マーケティングオートメーションの事例を紹介|導入手順やメリット・注意点も解説
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初回公開日:2022年04月26日
更新日:2022年04月28日
マーケティングオートメーションとは
マーケティングオートメーションとは、文字どおりマーケティング活動を自動化する手法と実践するツールを指します。企業経営にとってマーケティングは必要不可欠な活動ですが、手動で全てを行うには限界があるのも事実です。
マーケティング活動の基本は、顧客もしくは見込み客の興味・関心に対してタイムリーな情報を効率的に発信することであるため、マーケティングオートメーションを導入することで効率的・効果的にマーケティング活動を進められるでしょう。
マーケティング活動において普及した理由
これまでの顧客は商品・サービスを購入する際には、直接業者や店舗に問い合わせていました。しかし、ネット環境が整備・浸透したことで、顧客はインターネット上で情報収集を行うことが大半です。
つまり、商品・サービスを効率的に販売するには、インターネットを通じて商品・サービスの情報を伝えることが不可欠となりました。
マーケティングオートメーションは、まさに企業が発信する情報を的確に顧客もしくは見込み客に的確に伝えるツールだと言えるでしょう。
マーケティングにおいて期待される効果
マーケティングオートメーションによって期待される主な効果は「顧客との接点」と「営業生産性の向上」の2点です。
顧客との接点は、自社Webサイトに訪れている見込み客などに訴求し、商談化していない段階で接点を持つことを意味します。マーケティングオートメーションであれば見込み客の獲得も期待できるでしょう。
営業生産性の向上は見込み客のニーズにマッチした提案をタイムリーに提案し、売り上げをアップさせることを意味します。マーケティングオペレーションは顧客のニーズを的確に把握することが可能であり、営業生産性の向上が期待できるでしょう。
マーケティングオートメーションで自動化が可能な作業
マーケティングオートメーションツールは非常に多機能であり、日々進化しています。ツールで自動化できる主な作業は次のとおりです。
・顧客もしくは見込み客の情報管理
・見込み顧客の行動把握(Webサイトの閲覧履歴・メールの開封率)
・スコアリング機能(見込み客の行動範囲の点数化)
・メールの作成・自動配信
・LPや申込みフォーム・LPの作成
・レポーティング機能(効果測定)
マーケティングオートメーションの導入を検討する際には、自動化が可能な作業を把握しておくことが不可欠だと言えます。
マーケティングオートメーションの成功事例
ここではマーケティングオートメーションの成功事例を紹介します。成功事例に触れることで、自社で導入した時のイメージが湧きやすくなるでしょう。
参考にできる成功事例を探して、導入した時のイメージを膨らましてみましょう。
人材育成コンサルタント:顧客ニーズの把握で売り上げアップ
ある人材育成コンサルタントでは、顧客ニーズの正確な把握で売り上げアップを実現しています。
リード顧客の獲得は組織内幹部からの紹介に頼っていましたが、獲得数が伸びないといった課題がありました。マーケティングオートメーションを導入することで、ユーザーの動向把握・顧客ニーズの把握が可能となり、リードの獲得・売り上げアップに成功しています。
飲料水メーカー:顧客ニーズにマッチしたメール配信
ある飲料水メーカーでは、メール配信までのプロセス・オペレーションが複雑であったため、成果分析やPDCAサイクルが回せないといった課題がありました。
マーケティングオートメーションを導入したことで、メールの成果分析やPDCAサイクルがスムーズに回せるようになりました。顧客の一元管理とメールの配信プロセスを見直した好事例だと言えるでしょう。
IT関連企業:潜在顧客の優先度を見える化
あるIT関連企業ではリスト営業に取り組んでいましたが、顧客リストの分析が不十分であったため、労力に見合う実績を得られないという課題がありました。
マーケティングオートメーションを導入することで優先顧客の見える化につながり、アタックすべきターゲットが明確になった結果、成約率が格段にアップし、効率的な営業活動を展開できた事例です。
教育関連企業:顧客解析による作業負担・コストの削減
ある教育関連企業では運営しているWebサイト数が膨大であるため、十分な顧客解析ができておらず、コスト面でも負担が大きいことが課題でした。
マーケティングオートメーションによってサイトごとの顧客を統合・一元化することが可能となり、大幅なコストダウンに成功しています。さらに、複数のサイトの顧客情報を共有することで、より大きな営業効果につなげた好事例です。
人材派遣サービス:アウトバンドからの脱却
ある人材派遣サービスでは、Webサイトでの集客を行っていますが、アクセスの割に集客・宣伝効果が低いといった課題がありました。
マーケティングオートメーションを導入することでアウトバウンドから脱却し、ユーザーの動向把握・顧客ニーズにマッチした対応を可能とした好事例です。
