データビジュアライゼーション15の成功例|データを可視化する方法
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初回公開日:2021年12月07日
更新日:2022年03月01日
データビジュアライゼーションとは?
データビジュアライゼーションとは、膨大なデータを図形やグラフでわかりやすく表現することです。データの見える化や可視化を指しており、関係性や特徴、傾向などを視覚的に理解できるため、課題の特定や意思決定を行う際に役立ちます。
また、データを表現する図形やグラフといった要素はビジュアルと呼ばれ、データをビジュアル化することにより訴求力が高まるため、ユーザーに情報が伝わりやすく、アイデア共有や合意形成までの時間を大幅に短縮することが可能です。
そのため、SNSでもシェアしてもらいやすいといったメリットがあります。膨大かつ複雑なデータを扱う時代には、不可欠な技術であると言えるでしょう。
データビジュアライゼーション15の成功例
データは膨大な数値や文字情報をテキストで伝えようとすると、明確にポイントをつかむことは容易ではありません。しかしチャートやグラフ、デザイン要素を用いてビジュアル化することで、表現の幅が広がり効果的に伝わりやすくなります。
ここからは、データビジュアライゼーション15の成功例を紹介していきます。世界では実際にどのように活用されているのか、ぜひ参考にしてみてください。
1:クリミア戦争での死亡原因
1853年に起きたクリミア戦争では、データビジュアライゼーションを使用して兵士の死亡原因を調査しました。当時クリミア戦争では、兵士の死亡率が増加を辿る一方でしたが、その理由は戦闘以外にもありました。
そこでスパイラルチャートを用いて死亡原因を可視化することにより、死亡の大半が劣悪な医療環境によって引き起こされたことを明らかにし、予防可能であることを発見しています。
2:ナポレオンによる侵攻のマップ
1812年にナポレオンがモスクワを占領する際、データビジュアライゼーションを用いて詳述したのがナポレオン軍の進退です。マップを用いて兵士の総数や進退の方向を示すほか、折れ線グラフを用いて気温を示すことにより、侵攻の状況を詳細に表現しています。
各データポイントで豊富な詳細情報によって軍事作戦のストーリーを伝えていることから、影響力が高く、優れたビジュアライゼーションの1つとされています。
3:地球温暖化の本当の原因
地球温暖化の本当の原因を示した例では、データを示すだけでなくストーリーで表現しました。
このデータは、地球温暖化は自然要因で説明できるといった説を反証するために作成されており、1880年から現在にかけて観測された気温上昇のデータと共に、地球温暖化に寄与している様々な要因が正確に表現されています。
スクロールにより新たな情報が追加され、ストーリーとして展開することで、制作者が伝えたい結論が明確に示されているデータビジュアライゼーションです。
4:歴史の新図表
歴史の新図表を作成した例では、データビジュアライゼーションを用いて人類文明の興隆が表現されています。タイムラインチャートを用いることで、歴史上の同時期の主な帝国や、文化の存在の影響力が把握できるようになっています。
色やサイズだけでなく、場所を示すY軸を導入するといった革新的な手法を用いており、歴史について大量の情報を提供できるビジュアルストーリーが作成されました。
5:After Babylon
After Babylonプロジェクトでは、マップやグラフのコレクションを用いて世界の言語についての情報を提示しています。世界には実際にいくつの言語が存在しているのか、言語が用いられている場所や普及率などが表現されています。
2,678言語全ての発祥地や使用地域、使用者数のほか、言語族や借用語などの言語間の相互関係も示されており、言語というテーマにおいてわかりやすく紐解かれたデータビジュアライゼーションです。
6:シリア内戦の対立の構図
シリア内戦の対立の構図を示した例では、絵文字を用いて表を作成しています。赤・黄・緑に色づけした絵文字で表を作成しており、複雑なデータをシンプルな形式にまとめています。
また、絵文字をクリックすることでグループの関係性について簡潔な説明文が表示される仕様になっており、協力体制か敵対体制か、多数のグループがどのような関係にあるのかが視覚的に理解しやすく表現されたデータビジュアライゼーションです。
