PDCAとは?メリットや効果的な活用法とOODAとの違いも紹介
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初回公開日:2021年10月28日
更新日:2022年03月01日
そもそもPDCAとは?
PDCAとは、あるものの品質を継続的に管理するためのプロセスのことです。
それぞれPlan(計画)、Do(実行)、Check(測定・評価)、Action(対策・改善)の4つの英単語の頭文字を取っています。この単語の段階を踏んで品質管理に取り組むルーティンがPDCAサイクルです。
PDCAは、業務の改善やパフォーマンスの向上など品質の管理に留まらず、看護・保育・教育など様々な分野に応用できます。PDCAや他の手法についての解説も交えながら分かりやすくご説明します。
OODAとは?
PDCAとは別の考え方に、OODAというものがあります。OODAとは、現場の意思決定を助ける思考方法のひとつです。
通称「ウーダ」と呼ばれ、それぞれObserve(観察)、Orient(方向づけ)、Decide(判断)、Action(行動)の4つの英単語から頭文字を取っています。また、この単語のステップを繰り返し行うことをOODAループと呼んでいます。
行動してすぐ次の観察に立ち戻るため、スピーディな行動が可能です。
PDCAとOODAの違い
PDCAとOODAの大きな違いは、その目的とするところにあります。
PDCAの目的は、品質や業務の改善にあります。対して、OODAの目的は意思決定をすることです。
PDCAは継続的な品質改善を目指す性質上、中長期的な課題解決向きです。一方OODAは短期的な視点から市場動向やユーザーのニーズに迅速に対応したい場合に適しているといった違いがあります。
OODAの良い点
OODAには、主に3つのメリットがあります。
まず、OODAは対象の観察から行動までのサイクルが非常にスピーディです。そのため、変化の激しい現代社会に対して即時的な対応がしやすくなっています。
また、OODAの中には目標を定めるプロセスがありません。これは行動指針を決める際、無理に目標に合わせる必要がないことを意味します。したがって、その分迅速かつ柔軟に行動指針を決めて実行に移せるでしょう。
そして、OODAループを何度も繰り返すことで、試行錯誤する癖をつけることができます。一旦、習慣化してしまえば、意思決定までのスピードはより速くなり、その分試せる回数も増えていくでしょう。
このように、OODAには現場で意思決定をする上でのメリットがあります。
PDCAの4つの手法とは
PDCAとは、基本的にPlan、Do、Check、Actionの4段階の繰り返しです。そして、それぞれの段階にもいくつかプロセスがあります。
サイクル全体の指針を決めるPlanは念入りに、計画を実行に移すDoの段階もじっくり時間をかけて行うなど丁寧な行動を心がけましょう。
1:Plan(計画)の作成
PDCAのP、すなわちPlanで行うのは目標の設定と行動計画の作成です。
まず解決したい問題に対してリサーチを行い、原因の予想を立てて解決のための目標を決めます。目標が決まったら、今度はそれを達成させるためにどんなことができるか、その方法でどれだけの結果が得られそうかといった計画を立てていきます。
計画を立てられたら、次の段階に移りましょう。
2:Do(実行)の検証
PDCAのD、すなわちDoの段階では、Planで立てた計画を実行に移します。
この時、計画をすべて一気に実行に移すのではなく、試行を含めて少しずつ時間をかけ、様子を見ながら実行していきましょう。そして、どれだけの効果が得られたかといった結果に関しても逐一記録していきます。
計画をすべて実行に移せたら、また次の段階に移りましょう。
3:Check(評価)の分析
PDCAのC、すなわちCheckの段階では、Doで実行した内容がどれだけ結果を出せたのか分析して評価します。
Plan時点での予想と比べてどれだけの結果が得られたか、計画に沿って実行に移せたか、行った解決策は有効かなどを細かく確認しましょう。
4:Action(改善)の検討
PDCAのA、すなわちActionでは、Checkで分析した結果を元に改善策を探します。
直前のDoであまり有効でなかった手法の改善の他、計画を実施して新たに表出した問題の洗い出しなど、対象をもっと良くするためにできることは何かを突き詰めて検討していきましょう。
Actionで改善案を検討できたら、今度はまた次のPlanに移ります。PDCAサイクルは、この繰り返しで成り立っています。
PDCAを回すメリット
