セグメンテーションとは?4つの基準や成功事例を挙げて詳しく説明
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初回公開日:2021年09月24日
更新日:2024年06月18日
セグメンテーションとは?
セグメンテーションとは、マーケティングプロセスにおいて市場や顧客などを分類するものです。自社のターゲットを決定するために、顧客を年齢や性別、地域、行動パターン、ライフスタイルといったさまざまな要素によってグループ分けし、細分化を行うものです。
セグメンテーションは自社製品やサービスの戦略を立案するための非常に重要な作業となっているため、適切なセグメンテーションを行うことが重要です。
セグメンテーションの必要性3つ
かつての大量生産大量販売の時代であれば、不特定多数へ向けたマスプロモーションを行うだけでモノやサービスは売れていました。
しかし近年では消費者の行動の変化などから、市場を細分化して自社がターゲットとするべき消費者を見極めるセグメンテーションの重要性が増してきています。
ここではセグメンテーションの必要性3つを紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
1:IT化に伴う購買行動の変化
近年の急速なIT化により、消費者自身がSNSなどを興味のあるモノやサービスの情報を自分から取得できるようになりました。
消費者の購買行動にも変化が生まれており、これまでのような不特定多数へ向けたマスプロモーションではモノやサービスが売れなくなってきています。
また、IT化によって企業側も顧客の関心や興味に関する情報を入手しやすくなったことも、セグメンテーションが行われるようになった理由です。
2:幅広い消費者ニーズへの対応
現代では市場が成熟してきたことにより、消費者のニーズも多様化しています。そのため、かつてのような不特定多数へ向けたプロモーションによるマーケティングでは、消費者の個々のニーズに対応できず消費者の興味を引くことができなくなりました。
多様な消費者ニーズに対応するためには、企業側が自社とマッチする消費者グループを絞り込むことで、最も優位性を保てるターゲットに対してマーケティングを行うことが重要です。
3:自社のユーザー層の把握
現代ではさまざまな消費者が存在していることから、自社のユーザー層を把握する重要性が増しています。セグメンテーションによって自社のユーザー層を把握することにより、自社ユーザーに対してより適切なアプローチが行えるようになるでしょう。
Webマーケティングでのセグメンテーションの例3つ
インターネットを活用したWebマーケティングでもセグメンテーションは活用されています。Webではユーザーの検索履歴や閲覧履歴、Webサイトに会員登録した場合には個人情報もセグメンテーションに利用することができるため、より細かなセグメンテーションが実現できます。
ここではWebマーケティングでのセグメンテーションの例3つを紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。
1:コンテンツマーケティングへの活用
コンテンツマーケティングとは、ユーザーにとって価値のある情報を継続的に提供するマーケティングです。コンテンツマーケティングには、オウンドメディアを運営してさまざまな役立つ読み物を提供したり、YouTubeなどの動画を配信するといったものがあります。
コンテンツマーケティングの場合はWeb広告でターゲットとなるセグメントに限定して導線を設けることにより、効率的にオウンドメディアなどへ集客することができます。
2:リスティング広告への活用
リスティング広告とはユーザーの検索ワードに連動するWeb広告です。リスティング広告であればキーワードによってセグメンテーションを行うことで、自社の商品の購買行動に至る可能性が高いセグメントに対して広告を表示することができます。
そのため、購買行動に結びつきやすいユーザーに対して効率的なマーケティングが行えます。
3:ディスプレイ広告への活用
ディスプレイ広告とはユーザーの閲覧履歴や行動履歴などをもとに広告を配信するWeb広告です。
ディスプレイ広告の場合は過去にユーザーが購入したデータから自社の商品やサービスとの相性が良いセグメントを特定することができるため、セグメントに属するユーザーに対して広告を配信することができます。
