ベンチャー企業のマーケティング戦略の11のポイント|事例もあわせて紹介
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初回公開日:2021年12月27日
更新日:2022年03月01日
ベンチャー企業が行うべきマーケティング戦略とは?
多くの顧客を獲得するためにも、新規に起業したベンチャー企業においてマーケティング戦略は必要といえます。
しかし、ベンチャー企業でマーケティングの実務を担当する人の中には、経験不足から戦略を練るのに右往左往してしまう方もいるのではないでしょうか。
本記事では、そうした悩みを抱える方のために、マーケティング戦略のポイントを説明した上で、ベンチャー企業の成功事例や注意点などをご紹介します。実務に悩んでいる方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
ベンチャー企業のマーケティング戦略のポイント11個
マーケティング戦略にはマーケットや消費者の特性に合わせ、さまざまに考慮するポイントがあります。例えば、リレーションシップの方法、PRコンテンツの内容、予算規模などです。
そこで、ここではベンチャー企業のマーケティング担当者が、マーケティング戦略を立てる上で考慮すべき11のポイントを紹介していきます。
- マーケティング施策への投資は予算内に収める
- ブランド認知を向上させる
- ターゲットとなる顧客の絞り込みを行う
- ユーザーが費やしているサービスを調べる
- 顧客と個人的な関わりを持つ
- 付加価値をWebサイトに付ける
- コンテンツの利用方法を考える
- 人脈を利用する
- Eメールを利用する
- アプリストアで認知を獲得する
- 差別化するために競合他社を決めておく
1:マーケティング施策への投資は予算内に収める
大規模な投資が難しいベンチャー企業にとっては、マーケティングも限られた予算内で行うしかありません。そのため、予算規模に合わせ効果的なマーケティング戦略を練ることが重要なポイントです。
2:ブランド認知を向上させる
マーケティング戦略の目的の1つは会社のブランド認知度を向上させることです。ブランドの認知度が向上すれば、それだけ自社商品に対する消費者の関心度も上がり、購買にもつながるでしょう。
3:ターゲットとなる顧客の絞り込みを行う
ベンチャー企業が短い期間で認知度上げるためには、ターゲットとなる顧客層を絞って、集中してメッセージを発信し続けることがポイントです。顧客層を絞ってマーケットが小さくなった分、経営資源も集中的に使えるでしょう。
4:ユーザーが費やしているサービスを調べる
発信したいメッセージは自社のWebサイトだけでなく、さまざまなソーシャルメディアを利用しましょう。他のメディアを利用する際は、自社のユーザーがどのメディアを多く利用するか調べることも重要です。
ユーザーが長い時間利用するメディアにメッセージを発信した方が、効果的でしょう。多くの企業がソーシャルメディアを利用して、話題作りに成功しています。
5:顧客と個人的な関わりを持つ
マーケティングで成功している企業は、オンライン上で消費者の経験を共有し、個人的な関わりをもつよう努力しています。消費者と強力な関係が形成できれば、自社の優良顧客として残りやすいでしょう。
消費者の苦情や意見には積極的に耳を傾け、素早く対応するように心がけましょう。
6:付加価値をWebサイトに付ける
メッセージを自社Webサイトで発信する場合、自社サイトの付加価値を付けることに集中しましょう。付加価値が付いた分だけ、消費者のアクセスが増えます。
付加価値を付ける方法としては検索エンジンで常に上位にくるように、コンテンツを定期的にアップデートしましょう。その他、自社の重要コンテンツを会員しか閲覧できないようにすることで、利用の入り口を狭めて価値を高める方法もあります。
7:コンテンツの利用方法を考える
コンテンツは提供目的や利用方法を考慮した上で、制作する必要があります。その目的に応じて、どのようなメッセージをコンテンツに盛り込むか決定することが大切なポイントです。
記事や映像などコンテンツの制作時には消費者との感情的なつながりを考えて、十分な時間を割きましょう。
8:人脈を利用する
多くの企業オーナーが自身のSNSを利用して、企業メッセージを発信しています。SNSは、人脈を利用してPRできる良いツールです。1回のメッセージで多くの人にアプローチできる可能性があるでしょう。
9:Eメールを利用する
マーケティングに大きな予算を割けないベンチャー企業にとって、Eメールマーケティングは低コストでできる戦略です。多くの企業が消費者に、Eメールを使って企業の理念やキャンペーンなどを伝えています。
