PEST分析を行う方法やコツとは?参考にしたい事例もあわせて紹介
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PEST分析を行う方法やコツとは?参考にしたい事例もあわせて紹介

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PEST分析を行う方法やコツとは?参考にしたい事例もあわせて紹介

記載されている内容は2021年09月24日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。

また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

初回公開日:2021年09月24日

更新日:2024年06月24日

PEST分析とはどのようなフレームワークなのでしょうか。本記事ではPEST分析を行う方法やコツ、PEST分析方法の基本的な流れや役立つテンプレート、PEST分析の参考にしたい事例などを紹介しますので、参考にしてみてください。

マーケティングにPEST分析が必要となる理由

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PEST分析はマクロ環境を分析するマーケティングフレームワークです。ビジネスは常に世の中の変化に大きな影響を受けます。そのため、マーケティングを行う場合は自社を取り巻くマクロ環境について、PEST分析によって中長期的に把握していくことが重要になります。

PEST分析のマクロ環境となる要素

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PEST分析では「Politics(政治)」「Economy(経済)」「Society(社会)」「Technology(技術)」という4つの要素をマクロ環境として分析します。

PEST分析はこれらの4つの要素によって、マクロ環境要因を網羅的に洗い出すフレームワークとなっています。PEST分析によって自社にとってのプラス要因、マイナス要因を整理することで、自社を取り巻く外部環境がどのような状態になっているのかを洞察することができます。

PEST分析を行う6つの方法やコツ

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PEST分析は、マーケティングプロセスにおいて非常に重要な役割を持つフレームワークです。それでは、自社のマーケティングにPEST分析を取り入れる場合には、どのような方法で行えばよいのでしょうか。

ここではPEST分析を行う方法やコツについて紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

1:積極的に仮説を立ててシミュレートする

PEST分析を行う方法の1つが、中長期的な将来での世の中のマクロトレンドについて仮説を立てることです。PEST分析を行う場合は、3~5年後の世の中について積極的に仮説を立ててシミュレートしていきましょう。

将来についての仮説を立ててシミュレーションすることにより、業界への影響や環境変化について検討する新しい視点を得ることができ、そのために今取り組むべき戦略を立案することができるようになります。

2:組織で共有する

PEST分析で立てた仮説は組織で共有するようにしましょう。現在より先の未来について立てた仮説は不確実なものですが、組織で共有して将来の仮説に対して現在自社が取り組むべき戦略を構築していくことが大切です。

3:PEST分析項目の関連性を見る

PEST分析では、PESTの各項目である「政治」「経済」「社会」「技術」の関連性を見ることが大切です。それぞれの項目だけでなく項目ごとの関連性を見ることにより、マクロ環境全体の構造を俯瞰して見られるようになります。

また、各項目をクロスして繋がりを解釈することにより、新たな洞察を得ることができるでしょう。

4:外部環境分析を細分化する

PEST分析は自社ではコントロールすることができない、マクロ環境を分析するための方法です。そのためには、外部環境分析を細分化して、マクロ環境とミクロ環境に分ける必要があります。

PEST分析で自社を取り巻く業界の動向や、世の中の流れといった社会全体の動きを把握することにより、環境変化や自社のビジネスに影響を与える要因を探ることができるようになります。

5:推移や変化についても読み取る

PEST分析は情報を整理するだけでなく、情報の推移や変化についても読み取ることが重要です。前述のとおり、PEST分析は3~5年先の未来について仮説を立ててシミュレートを行うこともコツです。

たとえば現在は中間所得層の少ない新興国であっても、若年層が人口の多くを占めており、GDPの成長も著しいような国であれば、数年先には魅力的な市場になっている可能性があります。PEST分析では、このような将来的な変化に目を向けることもポイントになります。

6:他のフレームワークを併用する

PEST分析は他のフレームワークと併用する方法があります。併用することによって、よりPEST分析の効果をアップさせることが可能です。

ここではSWOT分析、3C分析、バリューチェーン分析と併用した場合について紹介していきます。

SWOT分析との併用

SWOT分析とは、内部要因である「自社の強み(Strengths)」「自社の弱み(Weaknesses)」、外部要因である「機会(Opportunities)」「脅威(Threats)」をカテゴリ分けし、それぞれを洗い出していくフレームワークです。

