ペルソナ分析を行う6つの方法とは|メリットやデメリットも解説
記載されている内容は2021年11月22日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。
初回公開日:2021年11月22日
更新日:2022年03月01日
ペルソナ分析のペルソナとはどのような人物像のこと?
ペルソナ分析のペルソナとは、自社の商品やサービスの基本的なユーザー像のことです。ペルソナはターゲットとは違い、まるで本当にそのユーザーが実在しているかのように人物像を詳しく設定することが重要です。
ペルソナを設定する場合は、年齢や性別、住んでいる地域、職業、年収、趣味やライフスタイルといった細かい条件を詳細に設定していく必要があります。
ペルソナ分析を実施する5つのメリット
ペルソナ分析は、マーケティングを実施する際によく用いられる手法です。ペルソナ分析にはあらゆる製品やサービスに利用でき、さらに関係者で共通の認識を持てるなどのメリットがあります。
ここではペルソナ分析を実施するメリットを紹介していきますので、どのようなメリットがあるのか参考にしてみてください。
- あらゆる製品やサービスに使用できる
- 全ての関係者で共通の認識を持てる
- ユーザーの視点から考えることができる
- Webやソーシャルメディアを活用できる
- コストを抑えられる
1:あらゆる製品やサービスに使用できる
ペルソナ分析は、あらゆる製品やサービスで利用できるマーケティング手法です。
理想の顧客像ではなく、既存顧客から得られた情報をもとに自社の商品やサービスの典型的な顧客像を設定していくことであるため、どのような商品やサービスのマーケティングでも応用が可能でしょう。
2:全ての関係者で共通の認識を持てる
ペルソナを設定しておくことにより、マーケティングに関わる関係者全体でペルソナを共有できるため、共通の認識としての軸を持つことが可能になります。
マーケティング活動ではマーケティング部門や営業担当者、デザイナーなどさまざまな分野の人材が関わることになるため、認識のずれが発生することもあるでしょう。
しかし、ペルソナを明確にしておけば、認識のずれを軽減して効率的なマーケティング活動を進めることが可能になります。
3:ユーザーの視点から考えることができる
マーケティングを行う上で、顧客がどのような商品やサービスを求めているのか、どのようなコンテンツであれば顧客に伝わるのかなど、顧客目線で物事を考えることは非常に重要でしょう。
しかし、どのような顧客をターゲットにするのかが明確になっていなければ、顧客に響くものは作れません。その点、ペルソナ分析であれば詳細な顧客像を設定できるため、ユーザー視点で考えやすくなり、ユーザーに響くものが何なのかも理解しやすくなります。
4:Webやソーシャルメディアを活用できる
ペルソナを詳しく設定することによって、その人物の行動がリアルに特定できるようになります。ペルソナがどのようにWebやソーシャルメディアを利用しているかもわかるため、コンテンツを提供する適切なタイミングもリアルに分析できます。
そのため、Webやソーシャルメディアを活用したターゲットの集客が行いやすくなり、自社にとって優良な顧客を集めやすくなるでしょう。
5:コストを抑えられる
マーケティング活動を行う際にターゲットが絞り込めていないと、ターゲットではない層まで対象にしてしまうため、余計なコストがかかります。しかし、ペルソナ分析を行うことで、アプローチすべきリアルな顧客像を設定したマーケティング活動が可能です。
そのため、コストを抑えた効率的なマーケティングを行えるようになるでしょう。
ペルソナ分析を実施する3つのデメリット
ここまで紹介した通り、ペルソナ分析ではリアルな顧客を想定したマーケティングが行えることからさまざまなメリットがあります。しかし、その一方でデメリットも存在しています。
ここではペルソナ分析を実施するデメリットについて解説しますので、メリットだけでなくデメリットについても把握した上で実施しましょう。
- 時間や手間がかかる
