マーケティング戦略に必要な分析方法14個|実施する注意点を紹介
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初回公開日:2021年12月27日
更新日:2022年03月01日
マーケティング分析とは
マーケティング分析とは、マーケティング戦略の立案のために市場や競合、自社商品の強みといった内容をデータ分析によって明らかにすることです。マーケティングのためのデータの収集から戦略立案までに行われる一連の作業すべてが、マーケティング分析です。
マーケティング分析は、自社の商品やサービスを売れる仕組み作りを行う上で必要不可欠なものだと言えるでしょう。
マーケティング分析の目的
マーケティング分析の手法にはさまざまなものがあり、それぞれ分析対象や細かい目的は異なっています。しかし全体を通して言えば、マーケティング分析は市場における自社の立ち位置や商品の優位性、競合他社などを分析して、最適なマーケティング戦略を立てることが目的です。
マーケティング分析を行うことにより、効率的に利益を最大化することも可能になるでしょう。
マーケティング戦略の原因・問題解決に必要な14個の分析方法
マーケティングの分析方法にはさまざまな種類があるため、自社の目的や戦略などに適したものを選択することが重要です。多くの分析方法を知っておけば、活用方法も広がるでしょう。
ここではマーケティング戦略の原因・問題解決に必要な14個の分析方法について解説していきます。どのような分析方法があるのか参考にしてみてください。
1:3C分析
3C分析とはCompaney(自社)、Customer(顧客)、Competitoer(競合他社)の3つの頭文字を取ったマーケティング分析方法です。
3C分析では自社や競合、参入市場について客観的な分析を行うことで、自社の強みや弱み、重要成功要因などを明らかにします。自社の企業戦略の立案に役立つでしょう。
2:STP分析
STP分析とはSegmentation(市場細分化)、Targeting(狙う市場の決定)、Positioning(自社の立ち位置の明確化)の3つの頭文字を取ったマーケティング分析方法です。
市場を細分化して狙う市場を見定めターゲットを設定するSTP分析は、マーケティングフレームワークの中でも自社の商品やサービスのターゲットの分析に適した分析方法となっています。
3:SWOT分析
SWOT分析とは、内部環境であるStrength(強み)、Weakness(弱み)、外部環境であるOpportunity(機会)、Threat(脅威)を分析するマーケティング分析方法です。
内部環境と自社を取り巻く外部環境を分析することにより、自社の強みをビジネスチャンスに活かす方法や、弱みを克服して脅威を回避する方法などを検討することができます。
4:VSPROモデル
VSPROモデルとはVision (ビジョン)、Strategy(戦力)、Process(プロセス)、Resource(リソース)、Organization(組織)の頭文字を取ったマーケティング分析方法です。
マネジメントシステムの検証に用いられるフレームワークで、組織を分析するために「掲げているビジョンは何か?」を基準として他の4つの要素が形成されているという特徴があります。
5:ファネル分析
ファネル分析とは、消費者が商品やサービスを認知してから実際の購買行動に至るまでのプロセスを分析するマーケティング分析方法です。ファネル分析では、AIDMAモデルをもとにしたパーチェスファネルと呼ばれる図を使用して表されるケースが多いです。
パーチェスファネルでは上から順にAttention(注意)、Interest(関心)、Desire(欲求)、Memory(記憶)、Action(購入)という5段階のプロセスが、逆三角形の図として表されます。
6:4P分析
4P分析とはProduct(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(販売促進)という4つの頭文字を取ったマーケティング分析方法です。
4P分析はマーケティングミックスの1つで、自社の商品やサービスをどのくらいの価格で、どのような経路で、どのように販売していくのかという戦略を検討することができます。
7:5フォース分析
5フォース分析とは、内的要因である「売り手の交渉力」「買い手の交渉力」「競争企業間の敵対関係」、外的要因である「新規参入業者の脅威」「代替品の脅威」の5つによって市場への参入価値などを分析するマーケティング分析方法です。
5フォース分析は新規事業への参入や立ち上げを行う際に用いられる分析方法で、新しい市場の競争率などを測る際に役立ちます。
8:PEST分析
