広報とはどんな部署?役割や社内・社外の仕事内容11選と求められるスキル
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初回公開日:2021年07月19日
更新日:2021年09月07日
広報とはどんな部署?
広報とは、会社と社会を繋げるために、自社の認知度を広める役割を持った部署です。
「会社の認知度を広める」という役割から、広告やIRなどとその意味を混同されることがありますが、これらの役割には明確な違いがあり、広報の中でもいくつかの種類があります。
本記事では、正しく広報のことを理解できるように、広報としての役割を果たすためにはどのような仕事やスキルが求められるのかを紹介します。
広報が担う業務の種類
前述の通り、広報には、会社と社会を繋げて自社の認知度を広める役割があります。そのため、広報の業務は社外にだけ向けて行われるのではなく、社内に向けて行われる場合があります。
一般的に、広報は「社内広報」と「社外広報」に大きく分類され、それぞれ担う業務が異なります。ここでは、社内と社外の広報業務がどのようなものなのかを紹介して行きます。
それぞれの業務について、しっかりと把握しておきましょう。
社内広報
まず、社内広報の役割とは、社内に向けて情報を発信し、必要な情報の共有や浸透を図ることで、社内コミュニケーションを活発化させることです。
この業務は、社員に企業理念や今後のビジョンなどを浸透させて組織としての意思統一をしたり、現在の自社と社会との関係性や、自社の取り組みなどを社内に周知したりすることが主な目的です。
社内に向けての情報発信は社内報やメールなどによって行われ、社内広報は常に社内で共有すべき情報の収集を行っています。
社外広報
一方、社外広報の役割とは、社外に向けて自社の情報を発信し、その認知度を広めることです。
その業務には、プレスリリース配信や取材依頼の対応、オウンドメディアの管理、イベントの企画などがあります。これらの業務を通して、社会に事業活動や事業方針などを社会に伝えます。
また、会社の評価や信用を大きく落とすようなトラブルや事故などが発生した場合には、その対応も行います。そのため、危機管理対応も社外広報の業務範囲となります。
広告と広報の違い
広報の業務には、自社の認知度を広めるためのプレスリリース配信や、取材依頼の対応などがあります。そのため、広報と広告の意味を混同してしまう人も多く見られます。
広報と広告は、発信元が異なります。
広告は、費用をかけてメディアから情報を発信します。一方、広報はメディアに取り上げてもらうために、自社から情報を発信するという明確な違いがあります。
つまり、広告の場合は費用を支払えば確実に宣伝ができるのに対し、広報ではメディアが取り上げてくれなければ、社会の一般層に情報を広められないということです。
IRとの関係性
「IR(Investor Relations)」も、自社を知ってもらうために情報を発信することです。
ただし、IRでは株主や投資家などに投資の判断材料となる経営や財務状況などの情報を発信します。そのため、広報や広告とはターゲットや発信する情報の内容などが違います。
広報が担う業務の役割4選
広報とは、会社と社会を繋げるために自社の認知度を広めることです。その役割を果たすにはいろいろな業務を担う必要があり、それらの業務にもそれぞれの役割があります。
ここでは、広報が担う業務の役割を4つ紹介して行きます。広報について理解するためにも、業務の内容とその役割を把握しておきましょう。
1:自社認知の拡大
広報の大きな役割1つ目は、会社の認知度を社会に広めることです。そのため、メディアに対してアプローチをすることや、メディア関係者と信頼関係を結んでおくことなども、広報の役割です。
認知度を広めるために、広報は自社の情報を発信します。また、その情報発信によってメディアに取り上げてもらうことも目的の1つです。
2:ブランディングの促進
広報の大きな役割2つ目は、ブランディングの促進です。
企業として活動を続けていくためには、まず自社が社会や業界の中で、どのようなポジションにいて、どのような活動や活躍が求められているのかを把握する必要があります。
それらを把握するための情報収集や、ブランディング促進のために情報発信することも広報の役割となっています。
3:企業とステークホルダーとの円滑な関係構築
広報の大きな役割3つ目は、多くのステークホルダーとコミュニケーションを取ることです。
「ステークホルダー」とは「利害関係者」のことで、企業にとってのステークホルダーは株主や顧客、経営者や社員など、非常に広い範囲になります。
企業がこれらのステークホルダーと円滑な関係を構築していくためには、企業のことをよく理解してもらい、良い関係を築いていく必要があります。
そのために必要な情報収集や情報発信をすることが広報の役割となります。
4:メディアリレーションとの良好な関係構築
広報の大きな役割4つ目は、メディアリレーションの良好な関係構築です。
