マーケティングに必要なランチェスターの法則とは?ビジネスで活用する方法も紹介
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マーケティングに必要なランチェスターの法則とは?ビジネスで活用する方法も紹介

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マーケティングに必要なランチェスターの法則とは?ビジネスで活用する方法も紹介

記載されている内容は2022年02月01日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。

また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

初回公開日:2022年02月01日

更新日:2022年03月01日

自社の経営戦略を立てるにあたって、ランチェスターの法則について詳しく知りたいと考える方も多いのではないでしょうか。今回はランチェスターの法則についての基礎知識から、活用方法などを紹介していきます。ぜひ参考にしてマーケティングの仕事に活用してみてください。

ランチェスターの法則とは?

ランチェスターの法則とは、「強者」「弱者」といった2つの戦力の状態を、数理モデルに基づいて示した法則です。

第一次世界大戦中に英国のランチェスターが提案し、現代ではその概念は軍事を分析するためでなく、ビジネス戦略や実践的なマーケティング理論としても活用されています。

戦力の変化を記述する方程式に基づきランチェスターが見出した法則は、それぞれ取るべき戦略によって「強者の場合」と「弱者の場合」に分けられます。以下では強者と弱者、それぞれの場合に分けて、具体的な戦略を解説していきます。

強者の場合

強者に有効な戦略は、総合力を活かした広域戦です。強者の場合、弱者に比べると規模やブランド力、資金、人材といった総合力が優れているため、このような総合力を活かして市場規模を拡大し、広域戦に持ち込むことが基本です。

例えば、リソースの充実がままならない中小企業が新商品を打ち出してきた場合、強者は一点集中ではなく多数の商品で対応するといった手法が該当します。

弱者の場合

弱者に有効な戦略は、差別化による一騎打ちです。リソースが不足する弱者が強者と戦う場合、数ではなく質を高める必要があります。具体的な例として挙げられるのが、ニッチ市場や隙間市場を狙った競合他社との差別化です。

市場を深く理解したうえで差別化を図ることにより、トップとの一騎打ちに持ち込むことも可能です。自社の立ち位置や強みを明確に把握し、1つの市場に特化することで業界にインパクトを与え、差別化へ繋げるといった手法が該当します。

ランチェスターの法則の種類

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※画像はイメージです

ランチェスターの法則は、戦力差によって2つの法則が存在します。それぞれ前提とする戦略が異なり、前述の「強者」と「弱者」にとってどちらが有利な法則であるかも異なるため、ビジネスに応用するには自社の立ち位置を見極めることが重要なポイントです。

ここからは、ランチェスターの法則の種類を2つに分けて解説していきます。

  • 第一法則
  • 第二法則

第一法則

第一法則は一騎打ちを前提とした法則で、弱者に有効な戦略です。一騎打ちとは近距離戦を意味しており、両者の武器効率が同じとすると、通常であれば兵士数の多い方が勝つでしょう。しかし、兵士数が少なくても、戦闘力を高めることで勝てる可能性もあるといったものです。

これを中小企業に当てはめた場合、人員数では大企業に勝てないため、兵士の数ではなく戦闘力(質)を高める必要があります。具体的には、得意分野に特化することで局地戦に追い込み、相手の戦力を減らすといった手法です。

第二法則

第二法則は1対多数の広域戦・遠距離戦を前提とした法則で、強者に有利な戦略です。両者が同じ武器効率の銃を持って戦った場合、戦闘力は兵士数の多い方が勝つといったものです。

これを大企業に当てはめた場合、膨大な資金を有効に投資することで、戦術を成功させるといった手法があります。具体的な例として、人材獲得のための企業買収や、広域の覇権を取るため代理店や宣伝を活用した打ち手などが挙げられます。

集中効果の法則とも呼ばれており、第一法則に比べ、より近代的な戦いです。

ランチェスターの法則をビジネスで活用する方法4つ

ランチェスターの法則は、弱者が強者に勝つためには欠かせないマーケティング戦略とも言われています。コツを意識し、うまく活用することで、より多くのシェアを獲得できるでしょう。

ここからは、ランチェスターの法則をビジネスで活用する方法を4つ紹介していきます。

  • ひとつの市場に集中する
  • ナンバーワンを目指す
  • 勝てそうな競合のみに絞る
  • 従業員のスキルを伸ばす

1:ひとつの市場に集中する

ひとつの市場に集中することは、力を分散させずに済むため、発揮できる力が強くなりやすい方法です。

市場ではどの分野においても豊富な資金源を持つ企業が有利になるため、弱者は事業展開する市場が多くなるほど、どの市場でもシェアを獲得できないという結果になってしまう可能性があります。

ひとつの市場に集中して事業展開することで、企業の強みを活かしながら経営資源を集中できるため、強者に対抗しやすくなります。

2:ナンバーワンを目指す

ナンバーワンを目指すことは、競合との争いに脅かされずに済むため、安定した地位を手に入れられる方法です。ひとつの市場に集中して事業展開しても、トップになれなければ競合にシェアを脅かされる可能性があります。

トップ争いを避け、競合が自社と戦おうとする意思を持ちにくくするには、2位以下の企業と圧倒的な差をつけられるような戦略を実践することが重要です。それにより、シェア拡大はもちろん、ブランド力や資本力の向上にも繋がるでしょう。

3:勝てそうな競合のみに絞る

有利に事業を発展させるには、勝てそうな競合のみに絞ることも重要なポイントです。例えば、市場でナンバーワンを獲得できていない場合、戦う相手をシェア率の順位が自社の1つ下にいる企業に絞ることで差を広げやすくなります。

