企業の広報担当の役割とは?PR・IR・広告との違いについても解説
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企業の広報担当の役割とは?PR・IR・広告との違いについても解説

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企業の広報担当の役割とは?PR・IR・広告との違いについても解説

記載されている内容は2021年08月25日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。

また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

初回公開日:2021年08月25日

更新日:2022年03月03日

企業には広報担当者がいて、いろいろな役割を担っています。しかし、広報にはPR・IR・広告のように、似たような仕事もあり、その正しい役割を把握できていない人もいます。広報担当者として正しく業務をしていくためにも、その役割を正確に把握しておきましょう。

企業に広報担当者が必要とされる理由3つ

企業の広報担当の役割とは?PR・IR・広告との違いについても解説
※画像はイメージです

企業の事業内容によっては広報が不要と思える場合がありますが、そのような企業でも広報担当者がいることがあります。これは企業にとって広報担当者が必要となる理由がいくつかあるためです。

1:企業イメージや企業文化を醸成するため

企業イメージが悪くなると、企業の活動に影響を与えてしまう可能性があります。そのため、企業は世間から良いイメージを持ってもらうことも重要です。

その企業イメージは、企業の事業内容だけでなく、企業文化や社員の振る舞いなど、いろいろな要素によって変わっていきます。

そのため、広報は自社が世間からどのようなイメージを持たれているのか、社員が不適切な発言をSNSでしていないかなどをチェックし、必要に応じて対策をしています。

2:自社を取り巻く環境変化を察知するため

広報には、自社が関係する外部環境の確認をするという役割があります。世間からの企業イメージを確認することもその役割の一部です。

広報が確認する外部環境は、企業イメージ以外にも、業界の動向や競合他社の動きなどがあります。これらを会社が把握できていないと、トレンドに乗り遅れる可能性があります。

また、災害時には取引先へ業務の影響を伝え、取引先や社員などが被災していれば情報を確認してお見舞いを伝えるなどの対応もします。

そのため、広報は自社と外部環境に変化が起こっていないか察知できるように、常に広い視野を持って業務に取り組んでいます。

3:ステークホルダーとの関係構築のため

広報は外部環境の確認をしているため、業界や社会の中で自社がどのような立場や役割を担っているのかも確認しています。もし、これらを自社で把握できていないと、世間から求められていることができず、社会の期待に応えることができなくなってしまいます。

そのため、広報は自社の立場や役割を把握し、社内でその情報を共有して、ステークホルダーとの関係構築を行っています。

企業にとっての広報担当の役割4つ

企業に広報は必要ないと思う人もいますが、広報担当者が必要な理由はいくつかあります。また、広報担当者はその理由を満たす役割を担っています。広報担当者が持つ役割について知っておきましょう。

1:組織に対して自社のあるべき行動ができるよう導く役割

もし、広報担当者がおらず、業界や社会の中での自社の立場や役割が把握できていなければ、ステークホルダーとの関係構築が正しくできません。

会社として業界や社会の中でどのような立ち回りをするべきか判断できず、社会の期待に応えることや、社会からの信用を得ることができなくなってしまうのです。

そのようなことを防ぐため、広報担当者には自社がどのような行動を取るべきであるかを判断し、会社が正しい行動を取れるように導くという役割があります。

2:ニュースやトレンドによる自社ビジネスへの影響を経営者に助言する役割

広報担当者がいなければ、自社が関係する外部環境の確認が不十分になり、業界や社会のトレンドに乗り遅れてしまう可能性があります。

そのようなことを防ぐために、広報担当者はニュースや業界の動向などを常に確認し、自社のビジネスに影響を与える可能性があれば、社内でその情報を共有するという役割も持っています。

3:モニタリングの役割

広報担当者は世間からの企業イメージや、自社が業界や社会から求められている役割などを確認しています。また、自社がそれらの期待に応えることができているかも確認しています。

そのため、広報担当者には、自社が正しい行動を選択し、活動ができているかをモニタリングする役割もあります。

4:コミュニケーションを円滑にする役割

広報担当者はステークホルダーとの関係を構築することや、必要に応じて自社の状況を外部に発信することがあります。また、把握した情報を社内で共有することもあります。

これらは社内や、自社と社外とのコミュニケーションが円滑に行われるようにするための行動となります。

企業の広報担当の役割分担とは

企業の広報担当の役割とは?PR・IR・広告との違いについても解説
※画像はイメージです

企業の広報担当者にはいろいろな役割が求められます。それらの役割を1人でこなすことはできません。そのため、企業の広報担当者は役割分担をしています。

役割分担の仕方は企業によって異なりますが、社内と社外で役割分担をしている企業は多くあります。社内と社外で役割分担をした場合、それぞれの広報担当者はどのような役割を持つことになるのか把握しておきましょう。

