マーケティングにおけるAISASモデルの特徴とは?企業事例4選を紹介
用語・フレームワーク
マーケティングにおけるAISASモデルの特徴とは?企業事例4選を紹介

Share

Facebook
Twitter
はてな

マーケティングにおけるAISASモデルの特徴とは?企業事例4選を紹介

記載されている内容は2021年09月13日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。

また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

初回公開日:2021年09月13日

更新日:2024年05月31日

消費者の購買行動モデルであるAISASとは何か、そして実際にAISASを活用し、成功を収めている企業を4社ご紹介します。インターネットが普及した昨今のマーケティング手法として、ビジネスパーソンがおさえておくべき内容をわかりやすくまとめました。

AISASモデルの特徴

消費者がどのような購買行動を取るかを簡潔に示したものとして近年注目を集めているモデルが、AISAS(アイサス)モデルです。ここでは、AISASモデル特有の特徴について説明していきます。

インターネットの存在を考慮している

AISASモデルは、インターネットの存在を考慮したモデルである点で、他のモデルより優れています。2000年代以降、消費者はインターネットを媒介にして商品・サービスの情報を能動的に探し、さらに購買後に新たな行動を取るようになりました。

このモデルでいえば、1つ目のS(Search)と、2つ目のS(Share)がインターネットの存在により生まれた新たな行動様式となります。

「検索」や「共有」フェーズがある

AISASモデルの1つ目のS・Search(検索)と2つ目のS・Share(共有)、これら2つがインターネットの普及とともに消費者の行動様式に浸透していきました。

インターネット上は、情報を受け取る場であり、そして情報を発信する場でもあります。つまり、消費者は受動的ではなく能動的にインターネット上で情報を受け取り(=Search)、自らのSNSやブログを通して情報を発信する(=Share)ようになったのです。

AISASとAIDMAの違い

AISASモデル以前に一般的であった消費者の購買行動モデルの1つとして、AIDMAモデルがあります。両者の決定的な違いは、消費者が情報の受け渡し両方に関与しているかどうかです。

先に述べたように、AISASモデルはインターネットの普及とともに浸透したモデルであり、消費者が情報の受け取り、発信どちらも能動的に行える時代背景を想定しています。

対してAIDMAモデルは、昭和から平成初期にかけて主流であった、テレビや新聞などのマスメディアを媒介にした購買行動の上に成り立つモデルです。つまり、消費者はマスメディアから発信される情報を一方的に受け取るのみで、自発的な情報の授受は極めて難しいものでした。

AISASの5つの要素

マーケティングにおけるAISASモデルの特徴とは?企業事例4選を紹介
※画像はイメージです

AISASとは、消費者の購買行動を大きく5つに分けた時の頭文字をとってできた名称です。順に、Attention(認知)、Interest(興味)、Search(検索)、Action(行動)、Share(共有)となります。

1:Attention・認知とは

Attention(認知)のフェーズにおいて、売り手は自らの商品やサービスに消費者の注意を向けさせ、彼らに認知してもらうことを目的とします。

例えば、Yahoo!やGoogleといったIT企業に広告の掲示を依頼することで、消費者の目に留まりやすくなり、結果として認知される確率が高くなります。

2:Interest・興味とは

Interest(興味)のフェーズにおいて、売り手は、消費者が商品やサービスに興味・関心を抱くよう活動することを目的とします。ただ認知されるだけでそのものの魅力を感じさせることができなければ、購買まで消費者を導くことはできません。

消費者の興味を引く方法として、商品・サービスの説明を付したランディングページ(LP)の立ち上げが挙げられます。特徴やメリットなどを適切に盛り込んだLPを作成できれば、消費者は購買後の未来を具体的に想像し、関心を抱くようになるでしょう。

3:Search・検索とは

Search(検索)のフェーズでは、消費者はインターネットを通じて商品・サービスの当該Webサイトや口コミ、そして競合他社のサイトなどを検索します。検索することで消費者は独自に比較・検討することができ、この行動によって、購入すべきかどうかを吟味するのです。

企業側は、消費者のこの検索行動を踏まえた対策を講じなければなりません。第一に、自社のWebサイト上で商品やサービスの情報を適正に表示することが必要です。また、競合他社との差別化を図るために、客観的な視点で自社製品の独自性を強調することも有効な方法です。

こうした企業側の努力が結実すれば、消費者に、検索後より好意的な印象を持たせることも可能であり、彼らの購買意欲の上昇を底上げできます。

4:Action・行動とは

Action(行動)は、実際に消費者が商品やサービスを購入する段階のことです。ここまで一連の流れを踏まえ、「購入してみよう」と結論づけた消費者が実店舗、もしくはオンラインで購入の手続きを実行します。

とはいえ、購買する際にも消費者は不安を感じることがあります。例えばオンラインショッピングの場合では、「頼んだ商品はいつ、どのように届けられるのか」、「決済手段は何があるのか」といった疑問に駆られる消費者が一定数存在するのも事実でしょう。