「メディアリレーション」とは、メディアとの関係性のことです。広報は会社の認知度を拡大させるために、メディアに自社のことを取り上げてもらう必要があります。
しかし、プレスリリースを送付すれば、必ずメディアに情報を取り上げてもらえるというわけではありません。
メディアに取り上げてもらうために、普段からメディア関係者と信頼関係を築いておくことも広報の役割です。
社外広報の仕事内容5選
広報が社内広報と社外広報の2つに大きく分けられるのは既出の通りですが、同じ広報でも、仕事内容は異なります。
そのため、広報のことをもっと深く理解するためには、それぞれ具体的にどのような仕事をしているのかを把握する必要があるでしょう。
はじめに、社外広報の具体的な仕事内容を確認していきましょう。
1:プレスリリースの作成・配信
社外広報の大きな仕事として、プレスリリースの作成と配信があります。プレスリリースでは新商品やサービス、新しい事業展開など、自社の情報を発信します。
ただし、これらの情報は一般消費者向けではなく、主にメディアに取り上げてもらうことを目的に情報発信します。
ただし、プレスリリースの配信や送付をしても、必ずメディアに取り上げてもらえるとは限りません。そのため、先述のメディアリレーションが重要になります。
2:メディア関係者との良好な関係を築く
社外広報の大きな仕事は、自社の認知度を広めるためにメディアに情報を取り上げてもらうことです。
メディアにはネットやテレビ、雑誌などいろいろな種類があり、それぞれ持っている特性が異なります。それでも、メディアリレーションが重要ということに変わりはありません。
そのため、メディアに関する知識やメディアへのアプローチの方法なども身につけておく必要があります。
3:社会や業界の動向を知る
広報には、社会や業界の中で自社がどのようなポジションにいるのかを把握し、どのような活動や活躍が求められているのかを調べる役割もあります。また、これらを知るためには、社会や業界の動向を知る必要があります。
もし、社会や業界の動向が把握できていなければ、経営戦略や事業方針などを正しく立てることは難しいでしょう。
そのため、社外広報は会社が活動の方向性を正しく判断できるよう、外部の情報に対して常にアンテナを張って情報収集をします。
4:自社メディアやSNSを活用した情報発信
今では、ホームページやSNSのようなオウンドメディアによって、情報が手軽に発信できるようになっています。そのため、会社の認知度を広める方法は、メディアを活用したものばかりではありません。
オウンドメディアの活用には、発信する情報の内容を自由に決められたり、ユーザーとコミュニケーションが取れたりするなどのメリットがあります。
ただし、多くのユーザーに情報を届けるには、アクセス数やフォロワー数などを増やしてオウンドメディアを成長させる必要があります。さらには、不用意な投稿での炎上リスクなども考えられるため、デメリットも把握しておきましょう。
5:新商品のイベント企画
企業が新商品やサービス、新しい事業展開などを行う際に、関係者を集めて発表イベントをすることがあります。そのイベントの企画も社外広報の仕事です。
また、単純にイベントを開くだけでなく、イベントにはメディア関係者も招待して、情報を取り上げてもらえるように働きかけます。この際にも、多くのメディアを集めるためにメディアリレーションが重要になります。
社内広報の仕事内容6選
広報が社内に向けて情報を発信する場合は、社外に向けて情報を発信する場合とは方法や目的が異なります。
社外広報と社内広報の違いを把握するためにも、社内広報の具体的な仕事内容を知っておきましょう。
1:社内報の作成
会社では多くの人が仕事をしているため、他部署とあまり交流がなければ、他の部署や社員がどのようなことをしているのか把握できないことも多いでしょう。
しかし、「どこで、誰が、何をしているのか」を把握できなければ、組織としての意思統一が難しくなる場合があります。
そのため、社内広報は社内の情報を集めて、必要な情報を共有できるようにします。情報を社内共有する方法の1つとして発行されるのが「社内報」で、その作成も社内広報の仕事となります。
2:パブリシティの報告
広報の大きな仕事の一つに、自社の情報がメディアに取り上げてもらえるように働きかけることがあります。また、「社会や業界の中で自社がどのようなポジションにいるか」を把握することも、同じくらい大きな仕事です。
広報は、自社がどのメディアにどのような形で取り上げられ、その発信された情報は、社会や業界にどのような影響を与えたのかも把握しておく必要があります。
また、その内容は会社の経営戦略や事業方針の判断材料とされるため、会社に報告することも広報の仕事となります。
3:会社の最新情報
社員が会社の取り組みや事業方針などを把握していても、それらは状況や条件になどによって変わってしまう場合があります。
