案すること、成果が出ない施策を改善すること、の2つです。
マーケティングのデータ分析についての理解を深めよう!
かつて、各企業は業績を伸ばすために、経験や直感だけに頼った主観的な施策を立案していました。それが功を奏する場合もありますが、膨大なデータが手に入り、それを活用できる手法が確立されつつある現代においては、客観的かつ効率的なデータ分析が必要不可欠です。
マーケティング戦略に欠かせないデータ分析の手法を使って、効率的な施策を立案し、企業の業績向上につなげましょう。