マーケティングミックスとは?5つの戦略手順とSTP分析・4P・4Cの構成内容
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マーケティングミックスとは?5つの戦略手順とSTP分析・4P・4Cの構成内容

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マーケティングミックスとは?5つの戦略手順とSTP分析・4P・4Cの構成内容

記載されている内容は2021年09月13日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。

また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

初回公開日:2021年09月13日

更新日:2024年05月31日

企業活動をより良い形で実現するため、様々な視点や角度からの分析を重ね、取るべき戦略を連動させていく、マーケティングミックスについて理解しましょう。そのアプローチやフレームワークを通して、自社のビジネスを成功に導きましょう。

マーケティングミックスとは?

企業の営利活動をより戦略的に施行していくためのマーケティング理論として、様々な視点や角度からのアプローチが考えられています。

マーケティングミックスとは、より良い企業活動を実現するために、マーケティング理論を組み合わせ、連動させて実践することを意味する言葉です。

市場の多様な要素に向き合いながら、自社が安定した収益を上げ続けるためにも、マーケティングミックスの重要性は高く認識されています。

マーケティングにおける5つの戦略手順

マーケティングミックスとは?5つの戦略手順とSTP分析・4P・4Cの構成内容
※画像はイメージです

始めに、マーケティングの基礎となる5つの戦略手順について見ていきましょう。

それぞれの項目を自社の現状と照らし合わせ、具体的に連動させ実践するイメージを膨らませながら考えていくと、マーケティング活動の展望につながる戦略が見えてきます。

1:環境分析

企業活動の対象となる「マーケット=市場」において、自社と競合他社の差別化を外部要素、内部要素を勘案しながら分析する「環境分析」は、マーケティング戦略を施行する前に必ずと言っていいほど実施すべきものです。

環境分析では、SWOT(=強み、弱み、機会、脅威)の要素に分けて市場での自社分析をするフレームワークが主に使われます。

2:基本戦略・STP分析

マーケティング戦略の中でも必要不可欠とされる基本戦略フレームワークがSTP分析です。

STP分析では、セグメンテーション(市場の細分化)、ターゲティング(市場でのターゲット絞り込み)、ポジショニング(市場での自社の位置づけの明確化)の3つの観点から分析を行い、自社の取るべき戦略をより明確なものとします。

STP分析の各項目については、後の章で詳しくご紹介します。

3:実行戦略・マーケティングミックス

環境分析、STP分析を終えたら、マーケティング戦略を実行していくためにマーケティングミックスの策定に入ります。

そのために「マーケティングミックス分析」と言われる4P分析と4C分析を行います。

マーケティングミックスの4P分析とは、アメリカの経済学者ジェローム・マッカーシーにより提唱されたもので、戦略上最重要視すべき項目、「製品(Product)」、「価格(Price)」、「流通(Place)」、「プロモーション(Promotion)」の4つの頭文字を取って4P分析と言われます。

4Pに加えて、「物理的なエビデンス(Phythical evidence)」、「サービスのプロセス(Process)」、「ターゲットとなる人(People)」の3つを加えた、マーケティングミックス7P分析もフレームワークとして行われています。

また、4C分析、4Cマーケティングとは、「顧客価値(Customer Value)」、「経費(Cost)」、「顧客利便性(Convenience)」、「コミュニケーション(Communication)」といった消費者側に立った視点から市場を考えるものです。

4P、4Cの各項目について、後ほど詳しくご紹介します。

4:施策の実行

フレームワークで分析した結果を、具体的にマーケティング戦略として落とし込み、実行に移りますが、その際にチェックすべきポイントとして、主に次の点が挙げられます。

一つは、短期的視点と長期的視点の違いは明確か、という点です。戦略の実行においては、短期的に効果が上がるものと、長期的に効果を上げていくものと、両方の視点から施策を打つ必要があります。

短期的な戦略に自社のリソースを注いだ結果、長期的な戦力を打つ余力を失い先細りしてしまう、という陥りやすい失敗に注意しましょう。

次に、戦略実行に必要なスキルや要件が自社に揃っているか、について冷静に把握した上で実行する必要があります。

陥りやすい事例としては、戦略実行のために優秀な外部コンサルタントを誘致した結果、売り上げ上昇にはつながったが、高額なコンサルタント料金がかかった上に社員のモチベーションが下がり、離職率が上がってしまった、ということもあります。