7:将来起こるすべての日食
2080年までに起こるすべての日食の進路を示した例では、アニメーションを用いてデータを表現しています。回転する地球によって、皆既日食の進路や起きる場所、起きる日時などが示されており、マウスカーソルを重ねることでテキストツールチップでも詳細の確認が可能です。
さらに、自身の誕生年を入れることで今後生きている間に起こる日食の数も把握できるため、観測の計画も立てやすくなっています。
8:報道機関の政治的スペクトル
報道機関の政治的スペクトルを示した例では、分布図を用いてデータを可視化しています。各報道機関がスペクトル上のどこに位置しているのかが理解できるだけでなく、スペクトル上の点の間隔により、各社の立場についても把握できるようになっています。
一覧表では理解しにくいデータを、効果的に可視化したデータビジュアライゼーションです。
9:NFLの全歴史
NFL(ナショナルフットボールリーグ)の全歴史を示した例では、イロレーティングを用いてデータを可視化しています。イロレーティングとは、対戦型の競技において、試合ごとの結果に基づき強さの指標を計算する仕組みを指すものです。
このレーティングの件数は計30,000以上にのぼっており、NFLが始まって以来、全試合の結果が可視化されていることで、全歴史の中でそれぞれの実績を比較・把握できるようになっています。
10:未来の米国
未来の米国を示した例では、人口動態の変動や変化がプロジェクトにまとめられています。焦点が絞られたチャプターが複数存在しており、多様性や異人種間の結婚の傾向といった情報表示、今後の人口動態の変動や変化を予測するといったものです。
1つの例として挙げられるのが、年齢と性別の人口動態の内訳を示すアニメーションです。データはピラミッド型で展開されており、医療的な介入と健康管理による寿命の延びや出生率の減少など、1950年代以降の人口動態の変化を確認できます。
11:米国の風向・風速図
米国の風向・風速を示した例では、マップを用いて全体の傾向をまとめています。風向きは線の動く方向で、風速は線の動く速さで表現されており、直感的なデザインの好例とされています。
マップをクリックすると具体的な数値が表示されるものの、数値を見なくても全体的な傾向がひとめで理解できるようになっており、さらに要素が風向きと風速に限定されていることで、より理解しやすくなっているデータビジュアライゼーションです。
12:スポーツチームの価値
スポーツチームの価値を示した例では、各チームの存続年数や大会の優勝回数が表示されます。
この2つの要素をビジュアル化することにより、ファンは各チームの歴史と成功を瞬時に把握できるため、膨大な数のエンゲージメントを獲得しています。
13:Austria Solarの年次報告書
Austria Solarの年次報告書では、ページに太陽光を当てることで企業データが浮かび上がる仕掛けが施されています。太陽光活性化インクを使用し印刷することで、企業データをより魅力的に映し出すことに成功しています。
情報主体を使用しデータをビジュアル化することで、内容に深みが増しており、理解しやすいことに加え説得力のあるデータビジュアライゼーションです。
14:Caritas Kontaktladenの年次報告書
Caritas Kontaktladenの年次報告書では、アニメーションではなく静止画像を用いたデータの可視化に成功しています。
ショッピングカートに入れられた生活必需品の写真が用いられており、年次報告書に記載されているデータを写真を通して表現することで、生活保護受給者が毎日手に入れられる生活必需品の量を表しています。
独自のアプローチ法ではあるものの、身近な例を使って示すことでより理解度が深まるといったデータビジュアライゼーションです。
15:バスの団子運転が発生する理由
バスの団子運転が発生する理由を示した例では、データをゲームに変換して表現することで、複雑なデータを的確に伝えることに成功しています。
バスの団子運転とは、1台のバスが遅延したことで複数台のバスが同時に1つの停留所に到着してしまう状態のことです。アニメーションでは、いずれかのバスのバーを長押しすることでバスが遅延し、後続のバスが団子状態になっていく様子が確認できます。