旅行会社:BtoB営業における既存システムの活用・連携
ある旅行会社では、自治体や企業・学校などへのBtoB営業はテレアポが主体でしたが非常に非効率である上、デジタルマーケティング化へのシフトも遅れていました。
マーケティングオートメーションを活用することで顧客のニーズを的確に分析し、優先順位に沿った営業活動を行っています。さらに既存システムの活用・連携も可能とした好事例です。
マーケティングオートメーションのメリット・期待される効果
マーケティングオートメーションには様々なメリットや、期待される効果があります。事前に把握しておくことで、導入に向けてより具体的かつ適切な検討ができるでしょう。
ここでは、マーケティングオートメーションのメリット・期待される効果について解説します。自社の課題解決にどう活かせるかを考えてみましょう。
獲得した見込み顧客の育成・関係構築ができる
見込み客がサイトを訪れた履歴やメールの開封履歴は、マーケティングに大いに役立つデータです。ツールを活用することでこれらの履歴を把握できるだけでなく、サンキューメールの配信などアクションを起こすことも可能となりました。
また、タイムリーなレスポンスを行うことで、見込み客の獲得や関係構築にも役立っています。
営業活動の幅が広がり新たな案件・商談が獲得できる
マーケティングオートメーションを活用することで、単に見込み客をリスト化するだけでなく、サイトやメールの閲覧回数などから「どういった商品・サービスに興味があるのか」「どういった課題を解決したいのか」が一目で分かります。
したがって、これまでよりもポイントを絞った提案が可能となり、新たな商談を提案・成約に結びつけられるでしょう。
営業活動の最適化・効率化を図ることができる
営業活動を行う上で、マーケティング部門と営業部門のスムーズな連携は不可欠です。マーケティングデータを速やかに営業部門と共有し、その結果を迅速にフィードバックできれば業績アップにつながります。
マーケティングオートメーションを用いることで、一連のフローを円滑かつ正確に進められるため、営業活動の最適化・効率化が実現するでしょう。
マーケティング活動を一部自動化できる
マーケティング活動を円滑に進めるには顧客ごとに情報を管理することが必要ですが、顧客が増えれば増えるほど手動で管理するのは困難となります。マーケティングオートメーションでは情報管理に加え、情報発信などのコミュニケーションの一部をツールに委ねることが可能です。
その結果、効率的なマーケティング活動が可能となり、より効果的に顧客のニーズを把握し応えられるでしょう。
ヒューマンエラーを限りなくゼロにできる
データ入力や転送、メールの送信といった業務を手作業で行う場合、どんなに注意していてもヒューマンエラーが発生します。ツールを用いることで、これらの作業は自動的に処理されるため、ヒューマンエラーは確実に減少するでしょう。
さらに、手作業よりも迅速かつ効率的に処理できるといったメリットもあります。
質の高い見込顧客を獲得できる
これまでのマーケティング活動では、見込み客のリストに優先順位を付けることは極めて困難でした。マーケティングオートメーションであれば、見込み客がサイトに訪問した回数やメールの開封頻度などが分析可能です。
したがって、見込み客に優先順位を付したりニーズを把握したりなど、より成約率を高められるでしょう。
マーケティングオートメーションの機能とは
マーケティングオートメーションの機能は非常に多岐にわたります。しかし、基本となるのは「見込み客の情報管理」「見込み客とのコミュニケーション」「ターゲットの抽出」の3点です。
いきなり多くの機能を使いこなすことは難しいため、まずは基本的な機能を理解することが大切だと言えるでしょう。
見込み顧客に関する情報の集約・一元管理
各部署がそれぞれに見込み顧客の情報を管理している企業も少なくありません。この場合、一部情報が非現行であったり、部署によって持っている情報に濃淡が生まれ非効率的です。
マーケティングオートメーションによって、企業内の各部署が持っている情報を集約・共有化することで、効率的なマーケティング活動につながります。
なお、集約する情報には見込み顧客の名前や住所といった基本情報のほかに、スコアリングの結果なども含まれていることが一般的です。
見込み顧客との円滑かつ継続的な継続コミュニケーション
マーケティング活動を成功させるためには、見込み顧客とコミュニケーションを図り育成することが不可欠だと言えます。
マーケティングオートメーションのスコアリング機能などを利用することで、タイムリーな情報を最適なタイミングで漏れなく発信することが可能です。
また、見込み顧客からのレスポンスに対して、サンキューメールを自動的に配信するなど、円滑かつ継続的なコミュニケーションも可能となります。
ターゲットとなる見込み顧客の抽出
見込み顧客の中には様々なニーズが含まれており、その度合いも異なります。それらをマニュアルで確認・分析する作業では負担が大きくなり、ヒューマンエラーも避けられません。
