ROIの意味ってなに?|計算式と高める方法も合わせて紹介
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初回公開日:2021年08月25日
更新日:2024年06月18日
ROIの意味ってなに?
ROIとは、「Return On Investment」の頭文字をとった略称で、「投資収益率」や「投資利益率」と訳します。投資した費用に対して、どれくらいの利益が出たのかを表す指標です。
マーケティングなどの支出を伴う施策の費用対効果を明らかにしたいときに用いるもので、このROIの数値が高ければ高いほど、効果的な投資ができていると言えます。
ROIの重要性
マーケティングでは、ROIが非常に重要視されています。なぜなら、マーケティング施策の成否がROIの数値から判断できるためです。それは、規模や形態の異なる施策であっても、同じ基準で判断可能です。
ROIは、効果的な施策へより多くの投資ができるようになるので、無駄な出費なくより多くの利益を出すことが可能になります。そのため、間違ったマーケティング施策で経営に負担をかけるリスクを避けることができることが、ROIが重要視されている理由の一つです。
ROIとROASの違い
ROIと混同されやすい指標に、ROASというものがあります。ROASは、「Return On Advertising Spend」の頭文字をとった略称で、「広告費用の回収率」や「費用対効果」と訳します。
どちらも、投資した費用に対する効果を見る指標です。しかし、ROIが投資効果を確認する指標であるのに対し、ROASは広告によって発生した売上を比較するので、投資した後の売上効果を確認するための指標なのです。ROI同様、ROASも数値が高いほど効果が出ていることを指します。
ROIの計算式
ROIは、「利益額(売上-売上原価-投資額)÷投資額×100%」の計算式で求めることができます。
つまり、投資額以上の利益が出ていれば100%よりも高い数字となり、投資額より利益が少なければ100%を切ってしまうので、赤字で終わってしまう可能性が高いことを示します。
ROIを活用する利点4つ
前述の通り、ROIはマーケティングにおいて非常に重要視されています。では、なぜこんなにも重要視されているのでしょうか。ROIを活用する利点は、主に4つあると言えます。それぞれについて詳しくご紹介しましょう。
1:利益がわかりビジネスの続行性が判断できる
ROIには、利益がわかるという利点があります。様々なビジネスを並行で行っている企業の場合、それぞれのビジネスの規模が異なるため、本当に利益をあげているものが見えづらくなるでしょう。しかし、ROIを活用することで実際は利益が高いビジネスを探すことが可能です。
大きなビジネスであればあるほど、やめるという判断は難しいものですが、ROIできちんと利益を把握できることで、そのビジネスを続行するかどうか客観的な判断が可能になります。
2:事業単位でなく施策単位で評価できる
ROIは事業単位といった大きな単位ではなく、日々の業務や従業員の作業などの小さい施策単位でも評価が可能です。施策単位でROIを明らかにすれば、より詳細に投資する施策を把握することが可能になります。
適切な人員配置や季節ごとの単発的な施策、店舗ごとの評価なども把握できるようになることで、より具体的な課題の発見と解決策の立案が期待できるでしょう。
3:費用対効果が比較できる
ROIは、規模や形態の異なるビジネスであっても、同じ基準で評価することができます。具体的な数値として示されるため、売上が高くてもコストと見合っていないビジネスが浮き彫りになるのです。
そのため、そのビジネスは本当に成功しているのか、他のビジネスはどうなのか、費用対効果が比較できます。小規模なビジネスであっても、費用対効果の高いビジネスとして、さらに注力するといった判断も可能です。
4:マーケティングオートメーションとの同時活用で分析業務の最適化ができる
ROIを詳細に分析していきたいが、マーケティングにおける人員が足りず十分に手を付けられていない企業も多いと言います。そこで、マーケティングオートメーションと同時活用することで、分析業務の最適化が可能です。
マーケティングオートメーションは、マーケティング活動の自動化が可能です。見込み顧客の情報を一元管理し、適切なタイミングでアプローチをすることで、見込み顧客を顧客に育てます。
この業務をマーケティングの人員の代わりに機械が自動的に行ってくれることで、マーケティングの人員はROIの分析業務など重要な業務に時間を割くことができるようになるのです。
ROIを活用する懸念点3つ
ROIは、投資した費用に対してどれくらいの利益が出たかを見るのに、非常に有効な手段ですが、懸念される点もあります。ROIを活用する懸念点にはどのようなものがあるでしょうか。懸念点も把握したうえでROIを活用するため、詳細を見ていきましょう。
1:長期的に育てたいビジネスは収益が出にくい
ROI活用の懸念点として、長期的に育てたいビジネスの収益を評価することが難しい点が挙げられます。
ROIは投資した費用に対する収益を単純に計算するものです。そのため、すぐには結果が出ず、長期的に少しずつ収益につながるビジネスの場合、ROIで判断することは難しく、その事実を反映することができません。
2:数値で測れない知名度やイメージの利益は評価できない
ROIは数値をもとにした評価基準のため、数値で測れない利益の評価はできません。例えば、ブランドイメージや知名度の向上、ある狙ったイメージの確立に向けた施策などは、数値化できないためROIによる評価は困難です。
