スタートアップ企業におけるマーケティングのコツを解説|成功事例12選も紹介
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スタートアップ企業におけるマーケティングのコツを解説|成功事例12選も紹介

記載されている内容は2021年09月24日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。

また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

初回公開日:2021年09月24日

更新日:2024年06月24日

スタートアップ企業は、どのようにマーケティングを行っていったのでしょうか。この記事では、スタートアップ企業はなぜマーケティングを意識するのか、スタートアップ企業のマーケティングのコツ、12の成功事例、心構えのポイントについて紹介していきます。

なぜスタートアップ企業はマーケティング戦略を意識するのか

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売上アップという目標に取り組むことは、どのように販売するか、ひいては何をすべきかを考えることになります。

スタートアップ企業では、売上の確保は企業を継続する上で、重要なテーマです。マーケティングとして自社の置かれた立場の分析や自社に関連する業界の動向、最新ツールなどを検討します。

自社の優位を強みに変えるには、戦略を考え、行動し、どのように実現させていくか、戦略プロセスが必要でしょう。

スタートアップ企業におけるマーケティングの7つのコツ

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スタートアップ企業におけるマーケティングのコツをご紹介します。

ROIを追跡して比較する、状況に応じて専門家を雇う、マーケティング予算を適切に設定する、予算を賢く使う、マーケティングを定期的に見直す、広報資料をマンガにする、Twitterを利用するという7つです。スタートアップに必要な理由も含めて、それぞれ説明していきます。

1:ROIを追跡して比較する

ROI(Return on investment)とは、投資した費用から、どのくらいの利益や効果が得られたのかを表す指標のことです。導入するツールを比較・検討する時、施策の効果を検証する時などに用いられ、ROIが高いほどその投資が良いものと言われています。

自社や競合、市場の状況と照らし合わせて、どの項目にどのくらいの数値目標を設定できるのか、その数値目標を達成するためにどのような施策を取れば良いのかを導きます。

マーケティング施策ごとにROIを算出し分析することにより、さらに費用対効果の高いマーケティングを実施できるでしょう。

2:状況に応じて専門家を雇う

どんな商品・サービスを扱う企業でも「売れる」仕組み作り、つまりマーケティングの視点がなくては事業を続けていくことはできないでしょう。

マーケティングの専門家なら「売上が低迷している」「売上をアップしなければならない」という漠然とした課題から、「新規顧客が増えない」「広告の効果が出ない」といった具体的な悩みまで、その知識と経験から最適な解決策を提案することができます。

3:マーケティング予算を適切に設定する

マーケティング予算をどのように分配するべきかは、重要な課題です。まずは、現状のマーケティング施策の課題を洗い出しましょう。予算を考える前に、現状の施策のどこに課題があるのかを明確にする必要があるからです。

次に、限られた予算をどのように配分するかを決めていきます。新規のマーケティング施策に予算を配分する場合は、あまり効果が出ていない施策の分を予算に充てる方法がおすすめです。

最後に、マーケティング施策の成果の検証です。新規のマーケティング施策の検証をする際は、結果に一喜一憂しないように注意しましょう。新規の施策を始める時に失敗はつきものです。

なぜ目標に到達しなかったのか、なぜ顧客獲得に至らなかったのかを分析し、マーケティング施策の改善に活かしていきましょう。

4:少ない予算でも賢い使い方をする

マーケティングの予算を適切に分配することで、事業目標を達成した成功事例があります。

すでにリードを獲得している既存顧客に対して定期的なメルマガの配信を開始し、性別や年齢・過去に購入した商品でセグメントをかけて、適切な商品やクーポン情報を発信することで、休眠顧客の掘り起こしや、購入頻度のアップに成功しました。

マーケティング予算は、あらかじめ決められた施策に合わせるのではなく、施策への投資効果を疑い、最適化させ続けることが大切でしょう。

5:マーケティング計画を継続的に再検討する

セオリー通りの戦略が機能しないことがあります。成果が出ない、具体的にどうしたらいいのか分からないなどの悩みを持っている企業は多いでしょう。経営陣は目標を掲げるばかりになり、現場は目先の売上目標に焦点をあててしまい、戦略が機能しません。