マーケティングオートメーションでは見込み顧客の行動がスコアリングされるため、容易に抽出することが可能です。
マーケティングオートメーションの導入手順
マーケティングオートメーションを導入する際には、正しい導入手順を踏まえておきましょう。単にツールを導入するだけでは、導入する目的や期待される効果を得ることはできません。
ここではマーケティングオートメーションの導入手順を紹介します。自社でツールを導入する際の参考にしましょう。
自社の課題を洗い出す
マーケティングオートメーションを導入する際には、自社の課題を明確に洗い出しておきましょう。 マーケティングオートメーションには様々な機能があるため、課題解決にマッチしたツールを選択しなければ期待する効果を得ることはできません。
また、洗い出した課題は優先順位を付しておくことで、よりツール選びが容易になるでしょう。
ツールを導入する目的・期待される効果を明らかにする
ツールの機能は日々進化しており、次々と多機能なものがリリースされています。しかし、欲張り過ぎると使わない機能ばかり導入することにつながり、コストばかり嵩むことにもなりかねません。
まずは必要な機能を導入し、徐々に必要な機能を増やしていくようにしましょう。
目的・期待される効果にマッチしたツールを選定する
ツールを活用する目的・期待される効果が定まったら、それにマッチするツールを選定しましょう。いくら優秀なツールであっても、目的や期待される効果にマッチしなければ意味がありません。
また、ツールを運用するには一定のスキルが必要であることも大きな課題だと言えるでしょう。
各種設計とフローを構築する
ツールが決まったら各種設計とフローを構築しましょう。具体的には「誰に・何を・いつ・どのように」行動を促すかといった「シナリオ」を作成することが成功の秘訣です。
各種設計とフローを構築し、シナリオどおりに見込み顧客を誘導することが大切だと言えるでしょう。
ペルソナ設計:見込み顧客を見極める
各種設計とフローを構築し「シナリオ」を作り上げるには、ペルソナ設計が重要です。ペルソナとは自社の「見込み顧客像」のことを指します。
例えばBtoBをターゲットとする場合は、「企業像」と「人物像」の両方についてペルソナ設計します。企業像では、「どういった企業が」「どういったニーズをもって」自社商品・サービスを必要とするのかを想定することが不可欠です。
人物像では「どういった部署の」「どのような立場の社員が」「どのような課題を解決したいのか」を想定することで、見込み顧客を見極めることにつながります。
カスタマージャーニー策定:購買プロセスを推察する
カスタマージャーニー策定も「シナリオ」作りには大切な要素です。カスタマージャーニー策定とは、見込み顧客の購買プロセスを推察することを意味します。
ペルソナが商品・サービスを購入する場合、少なからず何かしらの課題があり、その解決方法を探していると言えます。
つまり、ペルソナが「どういったニーズを持っているか」「どういった情報を必要としているのか」を把握することで、シナリオをよりリアルに作り上げられるでしょう。
他部署・チームとの連携を強める
ツールを導入する際には、他部署・チームとの連携を強め双方の協力体制を整えておきましょう。ツールの導入をマーケティング部門だけで行うと、失敗する確率が高くなります。
例えば顧客管理の効率化を目指すのであれば、営業部門との連携は必須です。ツールの目的・効果に関わる部署・チームと意見交換を行うことで、さらなる課題解決に向けたツールの活用ができるでしょう。設計段階は当然として、導入後も積極的に連携を図ることが重要です。
PDCAサイクルを丁寧に回す
ツールを導入したらPDCAサイクルを丁寧に回しましょう。ツールは導入することが到達点ではありません。
導入時に定めた目的・期待される効果を確実に得ることが重要です。そのためには丁寧な効果測定を行い、必要に応じて修正を繰り返すことが必要不可欠だと言えるでしょう。
マーケティングオートメーションを導入する際の注意点
マーケティングオートメーションはメリットばかりではなく、注意する点もあります。ここでは、マーケティングオートメーションを導入する際の注意点を紹介します。自社のリソースを踏まえ、事前に対策案を講じておきましょう。
「費用対効果」「工数対効果」を意識する
マーケティングオートメーションを導入する際には「費用対効果」「工数対効果」を十分に意識しましょう。
「費用対効果」「工数対効果」を意識するには、導入前後で「何が」「どのように」変わるのかを明確にすることが大切だと言えるでしょう。
サポート体制を確保する
どんなに優秀なツールであってもトラブルはつきものであり、いかに迅速に対処するかがポイントです。したがって、ツールを選ぶ際にはサポート体制が確立されているものを選びましょう。
特に海外のツールを使うのであれば、日本語マニュアルやトラブル発生時の対応がしっかりしているものが良いでしょう。
自社マーケティングにマッチしたものとする