社外広報の役割4つ

社外に向けて行われる広報は、企業イメージに影響を与えることもあります。そのため、社外広報の役割は非常に重要です。その社外広報は具体的にどのようなことを行い、どのような役割を持っているのか把握しておきましょう。

1:メディア担当者とのネットワークを作る役割

企業が情報を外部に向けて発信する際にメディアを活用することがあります。しかし、メディアによって取り扱う情報や求めている情報が異なるため、発信したい情報に合わせたメディア選びが必要になります。

そのため、普段からどのメディアが、どのような情報を欲しがっているのか、発信したい情報はどのメディアを活用することが適切であるかを、広報は把握しておく必要があります。

また、必要なときに、スムーズにメディアが活用できるように、メディア担当者とのネットワークを作る必要もあります。

2:自社の取り組みを社会に伝える役割

社外広報の担当者はメディア担当者とのネットワークを作り、自社の情報を社会に発信できるようにしておく役割があります。自社の情報を発信することで、その取り組みを社会に伝え、企業イメージを保ちます。

また、自社の情報を発信する際には、第三者となるメディアを活用するだけでなく、自社サイトやSNSなどのオウンドメディアを活用する方法もあります。適切な方法で自社の取り組みを社会に伝え、自社の認知度を上げていくことも社外広報の役割となります。

3:緊急事態へ対応する役割

社外広報には災害のような緊急事態のときに、取引先へ自社の状況を伝えたり、取引先の状況を確認したりする役割もあります。これらを行うことで、安否情報や業務への影響の確認や調整などが行えるようになります。

また、情報漏えいや不祥事などが起こった場合には、状況を確認して、その対応方法を考えることもあります。このような危機管理も社外広報の重要な役割です。

4:取材への対応を行うこと

自社から情報を発信したいとなった場合、プレスリリースを出すことがあります。そのプレスリリースによって、メディアからの取材依頼が来ることもあります。

また、プレスリリースを出していなくても、自社の取り組みを知って取材をしたいというメディアが出てくる場合もあります。

そのような際に、社外広報は取材を受けたことを会社に伝え、取材依頼を出しているメディアとやりとりをするなどの対応をします。また、取材は情報の旬が過ぎてしまう前に済ませないといけないため、社外広報にはスムーズなやりとりが求められます。

社内広報の役割5つ

広報の仕事は外部に向けての活動が多いと思っている人は多くいます。しかし、実際には社内に向けての仕事も多くあります。

社内広報と社外広報では、求められる役割が異なるため、その違いについて把握しておきましょう。

1:自社で発信できる情報の獲得

会社案内のパンフレットやプレゼン資料などは社外に向けて情報を発信するものとなります。しかし、そうした自社から発信できる情報を集めるのは社内広報の役割です。また、どのような情報であれば社外に発信しても良いかを、会社に確認することも役割のうちに入っています。

2:社員の広報への意識の向上

いくら広報担当者が企業イメージを守ろうとしても、社員が社外に向けて不適切な対応をしていれば、そのイメージを守ることができません。また、業界の動向や社会のトレンドなどを把握していないと、社員が取り組むべき仕事の優先度を間違ってしまうこともあります。

そのようなことを防ぐため、広報担当者は社員の広報への意識を向上させるための研修をし、業界や社会の情報を集めてそれを社内で共有します。

3:企業に一体感を生み出すこと

社員ごとに言うことや考え方が異なっていると、企業に一体感が感じられず、良いイメージを持ってもらうことができません。

そのため、広報担当者は社員に対して経営理念を浸透させることや、現在の取り組みや課題の情報共有などを行い、企業としての一体感を生み出すという役割も担っています。

4:社会情勢の状況の共有

業界の動向や社会のトレンド、社会情勢などはビジネスに影響を与えることがあります。そのため、これらの情報は常に確認しておくことが望ましいです。

しかし、情報収集能力には個人差があるため、社員が得ている情報の量や質にも個人差が出てしまいます。情報の量や質にバラつきがあると、社員それぞれで仕事の方向性に違いが出てしまい、企業としての一体感がなくなってしまいます。

そのようなことを防ぐために、広報担当者は自社の社員であれば知っておくべきと判断した情報は社内で共有して、情報の量や質にバラつきが出ないようにします。

5:社員の仕事への充実度を向上する役割

社内広報では、ただ仕事に必要な情報を共有するだけでなく、顧客からの喜びの声や社員の仕事ぶりに関する話や、企業が社会に役立った話などが共有されることもあります。

これらは社員が仕事をする意味や価値を認識したり、仕事のやりがいを確認したりすることに役立ち、仕事の充実度の向上などに繋がっていきます。そのため、広報担当者には社員の仕事のモチベーションを維持するという役割もあります。

広報とPRとの違い3つ

広報の仕事では、自社の情報を社外に向けて発信することもあります。そのため、広報とPRは同じようなものと思っている人もいます。しかし、広報とPRには違いがあります。