こうした消費者の疑念を解消するために、企業側は購買のプロセスをできる限り明快で平易なものにし、先に作成したLPなどで購買に関するあらゆる情報を明示する必要があります。結果的に消費者の不安を解消でき、よりスムーズに購買の手続きを踏めるでしょう。

5:Share・共有とは

最後のフェーズとなるShare(共有)では、消費者が購買後に得た体験や感想を、インターネットを通じて不特定多数のユーザーに共有します。企業側の視点にたてば、彼らはこの段階を通して客観的に評価され、今後の売上に係る評判が醸成されるのです。

自分より先にその商品・サービスを享受した方の口コミや評価は、購入する際の判断材料として絶大な効果を発揮します。そのため企業は、一人一人の消費者に真摯に向き合い、購買後に彼らから満足してもらえるものを提供し続けることが重要です。

また、インターネット上の評価の中には商品・サービスの改善をする上で有益なものが多くあります。なぜなら、そういった評価は消費者の生の声であり、彼らの満足度を直接示したものだからです。従って、企業はこうした評価を適宜反映することで将来的に成長できるでしょう。

AISASモデルを活用した5つのマーケティング手法

マーケティングにおけるAISASモデルの特徴とは?企業事例4選を紹介
※画像はイメージです

それでは、AISASモデルを実践に落とし込んだマーケティング手法を5つご紹介します。

これから紹介する手法は、AIDMAモデルとは異なり、インターネットが消費者の購買行動に入り込んだ状況を想定しているAISASモデルだからこそ発展した手法です。

1:バズマーケティングの活用

バズマーケティングとは、売り手による人為的な行動により消費者の間で口コミを発生させ、自社の商品やサービスを周りに拡散してもらうことを目的としたマーケティング手法です。

バズマーケティングを活用することによって、AISASモデルの「Share」におけるフェーズで有意な効果が期待できます。

消費者間での共有が芳しいものではない場合、彼らに口コミをするよう促す行動を自ら行うことで、消費者同士での共有の量そのものを増加させることができるからです。

2:バイラルマーケティングの活用

バイラルマーケティングとは、主にインターネット上にある口コミを、より多くの方に見られるように仕掛ける手法のことです。特に、好意的な評価をしている口コミを不特定多数のユーザーに伝播させることに重きを置いていることが特徴として挙げられます。

バズマーケティングと同じく、バイラルマーケティングの活用はAISASモデルの「Share」のフェーズに有意な影響を及ぼします。口コミの内容自体は操作できませんが、友人・家族といった方から聞いた評価は信頼を得られやすいため、売上を増加させるにはこれを意識しましょう。

3:インフルエンサーマーケティングの活用

インフルエンサーマーケティングとは、企業がインフルエンサー(=特にSNS上で多くのファンを抱え、強い影響力を持つ方)に商品やサービスの宣伝を依頼し、実際にインフルエンサーが自身のアカウントを通じてそれらを発信するマーケティング手法のことを言います。

2000年以降TwitterやInstagramといったSNSが普及し、それに伴いSNS上で活躍するインフルエンサーという存在が誕生しました。彼らの影響力は各種マスメディアに劣らないほど拡大しており、現在では企業のマーケティングに携わる方としての側面も持ち始めています。

この手法は、AISASモデルの中でも特に「Attention」に好影響を及ぼせる活用法です。もともとその商品やサービスを知らなかった方に認知してもらえるきっかけとなり、インフルエンサーの知名度に比例するように自社や自社ブランドの知名度を高められると期待できます。

4:SNSによるキャンペーンの活用

SNS上でのキャンペーン実施による集客も盛んに行われています。キャンペーンの内容は多岐にわたりますが、例えばユーザー参加型の企画を展開し、抽選でプレゼントを渡すキャンペーンや、ハッシュタグ、リツイートといったSNS独自の機能を利用したものが実施されています。

SNSを活用したキャンペーンは、AISASモデルでいう消費者の「Interest」を向上させる働きが期待できます。SNSキャンペーンへの参加は基本的にリスクが生じないため、「とりあえず企画に参加してみよう」といったライトな関心を引き出せるでしょう。

5:動画の活用

最後に、動画を活用したマーケティング手法とAISASモデルの関係についてご紹介します。近年はインターネットの発達や回線速度の向上により、消費者が動画を見る機会が増加しました。そのような動画を利用した広告には、伝えられる情報量が多い、という利点があります。

動画の活用は、AISASモデルでいう「Attention」から「Interest」に至るまでの、購買のきっかけとなるフェーズに寄与します。各SNSや動画配信サービスに商品やサービスをPRした動画広告を掲示することで注目を集め、問い合わせや最終的には購買に結びつけることが可能です。

AISASを活用した企業事例4選

マーケティングにおけるAISASモデルの特徴とは?企業事例4選を紹介
※画像はイメージです

ここからはAISASを活用した企業事例について解説していきます。大手コーヒーチェーン店を始めとした4選をピックアップしていきます。

AISASを活用した企業事例についてご興味がある方は、参考にしてください。

1:大手コーヒーチェーン店の場合

大手コーヒーストアとして、日本でも高い人気を集めるスターバックスのAISAS活用事例をご紹介します。

スターバックスは、テレビCMやインターネット広告といった広告宣伝費に多くの資金を投入しないことで有名です。代わりにスターバックスは、SNSや消費者同士の口コミによって広く認知されるようになりました。