マーケティングオートメーションを導入する際には、自社のマーケティングにマッチしたものとすることが重要です。ミスマッチしてしまうと、期待した効果が得られず無駄なコストがかかってしまいます。
また、多機能過ぎて使わない機能ばかりだと、コスト面だけでなく操作性も複雑となり、かえって非効率なマーケティング活動になってしまうでしょう。
BtoC向けか・BtoB向けか
マーケティングの対象が異なれば、導入する手法も異なります。
BtoCであれば、サイトに訪れた履歴など個人のアクションに関する機能、BtoBの場合であれば、見込み客の抽出や購買意欲が可視化できるツールが求められます。
使いこなせる「人材」を確保する
使いこなせる「人材」が確保できなければ、マーケティングオートメーションは機能しません。マーケティングオートメーションは多機能になればなるほど、使いこなすには専門知識が必要です。
導入しても使いこなせず、これまでと変わらないマーケティング活動を行っている企業も少なくありません。このような事態を回避するためにも「人材」の確保や育成が重要であることを踏まえておきましょう。
自社のリソースにマッチしたものを選ぶ
導入するマーケティングオートメーションに合わせてリソースを構築することも、長期的な視野に見れば無駄なことではありません。
しかし多大な労力やコストを考えると、導入時には機能を絞り込んで自社のリソースで対応できるものを導入することも賢明な判断だといえるでしょう。
丁寧に「設計」する
マーケティングオートメーションをとりあえず「導入してみよう」といった考え方では意味がありません。
ターゲットとなる顧客は「どういった立場にあるのか」「どういった課題を持っているのか」を明確にしましょう。その上で「どういった提案を」「どのタイミングで行い」「購買行動に結びつけるのか」を、一連のシナリオとして「設計」することが重要です。
必要な「機能」を絞り込む
多機能なツールは魅力的ですが、全ての機能を使いこなせなければ意味がありません。
コストも嵩むことから、まずは必要な機能に絞り込むことが賢明です。なお、機能を絞り込む際には、できる限り細分化・言語化しておくと良いでしょう。
例えば「作業効率を高めたい」場合には、「メールを自動で配信したい」「リードを自動で管理したい」と細分化・言語化しておくとツール選びが容易になります。
コンプライアンス面を確認しておく
コンプライアンスの遵守は、全ての企業に求められている「守らなければならない」社会的なルールです。
マーケティングオートメーションに求められるコンプライアンスは「特定電子メール法」「個人情報保護法」が当てはまります。コンプライアンス違反は社会的に批判を浴びるだけでなく、法律違反として罰せられることもあるため注意しましょう。
特定電子メール法
インターネットの急速な普及に伴い、広告宣伝を内容とした電子メールを送りつける手法が横行しました。このような迷惑メールを防止することを目的として施行された法律が、メールの送信に対して一定の制限をかける「特定電子メール法」です。
なお、特定電子メール法ではメールを配信する際には次の事項を明記することが求められています。
・配信者の氏名又は名称及び住所
・お問合せ電話番号・メールアドレス・URL
・受信拒否が可能であること
・受信拒否を希望する際に必要なメールアドレス又はURL
また、メールを配信する際には事前に許可(=オプトイン)を取得しておくことも必要な条件です。
個人情報保護法
「個人情報保護法」は個人情報を適切に取り扱うために定められた法律です。事業規模に関わらず全ての事業者が対象となります。
この法律で、個人情報は「生存する個人に関する情報であって当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの」と定義付けられています。
マーケティングオートメーションにおいて個人情報を取り扱う際には「利用目的」を公表するとともに、プライバシーポリシーを掲載することが不可欠です。
同業他社で導入事例はあるか
同業他者で導入事例があるか否かも、マーケティングオートメーションを導入する際には確認しておきたいポイントだといえます。このとき、注意したいことは、自社と同規模の競合他社の導入事例を参考にすることです。
同規模の競合他社において成功しているのであれば、自社においてもマッチする可能性は高くなるといえます。反対に自社よりも規模が大きい、あるいは小さい規模だと運営にかかるリソースやツールを活用する目的も異なるため、自社にマッチしにくいと言えるでしょう。
マーケティングオートメーションの事例を参考にして目的を達成しましょう
マーケティングオートメーションは、マーケティング活動を効率化する手法・ツールであり、多くの企業で成功事例が見られます。しかし、単に導入しただけでは成果を得ることはできません。
導入する目的を明確にするとともに、目的達成までの「シナリオ」を作ることが大切です。また、自社の課題にマッチしたツールを選び、導入後のサポート体制を構築することも欠かせません。
この記事を参考に企業の導入事例を確認し、マーケティングオートメーションの導入イメージを膨らませましょう。