優れた戦略を立案し実行しても、結果として失敗だったとならないために、自社に見合った形で、バランス良く戦略を実行していくことが重要です。

5:施策の評価

マーケティング戦略を実行に移した後は、定期的に施策を評価する機会を設けることが重要です。

マーケティングミックスにおいてもPDCAサイクルを繰り返し、改善点を見出しながら常に修正していくことで、長期的な効果が生まれます。

戦略がもたらす一時の成功に甘んじることなく、冷静な施策の評価を続け、長い目で企業活動を成功へと導くことができるのが、優れた経営陣の特徴の一つと言えるでしょう。

基本戦略・STP分析の3つの構成内容

マーケティングミックスとは?5つの戦略手順とSTP分析・4P・4Cの構成内容
※画像はイメージです

次に、マーケティングミックス基礎戦略を決める代表的なフレームワーク、「STP分析」について詳しくご紹介します。

Segmentation=セグメンテーション(市場の細分化)、Targeting=ターゲティング(市場でのターゲット絞り込み)、Positioning=ポジショニング(市場での自社の位置づけの明確化)の3つの分析項目を、順を追って見ていきましょう。

セグメンテーション・市場細分化

Segmentation=セグメンテーションとは、市場を特定の属性に分け細分化することで、見込客(リード)など市場での自社のターゲットを絞りやすくするためのものです。

主に、①地理的変数・環境や地理的要素、②人口動態変数・年齢や世帯構成、③心理的変数・ライフスタイルや心理的要素、④行動変数・購買活動や行動パターン、の4つの属性で、分析を行います。

そして細分化された市場を「4R」と呼ばれる基準(①Rank=優先順位、②Realistic=規模での有効性、③Reach=到達可能性、④Response=測定可能性)において検討し、判断材料としていきます。

ターゲティング

Targeting=ターゲティングとは、STP分析の中でも重要視すべき要素であり、市場でのターゲット絞り込みが、自社の企業活動の成否を決定します。

ターゲティングのフレームワークとしてよく用いられるのが「ペルソナ分析」で、市場において自社のターゲットとして最もふさわしい人物像を、明確に設定しながら検証を重ねます。

ターゲティング分析は、マーケティング戦略の肝と言える部分です、安直に主観や固定観念からの絞り込みを行うことなく、様々な角度から十分な検証を重ね、また時流も見極めながら柔軟な修正を重ねて、常にベストなターゲットを見出し、市場での成功を勝ち取りましょう。

ポジショニング

Positioning=ポジショニング(市場での自社の位置づけの明確化)とは、自社が市場の中でどの位置にいるか、競業他社との差別化を明確にしながら分析、検証するものです。

主に、ポジショニングマップと呼ばれる図式で分析を行い、KBF(Key、Buying、Factor)=購買決定要因を明らかにします。

また、ポジショニングマップでは2つの座標軸(縦軸と横軸)を設定し、その優劣の中で自社が力を入れるべき項目を決定しますが、この座標軸とすべき要素の見極めも大切です。

そしてターゲティングで決定したリード目線=顧客目線でポジショニングを検証することも、忘れてはならない要素です。

実行戦略・マーケティングミックス(4P)の4つの構成内容

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分析を終えターゲットが明らかになったら、戦略の実行、施行の準備に移ります。

ここで、戦略を連動的に成功させるために、マーケティングミックスの基礎とされる4Pの構成内容について、詳しく見ていきます。

1:製品

4Pの1つ目は、Product=製品戦略です。

製品戦略として、製品のブランドイメージ、サービスのパッケージ、製品コンセプトの明確化など、製造から保証に至るまで、製品に関わる一連の流れを計画的に施行していきます。

また、価格の位置づけや流通に関わる要素も、製品戦略によって左右され、4Pの中では初めに戦略を確定すべき要素です。

2:価格

次に、Price=価格戦略です。

製品戦略で決定した要素に鑑み、市場での自社の優位性を勘案しながら、顧客にとってベストと思われる価格を検証しながら戦略を決定します。

価格戦略は企業利益にもダイレクトに影響を及ぼす上に、顧客にとっては購買行動を取る上で重要な判断材料となるものです。これまで重ねて来た各種分析が、価格戦略に非常に有効なものとなるはずです。