PEST分析はPolitics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)という4つのマクロ環境に関するデータを用いるマーケティング分析方法です。
コントロールすることができないマクロ環境から自社が受ける影響を分析するもので、自社のマーケティング戦略の立案のために用いられます。
9:RFM分析
RFM分析はRecency(最新の購入日)、Frequency(来店頻度)、Monetary(累計の購入金)という3つの指標によって顧客をグルーピングするマーケティング分析方法です。
実際にRFM分析を顧客分析に用いる場合、これらの指標の中に基準を設け、基準よりも上か下かでスコアリングし、顧客を「優良顧客」や「既存顧客」「離脱顧客」というように分けていきます。
10:コア・コンピタンス分析
コア・コンピタンス分析とは、自社の製品などのもととなっている技術力を特定するためのマーケティング分析方法です。コア・コンピタンス分析には特定の手法は存在しません。
分析の流れとしては、最初に自社の事業における「最終製品」を書き出し、そこから「コア製品」を導き出し、最終的にコア製品のもととなる「コンピタンス」を導き出すという流れになります。
11:バリューチェーン分析
バリューチェーン分析とは、自社の製品やサービスが消費者の手に渡るまでのプロセスを価値の連鎖として捉えるマーケティング分析方法です。
分析を行う際には、物流や製造、販売、サービスといった製品を顧客に届けることに直接関係している「主活動」と、開発や人事、財務など主活動を支える「支援活動」に分けて分析を行います。
バリューチェーン分析を行うことにより、これらの活動のどのプロセスで付加価値が生み出されているのかを明らかにできます。
12:7S分析
7S分析とは戦略(Strategy)、組織構造(Structure)、社内の仕組み(Systems)、人材(Staff)、能力(Skills)、経営スタイル(Style)、価値観(Shared Value)という7つの頭文字を取ったマーケティング分析方法です。
7Sは企業診断を行うための分析方法となっており、前者3つが「ハードのS」、後者4つが「ソフトのS」と呼ばれています。企業改革などを行う場合、ハードのSは比較的着手しやすい要素ですが、成功へ導くためにはソフトとの整合性がもっとも重要です。
13:VRIO分析
VRIO分析とは、企業の経営資源をValue(経済的な価値)、Rareness(希少性)、Imitability(模倣可能性)、Organization(組織)の4つに分類して分析を行うマーケティング分析方法です。
自社の内部環境を分析できるVRIO分析を行うことにより、内部環境の改善や競争優位性の確保に繋がります。
14:アンゾフの成長マトリクス
アンゾフの成長マトリクスとは、企業の成長戦略を「製品」「市場」の2軸、さらにその2軸を「既存」と「新規」に分けて表したマトリックスです。
このマトリックスでは、製品も市場も既存の場合は「市場浸透」、製品が既存で市場が新規の場合は「市場開拓」、製品が新規で市場が既存の場合は「製品開発」、製品も市場も新規の場合は「多角化」とされています。
マーケティングにおけるユーザーの購買行動モデル3選
マーケティング戦略を検討する上で、消費者の購買行動を分析することも多くあります。購買行動モデルにはさまざまな種類がありますが「SIPSモデル」「AIDMAモデル」「AISASモデル」は代表的な購買行動モデルだと言えるでしょう。
ここではマーケティングにおけるユーザーの購買行動モデルを紹介しますので参考にしてみてください。
1:SIPSモデル
SIPSモデルとはSympathize(共感)、Identify(確認)、Participate(参加)、Share & Spread(共有&拡散)の頭文字を取った購買行動モデルです。SIPSモデルは、ソーシャルメディア時代の購買行動モデルとして新しく登場しました。
SIPSモデルでは購買のスタートが「共感」から始まっており、最終的なゴールが購入ではなく「共有・拡散」となっている点が特徴です。
2:AIDMAモデル
AIDMAモデルとはAttentio(認知・注意)、Interest(興味・関心)、Desire(欲求)、Memory(記憶)、Action(行動)の頭文字を取った購買行動モデルです。
AIDMAモデルでは消費者は広告などを見て商品を認知し、それが自身の関心を惹くものだった場合は欲しいという欲求を覚え、さらに商品の記憶が残り、最終的に商品を購入するという行動に至るという流れになっています。
3:AISASモデル
AISASモデルとはAttention(認知・注意)、Interest(興味・関心)、Search(検索)、Action(行動)、Share(共有)の頭文字を取った購買行動モデルです。AISASは、AIDMAをインターネット時代に合わせて発展させたモデルです。