- 誤ったペルソナ像ができる可能性がある
- 一度間違ってしまうと効果が出なくなる
1:時間や手間がかかる
ペルソナ分析を実施するには、ペルソナを作成するためにあらゆる調査を実施する必要があります。また、ペルソナはその人物の生活スタイルまで詳細に作り込むことが必要でしょう。
このようにペルソナ分析ではさまざまな調査で収集した情報を整理し、詳細な人物像を設定することになるため、非常に長い時間や手間がかかるというデメリットがあります。
2:誤ったペルソナ像ができる可能性がある
前述の通り、ペルソナ分析を行う場合はペルソナを作り上げるために長い時間や手間をかける必要があります。しかし、実際には調査不足によりイメージが先行した、誤ったペルソナ像ができてしまう可能性もあります。
年齢や性別のような人口統計学的なデータのみを設定したペルソナを設定しても、リアルなマーケティングに活かすことはできません。企業側の都合の良いペルソナを作成したとしても、ペルソナ分析における意味はないと言えるでしょう。
3:一度間違ってしまうと効果が出なくなる
一度誤ったペルソナ像が作成されてしまうと、マーケティングにおける効果が出なくなってしまいます。
最初からわかっているような内容だけで作成されたペルソナでは、ペルソナ分析を行う意味はないでしょう。
ペルソナ分析を行う6つのステップ
ペルソナ分析を実施する際には、最終的なペルソナを確定するまでにさまざまなステップを進める必要があります。そのため、ペルソナ分析を実施する場合はそれぞれのステップをよく理解した上で、適切なペルソナ設定を行うことが大切です。
ここではペルソナ分析を行うステップについて紹介していきますので、参考にしてみてください。
- 消費者のニーズを絞り込む
- ニーズに対応するコンセプトを設定する
- 抽出したターゲット層に対して商品コンセプトを提示して調査する
- ペルソナの仮説を設計する
- 調査対象者を絞り込み検証する
- 最終的なペルソナを確定する
1:消費者のニーズを絞り込む
ペルソナ分析によって新しい商品開発などを行う場合、まずは消費者のニーズを絞り込みましょう。そのためには、自社のターゲットとなるユーザーを抽出する必要があります。
この時点ではまだペルソナの設定などは行いません。
2:ニーズに対応するコンセプトを設定する
消費者のニーズを絞り込んだら、ニーズに対応したコンセプトの設定を行いましょう。新しい商品のコンセプトを明確にすることで、「どのような人がその商品を確実に購入する顧客になるのか」を検討できるようになります。
しかし、消費者のニーズから商品の特徴を設定し、そこから具体的なペルソナの設定を行うことは難しいでしょう。そのため、「類似した商品の顧客情報の収集」と「購入が多い顧客層の中からの顧客情報の抽出」の2点を行います。
類似した商品の顧客情報を集める
ターゲットのニーズに対応したコンセプト設定を行うには、まずは類似商品の顧客情報を収集することが必要です。収集する方法は何でも問題ありません。
たとえば、店舗販売を行っている場合はポイントカードなどの登録時の属性情報を利用することができます。インターネット通販の場合は、Googleアナリティクスなどを利用することで、通販サイトを訪れた訪問者の情報を分析することができるでしょう。
購入が多い顧客層の中から顧客情報を抽出する
類似商品を購入している顧客の中でも、実際の購入数の多い顧客情報をランダムに抽出しましょう。売り上げの8割程度を上位2割程度の顧客が担っていることを「パレードの法則」と呼びます。
この法則により、このような売上貢献度が高い顧客に絞り込むことによって、より精度が高い優良顧客像を抽出することが可能になります。
3:抽出したターゲット層に対して商品コンセプトを提示して調査する
抽出したターゲットに対して「コンセプト受入性調査」を実施しましょう。「コンセプト受入性調査」とは、商品コンセプトを提示してアンケート調査やインタビューでの調査を実施することです。