この2つを混同してしまわないように、その違いについて把握しておきましょう。

1:広報とPRが表す意味の違い

PRとは「Public Relations」の略です。広報も英語にすると「Public Relations」です。そのため、広報とPRは言葉が表す意味としては同じものになります。

しかし、英語にしたときの言葉は同じでも、日本ではその仕事内容や目的には違いがあるため注意が必要です。

2:仕事内容の違い

広報は社外や社内に向けて情報発信をします。そのため、メディアのような外部への対応だけでなく、情報共有のように社内に向けて情報を発信することもあります。

これに対して、PRは基本的に自社の商品やサービス、または会社自体の魅力を外部に伝え、認知度の拡大や消費者を購買へと繋げるための活動を行います。

これらの違いによって、一連の仕事の流れや内容などが変わることになります。

3:仕事目的の違い

社外広報であれば、PRと同じように自社の商品やサービス、会社自体の情報などをメディアを通して社会に発信することがあります。

しかし、PRの場合は消費者に対して購買に繋げることを目的として行いますが、広報の場合はステークホルダーとの関係構築が目的です。そのため、同じように社外に情報を発信していたとしても、その目的は異なります。

広報と広告との違い5つ

広告も社外に向けて情報が発信されます。そのため、広報とPRが似たようなものと思われがちであることと同様に、広報と広告も似たようなものと思われることがあります。

しかし、これらにも違いがあるため、その違いを把握しておきましょう。

1:記事の掲載に関わる関係者が異なる

広報の場合は、広報担当者がメディアとやりとりをして、必要に応じて記事に必要なインタビューを受ける社員などを用意します。

これに対して、広告の場合は広報担当者だけでなく、商品開発担当者や営業担当者などとも連携を取る必要があります。また、社外でもメディア以外に広告代理店の担当者や広告を制作するデザイナー、動画を撮影する場合は撮影スタッフなどとも関わることになります。

そのため、基本的に広告の方が掲載までに関わる人の数が多いです。

2:情報発信からメディア掲載に至るまでのステップが異なる

広報の場合は、プレスリリースを出す、メディア担当者とのネットワークを活用して情報提供をするなどして、メディア側が有益と判断した場合に取材をされます。

これに対して広告の場合は、広告会社などに広告を出したいと依頼をして、両社の担当者が打ち合わせを繰り返していくことになります。

そのため、広報と広告では掲載までのステップが入口から異なります。

3:掲載内容をコントロールできるかどうかが異なる

広報の場合は基本的に取材をしたメディア側に掲載内容を決める権限があります。そのため、取材を受けた際に、記事の内容の書き方をコントロールすることはできません。

これに対して広告の場合は、広告会社と打ち合わせをしながら掲載内容を決めていくため、記事の内容をコントロールすることができます。

4:情報としての説得力が異なる

広報の場合はメディア側に掲載内容を決める権限があり、記事の内容が第三者目線となり、良いことも悪いことも書かれるため、説得力が強いです。

これに対して、広告の場合は自社が記事の内容をコントロールできるため、良いことばかり書いてあると、消費者側が素直にその情報を信用できない場合があります。

そのため、広報と広告では情報の説得力が異なり、広報の方が説得力の強い傾向があります。

5:掲載にかかるコストが異なる

広報の場合は情報を発信して、その情報が有益とメディア側が判断すれば取材や掲載に繋がっていきます。この場合、基本的にはメディアに対する費用は発生しません。

ただし、メディアに有益な情報と判断してもらえなければ取材されないため、確実に情報が発信できるとは限りません。

これに対して広告の場合は、広告会社などに記事の掲載を依頼して、その費用を支払うことになります。広報とは異なり、費用は発生しますが確実に情報を発信することができます。

広報とIRとの違い

IRも社外に向けて自社の情報を発信します。しかし、広報は社会に向けて情報を発信することに対して、IRは株主や投資家などに向けて情報を発信します。

株主や投資家には投資の判断をするために一般的に発信されている商品やサービス、自社の取り組みなど以外にいろいろな情報が必要となります。

そのため、広報とIRでは発信される情報の内容に違いがあります。また、IRでは投資の判断材料となる情報を発信するため、良いことだけでなく、悪いことも伝えるという特徴があります。

広報担当者として必要なことを理解して業務を行おう

企業の広報担当の役割とは?PR・IR・広告との違いについても解説
※画像はイメージです

企業には広報担当者が必要な理由があり、その広報担当者にはいろいろな役割があります。広報担当者の役割にはPRや広告、IRなどの役割と似た部分があり、それらを混同してしまう人もいます。

しかし、広報とPRや広告、IRには違いがあります。そのため、広報担当者として正しく仕事ができるように、必要な知識を身につけ、理解をして業務に取り組むようにしましょう。

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