競合が減ることで時間や費用が抑えられ、かつ競合との差もつけやすくなるため、有利な立ち位置を築くには効率的な方法と言えるでしょう。

4:従業員のスキルを伸ばす

人員数や経営資源の貧しい企業が事業の質を高めるには、従業員のスキルを伸ばすことも重要です。弱者の場合、豊富な経営資源を持つ強者と一騎打ちしても勝ち目がありません。

弱者の多くは数で負けてしまうため、強者との能力差を埋め、相手の戦力を減らさなければなりません。従業員のスキルを伸ばすことは質を高めることに繋がります。それによって、強者との一騎打ちが可能になります。

ランチェスターの法則を使ってビジネスに成功した企業の事例5つ

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※画像はイメージです

マーケティングにおいてランチェスターの法則を有効活用するには、他社の成功事例を知っておくと良いでしょう。それにより、さらに深く理解できるため、自社が取るべき戦略を具体的にイメージしやすくなります。

ここからは、ランチェスターの法則を使ってビジネスに成功した企業の事例を5つ紹介していきます。

  • 奇抜なデザインで群を抜いた豆腐店
  • 低価格でアプローチした大手携帯会社
  • 地域内のシェアを獲得した大手コンビニチェーン
  • 他社の製品を自社でブラッシュアップした大手企業
  • 他社との差別化を図ったテーマパーク

1:奇抜なデザインで群を抜いた豆腐店

奇抜なデザインで群を抜いた豆腐店は、競合との差別化に成功し、業界の革命児とも言われるほどの成長を遂げた企業です。

商品パッケージの形は、他社商品とは異なり大ぶりな楕円形であり、さらにネーミングもユニークなもので、そのデザインはどれも消費者の記憶に残るものでした。その話題性もさることながら、味においても評価を得ています。

このように、奇抜なアイデアを武器に一風変わった豆腐を提供し、これまで保守的だった業界において創業から短期間でブランドの確立に至っています。

2:低価格でアプローチした大手携帯会社

低価格でアプローチした大手携帯会社は、他社には存在しない低価格を売りに、競合大手との差別化に成功した企業です。この企業はモバイル業界に参入した当時、すでに市場には大手競合が存在していたため、弱者に分類されていました。

そこで、市場において圧倒的強者である競合に打ち勝つべく実施したのが、最安値追求です。他社を寄せ付けない低価格を売りにした事業展開は、競合他社にも影響を与え、差を縮めるだけでなく、強者にあたる企業も対抗という形で激しいシェア獲得争いに発展しています。

3:地域内のシェアを獲得した大手コンビニチェーン

地域内のシェアを獲得した大手コンビニチェーンは、一部地域で集中的に店舗を開店することにより、シェア拡大に成功した企業です。

この企業は、1号店をオープンしたのち急速に店舗拡大を続けていましたが、すでに知名度のあった競合の存在により、関西地域での出店に課題がありました。

そこで採用したのが、一部地域で多くの店舗をオープンさせるといったものです。この局地戦により地域内のシェア率と知名度の向上に繋がりました。

4:他社の製品を自社でブラッシュアップした大手企業

他社の製品を自社でブラッシュアップした大手企業は、その手法により幅広い分野において市場参入を果たしている企業です。具体例として挙げられるのが、スマートフォンやポータブルオーディオプレーヤーです。

自社の豊富な経営資源を活かし、他社からシェアを獲得することで事業規模を拡大し、現在では市場上位へと上りつめています。

5:他社との差別化を図ったテーマパーク

他社との差別化を図ったテーマパークは、施設のテーマを再定義し、改革に踏み切ることで盛況を取り戻した企業です。

創業以来、赤字を抱えており危機的状況にあったこの企業は、テーマパークとしての資本力や時代のニーズに合っていないという理由で経営は破綻していました。

そこで施設のテーマを再定義し「テーマパーク」ではなく「東洋一美しい観光ビジネス都市」とすることで、日本の2大テーマパークとの差別化に成功し、賑わいが復活したのです。

ランチェスターの法則をビジネスの戦略で使うときの注意点

ランチェスターの法則をビジネスの戦略で使うときは、2位以下を大きく引き離す存在になることが重要です。差がわずかである場合、シェアを奪おうと激しい競争が続くため、1位の立場は地位を確保するために経営資源を大きく消耗せざるを得ません。

安定した地位を維持することで収益性や成長性の確保にも繋がるため、2位の立場が諦める存在になるよう、単なる1位ではなく圧倒的なナンバーワンであることが重要です。

加えてランチェスターの法則では、1位以外は全て弱者と定義されています。強者と弱者では戦法が異なるため、自社の立ち位置をしっかりと見極め、戦い方を間違えないよう注意が必要です。

マーケティングの仕事をする際はランチェスターの法則について理解しよう

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本記事では、ランチェスターの法則についての基礎知識や種類、ビジネスで活用する方法、活用した企業の成功事例などを紹介してきました。

ランチェスターの法則をビジネスに応用するには、市場や競合、自社の立ち位置についての見極めが重要なポイントです。現在、大手として知られる企業も、ランチェスターの法則を用いて地位を築いており、多くの企業がマーケティング戦略として活用しています。

ぜひこの記事で紹介したランチェスターの法則について理解を深め、マーケティングの仕事に活用し、シェア獲得を目指してみてはいかがでしょうか。

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