PDCAを回す大きなメリットは、改善工程の明確化ができることと、サイクルそのものに持続的な改善や管理が望めることです。これによって、中長期に渡る品質や業務の管理・改善が効率的に行えます。
また、タスクの無駄を省いて確実な改善への道筋を立てやすいのもPDCAの特徴です。
進捗やタスクが明確化できる
PDCAのメリットのひとつは、作業の進捗やタスクが明確化できることです。
PDCAサイクルとは、最初のPlanの段階でしっかり目標を定めて計画を立てるものです。そのあとの工程では立てた計画に沿って改善案を実行していきます。そのため、現在の業務計画の進捗や残っているタスクが分かりやすく管理できます。
持続的に改善や管理がしやすい
PDCAはひとつの問題を解決したらそれで終わり、というものではありません。
計画を実行に移して、初めて分かる新しい課題なども存在します。そういったものを次のサイクルで改善目標に組み込んでいくため、繰り返しサイクルを回してどんどん対象を良くしていくことが可能です。
つまり、PDCAには持続的な改善や管理が望めるというメリットがあります。
PDCAを回す3つのデメリット
PDCAのデメリットは、大きく分けて3つあります。
PDCAはその持続性から業務の中に取り込みやすい反面、あくまでも業務効率化に便利なツールのひとつであるということを忘れられがちです。また、時間をかけて向き合う必要があるためすぐに結果を出せるわけではありません。
ここからは、PDCAのデメリットについて詳しく解説していきます。
1:PDCA自体が目的になる
PDCAの本来の目的とは、品質の改善です。しかし、PDCAを業務に組み込んだことでこのサイクルを回すこと自体が目的であるかのようになってしまうことがあります。
PDCAはただ回せば良いというものではありません。最終的な目的を明確化して、そこまでの改善につなげるツールであることを正しく認識しておくことが重要です。
2:革新的なアイデアが生まれにくい
何度もPDCAを回していると、基底のプランはそのサイクルで、過去に使用されたプランになってしまいます。
最初のサイクルで出された改善案に追加のオプションを継ぎ足しながら以降のサイクルを回すことになっていくため、新しいプランやアイデアは生まれにくくなってしまうでしょう。
これを避けるためには、Checkの段階で視点を変えてみる、外部の意見を取り入れるといった組織内の「換気」が必要になります。
3:改善するためのプロセスに時間を取られる
PDCAとは、リサーチと計画、そして実行と評価にじっくり時間をかけることが前提の手法です。したがって、改善するためのプロセスに時間を取られることはデメリットであるといえます。
PDCAではアイデアを出してすぐ実行、というわけにはいきません。また、すぐに分かりやすい効果が出るというものではないため、どうしても時間がかかってしまうことには留意が必要です。
効率的なPDCAのための4つのコツ
PDCAの効果を引き出すためのコツは、主に4つ存在します。
その中でも重要なのは、全体を通して綿密な計画を立てることです。そして、定期的な分析と評価を多面的な観点から行うことが成功の鍵となります。
PDCAサイクルのコツとはどんなものか見ていきましょう。
1:環境の変化も考慮に入れる
PDCAの効果を引き出すコツのひとつは、組織周辺の環境の変化を考慮に入れてCheckの工程を回すことです。
長くPDCAを回している間、組織の内外の環境は一定ではありません。Checkの工程に差し掛かった際は、途中で変化した環境要因や、その影響についても考慮して評価を行うと良いでしょう。
2:Do(実行)する現場の声を聞く
Planで立てた計画を実行する時、重要なのは現場との対話です。PDCAを回す目的に対する意識のすりあわせを行い、タスクを適材適所に振り分ける采配が必要になるためです。
メンバーの個性を十分に生かし、モチベーションと生産性を上げるためにも現場とのコミュニケーションは必須です。そのため、日頃からしっかりやり取りすることを心がけましょう。
3:具体的なPlan(計画)を立てる
目標設定がぼんやりしていたり、現状と比べて高すぎる理想を掲げてしまうと、計画を立てるのが困難になってしまいます。また、進捗の数値も具体的なものが出てこず分かりにくくなるでしょう。
こういったことを防ぐためにも、まず現状をしっかり把握して、5W2Hにのっとった計画づくりを行う方が効果的です。
PDCAサイクルにおける過程ごとのゴールと最終目標が明確になるような具体的な計画を立てましょう。
無駄にならない計画にする
綿密な計画はPDCAの柱です。
数値を用いて具体的な目標を設定し、現状とのギャップを把握するところから計画づくりは始まります。ギャップを埋めるためには何ができるか、それをやるのは誰なのか、タスクの優先順位はどうなっているかなど、実行に移す前にできる限りしっかり計画を立てるのが肝要です。