独自の「強み」を見つけて、継続的に価値のあるPDCAを回し、強みを育成する必要があるでしょう。

6:広報資料をマンガにしてみる

マンガ・マーケティングとは、「(ストーリーや世界観、セリフを持つ)マンガやマンガをもとにしたアニメを活用した、企業や団体のマーケティング活動全般」のことです。

簡単で、実際にはいろいろな形態の活動があり、それらをすべてひっくるめたものがマンガ・マーケティングとされています。

また、広告資料をマンガにすることで、内容が分かりやすくなったり、親近感がわいたりというメリットがあり、マーケティングのコツと言えるでしょう。

7:Twitterを利用する

Twitterは即時性が高く、最新の情報を求めるユーザーが多いことが特徴です。

また、性別によって検索されやすい情報は異なり、女性はグルメや美容など、男性は時事問題などの情報を多く求める傾向があります。

特にキーワード検索は、Twitterで情報を検索する約72%のユーザーが利用しています。企業がTwitterを利用して情報を発信する際には、ユーザーに「検索されやすい」キーワードを意識した発信を心がけると良いでしょう。

スタートアップ企業によるマーケティング成功事例12選

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スタートアップ企業によるマーケティングの成功事例とは、どのようなものでしょうか。ここでは実際にあった成功事例をご紹介します。各業種の成功事例を見ると、新しい手法をPDCAで回しながら、模索していることが分かるでしょう。

1:ファッション通販サイト運営会社によるマーケティング戦略

CRM・ダイレクトマーケティングで成功した株式会社ZOZOの事例をご紹介します。

従来のマーケティングは、企業側が広告したい商品やサービスを、企業側のタイミングで発信しており、それを押しつけのように感じる方が多い傾向にありました。

そこで、データ上で購買行動の変化が見られたお客さまを検出し、その動きのニーズに合った最適な内容のメールを出すようにしました。

結果、ダイレクトマーケティングに取り組む以前は、25億円程度でしたが、約3年で200億円ほどにまで拡大し、ダイレクトマーケティング経由の売上は非常に大きな位置を占めるようになったのです。

2:AIやビッグデータ事業を展開する会社によるタクシー広告

株式会社データXがマーケティング戦略で選んだ戦略は、タクシー広告です。

その戦略を選んだ理由として、導入検討企業の担当者がサービスを推奨するも、意思決定者がその企業の認知がなく、受注に至らないという課題があるためです。

プロモーションのメインターゲットである「代理店の担当者の方々」「意思決定者」によりリーチできる広告媒体を考えた結果、タクシー広告を選択しています。

戦略を実行した結果は、コンペ勝率:約1.7倍増、新規獲得リード数:約7.2倍増、代理店紹介数:約10.7倍増、サイト来訪数:約13.3倍増、アポ取得数:約5.3倍増となりました。

3:オンライン営業システム運営会社による口コミ戦略

ベルフェイス株式会社が選んだ戦略は、口コミとなります。

その戦略を選んだ理由として、プロダクト設計において、BtoBかつ営業特化型ならバイラル効果が一番作用しやすいためです。営業が強い、あるいは誰もが知っている企業が商品を使っていれば、それが周りの企業にも波及していきます。

結果は、導入支援により、他の部門などを紹介してくれるようになりました。その都度サポートをしっかりすることで、その輪が広がっていき、継続的に関係が続くようになっています。

4:Webサービスの紹介戦略

株式会社識学のマーケティング戦略は、紹介です。

その戦略を選んだ理由として、顧客からの高い満足度を保てる講師育成のコンテンツに強い自信があるためです。

その戦略の結果、顧客獲得ルートの実績として、紹介が約7割増となりました。加えて、マンガを使ったLPを始めたことで、お客様の心理的ハードルを下げられるようになり、リード獲得件数は約2倍の効果が得られました。

5:クラウド人事労務ソフト運営会社による転換戦略

株式会社SmartHRのマーケティング戦略は、ターゲット転換です。ここでは、IT系から飲食・小売業界にターゲットを転換した事例をご紹介します。

株式会社SmartHRは、飲食・小売業界は業界の特性上、アルバイト従業員数が多く、入退社や雇用契約更新の頻度が高いことが特徴のため、提供価値を最大化できると考えました。

その戦略の結果は、ITベンチャーを中心に、従業員数が約10,000人までの企業がほとんどでしたが、実施後は飲食・小売業を中心に数万人規模の企業との契約が増えたのです。

6:プラットフォーム運営会社によるテレビCM戦略

ラクスル株式会社のマーケティング戦略は、テレビCMです。

ラクスル株式会社は、ラクスルというキーワードでの検索回数を増やすためにWEBマーケティング以外の方法が必要だと考えました。

その戦略を実行した結果は、この5年で『ネット印刷』業界の検索キーワードはほとんど伸びませんでしたが、ラクスルというキーワードは約20倍になりました。比較されずに指名されるようになった、という意味でブランディングが成功したと言えます。

