SWOT分析を行う6つの目的とは?企業の事例をもとに詳しく説明
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SWOT分析を行う6つの目的とは?企業の事例をもとに詳しく説明

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SWOT分析を行う6つの目的とは?企業の事例をもとに詳しく説明

記載されている内容は2021年08月25日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。

また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

初回公開日:2021年08月25日

更新日:2024年06月18日

SWOT分析を行うことにはどのような目的があるのでしょうか。本記事ではSWOT分析を行う目的やSWOT分析が持つメリット、SWOT分析の作成ステップやSWOT分析事例などを紹介します。ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。

SWOT分析とはどのような分析方法のこと?

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SWOT分析とは、企業がマーケティング活動において自社の状況把握などを行うために使用するフレームワークです。

SWOT分析では自社を軸に「強み(Strength)」、「弱み(Weakness)、「機会(Opportunity)」、「脅威(Threat)」という4つ要因を分析するもので、SWOT分析を行うことで自社を取り巻く環境要因を踏まえたマーケティング戦略を立案できるようになります。

また、ビジネスチャンスや課題を考えていく意味でも活用されています。

SWOT分析を行う6つの目的

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SWOT分析は、自社を軸として内部要因と外部要因をそれぞれ分析することにより、自社の強みや弱みなどを把握することができるフレームワークです。SWOT分析を的確に利用することで、企業が目的を達成するための最適な戦略を立案することも可能になります。

それでは、SWOT分析を行うことには具体的にどのような目的があるのでしょうか。ここではSWOT分析を行う6つの目的を紹介していくため、ぜひ参考にしてみてください。

1:組織目標を設定するため

SWOT分析は企業が組織目標を設定するために用いられるケースがあります。SWOT分析を行うことで、業界内での自社のポジションや具体的な強みや弱みなどを、把握することが可能になります。

多くの組織では目標設定を行いますが、的確な目標を設定できているケースは多くありません。しかしSWOT分析の結果をもとにすることで、自社にとって最適な組織目標を設定しやすくなるでしょう。

2:社員個人の目標を設定するため

SWOT分析は、社員個人の目標を設定するためにも用いられるケースがあります。前述のとおり、SWOT分析を行うことで企業として的確な目標設定ができるようになります。そのため、組織としての方向性を踏まえた上で社員個人の目標も設定しやすくなるのです。

また、社員自身が個人でSWOT分析を行うことにより、自分の強みや足りないものを把握できるようになるため、やるべきことを明確にできます。

3:マーケティングプランを策定するため

SWOT分析は、マーケティングプランの作成のために用いられるケースがあります。マーケティングプランとは、マーケティング戦略にもとづいて決定される具体的なアクションプランのことです。

事業全体の計画としての事業戦略方針が決定した後には、マーケティングに特化したマーケティングプランを練ることになります。SWOT分析は、マーケティングプランを検討するためにも役立つでしょう。

4:現状分析を行うため

SWOT分析は自社の現状分析のために用いられるケースがあります。SWOT分析を行うことで、業界内で自社がどのような立ち位置なのか把握することができます。

また、これらの視点によって経営戦略や事業計画などの現状分析を行うことができます。改めて現状分析を行うことにより、新しいビジネスチャンスを発見することもできるでしょう。

5:将来的に予測される問題を見つけるため

SWOT分析は、将来的に発生すると予測される問題を見つける目的で用いられるケースがあります。

SWOT分析では、競合他社にあって自社にないものや自社が苦手とするもの、やらなくてはいけないとわかっていても、現状ではできていないことなどを整理することになります。

このような弱みや脅威などを分析することにより、将来に渡って問題になる可能性がある企業内の問題を見つけることも可能になります。

6:ビジネスチャンスを見つけるため

SWOT分析は、ビジネスチャンスを発見するという目的で用いられるケースがあります。SWOT分析では、外部要因として機会や脅威を整理することになります。

自社の強みと機会とを組み合わせることで、自社が持つ技術力や人脈などをビジネスチャンスに活かす方法を検討することができます。また、脅威を知ることによって、課題を発見したり、新しいビジネスチャンスを創造することも可能になるでしょう。

SWOT分析が持つ4つのメリット

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ここまで紹介したように、SWOT分析はさまざまな目的で実施されます。それでは、SWOT分析を実施することでどのようなメリットがあるのでしょうか。

ここではSWOT分析が持つ4つのメリットを紹介していくため、参考にしてみてください。

1:将来に起こりうる課題を予測できる

SWOT分析では、外部環境としてさまざまなマクロ環境を分析します。その中には政治や法律、経済、社会、技術などのさまざまな観点が存在しており、これらは企業がコントロールすることはできません。