細分化された無駄のない計画で、PDCAサイクルの要を固めましょう。
計画の実行は企画したとおりにする
どれだけ計画を緻密にしても、途中で投げ出すなどして完遂できなければPDCAは失敗に終わってしまいます。
計画倒れを防ぎ、あとのCheckでしっかり分析を行うためにも、Planで立てた計画はDoの段階で最後までやりきりましょう。
4:Check(評価)を定期的に行う
PDCAで重要なのは、計画だけではありません。計画に沿って実行できたかどうか評価するのも、より効率的に改善を進めていくためには大切になります。
一定の期間を決めて、その都度分析と評価を行いサイクルの回転率を上げて行くことが必要です。
PDCAサイクルを活用する方法
PDCAサイクルは様々な分野に活用できます。
日常生活では家事などのタスクに、仕事では会社内のプロジェクトや個人のワークに応用することで、よりそれぞれの質を高めて時間を有効に活用できるようになります。
PDCAのポイントを押さえて、いろんな場面で活用してみましょう。
日常生活での方法
PDCAは仕事の業務改善のみならず、日常生活でも活用できます。
例えば、掃除や料理といった家事の効率を高めたい時、円滑な人間関係を築きたい時といったタスクの改善や効率化に利用できるでしょう。また、旅行やお出かけのプランニングに一役買うこともあります。
様々な課題の中から解決したい問題を選び、PDCAを活用してみましょう。
仕事での方法
仕事でPDCAを活用する場合も、使い方はひとつではありません。
サービスや商品の品質改善、マーケティングの見直しなど売上の向上、業務全体の効率化など、会社全体を良くするための取り組みとしてPDCAは大きな効果を発揮します。
また、個人として1日、1週間、1ヶ月といった期間ごとにCheckのポイントを設けることで、仕事の振り返りと改善につなげることも可能です。
PDCAでミスしてしまう4つの原因
丁寧に実施すれば成果を上げやすいPDCAサイクルですが、各段階で手を抜いてしまうと失敗に終わる可能性があります。PDCAでミスしてしまう原因は、4つの段階にそれぞれあります。
PDCAサイクルを回す時の「こんなもんでいいだろう」という適当な気持ちは命取りです。どの段階においても具体的に、時には数字も用いて工程を突き詰めることが重要です。
1:Do(実行)でのミス
計画が杜撰なまま実行に移すと、Doの段階でのミスにつながります。
しっかり計画を立てないまま見切り発車してしまうと、PDCAの効果はうまく出せません。直近の進捗を明確にして最終目標を意識する機会を設けるためにも、事前の計画が立ってから実行に移しましょう。
2:Plan(計画)でのミス
計画を立てるための情報収集が十分にできていないと、Planの段階でつまずいてしまいます。
目標が曖昧で達成までの過程が明確にできない、現状を正しく把握できていないといった負の要因はPDCAのPlanにおける大敵です。
PDCAで重要なのは仮説と検証になります。まずは仮説の段階から腰を据えて計画を立てる必要があります。
3:Action(改善)でのミス
見直しや評価で分かった改善点へのアプローチをおざなりにすると、PDCAは失敗してしまいます。
対象の改善に少しでも効果がありそうなものは、改めて計画に組み込みすべて試してみる必要があるでしょう。また、効果が出ないようであれば課題自体を見直す必要も出てきます。
そういったものをためらったり渋ったりしてしまうと、いつまで経っても問題の解決には至りません。尻込みすることなく結果と向き合い、必要なアプローチを取っていきましょう。
4:Check(評価)でのミス
評価する時の基準や項目の設定は、そのサイクルの成否にも大きく関わってきます。
チェックの基準が曖昧であったり、身内目線で甘かったりすると、結局主観で判断することになり改善につながりません。
Checkの段階で行う評価は、定量的な視点から数値に基づいた基準を設け、チェック項目を具体的にすることが重要です。また、内部だけでなく外部から評価してもらうのも効果的です。
PDCAを理解して改善に役立てよう
PDCAは、4つの段階を経て継続的に品質や業務の改善を目指す思考プロセスの手法です。Plan、Do、Check、Actionを繰り返すことで、問題の洗い出しと解決までの道程を明らかにします。
各工程には相応の時間をかけ、じっくり問題に向き合う必要があるため、結果を出すまでにはどうしても時間がかかります。しかし、その分中長期的な課題解決に強い方法です。
PDCAのやり方や注意点を押さえて、仕事や日常生活で活用しましょう。