組織として意思統一をするためには、常に社内で最新の情報を共有しておく必要があります。そのため、社内広報では、社内報やメールなどを使って、定期的に最新の社内情報を社内に向けて発信し続けます。
4:社内報の企画書を制作
広報では、情報を共有化することで社内のコミュニケーションを円滑にすることも仕事となっています。また、その情報には、会社としての取り組みのような経営に関する情報だけでなく、社員の情報も含まれています。
それぞれの部署にいる社員と、その人となりを知っておくことで、社員間のコミュニケーションが円滑になります。また、社員紹介以外にも、社内イベントの情報や報告なども社員間のコミュニケーションの円滑化に繋がります。
このような情報を精査して、社内報に載せるかどうかなどの企画や制作をすることも社内広報の仕事となります。
5:製品の特徴・目的・販売目標などプレスリリース
新商品や新サービスの認知度を広めるために、それらの特徴や目的、販売目標などの情報をメディアに取り上げてもらうには、プレスリリースやイベント企画などが必要です。
これらの仕事は社外広報の仕事となりますが、プレスリリースやイベントによって得られた結果や影響を調べて、会社に報告することは社内広報の仕事となる場合があります。
6:事業展望資料の作成
会社の取り組みや今後の課題などの情報を社内で共有する場合、常に最新情報を共有できていなければ組織としての意識統一はできません。その情報を共有する方法として、社内報やメールなどが活用されます。
ただし、情報の内容によっては資料が必要となる場合があります。そのため、事業展望や事業報告などの情報を共有する際には、広報がその資料作成をすることもあります。
パンフレットやチラシ、プレスリリースなども広報資料に含まれますが、これらは社外広報の仕事となります。
広報とは?求められるスキル5選
広報の仕事は幅が広いため、求められるスキルも多くなります。
広報として仕事をしていくのであれば、どのようなスキルが求められるのかを事前に把握しておきましょう。
そして、自分に必要なスキルを身につけていくようにしてください。
1:PDCAサイクル運用する知識
広報の役割は、「会社の認知度を広めていくこと」のため、どのようにすれば、より認知度を広められるのかを追求していく必要があります。
そのため、メディアやオウンドメディアなどを活用して情報発信した場合は、得られた結果を分析し、次の情報発信に活かしていきます。
このようなPDCAサイクルを正しく回して、情報発信の効果を高めていくことが広報に求められるスキルになります。
2:日本語力・語学力
広報が情報発信をする際には、プレスリリースやオウンドメディア、資料などを活用することが多くなります。これらは、口頭での伝達ではなく、基本的に広報の担当者が文字で伝えます。
さらに広報は、メディア関係の担当者や、社内のいろいろな部署の人など、多くの人と関わりながら仕事をすることになります。
そのため、ビジネス上のコミュニケーションがしっかりと取れるよう、正しい日本語を扱えるスキルが求められます。また、企業によっては外国語を扱うことを求められる場合もあるため、事前に学習しておくと役立ちます。
3:コミュニケーション能力
広報の役割は、会社と社会の間に立つことです。また、広報の仕事は、社内だけでなく社外の人とも接することになります。
そのため、コミュニケーション能力がなければ、会社と社会の間に立って、正しく情報を伝えることはできません。また、コミュニケーション能力がなければ、ステークホルダーからの信頼を得られない原因ともなってしまいます。
そのようなことを避けるためにも、日常会話はもとより、広報にはビジネス上でのコミュニケーションをしっかりと取れることが求められます。
4:臨機応変に問題に対応し円滑におさめる力
広報の仕事には、トラブルや事故などへの危機管理対応も含まれています。
しかし、トラブルや事故のような突発的な問題は、マニュアルで対応できないことも多く、無理にマニュアル対応をしようとすると、物事が円滑に収まらなくなってしまう場合もあります。
そのため、広報には状況に合わせて臨機応変な対応ができる能力が求められます。また、事前にトラブルや事故を回避したり、起こった場合に備えておいたりなどの危機管理能力も求められます。
5:高い視点で物事を客観的に見る力
広報は、社会や業界内で自社がどのようなポジションにいるのかを把握する必要があります。その際に、個人的な意見や評価を含めてしまうと、自社の正しいポジションを把握できません。
そのため、広報には会社の人間でありながら、高い視点から客観的に自社の評価を見極められる力が求められます。
企業活動に必要な広報の重要な役割・仕事内容を理解しよう
広報の役割は会社と社会の間に立ち、自社の認知度を広めることです。
認知度が拡大していかなければ、企業活動を続けていくことが難しくなってしまう場合もあります。
また、広報の仕事は幅広いため、具体的にどのような仕事をしているのかよく理解しておくようにしてください。
本記事で紹介した仕事内容などを参考に、円滑な広報活動を行っていきましょう。