フリーミアムの成功事例14選!運用のコツと利点・注意点についても紹介
記載されている内容は2021年12月27日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。
初回公開日:2021年12月27日
更新日:2022年03月01日
フリーミアムって何?
フリーミアムとは基本的なサービス無料ですが、利便性の高いオプションは有料で販売するビジネスモデルを指します。
まずはサービスを無料で提供し、広く世間に普及させた上で、ヘビーユーザーとなった一部の利用者にさらに便利な有料のオプション機能を提案します。このヘビーユーザーからの課金が収益源となります。
マーケティングにおけるフリーミアムの成功事例14選
フリーミアムで重要なのが、無料サービスと有料オプションの設計です。
使ってみたくなる利便性を持ちつつ、無料版ではわずかに物足りなさを感じる設計にしましょう。ただし、有料課金においては、その不便さを解消できるようにする必要があります。
以下で、フリーミアムの成功事例を14個紹介しますので、フリーミアムに興味がある方は参考にしてください。
1:人気口コミグルメサイト
人気口コミグルメサイトには、全国各地の飲食店の情報が網羅されています。また、ユーザーは無料でお店の情報や口コミを調べられます。
ただし、無料ユーザーの場合、お店を検索しても「評価が高い順」での表示はできず、世間で評判の名店を探すのが困難なシステムになっています。これは、無料版で感じる「わずかな物足りなさ」と言えるでしょう。
一方、有料会員になると「評価の高い順」に表示されるため、名店もすぐに見つかります。ユーザーの「口コミで評価の高い名店に行きたい」という心理から、有料課金が発生する事例です。
2:個人用ドキュメント管理サービス
個人用ドキュメント管理サービスでは、利用者は無料で一定の容量までドキュメントを保管できます。データの保管や編集ができ、無料版であっても利便性が高いのが特徴です。
ただし、ユーザーが保管できるデータ容量を増やす際には、有料課金が必要です。ユーザーがサービスに慣れてきた頃に、無料で保管できるデータ容量を使い切るような設定になっています。
ユーザーに「課金をしてでも慣れ親しんだサービスを使い続けたい」と思わせる点が、この事例のポイントです。
3:オンラインミーティングツール
オンラインミーティングツールでは、無料で高画質のビデオ会議やチャットが利用できます。ビデオ会議のみが目的であれば、無料版でも十分に満足できる仕組みになっています。
一方で会議の録画や録音、外部システムとの連携をしたい場合は、有料版へのアップグレードが必要です。ビジネス用途で使う場合、無料版だとやや不便な設計になっています。
多少のコストを支払っても効率性を高めたいという法人顧客からの課金により、サービスが成り立っています。
4:人気料理レシピサイト
人気料理レシピサイトでは、誰でも料理レシピの投稿や閲覧ができます。さまざまな人からの投稿が集まる点が魅力ですが、それゆえ投稿される情報は玉石混交の状態です。
また、無料版の状態ではレシピが新着順でしか表示できないため、必ずしも良質なレシピが見つかるとは限りません。これに対し、有料会員の場合は「評価の高い順」で検索ができるようになり、名作レシピや著名な料理研究家のメニューが見つけやすくなります。
これは、「良質なレシピのみ参考にしたい」と考えるユーザーの有料課金が、収益源となっている例と言えるでしょう。
5:オンラインストレージサービス
オンラインストレージサービスでは、無料で一定の容量のデータ保管が可能です。ただし無料版では、細かなアクセス制限が設定できず、加えて複数アカウントでの共有にも制約があります。有料版は細かなセキュリティ設定ができ、複数人で同じファイルを共有することも可能です。
企業のような高いセキュリティを求める顧客が、長期間に渡って有料プランを契約することで収益を得ている例と言えるでしょう。
6:人気インターネットテレビ
人気インターネットテレビでは、誰でも無料で番組の視聴が可能です。ただし、無料で視聴できるのは、リアルタイムで配信されている映像に限られます。
有料会員になると追っかけ再生や動画のダウンロードができ、いつでも好きなタイミングで視聴可能です。また、有料会員限定のコンテンツも用意されています。
