ROIとROASの違いとは?それぞれの計算式から使い分け方まで解説
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初回公開日:2021年07月19日
更新日:2024年05月31日
広告運用において重要なROIとROAS
広告運用にはROIとROASが重要だと言われています。
ROIとはReturn On Investmentの略で、投資に対してどの程度の利益が出たのかを示す数字です。広告の場合は、広告宣伝費という投資に対して、どの程度の効果が出たのかを示す指標と考えればよいでしょう。
ROASとはReturn On Advertising Spendの略で、広告宣伝費に対してその広告によって得られた売上を示す数字です。
どちらも広告に対する効果を示す指標なので、重要と言われています。
どちらも費用対効果の目安となる
ROIもROASも、かけた広告宣伝費に対してどの程度の効果が得られたのかという、費用対効果の目安になる数字です。両者の違いは、何で効果を確認するのかという点にあります。
ROIは利益を基にした指標、ROASは売上を基にした指標となっています。
ROIについて押さえておきたい4つのポイント
ROIを活用する際には、押さえておきたいポイントが4つあります。ここではROIのメリットとデメリット、計算式と計算例、そしてROIを改善するポイントについて、それぞれ説明します。
1:メリットは利益を可視化できる点
ROIは利益を可視化できるところがメリットです。広告にかけた費用(投資)に対して、どれだけの利益を生んだのかについて数字で表すことができるので、費用対効果を判断しやすくなります。
2:デメリットは長期的な運用には適していない点
ROIは長期的な運用には適していないところがデメリットです。利益で効果を見る指標なので、どうしても目先の利益が大きいもの、すなわちROIが高いものをよいと判断してしまいがちです。
長期的な利益を考えた広告、たとえば会社イメージの向上のような、すぐには直接的な利益に繋がりにくい広告などは、ROIが低く出てしまいますので、ROIの数値上ではよい広告と判断されにくくなります。
3:計算式
ROIは「ROI(%)=利益÷投資額×100」で計算します。利益と投資額は、指標を得たい項目に関する利益と投入した資源を入れます。
たとえば設備投資に対するROIの場合は、その設備投資で得られる増分利益と投資額を入れると計算できます。広告の場合は投資額のところが広告宣伝費となります。
計算例
以下に計算の一例を示します。
たとえば、500万円の広告宣伝費をかけて、その広告で得られた利益が100万円だったとすると、ROIは100万円÷500万円×100=20%となります。
別の例としては、300万円の広告宣伝費をかけて、費用が利益を上回って30万円の損失となってしまった場合だと、ROIは-30万円÷300万円×100=-10%となります。
利益が出ているとROIはプラスに、損失が出ている(利益が出ていない)とROIはマイナスになります。
4:ROIを改善するポイント
ROIを改善するにはどのようにすればよいのでしょうか。計算式を見れば、その答えを得ることができます。
計算式の分母をできるだけ小さく、分子をできるだけ大きくすればROIは大きくなります。つまり、投資(広告宣伝費)をできるだけかけずに、利益を大きくすればよいことになります。
余計なコストをかけずターゲットを絞って広告宣伝費を投入すれば、ROIは大きくなるでしょう。
ROASについて押さえておきたい4つのポイント
続いて、ROASを活用する際に押さえておきたいポイントを見ていきましょう。ROIの場合と同様に、メリットとデメリット、計算式と計算例、そしてROASを改善するポイントの順でそれぞれ説明していきます。
1:メリットは広告の運用効果がわかりやすい点
ROASのメリットは、広告の運用効果がわかりやすいところです。広告宣伝費に対してどれだけの売上を上げることができたか、すなわち投入した費用1円でどれだけ売上げたかを指標化しています。
費用1円あたりの売上額が数値化されていますので、複数の広告を打った際の比較が容易です。つまり、どの広告が効果的だったのか、どの広告に力を入れるべきなのかなどが数字で明確に示せます。
2:デメリットは知名度や実際の利益がわからない点
ROASのデメリットとしては、まだ一般的な知名度が低いことと、実際の利益がわからない点が挙げられます。
ROASは広告に対する指標数字なので、ROIと異なり財務指標等を示す数字に使われることは少ないのが実態です。そのため指標としての知名度がまだ低く、経営層に対してこの数字を使う場合は工夫が必要でしょう。
また、売上を使う指標数字なので、どれだけの利益を上げたのかを直接示すことができません。
そのため、広告宣伝費以外の経費がたくさんかかっていたり、原価が高かったりすると、売上とROASはプラスでも利益はマイナスということもありうるので、指標として使う際は注意が必要です。
3:計算式
ROASは「ROAS(%)=売上÷広告宣伝費×100」で計算します。直接、広告宣伝費を分母に使うことが特徴です。このため、広告の効果を直接数字として示すことができます。
計算例
ROIの時と同じ数字で、以下に計算の一例を示します。
ROIの時と同じく、たとえば500万円の広告宣伝費をかけて、その広告で得られた売上が1000万円だったとすると、ROASは1000万円÷500万円×100=200%となります。
別の例としては、300万円の広告宣伝費をかけて、300万円の売上を上げた場合、ROASは300万円÷300万円×100=100%となります。売上と広告宣伝費が同額なので、利益は出ていない(損失となっている)ことになりますので、この指標を使う場合は注意が必要です。
4:ROASを改善するポイント
ROASを改善するにはどのようにすればよいのでしょうか。ROIの場合と同様に、計算式を見ればその答えを得ることができます。
計算式の分母をできるだけ小さく、分子をできるだけ大きくすればROASは大きくなります。つまり、広告宣伝費をできるだけかけずに、売上を大きくすればよいことになります。
狙い目とするターゲット層を考えて、効果が得られやすい広告手法を選べば、ROASは大きくなるでしょう。
ROIやROASと一緒に覚えておくとよいCPAとは
Webマーケティングの世界では、広告の効果を測る指標としてROIやROAS以外に、CPAというものもあります。CPAはCost Per Acquisitionの略で、ユーザーの行動を1件獲得するためにかかった費用を示します。
ユーザーが広告を見た後に、資料請求や商品購入、サブスクリプションへの登録などの行動を起こすことをコンバージョンといいますが、CPAは「広告宣伝費÷コンバージョン数」で示されます。当然、CPAは小さい方が効果的な広告であると言えます。
ROIとROASをきちんと理解して広告運用に役立てよう
ROIやROASのような指標は、1つだけに注目しても効果が得られないでしょう。売上は高くても利益が低い場合などもあるため、これらの指標を組み合わせて総合的に判断する必要があるからです。
ROIとROASの内容をきちんと理解して、指標としてうまく活用し、広告運用に役立てていきましょう。