ビジネスにおけるガイドラインの例とは|言葉の意味から類義語との違いも紹介
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初回公開日:2021年11月22日
更新日:2024年05月31日
ガイドラインとは
ガイドラインは、ビジネスシーンや法律関係など多くのシーンで聞くことが多い外国語ではないでしょうか。
以下では、本来の英語でのガイドラインの意味と、日本語での意味や使用するケースについて違いを紹介していきます。
- 英語でのケース
- 日本語でのケース
英語でのケース
英語でのガイドラインは、(政策や行動などの)指針、指標、あるいは案内線、罫線のことを意味しています。
ガイドラインを英語表記すると、guidelineになります。これは、guide(導く)とline(線)という2つの言葉が合わさってできた言葉です。
日本語でのケース
日本語でのガイドラインは、政治や業務などの運用時に守られるべき指針や手引き、あるいは文字の記載やタイピングでの目安となる罫線のことです。
特に日本語でのガイドラインは、政府、会社組織や団体が掲げる指針としての意味合いが強い傾向があるでしょう。
業界によるガイドラインの意味の3つの違いとは
ガイドラインとは、政治や業務などを具体的に運用する際に遵守されるべき指針や手引きのことを指しています。そのため、使用されている業界によって、ガイドラインの意味やニュアンスに違いが生じることがあります。
以下では、医療、法律関係、ビジネスシーンにスポットをあて、それぞれの業界でのガイドラインの意味を紹介していきましょう。
- 医療業界のケース
- 法律関係のケース
- ビジネスシーンのケース
1:医療業界のケース
医療業界でのガイドラインは、最新の臨床研究結果を踏まえ、その時点での最善の治療法などをまとめた文書のことをいいます。また、重要な医療行為に対して、一般的で、かつ最善とされる診療法が書かれているものです。
たとえば、医薬品に対するガイドラインがあります。
これは、医薬品の品質・有効性・安全性、そして前三領域に共通する複合領域の各領域について、医薬品規制調和国際会議(略称:ICH)で医薬品規制当局と製薬業界の代表者が協働し、ガイドライン(科学的・倫理的に適切と考えられる指針)を作成しています。
2:法律関係のケース
法律関係でのガイドラインの意味や目的をみていくために、まずはガイドラインより上位の法律関係の言葉(法令、基準)をみていきます。
最上位にあるのが法令です。法令は法律と命令が合わさったものを指しており、その意味は「国民(住民)の権利義務に関する定め」とされています。法令の次に位置するのが、基準です。この基準とは、最低限満たすべき義務的ルールのことをいいます。
また、基準には政府が定めるもの、国際機関が定めるもの、NGOが定めるものなど様々な種類があります。
最後に、ガイドラインとは法律の内容に沿って策定され、自主的に遵守することが推奨されるルールのことです。ただし、ガイドラインの普及に従い、誤った使い方が発生しているケースもあるでしょう。
ガイドラインとされていても、義務的ルールの基準としての運用を求めている場合があるため注意が必要になります。
3:ビジネスシーンのケース
ビジネスシーンでのガイドラインとは、仕事を進める上での基準や大まかな指針のことをいいます。さらに、会社が所属する従業員や組織自体に対して、望ましい行動の方向性を示したり、遵守する基準として一定の行動制約を持たせる場合があります。
ビジネスにおけるガイドラインの4つの例とは
ガイドラインとは、ビジネスシーンにおいても広く浸透し、使用されることが多い外国語といえます。ここからは、4つの例をもとにそれぞれ紹介していきます。参考にしてみてください。
- 個人情報保護法についてのガイドライン
- 広告掲載可否の判断基準としてのガイドライン
- 中小企業向けの生産性向上ガイドライン
- アンケート調査の書式としてのガイドライン
1:個人情報保護法についてのガイドライン
個人情報保護法のガイドラインでは、具体的な行動内容、管理内容、注意義務の内容といった法律を遵守するための基本的な方向性や判断基準を示しています。
また、この個人情報保護法のガイドラインは、各省庁から個別に出されています。ただ、その内容にはそれぞれの分野の特徴を考慮し策定されているため、事業者は属する事業分野のガイドラインの確認を欠かさずに行っておくことが重要でしょう。
その理由として、ガイドラインは努力目標といった枠を超え、現在では法律解釈の部分も多く含まれる可能性があり、事業者はガイドラインを検討対象にする必要があるためです。
2:広告掲載可否の判断基準としてのガイドライン
多くの人がスーパーやドラッグストア、ネット通販、さらにSNSなどといった様々なシーンで広告を目にすることがあるのではないでしょうか。