このビジネスモデルは、ヘビーユーザー向けの満足度の高いサービスを有料提供し、収益をあげた事例です。
7:マンガアプリ
マンガアプリでは毎日無料で数ページ分のみマンガを読めます。1日に読める分量が決まっているため、先のページに進むには次の日まで待つ必要があります。
しかし、有料会員になると、この制限がなくなり、好きなペースでマンガを読み進められるようになります。また、別の手法として人気マンガの序盤のみ無料公開し、中盤以降を有料とするケースも有効です。
読者に「早くマンガの続きを読みたい」と思わせ、有料課金へと誘導する構造になっています。
8:ヒートマップツール
ヒートマップツールを利用すると、自分が管理するホームページのアクセス解析が可能です。無料で導入できる一方、無料版では一部のアクセスのみの解析結果しか得られません。
有料版にアップグレードすると、この制限がなくなります。すべてのアクセスについての解析結果が得られるので、より精度の高い施策が可能です。加えて、有料版ではコンサルタントからの集客率向上に向けたアドバイスを受けられます。
この事例の長所は、ユーザーが無料で気軽にヒートマップツールの操作感を実感できる点です。ツールやサービスに納得した上で有料課金が行われるため、長期的な顧客となる可能性が高くなるでしょう。
9:組織向けコミュニケーションツール
組織向けコミュニケーションツールは、無料で導入ができチャットや通話が可能です。ただし、無料版の状態では参加できるチャットルームの数に制限があります。
有料版では、参加できるチャットルームの数は無制限です。ビジネスの場面では、同じ人がいくつものプロジェクトに参加するため、必然的に有料版へのアップグレードが必要となります。
このように、ビジネス向けとして使うにはやや不便な設計であることによって、法人顧客を有料会員に誘導しています。
10:人気動画共有サービス
人気動画共有サービスでは、無課金であっても動画視聴が可能です。ただし、動画の合間に広告が流れたり、アプリのバックグラウンド再生ができなかったりする仕組みになっています。
有料会員になると広告がなくなるほか、バックグラウンド再生もできるようになります。ほかにも、有料会員は動画のダウンロードができるので、電波のない空間でも動画視聴が可能です。
この事例ではあえて少し不便な部分を残すことで、ヘビーユーザーに対して有料課金のインセンティブを与える設計になっています。
11:マーケティングオートメーションツール
マーケティングオートメーションツールとは、自社のホームページに訪問した人などを分析し、見込み顧客を抽出するシステムです。無料版でも分析できますが、集計期間、データともに限られた情報の中からしか解析できません。
有料版を契約すると解析できるデータ量に制限がなくなり、より精度の高いマーケティングが可能となります。
無料版でユーザーにサービスを体験してもらい、本格導入を望む顧客に有料版を売るモデルとなっています。
12:オンライン動画学習サービス
オンライン学習サービスでは、無料で一部のカリキュラムを視聴できます。ただし、無料講義を見終わりほかの分野の動画を見たいという場合は、有料課金が必要です。有料会員は、カリキュラム全体の動画視聴が可能になります。
動画学習のカリキュラムは何本もの動画によって構成されています。冒頭の数本の無料動画でサービスを体験してもらい、学習を進めるには課金が必要な設計になっています。
13:IPサイマルラジオサービス
IPサイマルラジオサービスは、ラジオ放送を電波ではなくデータ通信によって視聴するサービスです。無料で聴ける放送は、視聴者がいるエリアの放送局からの配信に限定されています。
一方、有料会員になると視聴エリアの制限がなくなるため、全国のラジオ局の放送を楽しめるようになります。
日常的にラジオを聴く人にとって、全国のあらゆるラジオ番組を視聴できる点は魅力でしょう。この強みにより、有料課金へ後押しする構造になっています。
14:写真素材提供サービス
写真素材提供サービスでは、無料で写真素材がダウンロード可能です。とはいえ、1日あたりのダウンロード回数に制限があります。
有料プランにすると枚数の制限が解除され、より多くの素材を使用できます。また、有料会員限定のクオリティの高い素材も使用可能です。