しかし、このような政治や法律などの観点から見たときに、今後自社にどのような影響があるのかをSWOT分析で分析することにより、将来起こりうる課題を予測することが可能になります。

たとえば、法律の改正によって販売が規制緩和されたり、逆に競争が激化したりするといったことも予測できるようになるでしょう。

2:現状が抱える問題点を洗い出せる

SWOT分析を行うことにより、現状が抱える問題点を洗い出すことが可能です。SWOT分析ではまず自社の内外の現状を把握し、その上でマーケティング施策を検討していくという流れになります。

そのため、現時点では曖昧な状態になっている問題点も、SWOT分析によって整理し、明確にしていくことが可能です。

3:現状を変える方法を策定できる

SWOT分析は、現状分析のために用いられるフレームワークです。SWOT分析を行うことによって現状の問題点の洗い出しが行えるため、現状を改善して変えていく方法も策定することが可能です。

たとえば、自社が現在備えていないものの、目標達成のために必要なもの(弱み)がわかれば、弱みを挽回することで現状を変えていくことができるでしょう。

4:フレームワークを使って整理できる

SWOT分析は、フレームワークを使って現状を整理していくことができます。フレームワークとは、共通して用いることができる考え方や戦略立案などの枠組みを差す言葉です。

フレームワークに当てはめることにより論理的に現状を整理し、ビジネスチャンスや課題を見出すことができるようになります。また、SWOT分析で使用されるフレームワークには「PEST分析」や「ファイブフォース分析」、「VRIO分析」などがあります。

SWOT分析の5つの作成ステップ

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ここまでSWOT分析の目的やメリットなどを紹介してきましたが、実際にSWOT分析を行う場合はどのような流れになるのでしょうか。

ここではSWOT分析の5つの作成ステップについて紹介していきます。

1:明確な目標を設定する

SWOT分析を行う場合、まずはSWOT分析に向けた具体的な目標を設定する必要があります。最初にどのような目標設定を行うのかによって、SWOT分析の内容も変わってきます。

そのため、何を目標とした分析を行うのか、事前に十分な検討を行って決定しておくことが大切です。明確な目的を設定せずにSWOT分析を行っても、SWOT分析の結果を活用できず、期待していたような成果が得られなくなるでしょう。

2:情報収集し整理する

目標を設定したら、SWOT分析を行う上で必要な情報を収集していきましょう。SWOT分析では強み、弱み、機会、脅威に該当する情報を集める必要があります。

企業がSWOT分析を行う場合には、自社の得意とすること、自社が苦手とすること、自社にとってチャンスとなるような市場の変化、自社の強みを打ち消してしまうような市場の変化などが4つの要素にそれぞれ該当するでしょう。

また、特にチャンスになりそうな情報をできる限り抽出するようにしましょう。

3:SWOTの各要素を箇条書きする

情報収集を行ったら、SWOT分析の各要素をテンプレートに当てはめて箇条書きにしましょう。書き出す際には、SWOT分析を行う目的や目標に当てはまるような要素を重点的に書き出していくことがおすすめです。

たとえば、目標から外れるような内容やすぐに解決できるような内容ではなく、関連性が高い情報を重視して箇条書きにしていきましょう。また、ロジカルシンキングの基本である「MECE(モレがなく、ダブりなく)」をポイントにしましょう。

4:箇条書きしたものをグループ分けする

SWOT分析に必要な情報を箇条書きで書き出したら、集約してグループ分けを行いましょう。内容をまとめてグルーピングすることにより、グループごとの関係性がわかりやすくなります。

5:グループ分けしたものをテキスト化する

内容をまとめてグループ分けしたものを最後に文章化しましょう。SWOT分析の4要素である「強み」「弱み」「機会」「脅威」として、それぞれテキスト化します。箇条書きの文章をきちんとテキスト化することで、4要素を把握しやすくなります。

4つの企業によるSWOT分析事例

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SWOT分析の作成方法がわかっても、実際に自社で実施するイメージができないというケースもあるでしょう。SWOT分析を自社のマーケティングや戦略立案に利用する場合は、他の企業を事例としたSWOT分析事例を参考にするのがおすすめです。