この調査では、コンセプトへの合致度が高い消費者に対してどのようなブランドや、価格の商品を購入するのか、習慣や週末の過ごし方、趣味、ライフスタイルなどを調査します。
また、コンセプト受入性調査にはアンケートに自由記入欄を設けたり、アクセス解析ツールを活用したりするといったポイントがありますので、ここではそれぞれ解説していきます。
アンケート調査には自由記入欄を設けておく
アンケート調査を実施する場合は、項目の中に消費者が自分の意見や理由を自由に記入できる自由記入欄を設けましょう。自由記入欄を設けることにより、基本的に項目が決まっているアンケート調査でもサイコグラフィック要因を掴めるようになります。
アクセス解析ツールを活用する
ターゲット層に関する調査には、Googleアナリティクスなどのアクセス解析ツールも活用できます。アクセス解析ツールを導入しておけば、実際にWebサイトを訪れているユーザー属性や、関心のある分野などの情報を収集することができます。
また、ユーザーが何曜日の何時頃に多く訪れているのかといった情報も知ることができるため、ユーザーの生活スタイルも分析することができるでしょう。
総務省統計局のサイトを参考にする
ペルソナを設定する際には、事前に定量調査を行う工程が必要になります。定量調査とは、データを数値で表現できる調査のことで、具体的には総務省統計局のサイトで公開されているデータからターゲット層にマッチする属性のデータを収集する方法があります。
総務省統計局のサイトでは、国税調査や人口推移などのさまざまな統計データが公開されています。このような既存のデータの中から、利用できそうなデータを収集しましょう。
経済産業省のサイトを参考にする
経済産業省のサイトでは、業界ごとの売り上げデータや利用者数の推移データなどのデータが公開されています。
また、経済産業省が新しく解説した「RESAS(地域経済分析システム)」と呼ばれる統計サイトでは、統計データをグラフなどでわかりやすく掲載しています。詳細な情報を調べる場合よりも、大まかな指標を比較したい場合に活用できるでしょう。
4:ペルソナの仮説を設計する
コンセプト受入性調査によって判明したコンセプト合致度が高いターゲットについて、ペルソナの仮説を設計します。
ペルソナの仮説設計では、氏名や年齢、性別、居住地、家族構成などの「基本情報」、職種や役職、所属部門や勤続年数、年収などの「仕事に関する情報」、趣味や嗜好、習慣、好きなブランドなどの「ライフスタイル」といった項目を設定していきましょう。
5:調査対象者を絞り込み検証する
ペルソナの仮説を設定したら、仮説をブラッシュアップするためにスクリーニングをかけて調査対象者を絞り込みます。仮説が正しい場合は、商品コンセプトの評価が高くなるでしょう。
もしも調査対象者からの評価が著しく低い場合、仮説設定に誤りがある可能性が高いです。そういった場合には、どのようなずれが発生しているのかワークショップやインタビューによって調査し、ペルソナ仮説の再検討を行いましょう。
6:最終的なペルソナを確定する
ここまでのステップにより、確実に商品を購入してくれるユーザー像を作成することができれば、最終的なペルソナとして確定しましょう。ペルソナを確定する際には、特に重視する項目を事前に決めておくのがおすすめです。
たとえば、ペルソナの価値観を重視したい場合には、ペルソナが所持しているブランドや憧れているブランドなどの項目を重視するといったように決めておきましょう。
企業によるペルソナ分析を活用した事例3選
これまで実際にペルソナ分析を活用することにより、ビジネスを成功させた企業の事例があります。そのため、ペルソナ分析を実施する場合には事前に事例を知っておくことで、自社でのペルソナ分析を効率的に行うことができるでしょう。
ここでは企業によるペルソナ分析を活用した事例について解説していきます。
1:大手スナック菓子メーカーの場合
大手スナック菓子メーカーの場合、当時スナック菓子は20~30代の女性に人気がないことが課題となっていたため、定量調査によって絞り込んだ「独身女性」「文京区在住」「水泳とヨガに凝る」などのペルソナを設定しました。