Eメールは、消費者の反応も管理できる便利なプラットフォームといえるでしょう。
10:アプリストアで認知を獲得する
マーケティング戦略の中で、アプリストアをいかに有効に使うかという点は非常に重要なポイントです。多くのベンチャー企業がアプリを中心としたサービスを提供しています。自社アプリを有効に活用して、多くの顧客を獲得しましょう。
11:差別化するために競合他社を決めておく
マーケティング戦略を練る上で、競合他社を明確にしておくことが大切です。明確にしなければ自社の魅力をアピールすることはできないでしょう。他社と比較して、商品やサービスの差別化された魅力を伝えるのがマーケティングのポイントです。
ベンチャー企業に見るマーケティング戦略事例11選
ここでは、ベンチャー企業で実施した具体的なマーケティング戦略の11事例を紹介していきます。こちらの具体例と自社のマーケティング戦略を比較することをおすすめします。
具体的なマーケティング戦略は業種やプロダクト別に異なりますが、この事例は基本的な戦略を練る上で大きく役に立つことでしょう。
- オンライン営業システムの運営会社
- プラットフォームの運営会社
- ファッション通販サイトの運営会社
- 組織コンサルティングやWebサービスの開発・提供会社
- 労務管理クラウドの企画・開発・運営・販売企業
- インターネット関連サービスを中心に展開する企業
- 経済ニュースプラットフォームの運営会社
- タレントマネジメントシステムの運営会社
- ABMプラットフォームの運営会社
- 法律ポータルサイトの運営会社
- ランディングページ作成ツールを運営するカナダの企業
1:オンライン営業システムの運営会社
PRの方法としてベンチャー企業におすすめなのが、バイラルマーケティング(Viral marketing)です。
バイラルマーケティングとは、商品の「口コミ」を計画的に行うことで、低コストで効率よく告知するマーケティング手法のことをいいます。
この手法を使って成功したのが、オンライン営業システムを販売する「ベルフェイス」です。同社のBtoB製品が大手会社に採用されたことで、他の企業にも口コミで広がりました。
ベルフェイスで販売するオンライン営業システムはWeb会議が簡単にできるもので、インサイドセールスを支援するマーケティングツールとして有名です。
2:プラットフォームの運営会社
マーケティングには消費者のさまざまなデータが使われます。データマーケティングとは、この消費者データを活用するマーケティングのことです。
消費者データの年齢、性別、年収、家族構成だけでなく、購買履歴、アクセス履歴などを合わせて分析すると、顧客の獲得やサービス向上に役立ちます。
この消費者データを統合・分析できる「b→dash」を開発したのが株式会社データX(データエックス)です。「b→dash」では、統合したデータを必要に応じて簡単に運用できます。データの集計や分析にかかる時間・コストを大幅に削減できるマーケティングツールでしょう。
3:ファッション通販サイトの運営会社
ファッション通販サイトでよく使うマーケティング手法が、ダイレクトマーケティングです。ダイレクトマーケティングとは、商品やサービス情報を直接消費者に提供する手法のことをいいます。代表的なのはEメールを使った方法です。
国内のアパレルECとして有名な「ZOZOTOWN」は、このダイレクトマーケティングで成功した企業です。このサイトでは消費者を多くのセグメントに分類し、その消費者集団に、個別のセールスメールを送ることで特別感を与え、購入まで導いています。
4:組織コンサルティングやWebサービスの開発・提供会社
組織コンサルティング会社の「識学」が、見込み客獲得の単価を下げるためにトライしたのが漫画を使ったマーケティングです。漫画はとっつきやすく、難しい内容も説明しやすい利点があります。同社はこの戦略で、見込み客獲得の単価を下げることに成功しました。
同社がコンサルティングに活用する組織運営理論が識学という理論です。同社ではこの組織理論を土台にして、コンサルティングサービスを提供しています。
5:労務管理クラウドの企画・開発・運営・販売企業
クラウド人事労務ツールを販売する「SmartHR」ではマーケティング戦略として、ブランドマーケティングを選択しました。
ブランドマーケティングはブランドの認知度を上げることで、自社の商品やサービスを売りやすくする戦略です。ベンチャー企業のマーケティングにおいては、認知度を上げることがとても重要なポイントになるでしょう。
同社はブランドマーケティングのために、ブランド中心の組織改編まで行いました。その結果、月の商談が倍増するという、ブランド向上の効果が出ています。
6:インターネット関連サービスを中心に展開する企業