3:流通

そして、次にPlace=流通戦略があります。

流通戦略では、顧客への製品やサービスをどこで提供するのかという地理的要素や、顧客にとっての買いやすさ、サービスの受けやすさといった利便性を検証し、策定します。

また、流通戦略では、直販や代理店販売、通販、ECサイトの活用など、販売方法や販売エリアの選定も重要です、自社のリソースに合った流通戦略を施行していきましょう。

4:プロモーション

4つ目のPは、Promotion=広報戦略です。

プロモーション戦略としては、製品やサービスの認知度を向上させる施策を考案し、各種メディアを利用し購買につなげる情報発信を行います。

近年のプロモーション戦略は、企業からの一方的な情報発信による広告・宣伝だけでなく、SNSを通じて口コミを広げたり、顧客とのコミュニケーションを重視した戦略が有効なものとして多くの企業で取り入れられています。

実行戦略・マーケティングミックス(4C)の4つの構成内容

マーケティングミックスの4Cとは、顧客の視点から戦略を策定し施行するためのフレームワークです。

Customer Value=顧客価値、Cost=経費、Convenience=顧客利便性、Communication=コミュニケーションの4つの構成内容を順に見ていきます。

1:価値

Customer Value=顧客の価値は、製品やサービスを通して顧客が得る価値やメリットを指します。

顧客にとって何が価値となるか、製品やサービスそのものからのメリットだけでなく、⼿に⼊れることで得られる優越感や安心感、喜びの気分など、情緒的な要素も戦略に含まれます。

4Pの一つ、製品戦略と同時に検証することで、多角的なヒントを得ながら戦略を策定することができます。

2:費用

次に、Cost=経費は、4Pの価格戦略と対になる要素です。

製品やサービスが顧客にとってどのような経費となり負担を感じさせるか、⾦銭、時間、労⼒も含み、総合的にカスタマーコストを検証します。

顧客の購買意欲にマイナスに働く負担となる要素も明らかにしておくことで、プロモーション戦略などでどこをカバーしフォローすれば良いかがわかります。

3:利便性

次の要素は、Convenience=利便性です。

4Pの流通でも利便性について検証しますが、4Cでは顧客目線で利便性の検証を行うことが主題となります。

ターゲットとなる顧客にとって、購買行動につながるためにはどのような利便性を考慮すべきかを検証し、流通戦略の決定につなげます。

製品やサービスを購入する場が限定されてしまうと、購買意欲を削がれることもありますが、逆に希少価値が高い製品であれば、入手困難さがヒットし売上が増加するケースもあり、敢えて利便性を追求しないという手法も戦略の一つです。

4:コミュニケーション

最後に、4つ目のCは、Communication=コミュニケーション戦略です。

4Pの一つ、プロモーション戦略と重なる要素ですが、具体的にプロモーションの手法を決定する上でも、自社においての顧客とのコミュニケーションを検証することは、重要な要素となります。

顧客の声に直接触れる機会、対面営業やカスタマーセンターに力を入れながら、SNSでの双方向発信を取り⼊れるなど、各社でコミュニケーション戦略をプロモーションの基礎として施行しています。

マーケティングミックスの3つの活用ポイント

マーケティングミックスについて、ご紹介した項目を参考にしながら、自社にとってベストな戦略を施行しましょう。

そのポイントとして、以下の3つを挙げたいと思います。

①長期戦略も視野に入れた施行を
戦略は「時の流れ」の中で施行されるものです、短絡的に無理が重なったり、思わぬ場所からの弊害が起きたり、といった状況に陥らないよう、長期的視野での検証も重ねながら施行をしていくことが大切です。

②顧客目線を忘れずに
自社の製品やサービスが顧客から見てどう映るか、という点を軽視したマーケティング戦略は、残念ながら成功につながりません。分析や戦略を検討する上で、いつのまにか顧客目線から離れてしまっていた、ということは案外陥りがちなケースなので、慎重に心掛けましょう。

③マーケットは生き物!?絶えず動いている
マーケットとは時流と共に常に揺れ動く不確実な要素の集合体です。成長を止めることなく、見直しや検証を重ねながら、常にベストな戦略を施行していくことを心掛けましょう。

マーケティングミックスについての理解を深めよう!

マーケティングミックスとは?5つの戦略手順とSTP分析・4P・4Cの構成内容
※画像はイメージです

ここまでマーケティングミックスの基礎知識についてご紹介して来ました。

多様性や不確実性など、複雑な要素を抱える現代市場の中で、必要な分析を重ね、マーケティングミックスについての理解を深めて、自社のリソースを活かした最適な戦略を施行することで、成功を収めましょう。

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