2021年8月頃にスターバックスの公式Twitterのフォロワー数が約500万人を超えていることからも、SNSを活用して消費者に認知(Attention)させ、関心(Interest)を抱いてもらうことに成功していることがうかがえます。

2:健康食品やダイエット食品の製造・販売を行っている持株会社の場合

多くの子会社を統括し、事業を展開する持株会社においても、AISASモデルを活用した事例が見られます。ここでは、健康食品やダイエット食品の製造・販売を行うRIZAPグループの事例をご紹介します。

RIZAPは、AISASモデルの中でも「Attention」において他企業を圧倒するほどの成果を得ているといえます。テレビCMなどで耳にする、独特なリズムが特徴のRIZAPのBGMはご存知でしょうか。おそらく多くの方があのメロディーをすぐに想起できるでしょう。

このBGMこそが、RIZAPの認知度を飛躍的に高めることになったのです。何気なくCMを見ている消費者にとっても、このBGMを聴くだけで「RIZAPだ!」と想起させることができ、結果的に企業ブランドを多くの方に認知(Attention)してもらうことに成功しました。

3:フリマアプリ運営会社の場合

インターネットが普及した時代に、いち早くオンラインショッピングを事業に落とし込んだフリマアプリ運営会社・メルカリの事例をご紹介します。

メルカリは、AISASモデルにおける「Search」のフェーズを拡大する画期的な機能を2019年頃に追加しました。それは、「写真検索機能」です。この機能を使うと、スマートフォンから写真を読み込むだけで同じ、もしくは似ている商品を検索することができるようになりました。

これにより、ブランド名や商品名がわからない商品でもスムーズに検索できるようになり、結果的にユーザーの検索行動を発展させることとなりました。

4:ホールセールクラブチェーンの場合

最後に、ホールセールクラブチェーンとして名高いコストコの事例をご紹介します。コストコといえば、倉庫と小売施設を一体化した大規模な実店舗が、その独自性から人気を集めています。

コストコも近年はネット通販まで事業範囲を拡大しました。とはいえ、彼らのビジネスの本質は、やはり実店舗で買い物を楽しんでもらうことです。そのため、いかに実店舗に足を運んでもらうかが彼らのマーケティング戦略に大きく関わってきました。

コストコは元来、会員でないと店内を利用できない仕組みになっています。この「会員制度」において、会員登録と会費支払いをネット上で完結できるようシステムを整備しました。これにより、ネット上で会員登録を済まし、同時に商品を検索することが可能になりました。

結果的に、AISASモデルにおける「Search」から「Action」のフェーズを密接に結びつけることに成功したといえます。

AISAS以降に使われた購買モデル

マーケティングにおけるAISASモデルの特徴とは?企業事例4選を紹介
※画像はイメージです

ここからはAISAS以降に使われた購買モデルについて解説していきます。今回は、「RsEsPs」「AISCEAS」をピックアップしていきます。

AISAS以降に使われた購買モデルについてご興味がある方は、参考にしてください。

RsEsPsとは

「AISAS」が電通により商標登録され、その概念が一般的となったのは、2005年頃のことです。その後月日が経ち、AISAS以降に新たな購買モデルが誕生しました。その1つが、RsEsPs(レップス)です。RsEsPsは、SNSの普及をより色濃く反映したモデルといえます。

RsEsPsにおける基本的な購買行動の流れは、Recognition(認識)、Experience(経験)、Purchase(購買)となります。そして一つひとつの間に、全部で3つのS「Search(検索)、Share(共有)、Spread(拡散)」が入り組んでくる点が特徴です。

この3つのSは必ず同一の順序で流れるわけではなく、消費者の主観でどのタイミングでも実行されます。今日の消費者の行動を大きく反映した購買行動モデルといえるでしょう。

AISCEASとは

AISAS以降に登場したもう一つの購買行動モデルが、AISCEASです。

このモデルでは、消費者はAttention(注意)、Interest(興味)、Search(検索)、Comparison(比較)、Examination(検討)、Action(行動)、Share(共有)という順に購買心理をたどるとされます。

AISASと比較すると、新たに比較・検討のフェーズが入り込んでいることがわかります。これは、インターネットの普及とともに商品の比較を行うWebサイトが増加し、消費者が自由に比較・検討できるようになったことを表しているのです。

AISCEASは、インターネットの影響を受けて発達した比較・検討という意思決定プロセスを加味したモデルといえます。

AISASを活用した事例を参考にしよう

ここまで、AISASがどのような購買行動モデルなのか、そして実際にAISASを活用している大手企業の事例を紹介してきました。

今回挙げた4社の事例に共通することは、インターネットが隆盛である昨今の流れに順応し、インターネットを活用したマーケティング戦略を組むことで成功している点です。彼らの成功事例を参考にし、その思考プロセスとしてAISASモデルを活用することは大いに有用でしょう。

Share

Facebook
Twitter
はてな

RELATED