購入に結びつきやすいセグメントに対して効果的なアプローチを行うことができます。
セグメンテーションを実施する際の基準4つ
セグメンテーションは切り口を変えることでどんどん細分化していくことができますが、誤ったセグメンテーションを行ってしまうとその後のターゲティングや販売戦略までぶれてしまう可能性があります。
そのため、セグメンテーションを行う場合は4つの指標をもとに、効果的なセグメンテーションを行うことが大切です。ここではセグメンテーションを実施する際の基準4つを紹介していきますので、参考にしてみてください。
1:優先順位(Rank)
優先順位(Rank)とは、自社の商品やサービスの重要度によってセグメントの優先順位を決定していく基準です。セグメンテーションによって分かれた各セグメントの特徴と自社の戦略を照らし合わせることにより、セグメントをランク付けします。
たとえば自社製品のターゲットが主に若い女性である場合は、男性や高齢者などのセグメントの優先順位は低くなります。
2:規模の有効性(Realistic)
規模の有効性(Realistic)とは、対象とするセグメントで十分な売り上げや利益を上げられるかどうかを検討するための基準です。セグメントの規模が小さすぎると、たとえそのセグメントで利益を上げられたとしても、ビジネスとしての採算が取れない場合もあります。
そのため、Realisticは採算が合うセグメントかどうかを調べるために必要な基準となっています。
3:到達可能性(Reach)
到達可能性(Reach)とは、対象とするセグメントに自社の商品やサービス、プロモーションなどを届けられるかどうかを検討するための基準です。ReachではWeb広告への反応などを分析することにより、対象セグメントにリーチする難易度を調べる場合に使用されます。
4:測定可能性(Response)
測定可能性(Response)とは、セグメントの規模や購買力、特性などの要素を明確に測定できるかどうかや測定方法を検討するための基準です。また、実際に商品やサービスを購入した後の反応が測定できるかもResponseによって確認しておきます。
Responseを測る方法としては、SNSで行われているハッシュタグを使用したキャンペーンが代表的です。
セグメンテーション4つの切り口
セグメンテーションを行う場合には、何を基準として市場や顧客を分類するのかが重要なポイントになります。セグメンテーションには幅広い切り口が存在しており、どのような商品やサービスを販売するのかによっても使用する基準は異なります。
代表的な切り口としては、「地理的変数」「人口動態変数」「行動変数」「心理的変数」があります。ここではセグメンテーション4つの切り口についてそれぞれ解説していきます。
1:ジオグラフック変数(地理的変数)
ジオグラフィック変数(地理的変数)とは、地理的な要素によってセグメンテーションする場合の変数です。ジオグラフィック変数では、国や地域、都市の規模や気候、経済発展度、人口や文化、宗教、政策といった要素を使用します。
たとえばイスラム教圏では飲酒が禁止されているといった宗教的な影響が大きいため、ジオグラフィック変数によるセグメンテーションは重要なポイントになります。
2:デモグラフィック(人口動態変数)
デモグラフィック(人口動態変数)とは、客観的な要素によってセグメンテーションする場合の変数です。デモグラフィック変数では、ユーザーの年齢や性別、職業、所得、最終学歴、家族構成、世帯規模といった要素を使用します。
デモグラフィック変数は消費者ニーズにも強く結びついており、測定も簡単なのでセグメンテーションにおいて最もよく用いられています。
3:ベヘイビオラル(行動変数)
ベヘイビオラル(行動変数)とは、消費者が実際に購入した要素によってセグメンテーションする場合の変数です。ベヘイビオラル変数では、消費者が購入した曜日や時間、購入した経路や頻度、使用する頻度、知識の有無といった要素を使用します。
ベヘイビオラル変数を利用することで製品に関する知識のない新規顧客と知識のあるリピーターをセグメンテーションし、プロモーションの方法を変えることもできます。
4:サイコグラフィック変数(心理的変数)
サイコグラフィック変数(心理的変数)とは、感性や心理などの要素によってセグメンテーションする場合の変数です。サイコグラフィック変数では、パーソナリティや価値観、ライフスタイル、購買動機などの要素を使用します。
