企業研究におけるIR情報の見方のポイント6つ|覚えておきたい用語もあわせて解説
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企業研究におけるIR情報の見方のポイント6つ|覚えておきたい用語もあわせて解説

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企業研究におけるIR情報の見方のポイント6つ|覚えておきたい用語もあわせて解説

記載されている内容は2021年11月22日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。

また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

初回公開日:2021年11月22日

更新日:2022年03月01日

IR情報を利用することで企業研究を行うことができます。本記事ではIR情報の見方のポイントや、IR情報を利用した自己分析や企業分析での見方、IR情報の見方で覚えておきたい用語などを紹介しますので、参考にしてみてはいかがでしょうか。

IR情報は企業研究に役立つ

企業研究におけるIR情報の見方のポイント6つ|覚えておきたい用語もあわせて解説
※画像はイメージです

IR情報の「IR」とは「Investor Relations(投資家向け情報提供)」を略したもので、企業が投資家に対して発信している情報です。

IR情報は、投資家がどの企業へ投資を行うのかを検討する材料になるのはもちろん、近年では就職活動を行っている学生もIR情報を参考に企業研究を行っています。

IR情報には企業の詳しい情報が集められているため、企業研究にも役立つものとなっています。

IR情報から得られることについて

IR情報に掲載された「有価証券報告書」や「財務ハイライト」などを参考にすることにより、企業がどのくらい成長しているのか、企業の売り上げや利益がどのくらいなのかといった情報が得られます。

IR情報では企業の純資産の比率や経営成績、事業別売上高などの詳しい情報が掲載されているため、これらの数値から客観的な企業の実態を知ることができます。

IR情報の見方のポイント6つ

企業研究におけるIR情報の見方のポイント6つ|覚えておきたい用語もあわせて解説
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IR情報は企業研究に役立つ資料として、就職や転職活動を行っている求職者が参考にしています。そのため、企業の広報やマーケティング担当であれば、IR情報の見方のポイントについても把握しておく必要があると言えるでしょう。

ここでは、IR情報の見方のポイントについて解説しますので、参考にしてみてはいかがでしょうか。

1:有価証券報告書の見方

IR情報に掲載されている情報の1つが「有価証券報告書」です。有価証券報告書は決算後の企業情報をまとめた書類となっており、企業の事業や設備の状況、財務状況などの幅広い情報が含まれています。

上場している企業の場合、事業年度が終了してから3カ月以内に提出する必要があります。ここでは、まずは有価証券報告書の見方について解説します。

出典:金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号) 第二十四条(有価証券報告書の提出) | e-Gov法令検索
参照:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC0000000025_20210501_502AC0000000050

企業の現状を外部に開示している資料になる

有価証券報告書は、企業の経営状況などを開示している資料です。有価証券報告書には「資産」「負債」「純資産」などの企業の財産状況や、「売上高」や「利益」などの経営成績、「事業別の売上高」などの情報が掲載されています。

また、従業員数や従業員の平均年齢、勤続年数や平均年間給与など、従業員に関する情報も開示されています。

経営成績は数年間を確認する

IR情報から企業の経営成績を確認したい場合、数年間の売り上げや利益を確認するようにしましょう。売上高や利益についてはIR情報の「損益計算書」でわかります。

損益計算書には企業の一会計期間の売上高や売上原価などが記載されているため、これらを使用することにより、売上高、売上総利益、営業利益、経常利益、税引前当期利益、当期純利益などを計上できます。

また、「財務ハイライト」としてグラフ化された情報がホームページに掲載されているケースもあるので、数年間のデータを確認することで売り上げや営業利益が順調に増加しているのか、もしくは一時的に増加、減少しただけなのかといった情報を知ることができます。

2:営業利益の見方

営業利益とは、本業で得た利益のことを指します。営業利益は売上総利益から販売費や一般管理費を差し引いた分の利益となっており、営業利益が高いほど利益の高い会社だと判断する材料になります。

企業が本業で得ている利益を知りたい場合には、営業利益をチェックする必要があります。ここでは営業利益の見方について解説しますので、参考にしてみてください。

当期純利益だけでは中身はわからない

当期純利益とは、税引前当期利益から法人税などの税金を差し引いた分の利益です。そのため、企業が事業年度のうちで最終的に得た利益を知ることができる項目となります。

しかし税引前当期利益は経常利益から特別利益や特別損失を差し引きした利益であるので、特別利益によってその年度だけ高い利益が出ている可能性もあります。そのため、当期純利益だけでは実際の企業実態を明らかにすることはできません。

当期純利益の高さから黒字か赤字なのかを知れる

当期純利益は最終的な利益となるため、トータルで見た場合の黒字や赤字が判断できます。前述のとおり、当期純利益は事業年度の会計期間の総売上高から売上原価や税金といったものをすべて差し引いた後に残った金額です。

そのため、当期純利益がプラスの場合は黒字、マイナスの場合は赤字であることがわかります。また、当期純利益がマイナス続きになっている企業の場合、事業からの撤退などが行われる可能性があると判断できるでしょう。