7:経済メディア運営会社によるマーケティング戦略

株式会社ユーザベースがNewsPicksで選んだ戦略は、インフルエンサー・SNSマーケティングです。

その戦略を選んだ理由として、当時は「情報感度の高い方の利用を増やす」ことを目指していた、影響力のある方がSNSで伝搬してくれるなどが挙げられます。

結果は、ローンチから1年半ほどでユーザー数が約30万人を突破しました。

8:クラウド人材管理システム運営会社による価格設計戦略

株式会社カオナビがマーケティングで選んだ戦略は、価格設計です。

最初は、マスターデータ1件ごとに課金をしていましたが、メインで利用するマネジメント層は○○円、従業員は△△円と調整を繰り返し、マスターデータ数百件ごとに課金する形に調整しました。結果は、プロダクトマーケットフィットを達成しています。

9:ABMツール運営会社によるオフラインマーケティング戦略

株式会社ユーザベースがFORCASで選んだ戦略は、オフラインマーケティングです。

その戦略を選んだ理由は、セミナーからの商談の案件化率が異常に高いことが判明したからです。その戦略を実行した結果、契約の約6割がオフラインマーケティングを経由したものとなりました。

10:電子契約サービス運営会社による商品設計戦略

弁護士ドットコム株式会社によるマーケティング戦略は、商品設計戦略です。

受信者としてのサービス利用をきっかけにサービスの認知、導入検討が始まるネットワーク効果も利用し、その戦略を実行した結果、リリースから約2年で導入企業数が約10,000社を突破しました。

2019年10月頃からはテレビCMも打ち、約50,000社以上が導入しています。

11:オンラインストレージサービス運営会社による紹介戦略

Dropbox, Inc.によるマーケティング成功事例をご紹介します。

Dropbox, Inc.による紹介戦略とは、Dropboxに友人を招待、招待された友人がサービスを使用すると、招待者と招待された友人の双方に追加容量をサービスがプレゼントするという内容です。その結果、ユーザー登録が約60%伸びました。

12:バケーションレンタル会社による分析戦略

Airbnb, Inc.によるマーケディングの成功事例をご紹介します。Airbnbのユーザー獲得の一部は、友人紹介マーケティングを活用したマーケティングに支えられています。

紹介プログラムは、ユーザーが自分の友人を紹介し、その友人がサービスを使って最初の宿泊を完了すると、ユーザーと友人の双方に割引コードが提供されるというマーケティング施策です。

サービスのWEBサイトだけでなく、サービスのスマホアプリからも簡単に友人を招待できるようなっており、結果的にこのマーケティングの活用で、宿泊予約の増加を実現しています。

スタートアップ企業がマーケティングを行う時の4つの心構え

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スタートアップ企業が気を付けるマーケティングの観点はどのようなものがあるのでしょうか。

社員はMOとしてCMOを助ける意識を持つ、費用をかけずに顧客を獲得することを意識する、サービスや製品がそもそもマーケティングであることを念頭に置くの3つについて、紹介していきます。

1:社員はMOとしてCMOを助ける意識を持つ

戦略は、協力する意識を持つことが大切です。戦略はCMOが最終的に意思を持って決断します。しかし、論理だけで決着できるものではないでしょう。

常に仮説を立て、行動や事実で裏付けを取り、メンバーの納得を得ることが大切です。MOからは、CMOの戦略を実現できるよう協力する意識が必要でしょう。

2:費用をかけずに顧客を獲得することを意識する

スタートアップは、資金に限りがあります。費用をかけずに顧客を獲得することは非常に重要です。

例えば、知人から顧客を紹介してもらう、中小企業の支援団体から顧客を紹介してもらうなど、費用がかからない手法を意識する必要があるでしょう。

3:サービスや製品がそもそもマーケティングであることを念頭に置く

スタートアップ企業がマーケティングを行う時の心構えとして、サービスや製品がそもそもマーケティングであることを念頭に置きましょう。

そもそもサービスや製品があれば、マーケティングを行っているということになるのです。いかにその商品を販売していくか、効率的に広めていくかをよく考えましょう。

4:広報力を身に付けるための原則を忘れない

広報力を身に付けるためには、常に勉強が必要です。成功している事例やセミナーなどの情報収集は常に行いましょう。

また、異業界での成功事例も参考になるため、自分の業界に流用して、カスタマイズしていきましょう。

スタートアップ企業がマーケティングを行うコツや事例を参考にしよう

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この記事では、コロナ禍においてのマーケティング予算の見通しや、マーケティング予算を最適に分配するために重要な考え方、具体的な企業の事例について解説しました。

マーケティング予算の分配を決める時は、まずは何のための施策なのかを明確にした上で、適切なKPIを立てていく必要があります。初めから予算を決めてしまうのではなく、ある程度の予算を確保しながら、柔軟に変化させていきましょう。

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