そのため、ROIだけでビジネスの続行性の判断をしてしまうと、今まで積み上げてきたブランドイメージやファンを失うことにもつながる可能性に注意が必要です。
3:違う業種との比較には適していない
ROIは違う業種との比較には適していません。なぜなら、業種が違えば、ROIの水準も異なってくるからです。
例えば、モノを生産し販売している製造業の企業のROIが80%で、無形商材を販売している金融業の企業のROIが250%だったとします。数値だけ見ると、金融業の企業の方が費用対効果が高いと言えますが、金融業の企業の方が優れているとは断言できないでしょう。
このように、違う業種の企業同士を比較しても、正確な分析データとは言えず、的外れな結果となってしまいます。
ROIを高める5つの方法
ROIはしばしば一旦数値が出れば変わらないものとして扱われますが、ROIは高めることが可能です。ここからは、ROIを高める方法について5つご紹介していきましょう。
1:広告ターゲティングを最適化する
同じ広告を発信していたとしても、届けるターゲットを変えることによって、ROIを高めることができます。なぜなら、具体的な広告メッセージであればあるほど、万人に受け入れられるものではなく、特定のターゲットにこそ効果的だからです。
ターゲティングを少しずつ調整し、様々なターゲットに及ぼす影響を測ることができれば、反応の低い層をターゲットから外し、積極的に反応してくれる層をターゲットとして絞ることができます。すると、ROIは必然的に高まります。
2:事業の効率化を促し原価コストを削減する
ROIは、「利益額(売上-売上原価-投資額)÷投資額×100%」の計算式で求められるため、原価コストの削減は、ROIの向上に直結します。
原価コストを削減するには、事業の効率化が必要です。まずは、事業に関わる全体のフローを洗い出しましょう。そして、無駄なフローを廃止していきます。そうすることで、費用も人員も時間も、原価コストにつながるもの全般について削減の検討をすることが可能です。
3:マーケティングオートメーションを導入して売上を増やす
ROIは売上が上がれば上がるほど、必然的に利益は上がり、ROIも高まります。では、売上を上げるにはどうしたらいいでしょうか。売上を上げる方法の1つとして、マーケティングオートメーションの導入が効果的です。
マーケティングオートメーションは、業務の自動化により、広告の最適化やより良い施策の実施に時間を割けるようになったり、多くの見込み顧客に対して短時間でアプローチが可能になることにより、質の良い商談を増やせるようになったりします。
そのため、売上の向上につながりやすく、それがROIの向上につながります。
4:広告費を見直し最適化する
そもそもROIは、投資した広告費に対して、どれくらいの利益が得られたかを示す指標です。よって、広告費の削減や値下げ交渉ができれば、ROIは高まります。広告費に100万使おうと1,000万使おうと、売上がさほど変わらないのであれば、費用対効果に大きな違いがあるためです。
そのため、ROIを高めるには、まず広告費を見直し、最適化を図りましょう。
5:分析指標に基づいて施策を導き出す
ROIは算出して終わりでなく、より高めていくために、その分析指標に基づいて、施策を導き出していくことが大切です。
ROIを高めるためには、ここまでにご紹介したような方法が考えられます。自社や競合、市場の状況を鑑み、どの項目にどれくらいの目標数値を設定するか、その目標数値を達成するためにどのような施策を取るべきか導き出しましょう。
ROI以外の企業の利益を高める重要な3つの指標
マーケティング用語には、ROI以外にもCVR、LTV、CPAなどの専門用語が存在します。これらは、企業の利益を高めるために非常に重要な指標です。すべて企業の利益を高めるための指標ですが、その違いについて見ていきましょう。
1:CVR(Conversion Rate)
CVRとは、Webサイトへのアクセスのうち、どれくらいがコンバージョンにつながったかを測る指標のことです。「コンバージョン数÷サイト訪問数(セッション数)×100」の計算式で求められます。
Webサイト全体のアクセス数だけでなく、ページごとのアクセス数も比較できることから、どのWebサイトの効果が高いのか、どのページの効果が高いのかを可視化することができます。
2:LTV(Life Time Value)
LTVとは、顧客生涯価値と訳され、顧客が生涯でどれだけ利益を落としてくれるかを測る指標です。「平均顧客単価×平均購買頻度×平均継続期間」が代表的な計算式です。
LTVはリピートを想定した考え方のため、長期的な目標や利益が可視化できます。十分なリピートが見込めないと、継続的に利益をあげることが難しいので、初めに着手すべき指標と言えます。
3:CPA(Cost Per Acquisition)
CPAとは、1コンバージョンあたりのコストを測る指標です。「コスト÷コンバージョン数」の計算式で求めることができ、この数値が低ければ低いほど良いとされています。
CPAは、広告に対する費用対効果が可視化できるため、もしこの数値が高ければ、広告の文言やSEO対策など基本的な部分の見直しが必要と言えるでしょう。
ROIを活用して企業の施策を改善し利益向上しよう
ROIは、投資に対する効果を可視化できる指標です。そして、大切なのは、ROIを算出したあとに、より利益を高めていくために、施策を導き出していくことです。この記事を参考にしていただき、利益向上のためにROIを活用していきましょう。