AIDMAと違い、自身で商品を検索して購入という行動を起こし、最後にその体験を共有する点まで考慮している点が特徴となっています。
マーケティングにおいて原因・問題解決に活用される分析方法
問題の原因解明などに用いられる分析方法としては「MECE」や「ロジックツリー」と呼ばれる思考方法があります。ここでは、マーケティングにおいて原因・問題解決に活用されるこれら2つの分析方法について解説していきます。
MECE
MECEとは「Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive」の略で、日本語で「漏れなく、ダブリなく」と訳される分析方法です。課題の原因究明や解決策の検討を行う場合、課題が大きいほどできるだけ小さな要素に分解して検討を行います。
しかし、切り分けの作業を行う際に漏れが発生すれば、導き出される解決策にも抜けがあることになります。また、ダブリが発生すればそれだけ同じ検討を行う必要があるため「漏れなくダブリなく」という考え方が重要です。
ロジックツリー
ロジックツリーとは、特定の物事や問題を要素ごとに分解し、上位概念から下位の概念へと分解していく分析方法です。見た目がまるで樹木から枝が分かれていくように見えることから、ロジックツリーと呼ばれています。
ロジックツリーではMECEを意識して漏れやダブリなく要素を分解していくことにより、もとが複雑な問題でもシンプルな要素として考えられるようになります。
マーケティング分析の必要性
かつての大量生産、大量販売の時代であればマーケティングを行わなくても商品は売れていました。しかしモノが溢れ、さらに消費者のニーズが多様化した現代では、簡単にはモノが売れなくなっています。
そのため、企業も以前のような大衆向けの広告を出すだけでなく、マーケティング分析によってターゲット層に対するピンポイントなPRを行うことが重要となっています。
マーケティングのデータ分析方法を実施する際の3つの注意点
マーケティングでデータ分析を実施することで、必ずしも企業の抱える課題解決に繋がるというわけではありません。場合によっては成果に繋がらないケースもあるため、あらかじめデータ分析を実施する際の注意点について知っておくことが大切です。
ここではマーケティングのデータ分析方法を実施する際の注意点について解説していきます。
- 自社独自の1次・2次情報データを収集しバランスよく分析する
- 実施する上で絶対正解ではないことを認識する
- 課題目的や仮説を明確にする
1:自社独自の1次・2次情報データを収集しバランスよく分析する
マーケティングにおけるデータ分析では、自社で調査を行い収集した1次情報データや他社が集めた2次情報データを利用することになります。
1次データは収集に時間がかかりますが自社のデータ分析のために集めたデータのため、自由度が高く他社が利用できないデータです。一方、2次データは購入できるデータのため、すぐに手に入りますが調査目的に完全一致するとは限りません。
データ分析ではこれらのデータをバランスよく利用することが大切です。
2:実施する上で絶対正解ではないことを認識する
マーケティングにおけるデータ分析には、数学などのような唯一絶対の正解は存在しません。データ分析を行ったからと言って、必ずしも正しいマーケティング戦略を導き出せるというわけではありません。
客観的に根拠となるデータをマーケティング戦略に生かすというだけで、データ分析を行う目的などによっても導き出される答えは異なるでしょう。
3:課題目的や仮説を明確にする
データ分析を行う目的が明確になっていない状態でデータ分析を行おうとしても、どのような情報を集めればよいのかわかりません。また、データ分析の結果をどのように活用すればよいのかもわからないでしょう。
そのため、マーケティングにデータ分析を活用する場合は、課題目的や仮説を明確にしてから行うようにしましょう。
マーケティングにおいてリード戦略におすすめ「MAツール」の特徴
MAツールとは「マーケティングオートメーションツール」を略した言葉で、マーケティング活動の自動化や効率化を行うためのツールです。
MAツールを利用することでリードの獲得から育成、アプローチすべきリードの抽出といった一連のリード戦略を自動化することができるため、生産性の向上へ繋げられるでしょう。
マーケティングに関する代表的な11個の用語
マーケティングには普段聞きなれないような多くの専門用語が登場します。マーケティング戦略の立案を行う際には、あらかじめマーケティングに関する用語の意味についても把握しておく必要があるでしょう。
ここでは最後に、マーケティングに関する代表的な11個の用語について解説していきます。