PEST分析によって自社を取り巻くマクロ環境の情報をまとめることができるため、その情報を元にSWOT分析でより解釈を深めていくことができるでしょう。

3C分析との併用

3C分析とは、自社を取り巻く環境に対して「自社(Company)」「顧客(Customer)」「競合(Competitor)」という3つの視点から情報収集を行うフレームワークです。

「自社」は自社の強みや理念、「顧客」は市場規模やニーズ、「競合」は競合の商品やサービスなどが該当します。

3C分析とPEST分析を併用することで、自社を取り巻く環境に関する情報を整理し、まとめることができるでしょう。

バリューチェーン分析との併用

バリューチェーン分析とは、企業が行う原材料の調達から製造、物流、販売を通して、消費者の手に渡るまでの事業活動における一連の活動を「モノの連鎖」と「価値の連鎖」の2軸で分析するフレームワークです。

バリューチェーン分析を行うことで、事業活動のプロセスのどこでより多くの価値が生み出されているのか、コストがかかっているプロセスはどこなのかを把握することができるようになります。

そのため、バリューチェーン分析とPEST分析を併用することで、バリューチェーン分析で導き出された、顧客側から見た自社の強みをPEST分析に活かすことができます。

PEST分析方法の基本的な5つの流れ

ここまでPEST分析のコツなどを紹介してきましたが、実際に自社のマーケティングにPEST分析を活用する場合、どのような流れで分析を行うことになるのでしょうか。

ここではPEST分析方法の基本的な5つの流れを紹介していきますので、参考にしてみてください。

1:自社に関連する情報を集める

まずは自社に関係しそうな情報を収集していきましょう。正確に自社を取り巻くマクロ環境を把握するためには、情報収集を行うことが非常に重要になります。

具体的には、新聞やニュース、業界紙、講演会、関係各所にヒアリングを行うといったことを通して情報を集めていきます。ただし、情報は集め出すと切りがないため、ある程度的を絞って情報収集を行うようにしましょう。

2:P・E・S・Tの各要素に振り分けて可視化する

収集した情報項目をP・E・S・Tの各要素に振り分けて可視化していきましょう。法改正や政権交代などは「政治」、景気や株価、為替の変動などは「経済」、トレンドや人口動態などは「社会」、技術革新などは「技術」に分類します。

中にはどの分類に振り分ければよいのか迷うようなものもありますが、自社に関係するマクロ環境の要素を認識することがポイントになるため、正確に分類することはPEST分析の目的ではありません。

3:解釈と事実に分けて見る

P・E・S・Tの各要素に振り分けた内容を「解釈」と「事実」に分けていきましょう。「解釈」とは個人的な理解内容になっているもの、「事実」は実際に起きていることで人が変えることができない出来事を指します。

PEST分析は事実情報を元に分析を行うものであるため、事実の中に解釈が混ざっていると立てた戦略に対して結果が伴わなくなる可能性があります。そのため、この時点で解釈と事実を振り分けて事実のみを抽出するようにしましょう。

4:脅威と機会に分けて見る

抽出した事実をさらに「脅威」と「機会」に分けていきましょう。自社を取り巻くマクロ環境の要因は自社にとって脅威にも機会にもなり得ることから、収集した情報をそれぞれ振り分ける必要があります。

振り分けを行う際には、複数視点で事実情報を見ることが大切です。

5:長期的・短期的目線から分けて見る

振り分けた脅威と機会を、「将来的に起こること(長期的)」なのか「近い未来で起こること(短期的)」なのか分けていきましょう。

同じように脅威に含まれている情報でも、近いうちに起こる可能性があるものと数年後に起こる可能性があるものが混ざっていると、議論を行う際に目線が合わなくなります。

そのため、長期的、短期的目線で振り分けて、参加者全員の目線を揃えるようにしましょう。

PEST分析方法に役立つ4つのフォーマット・テンプレート

PEST分析を行う場合は、既存のフォーマットやテンプレートを利用するのがおすすめです。フォーマットやテンプレートを活用すれば、初心者でも簡単にPEST分析が活用できるようになるでしょう。