こうした広告掲載に関するルールには大きく分けると、景品表示法や医薬品医療機器等法などの国が定めた法律、業界ごとのルール(公正競争規約)や自主基準の3つがあります。
3つのルールに従い、各広告媒体社や自治体などでは、広告掲載可否の判断基準としてガイドラインを出しています。
3:中小企業向けの生産性向上ガイドライン
日本経済の約70%(GDP・雇用ベース)を占めるサービス産業は、中小企業によって支えられています。そうした中で、中小サービス企業の生産性の伸びは、国内製造業や海外のサービス産業と比較すると低いのが現状といえます。
そのため、経済産業省は、中小サービス企業の生産性向上のために、取り組みの方向性や具体的な手法などを紹介したガイドラインを作成しています。
出典:中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン|経済産業省
参照:https://www.meti.go.jp/policy/servicepolicy/service_guidelines.pdf
4:アンケート調査の書式としてのガイドライン
様々なビジネスシーンで用いられる調査方法の中に、アンケート調査があります。アンケート調査に対してガイドラインが使用される場合、書式や決まりといった意味で用いられることが多いといえるでしょう。
ガイドラインという言葉を使う上での注意点
ガイドラインは日本に広く普及した言葉とはいえ、本来は外国語です。そのため、使用する際には押さえておきたい注意点があります。ここからは、2つのポイントを紹介していきます。
- 乱用して使用しない
- 相手の反応を確認して使う
乱用して使用しない
現在、国際化が進みビジネスシーンをはじめ様々な場で外国語が使用されている傾向があるといえます。その一方で、こうした外国語を用いる際に注意したいのが、多用・乱用しないということです。
特に、ビジネスシーンで多用・乱用してしまうと、主たる日本語の会話の流れとして不自然になったり、意味が通らなくなったりするおそれがあります。こうした事態は、相手に対して失礼になってしまう可能性もあるため、注意しておきましょう。
相手の反応を確認して使う
ガイドラインという言葉は、最近では定着に向かっている外国語の1つといえます。しかし、シニア世代にとってはどうでしょうか。
ガイドラインなど外国語の単語を使う際には、相手の反応を見ながら使うことが望ましいでしょう。また、ガイドラインという言葉で誤解を与えてしまうおそれがある場合には、適宜、言い換えや説明を加えるようにすることが大切です。
ガイドラインとマニュアルの相違点を決める要点3つ
日本では様々な外国語が日本語と同じように使われているため、外国語同士の違いがはっきりと判断できない人も少なくないのではないでしょうか。
ここからは、特に違いが判断しにくいガイドラインとマニュアルの相違点を3つのポイントから紹介していきます。参考にしてみてください。
- 具体的か抽象的に書かれているか
- 方向性の明確化がされているか
- とり行った場合に同じ結果になるか
1:具体的か抽象的に書かれているか
ガイドラインとマニュアルの違いを判断する材料の1つが、具体的か抽象的かということです。その理由は、それぞれが持つ意味をみていくことで理解することができるでしょう。
ガイドラインの意味は、政策や行動などでの指針や指標のことです。ガイドラインには目的や目標に向けての大まかな流れや方向性、守るべき項目について記載されています。
つまり、ガイドラインにある大まかな流れや方向性を、読み手自身が判断していく必要があるため抽象的といえます。
一方マニュアルの意味は、仕事や作業などを確実に、そして誰でも一定レベルの結果を出すこができるように参照するもののことです。そのため、マニュアルには具体的な指示や手順が書かれています。
2:方向性の明確化がされているか
ガイドラインとマニュアルの相違点を判断する材料の2つ目は、内容に方向性が明示されているかどうかです。
ガイドラインでは、目指すゴールに向けての大まかな方向性を明確に示し、そこから読み手が何を行うかを判断していきます。一方で、マニュアルには方向性は示されておらず、具体的な手順や手引きが書かれています。
3:内容通りに行った場合に同じ結果になるか
ガイドラインとマニュアルの相違点を判断する材料の3つ目は、資料の内容通りに行った場合に実施者全員が同じ結果を得られるかどうかです。
ガイドラインとは、目標や目的といったゴールまでの大まかな方向性が書かれており、そこから何を具体的に行うのかを読み手自身が判断し決めていくでしょう。そのため、読み手によって得られる結果に違いが生じてしまう可能性が考えられます。
一方、マニュアルには実施者全員が同じ結果を得られるように、具体的な手順や手引きが書かれています。そのため実施者のレベルに関わらず、一定レベルの成果を上げることが期待できます。