1:ペルソナ
ペルソナとは、自社の商品やサービスを購入する典型的な人物像のことです。マーケティングを行う際に、顧客のニーズをより具体的に抽出するために設定される架空の顧客像のことをペルソナと呼びます。
ペルソナを設定する場合は年齢や性別、家族構成などはもちろん、ライフスタイルや趣味まで含めて、まるで実在する人物であるかのように細かく設定を行います。
2:クリティカルマス
クリティカルマスとは、商品やサービスが急速に普及するための分岐点です。市場において新しい商品やサービスはイノベーター、アーリーアダプター、アーリーマジョリティーによる初期市場に広がります。
しかし、市場に普及するためにはこれ以降のアーリーマジョリティー、レイトマジョリティーによるメインストリーム市場へ至る必要があります。この両者の間にある溝がクリティカルマスです。
3:カスタマージャーニー
カスタマージャーニーとは、顧客が商品やサービスを認知し、最終的に購入に至るまでのプロセスのことです。顧客が購買行動に至るまでにはある程度の時間がかかることから「ジャーニー(旅)」と呼ばれます。
カスタマージャーニーを視覚的にわかりやすく図にしたもの、をカスタマージャーニーマップと呼びます。
4:MA(Marketing Automation)
MA(Marketing Automation)とは、マーケティングのプロセスを自動化することです。また、自動化、効率化するためのツールのことをMAと呼びます。
MAを導入することによりデータ収集や分析、活用に至るまでの作業を効率化することができるため、担当者の負担を削減できます。
5:リードナーチャリング
リードナーチャリングとは、見込み顧客の購買意欲を高めることで顧客へと育成していくことです。リードナーチャリングは主に検討期間が長くかかるようなBtoBや、不動産や金融資産などの商材のマーケティング方法として用いられます。
6:IMC(Integrated Marketing Communication)
IMC(Integrated Marketing Communication)とは、複数のコミュニケーションチャネルを統合的に管理し、ブランディングを展開することです。
IMCではさまざまなコミュニケーションチャネルから一貫したブランドメッセージを発信することにより、顧客に意図した通りの企業価値を伝えることを目的としています。
7:LTV(Life Time Value)
LTV(Life Time Value)とは、特定の顧客が企業に対して取引開始から終了までの間にもたらす利益のことです。日本語では「顧客生涯価値」を訳されます。
多くの場合、顧客との取引は一度限りではないため、一度獲得した顧客と良好な関係を築きながら効率的にLTVを高めていくことが大切だと言えます。
8:キャズム
キャズムとは、市場に新しい商品やサービスを爆発的に普及させるために超えなければいけない溝のことです。前述のクリティカルマスで紹介したように、市場は新しい商品やサービスを導入しやすい「初期市場」と導入しにくい「メインストリーム市場」に分かれています。
商品やサービスがブレイクするために、超えなければいけないこの市場同士の間にある溝のことをキャズムと呼びます。
9:CRM(Customer Relationship Management)
CRM(Customer Relationship Management)とは、顧客の情報を一元管理することで良好な関係性を築く手法のことです。日本語では「顧客関係管理」と訳されます。
CRMでは顧客を中心としたビジネスを展開することで顧客の満足度を向上し、得られる利益を最大化することを目的としています。
10:リテンション
リテンションとは、既存の優良顧客との関係性を維持するための手法のことです。日本語では「既存顧客維持」と訳される言葉で、前述のCRMはリテンションのために用いられます。
既存顧客と安定的に関係を維持していくためのマーケティング手法のことをリテンション・マーケティングと呼びます。
11:SFA(Sales Force Automation)
SFA(Sales Force Automation)とは営業活動を支援する手法のことです。また、そのためのツールである「営業管理システム」を指します。
従来の営業活動は営業担当者個人の経験や勘に任されていましたが、SFAでは案件に関するデータをシステムに入力して共有することで、企業全体の営業活動に活用します。
マーケティングにおいて自社の目的に合った分析方法を選ぼう
マーケティングで用いられる分析方法にはさまざまな種類があります。
本記事で紹介したマーケティング戦略の原因・問題解決に必要な分析方法やデータ分析方法を実施する際の注意点などを参考に、自社のマーケティングに活かしてみてはいかがでしょうか。