たとえば同じ地域に住んでいる同じ家族構成の同年代の男性であっても、商品やサービスを選ぶ基準は異なります。そのため、近年ではサイコグラフィック変数でセグメンテーションを行う重要度が上がっており、精度も向上してきています。
STP分析におけるセグメンテーションとは
マーケティングで用いられているフレームワークの1つにSTP分析があります。STP分析とは「セグメンテーション」「ターゲティング」「ポジショニング」の頭文字を取ったもので、セグメンテーションはSTP分析のステップとなります。
セグメンテーションによって市場をどのような精度で分類分けするのかによって、ターゲティングやポジショニングでの戦略も変わってきます。
ターゲティング
ターゲティングとはセグメンテーションを行った各グループの中から、自社の商品やサービスに最もマッチするターゲット設定を行う作業です。自社の商品やサービスの特徴を踏まえて、アプローチすべきセグメントを絞り込んでいきます。
企業が持つリソースには限りがあるため、ターゲティングを行うことで効果的にリソースを使用してプロモーションを行えるようになります。
ポジショニング
ポジショニングとは、市場の中での自社の立ち位置を決定する作業です。ターゲティングしたセグメントの競合他社などの要素を分析することで、そのセグメントで自社の強みが発揮できるかどうかを見極めていきます。
また、ポジショニングを行う際には、業界をターゲットが重要視する2つの軸で分析するポジショニングマップを用いることが多いです。
セグメンテーションを活かした成功事例5選
適切なセグメンテーションを行うことによって、効果的な販売戦略を打ち出すことで売り上げをアップさせることも可能になります。ここでは最後にセグメンテーションを活かした成功事例5選を紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。
1:予備校が少ない地方へ向けたWeb講義
リクルートでは「予備校に通いたくても近くに予備校がない学生」というセグメントに注目しました。予備校の多くは首都圏に集中していることから、リクルートでは地方に住んでいる勉強したい学生に注目し、Web上で講義を受けられるスタディサプリをリリースしました。
2:営業担当へ向けたノートパソコンの開発
パナソニックでは「外回りを行っている法人営業」というセグメントに注目してノートパソコンを開発しました。外回りを行っている営業担当者には、ノートパソコンは持ち運びしやすく長時間利用可能というニーズがありました。
当時のノートパソコンは薄さを重視していたのに対し、パナソニックは薄さを捨てて軽量化と長時間バッテリーを重視したことで、レッツノートはヒット商品となりました。
3:アイスは子ども向けという概念を覆した大手メーカー
ハーゲンダッツでは、20代後半~30代前半の「自分へのご褒美としてちょっとした贅沢をしたい大人」というセグメントに注目しました。
この世代は大きな贅沢を望む傾向が少ないことから、ハーゲンダッツをコンビニなどで簡単に手に入る比較的高級なアイスクリームとして位置づけました。
このセグメンテーションによって、ハーゲンダッツは不動のヒット商品となりました。
4:細分化された市場を集約したアパレルメーカー
もともとセグメンテーションを行う傾向の強いアパレル業界ですが、ユニクロではあえてセグメンテーションを行わない戦略を展開しました。ユニクロではデザインなどの個性を捨て、その代わりに着心地などの機能面の充実と豊富なカラーバリエーションを展開しました。
その結果、高機能かつ安価で購入できるメーカーとしての地位を確立しました。
5:ビジネスパーソンをターゲティングした製菓メーカー
グリコではオフィスで働くビジネスパーソンに注目し、オフィス内で手軽にお菓子が手に入れられるオフィスグリコをリリースしました。これまでのお菓子は主に女性をターゲットとしており、さらにプライベートで楽しむものとなっていました。
その一方でお菓子を食べたいビジネスパーソンというセグメントをターゲットにしたことで、男性客にもリーチできるようになりました。
セグメンテーションとは何か正しい知識を身につけよう
セグメンテーションとは市場や顧客をさまざまな切り口によって分類分けすることです。
ぜひ本記事で紹介したセグメンテーションの必要性やセグメンテーションを実施する際の基準や切り口、セグメンテーションを活かした成功事例などを参考に、適切なセグメンテーションによって販売戦略を立案してみてはいかがでしょうか。