日常的に写真素材を使用するユーザーにとって枚数制限は不便なため、有料課金への動機が生まれる設計になっています。
【事例から学ぶ】フリーミアムを成功させる5つのコツ
フリーミアムは一部の有料会員によって成り立つサービスであるため、サービスの設計段階から、有料会員が増えるような施策を盛り込みましょう。
ここでは、フリーミアム成功のコツを5つ紹介します。
- 無料と有料のサービス内容の違いを明確化する
- 無料ユーザーが増加した場合のコストを加味する
- 有料版の無料トライアルを活用する
- ユーザーが魅力的だと感じるサービスを設定する
- 有料会員へ促す仕組みづくりをする
1:無料と有料のサービス内容の違いを明確化する
前述したようにフリーミアムで重要なのは、「無料版の、わずかな物足りなさ」です。
「無料版でも十分便利なサービス」としつつも、本格的に利用すると不満に感じる部分を複数設定しましょう。そして、有料版ではそれらの不満を解消し、無料会員とは明確な違いを打ち出すことが重要です。
無料会員と有料会員が利用できるサービスに明確な差がなければ、有料会員になる動機が薄れてしまうでしょう。
2:無料ユーザーが増加した場合のコストを加味する
無料で利用するユーザーが増加したとしても、コストが上昇しづらい仕組みに設計しましょう。フリーミアムでは無料で利用する人数の方が有料会員よりも多いため、無料で利用する人のコストを下げることを意識する必要があります。
写真素材提供サイトの事例では、無料会員が増えても写真のダウンロード回数が増えるのみで、コストが上昇しづらい構造になっています。
このように、無料ユーザーが増加しても収益を圧迫しない仕組みにしましょう。
3:有料版の無料トライアルを活用する
無料で利用している人に対して、有料版の機能を一定期間トライアルで利用してもらうのも良い方法です。
一度、便利な機能に慣れると、再度不便な状態に戻ったときに不満を感じやすくなります。有料版の便利な状態を体験してもらうと、有料課金に繋がりやすくなるでしょう。
4:ユーザーが魅力的だと感じるサービスを設定する
ユーザーが有料版のオプションに魅力を感じると、課金に繋がります。
法人顧客の場合、セキュリティの高さは魅力です。多少高いコストを支払ってでもセキュリティを向上させたいと考えるため、有料版にセキュリティ向上に関するオプションがあると大きな魅力になるでしょう。
このように、ユーザーにとって優先度の高い機能を有料会員限定にすることで、有料会員へ誘導できます。
5:有料会員へ促す仕組みづくりをする
無料の利用者に対して、有料会員へ促す仕組みづくりを意識しましょう。
マンガアプリでは、続きが気になるタイミングで無料ページが終了すると、続きが気になった読者が有料課金に誘導される可能性が高まるでしょう。
このように、本格的にサービスを使おうとするタイミングで不満が発生する仕組みだと、有料会員になろうという動機が働きます。
フリーミアムの利点と注意点
ここでは、フリーミアムの利点と注意点を説明します。フリーミアムはインターネット時代の新しいビジネスモデルです。
このモデルの利点と注意点をよく理解した上で、ビジネスモデルを設計しましょう。
- フリーミアムの利点
- フリーミアムの注意点
フリーミアムの利点
フリーミアムのメリットは、ユーザーが導入するまでのハードルが低く普及しやすい点です。
多くのフリーミアムのサービスでは、アプリをインストールするだけで無料サービスが開始されるため、世の中へ浸透するスピードが圧倒的に早いという特徴があります。
ユーザーが気軽にサービスを試せるため、見込み顧客との接触機会が多くなるのが利点と言えるでしょう。
フリーミアムの注意点
フリーミアムは、有料版を契約するユーザーがいないと収益が得られないビジネスモデルです。思ったように有料会員の割合が増えなければ、無料会員のコストで赤字になってしまうでしょう。
サービスの構想段階から、ユーザーが有料版に移行したくなる設計を考えましょう。
フリーミアムの事例について理解を深めよう
ここまでフリーミアムの特徴と成功事例について紹介しました。普段利用しているサービスの中にも、たくさんのフリーミアムモデルがあるでしょう。
本記事を参考に、身の回りのフリーミアムモデルを探してみることで、今後のビジネス展開に役立つヒントが見つかるのではないでしょうか。