ネット印刷など、インターネット関連サービスを提供する「ラクスル」ではマーケティング戦略として、TVCM(テレビ広告)を採択し成功しました。
同社は当初、事業分野が中小企業向けのネット印刷事業だけでしたが、企業の成長とともに、物流・広告・企業支援などの分野まで拡張しています。
ネット印刷のような、まだマーケットが十分に形成されていない分野では、マーケットそのものの認知度を短期間に上げる必要があります。そのために同社が選んだのが、TVCMです。
同社は消費者分析データを活用してターゲットを絞り、TVCMを利用して認知度向上に成功しています。
7:経済ニュースプラットフォームの運営会社
経済ニュースプラットフォームを運営する「Newspicks」では、インフルエンサーやSNSをマーケティングに活用しています。インフルエンサーマーケティングとは、著名人などの影響力が高い人に商品やサービスを紹介してもらうことで見込み客を集客し、収益を上げる手法です。
同社は一般的なニュースキュレーションサイトとは違い、若いビジネスマンが必要とするニュースを有識者に解説させることで、ニュースコンテンツをビジネス現場で役に立つ知識として加工し提供しています。
それだけでなく、独自の広報メディアが必要な企業に向けて、ブランドアカウントをニュースサイト内に設け、企業コンテンツの発信を支援しています。
8:タレントマネジメントシステムの運営会社
人材データプラットフォームを提供する「カオナビ」は、創業期から「THE MODEL」型の営業で成功をおさめました。「THE MODEL」とは、営業のプロセスを各段階別に分業し、結果を数値化しながら成果を拡大させるマーケティング手法です。
段階別とは、営業過程をマーケティング・インサイドセールス・外勤営業・カスタマーサービスというように切り分けることです。そして、その段階は各担当部署で責任を持ちます。
各段階での目標は結果を可視化させ、最終ゴールまでに何が足りないかを明確にするでしょう。そうすることで、営業の問題点も見えやすくなり、各部署の専門性も高まります。
9:ABMプラットフォームの運営会社
アカウントベースドマーケティング(ABM:Account Based Marketing)のプラットフォームを提供する「ユーザーベース」では、セミナーやイベントを主催するなど、オフラインマーケティングに注力しています。
ただ、注目すべきところは漠然と行うのではなく、ターゲットを細分化していることでしょう。そのため、見込み客に伝えるべきメッセージも明確になり、直接商談もしやすくなります。
10:法律ポータルサイトの運営会社
法律ポータルサイトを運営する「弁護士ドットコム」では、オウンドメディアをマーケティングの1つとして活用しています。
オウンドメディアマーケティングとは自社の顧客を獲得するために、自社メディアを利用する戦略です。メディアで消費者が必要な情報を提供し集客します。
「弁護士ドットコム」は、個人と弁護士をつなぐプラットフォームです。同社は自社メディアの「弁護士ドットコムニュース」を通して見込み客を発掘しています。このメディアでは具体的な法律相談事例を紹介することで消費者の興味を引き、顧客を開拓しています。
オウンドメディアは低コストで長期間にわたり記事の露出が可能なため、ベンチャー企業にとっても魅力的なマーケティング手法といえるでしょう。
11:ランディングページ作成ツールを運営するカナダの企業
ランディングページ作成ツールを販売するカナダ企業の「Unbounce」は、ツールを販売する以前からコンテンツマーケティングを展開してきました。コンテンツマーケティングとは、価値のあるコンテンツを提供することで、見込み客や収益を上げる手法です。
「Unbounce」は、ブログや各種メディアに発信したランディングページに関するコンテンツによって、「ランディングページならUnbounce」というイメージを確立することに成功しました。
ベンチャー企業がマーケティングを行うときの注意点
ベンチャー企業がマーケティングを行うときに注意したいことは、一人よがりになって自社の製品やサービスをアピールし過ぎないことです。
いくら機能が良い製品だと言われても、この製品を使うことでどのようなメリットがあるか分からなければ、消費者は購入したいとは思わないでしょう。
まず、消費者が自社の製品やサービスで得られるメリットを明確に示す必要があります。その上で、商品の機能や特徴をアピールすることが大切です。
ベンチャー企業のマーケティング事例を参考にしよう
マーケットで競争経験のないベンチャー企業こそ、企業のマーケティング事例を研究する必要があります。特に、成功したベンチャー企業の事例は、マーケティング戦略を練る上で役立つことでしょう。
ぜひこの記事を参考に、ベンチャー企業のマーケティングを行ってみてください。