ガイドラインの8つの類義語とは
ガイドラインを日本語にした時、指針や手引き、あるいはゴールに向けての大まかな方向性といった意味に訳され使用されています。
こうした複数の意味を持つ言葉として使われるガイドラインには、その意味に似た言葉も多くあります。以下では、ガイドラインの類義語として用いられるケースが多い8つの言葉を紹介していきます。
- ガイダンスの意味
- スタンダードの意味
- マニュアルの意味
- ルールの意味
- 基準の意味
- 規定の意味
- 指針の意味
- 法令の意味
1:ガイダンスの意味
ガイドラインの類義語の1つに、ガイダンスという言葉があります。ガイダンスとは、初心者向け・不慣れな人向けの初歩的な案内や手引きです。
また教育分野では、自発的に自分の進路を決定できるように指導すること、一定の方向に導こうとする指導といった意味でも使われています。
さらに、法律関係で用いられる場合、ガイダンスは法令や基準、ガイドラインを遵守する上でより細かい解釈や行動の内容をまとめたものです。上位の規定を補足・補完するためのものとして、ガイダンスは法令やガイドラインと一緒に策定される傾向があるでしょう。
2:スタンダードの意味
スタンダードの意味は普通や平均、標準です。まず、前者の普通や平均という意味でスタンダードを使う場合、常識的であり無難である意味合いが強く出る傾向があります。そのため、少数派の意見や行動の制限を生じさせるでしょう。
そして後者の標準という意味でスタンダードを使う際は、物事を判断する目安や拠り所という意味です。そのため、たとえば法律関係では、スタンダードは基準のことを指しており、最低限満たすべき義務的なルールとして位置付けられています。
3:マニュアルの意味
マニュアルとは、仕事や作業を確実に、そして誰でも一定レベルの成果を上げられるように手順をまとめたものです。たとえば業務内容マニュアルには、作業の全体像やフロー、具体的な手順、前提条件、さらに注意事項などが書かれているでしょう。
4:ルールの意味
ガイドラインの類義語としてルールがあります。ルールの意味は、特定の物事を行う上で、共通して守るように定められた決まり事になります。
一方でガイドラインは、目標や目的に向けての大まかな方向性を指しているため、ルールのような強制的な意味合いはないでしょう。
5:基準の意味
ガイドラインの類義語に、基準があります。基準には2つの意味があり、1つ目が物事の骨組みになる基礎である拠り所のこと、2つ目が満たさなければならない一定の要件のことです。
そのため、様々な場面で基準という言葉は用いられており、たとえば建築基準や設置基準、評価基準などが挙げられます。
6:規定の意味
ガイドラインの類義語には規定という言葉もあります。規定の意味とは、物事に対して定めた内容や決まりと、法令の個々の条文の2つです。
また、法令の個々の条文という意味での規定は、国会の両議会や労働者に対する法令などで定められた一つ一つの条文を指す際に使用されます。たとえば、「環境基本法の第15条に規定する」「契約書管理規定を遵守する」などが挙げられます。
出典:環境基本法の概要|環境省
参照:https://www.env.go.jp/council/21kankyo-k/y210-01/mat_04_1.pdf
7:指針の意味
ガイドラインの類義語には、指針という言葉も挙げられることがあります。指針には磁石・時計といった各種メーターなどの指示装置にある針のこと、あるいは物事を進める上で頼りとなるものといった意味を持ちます。
そのため指針は、ガイドラインの言い換えや翻訳語として用いられている場合もあるでしょう。
8:法令の意味
ガイドラインと似ている言葉の1つに、法令があります。法令とは、一般的には国会が制定する法律に加え、国の行政機関が制定する命令を合わせたものです。
また、この法令には種類によって効力の優劣関係があります。具体的には、上位に来るのが憲法や条約、次が法律・規則・条例、そして法律の下に政令、府省令、規則(行政)の順に位置づけられています。また、次位の条例の下にあるのは規則(地方)です。
出典:法令の種類を知ろう②|国民生活センター
参照:http://www.kokusen.go.jp/wko/pdf/wko-202008_07.pdf
ガイドラインの正しい意味を知りビジネスシーンで使いこなそう
今回、外国語であるガイドラインの意味や使用例、また注意点について紹介してきました。
ガイドラインは、日本語のケースで使用される時と外国語のケースで使用される時に、若干のニュアンスの違いがあることや、使用されている業界やビジネスシーンによっても持つ意味に違いがあります。
ガイドラインを使用する際にはその意味を正しく理解し、そして用いる状況やケースを踏まえながら使用することが大切といえます。