数字を用いて説明することが難しいデータを、わかりやすく的確に表現したデータビジュアライゼーションです。
データを可視化する10の方法
データはビジュアル化することでより伝わりやすくなるものの、どのようなデータでも同じように図示すれば良いわけではありません。それぞれのデータにおいて、効果的に可視化することが大切です。
ここからは、データを可視化する10の方法を紹介していきます。データの意味を効果的に表現できるよう、ぜひ参考にしてみてください。
1:マトリックス
マトリックスとは、データを行と列に配置し、各要素の関係の有無や関連度合いを示したものを指します。
数百、数千のデータポイントや要素などの関係を示し、相互作用を1つの図から確認できます。重要項目の洗い出しなど、テーマ選定において多く用いられている手法です。
2:ブレットグラフ
ブレットグラフとは横棒グラフを指しており、通常の棒グラフと同じように使用します。
中心となる数値データや目標の数値データなど、複数のデータを盛り込むことが可能で、詳細な情報やデータをシンプルに含める点は棒グラフより優れています。見た目の煩わしさを感じさせずデータを可視化できる手法です。
3:インジケーター
インジケーターとは、対象のデータを指標で表したものを指します。データを計器や時計のようなビジュアルで表現し、現在の設定値や処理の進行度合いなど、対象とするものが時間の経過と共にどのような方向に進んでいるかを明確に示します。
4:棒グラフ
棒グラフは、データを長方形の図形で表したものを指します。グループやカテゴリーなど、複数の対象データを比較したい場合に適した手法です。
通常は1つの項目に対し1つの棒を描画するケースが多いものの、1つの項目に複数のデータを表示する集合縦棒グラフや、1つの項目に複数のデータを積み上げて表示する積み上げ縦棒グラフなどもあります。
5:折れ線グラフ
折れ線グラフは、横軸に年月といった時間的経過を、縦軸にデータ量を表示し、それぞれのデータを折れ線で結んだものを指します。
時系列などの連続的変化が捉えられ、折れ線グラフの傾きから変化の大きさを読み取れることから、トレンドと変動幅を示す場合に適した手法です。また、単一だけでなく複数のデータを重ねて表示することも可能です。
6:面グラフ
面グラフとは、データを折れ線グラフに基づいて表し、軸と折れ線で挟まれた領域を色などで強調したものを指します。
全体的な属性ごとの比率や総量を表現したい場合に適しており、複数の項目内の要素について視覚的に理解できる手法です。
7:散布図
散布図とは、横軸と縦軸の2項目で量を計測し、対象のデータが当てはまる箇所に点を打って示したものを指します。
2項目の量の相関を見るのに適しており、2つの値に正の相関がある場合は右肩上がりの線形に近い形で示されます。
8:マップ
マップとは、データを地図上で区分し、色別で視覚的に示したものを指します。地域ごとのデータを比較する場合や、特定の地域における分布を表示する場合に適した手法です。
各地域の上に棒グラフや円グラフを重ねるなど、様々な方法を合わせることで、より効果的にデータを示すことが可能です。
9:ピボットテーブル
ピボットテーブルとは、リスト形式で用意されたデータを分析・集計するExcelの機能を指します。対象のデータを項目別に集計したり、集計項目や集計のやり方を入れ替えるなど、データを様々な形で活用できます。
大量の情報をまとめて表示する場合に適しており、蓄積された膨大なデータをカスタマイズすることで効果的に伝えられる手法です。
10:箱ひげ図
箱ひげ図とは、値が分布する幅を箱とひげで表したグラフを指します。属性ごとに1つの箱で表示されており、データのバラつきをわかりやすく表現できるため、データの値が集中している場所を瞬時に捉えることが可能です。
主に品質管理など、データにバラつきがある分野で活用されています。
データビジュアライゼーションについての理解を深めよう!
本記事では、データビジュアライゼーションについて15の成功例と、データを可視化する10の方法を紹介してきました。
データビジュアライゼーションは、データを視覚的なメッセージで伝えられるため、データ活用の効果を得ることが可能です。
この記事で紹介した成功例と可視化する方法を参考に、データビジュアライゼーションについて理解を深め、ビジネスの成長へと繋げてみてはいかがでしょうか。