ここではPEST分析方法に役立つ4つのフォーマット・テンプレートを紹介していきますので、PEST分析を行う際の参考にしてみてください。

1:STARFIELD

越境EC用カートシステムなどの開発を行っているスターフィールド株式会社では、Googleスプレッドシートで利用できるシンプルなテンプレートを提供しています。

PEST分析で必要になる4つの要素は個々に独立しているのではなく、お互いに影響し合っています。そのため、テンプレートを使ってメンバー同士で情報共有しておき、戦略を検討することが大切です。

2:Edraw

Edrawは全世界に約2,500万以上のユーザーを持つ、さまざまな作図ツールを提供しているベンダーです。Edrawが提供している「PEST分析テンプレート」を利用すれば、テキストと画像を用意するだけで簡単にPEST分析図を作成することができます。

カスタマイズも容易であるため、はじめてPEST分析図を作成するユーザーにもおすすめです。また、テンプレートはWordやExcelなどに変換することもできます。

3:カオナビ

カオナビは従業員情報を一元管理できる、クラウド人材管理システムです。利用企業数は約2,000社と、人材管理システムで高いシェアを獲得しています。

無料のテンプレート集も用意されているため、これまで紙やExcelで運用していた業務をシステム上で行えるようになり、業務を効率化できます。

4:QUADERNO

QUADERNOではPEST分析のテンプレートを、フリーコンテンツとして用意しています。QUADERNOは富士通が提供している手書きで書き込みができる電子ペーパーで、分析から結論まで1枚でコンパクトにまとめることができるPEST分析テンプレートが利用できます。

また、解説や見本も用意されているため、初心者にもわかりやすいでしょう。

PEST分析の参考にしたい3つの事例

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PEST分析を活用することにより、マクロ環境を正確に把握してビジネスを成功された事例も多く存在しています。そのため、PEST分析を行う場合は、具体的な成功事例について把握しておくことも重要です。

ここでは最後にPEST分析の3つの事例を紹介しますので、参考にしてみてはいかがでしょうか。

1:大手飲料メーカーの場合

大手飲料メーカーでは、PEST分析によって世の中のトレンドとして環境への配慮や意識の変化を重要視しました。そこで、従来品よりも軽量化し、手で簡単に絞れるペットボトルを採用した天然水、フレーバーウォーター、スパークリングウォーターを発売しました。

その結果、世の中のトレンドとなっていたエコブームの波に乗り、商品は大ヒットすることになりました。

2:大手生命保険会社の場合

大手生命保険会社では、PEST分析によって世の中の婚姻制度の多様化の流れを重要視しました。そこで、同性パートナーを自社の生命保険の受取人に指定できるように、サービスの改定を行いました。

現在では世の中の理解も進んできており、同社に近いサービスも増えてきているものの、先手を打った同社は当時としては非常に画期的だったと言えるでしょう。

3:ドイツのメガバンクの場合

イギリスのEU脱退によって多くの企業の「政治(Politics)」が変化しましたが、特に金融機関には大きな影響がありました。なぜなら、イギリスでの営業権を持つ金融機関は、イギリスにある拠点を別のEUに移転する必要があるためです。

しかしそのような中、ドイツのメガバンクは現在イギリスに本部を移転することを計画しています。競合銀行との関係性を意識し、ロンドンとの関係を強くする狙いがあると見られています。

PEST分析の方法を理解しよう

PEST分析とは、自社を取り巻くマクロ環境を4つの視点から整理し、把握するためのものです。

ぜひ本記事で紹介したPEST分析を行う方法やコツ、PEST分析方法の基本的な流れやPEST分析の事例などを参考に、PEST分析を行って自社のマーケティングに活かしてみてはいかがでしょうか。

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