ここでは4つの企業によるSWOT分析事例を紹介していきます。

1:大手自動車メーカーの例

この会社は、車種の豊富さが逆に選びにくさに繋がっているため、現在では車種を絞る戦略が取られています。SWOT分析事例は以下となります。

「強み」
・生産数が世界で上位
・世界有数のブランド力
・ハイブリッド車市場での地位を確率

「弱み」
・国内での販売数の伸び悩み
・車種が多く選びにくい

「機会」
・新興国市場の成長
・低燃費車の需要拡大

「脅威」
・新興国市場での低価格車の競争激化
・車に関心がない人の増加

2:大手電機メーカーの例

この会社は、音や映像のエレクトロニクス事業だけでなくメディカル領域まで進出しています。SWOT分析事例は以下となります。

「強み」
・国内外でのブランド力の高さ
・多角的な事業展開

「弱み」
・モノづくりの体制が弱体化している
・成長戦略が不明確

「機会」
・世界的な景気回復の兆候
・エコポイント制度の導入

「脅威」
・液晶テレビ市場への新興メーカーの参入
・パソコンの低価格化

3:大手百貨店の例

この会社は、日本の百貨店業での売り上げが非常に良く、多くのグループ会社を傘下に置いています。SWOT分析事例は以下となります。

「強み」
・他の百貨店と比較したときの売り上げの高さ
・高いブランド力

「弱み」
・顧客の高齢化
・特定の店舗への依存

「機会」
・オンライン市場の拡大
・アジア圏の市場成長

「脅威」
・増税による景気後退
・個人消費の減少
・業界内での競争激化

4:大手宅配業者の例

大手宅配業者の事例では、全国に伸びる宅急便ネットワークと豊富な決済手段によって現在の地位が確立されました。SWOT分析事例は以下となります。

「強み」
・東証一部上場企業の財政基盤
・高いブランド力
・宅急便ネットワークの人口カバー率の高さ

「弱み」
・デリバリー事業への依存度の高さ
・本業以外の事業を育てていない

「機会」
・Eマース市場の急拡大

「脅威」
・宅配ドライバー不足
・人件費の上昇

SWOT分析事例からわかるポイント

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SWOT分析の事例から、強み、弱み、機会、脅威の4つをマトリックスで組み合わせて解釈することがポイントだということがわかります。

また、同じ事実であっても複数の解釈を行うことができるため、「強みと機会」や「強みと脅威」といったさまざまな組み合わせで多面的に分析を行うことが重要です。

SWOT分析におけるクロス分析の例4つ

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SWOT分析では、強み、弱み、機会、脅威という要素を組み合わせることでさまざまな角度から分析を行うことができます。

SWOT分析におけるクロス分析とは、書き出した4つの項目を「強み×機会」「強み×脅威」「弱み×機会」「弱み×脅威」の組み合わせによって分析を行っていくものです。

ここではSWOT分析におけるクロス分析の例4つを紹介していきます。ぜひ参考にしてみてください。

1:「強み」と「脅威」による組み合わせの特徴

「強み」と「脅威」を組み合わせることにより、自社の強みを活かすことによって脅威を避けたり、場合によっては脅威を機会として活かすための方法を見つけたりできるでしょう。このような戦略を「差別化戦略」と呼びます。

脅威が生まれた場合でも、業界や製品などの違いによっては新たなビジネスチャンスとして捉えることもできます。強みと脅威を組み合わせる場合には、脅威を避けるのはもちろん、ビジネスチャンスを模索するところまで議論すると良いでしょう。

2:「強み」と「機会」による組み合わせの特徴

「強み」と「機会」を組み合わせることにより、自社の強みをビジネスチャンスに活かす方法を見つけることができるでしょう。このような戦略を「積極戦略」と呼びます。

強みと機会を組み合わせることにより、強みを最大限活かして大きく成長するためには何をすればよいのかを導き出すこともできます。また、自社の強みをより強固にすることで、独自性を成長させることもできるでしょう。

3:「弱み」と「脅威」による組み合わせの特徴

「弱み」と「脅威」を組み合わせることにより、自社の弱みを正しく理解して脅威による被害を防いだり、脅威を最小限に食い止めたりするための方法を見つけることができるでしょう。このような戦略を「防御・撤退戦略」と呼びます。

自社の弱みと脅威が重なった場合は非常に大きなリスクがあり、場合によっては企業として大打撃を受けるケースもあります。そのため、最悪の事態を避けるためにはどのような行動を起こすべきか議論するようにしましょう。

4:「弱み」と「機会」による組み合わせの特徴

「弱み」と「機会」を組み合わせることにより、自社の弱みを解消して機会を活かす方法を見つけることができるでしょう。このような戦略を「改善戦略」と呼びます。

弱みと機会を組み合わせることで、弱みを強みに変えるにはどうすべきかを検討するようにしましょう。

SWOT分析の事例を参考に自社の目標や課題を洗い出そう

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SWOT分析を行う際には実際の企業の事例なども参考にしましょう。ぜひ本記事で紹介したSWOT分析を行う目的やメリット、SWOT分析の作成ステップや企業によるSWOT分析事例などを参考に、SWOT分析を自社のマーケティングに活かしてみてはいかがでしょうか。

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