また、このペルソナが好むであろう雑誌のモデルをCMに採用したり、パッケージデザインもペルソナが好む色合いにしたりすることで、ヒット商品を生み出しました。
2:スープ専門店チェーン運営会社の場合
スープ専門店チェーン運営会社の場合、「都心で働くキャリアウーマン」「フォアグラよりもレバーを好む」「プールではクロールで泳ぐ」などのペルソナを設定しました。
このような詳細なペルソナを設定し、ペルソナが好むようなメニュー、店舗の立地、雰囲気などを設定することで、現在では高い売り上げを誇る人気のスープ専門店となりました。
3:大手総合エレクトロニクスメーカーの場合
大手総合エレクトロニクスメーカーの場合、他社と違って小学生、先生、保護者の3人のペルソナを設定しました。このケースでは子どもに対して技術をわかりやすく伝えるために、複数人の細かいペルソナ設定を行いました。
その結果、小学生の目線だけでなく先生や保護者の目線も取り入れた、キッズサイト作成ハンドブックを作成することに成功しています。
ペルソナ分析を行うときの注意点
適切なペルソナ設定でのペルソナ分析を行えば、売り上げ向上などに繋がる効果的なマーケティング施策を考えることができます。しかし、ペルソナ分析を実施する場合には、いくつかの注意点も存在します。
ここではペルソナ分析を行うときの注意点について解説していきます。
自分の憶測や想像の中だけでペルソナ人物像を作らないこと
ペルソナ設定を行う際には、自分の憶測や思い込みで作成しないように気を付けましょう。何の根拠もない自分の想像のみで設定したペルソナでは、マーケティング施策にペルソナを使ったとしても成果を上げることはできません。
ペルソナを設定する場合は、事前にさまざまな調査を行い、調査から得られた顧客の情報をもとに自社の典型的なユーザー像を想定することが重要でしょう。
ペルソナ人物像の行動のみを注視しないこと
ペルソナ設定には、詳細な自社の顧客の人物像を設定することで実際の顧客行動を正確になぞるという目的があります。しかし、ペルソナで設定した人物の行動のみに注目し過ぎないことも大切です。
ペルソナ分析を行う際には、ペルソナ人物像がその行動を起こした動機にも注目し、無意識化でどのようなニーズを抱いているのかまでくみ取ることが重要でしょう。
ペルソナ分析に役立つおすすめのツール
ペルソナを設定するにはさまざまな調査を行い、得られたデータからペルソナを作成する必要があります。そのため、ペルソナ分析を実践する場合はツールを活用するのがおすすめです。
ここでは最後にペルソナ分析に役立つおすすめのツールを2つ紹介していきます。
Google アナリティクス
Google アナリティクスは、Googleが提供するアクセス解析ツールです。Webサイト上でのユーザー行動について分析することができるため、ペルソナのプロフィールを設定するのに役立ちます。
たとえば、Google アナリティクスのユーザーカテゴリレポートにはサイト訪問者の年齢や性別などの情報が収集されているため、他にユーザーデータがない場合はGoogle アナリティクスの情報をペルソナ設定に役立てることができるでしょう。
Juicer
Juicerとは、無料で利用できるユーザー分析DMPです。サイトのメインユーザーについて、実際のデータをもとに詳しく抽出できるツールとなっています。
また、属性データやインターネット上の行動データなどのデータを分析することで、サイトのペルソナを自動生成することもできます。誰でも使いやすい直観的なUXになっており、永年無料で利用できる点もおすすめポイントでしょう。
ペルソナ分析の方法を理解してマーケティングに活用しよう
ペルソナ分析は、自社商品やサービスの典型的なユーザー像を詳細に設定することにより、その行動やニーズをくみ取ってマーケティングに活かすものです。
ぜひ、本記事で紹介したペルソナ分析を実施するメリットやデメリット、ペルソナ分析を行うステップ、ペルソナ分析を行うときの注意点などを参考に、ペルソナ分析を自社のマーケティングに利用してみてはいかがでしょうか。