企業の強みを事業別売上高から見る

企業の中には、複数の事業活動を行っている企業も多いです。このような企業の場合、事業別(セグメント別)売上高を見ることで、その企業がどの事業に力を入れているのか、事業ごとにどのくらいの売り上げを上げているのかなどを見ることができます。

事業別売上高をもとにコア事業と他の事業での売り上げを比較すれば、その企業にとっての強みが見えてくるでしょう。

3:事業別データの見方

IR情報では事業別データとして、セグメントごとの情報を掲載しています。投資家が投資先の企業として判断するための情報は、トータルの利益や売り上げといった数字だけでは判断材料として不十分です。

ここでは、事業別データの見方について解説します。

セグメント別に参考にできる

セグメントごとの情報を参考にすることにより、企業が力を入れている事業などを知ることができます。現在注力している事業を知ることで、就職活動を行っている学生は将来的に企業が拡大させていきたい事業を推測することも可能になります。

事業によって仕事内容も変わってくるため、携わりたい仕事がある学生にとってはセグメント別の事業データは非常に重要になってくるでしょう。

前期の数字の差で好不調がわかる

セグメント別の情報を見る場合、前期との数字の差を比較することで企業の事業の好不調を知ることができます。企業の事業環境は常に変化しているため、前期との数字を比べると大きな違いがあるケースも多いです。

セグメント別の情報には数字しか掲載されていませんが、就職活動を行っている学生などには企業を取り巻く状況の変化を推測するヒントになります。

4:客観的な数字で企業の中を見やすい

企業のホームページや就活サイト、説明会などで知ることができる情報の中には、企業の主観が含まれている可能性もあります。中には企業に有利に働くように、内容をうまく工夫して記載されているケースもあるでしょう。

しかしIR情報には、事実としての数字しか記載されていません。そのため、企業研究を行う際にIR情報を活用することで、主観に左右されず客観的に企業の状況を知ることができます。

5:企業が抱えるリスク

企業が事業活動を行う場合、どのような事業であっても、失敗し撤退しなければならなくなる可能性は存在しています。そのため、IR情報では投資家へ向けて、企業が抱えている事業のリスクも開示しています。

リスクを開示することにより、投資家からの信用を得る効果も期待できます。IR情報を見る際には、企業の売り上げや利益だけでなく、リスクに対しても目を向けることが大切です。

6:社債の動向

IR情報から企業のお金に関する理解を深めるためには、社債も重要なポイントになります。社債は一般的に資金を獲得するための借金を指すケースが多いため、株式と違い社債には金利が発生します。

また、借金である社債は返す義務があるので、社債の発行を行っている企業には、資金返済ができる目途が立っていると判断できます。このような理由から、社債の動向に関して注視することにより、企業の資金繰りもチェックすることが可能になります。

IR情報の自己と企業分析での見方

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IR情報では企業の売上高や利益など、さまざまな客観的な数値が確認できます。就職活動を行う学生の場合、IR情報から読み取れる情報をもとに企業分析を行うことで、自己分析にも活かすことができるでしょう。

企業の広報やマーケティング担当者であれば、どのように企業分析や自己分析で利用できるのかも把握しておきましょう。ここでは、IR情報の自己と企業分析での見方について解説します。

中長期的な経営計画

IR情報の「中長期経営計画」を見ることで、企業の今後のビジョンが確認できます。中長期経営計画には、今後数年から数十年後までの戦略や経営計画などがまとめられています。

また、より詳しい内容については、次に説明する「総合報告書」で確認できます。

統合報告書について

「統合報告書」は「有価証券報告書」のような法的な資料と異なり、企業それぞれの個性がわかる資料です。統合報告書は主に企業の歴史や沿革、業績、事業内容、取り組み、中長期戦略、役員紹介、トップメッセージなどの内容が記載されています。

ここでは、統合報告書がどのように利用できるのかについて詳しく紹介します。

分析や質問の対策に使える

統合報告書の内容は、就活生にとって企業分析や質問対策に利用できます。企業の取り組みや今後の戦略などが記載されているため、これらの情報をもとにSWOT分析で企業の強みや弱み、市場機会や脅威といった項目を洗い出すことができます。

また、SWOT分析を行うことで面接時の質問に対して、具体的な回答ができるようになるでしょう。

将来像や取り組みを知ることができる

統合報告書には今後のビジョンや取り組み内容について具体的に記載されているため、企業の将来像や取り組みについて知ることができます。

また、プロジェクトについて具体的に記載されているケースもあるので、就活生にとっては入社後携わりたい仕事なのかどうかを判断する材料になるでしょう。

事業外の活動と社内制度も把握できる

統合報告書では事業活動以外の情報も掲載されています。たとえば、企業の歩みや社員メッセージ、環境問題に対する取り組み、産休や育休などの社内制度などについても把握できるでしょう。

IR情報の見方で覚えておきたい用語4つ

企業研究におけるIR情報の見方のポイント6つ|覚えておきたい用語もあわせて解説
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IR情報を使って企業研究を行う場合は、IR情報で用いられる用語についても意味を理解しておくことが大切です。たとえば利益に関連する用語だけでも、「純利益」「売上高」「営業収益」「営業利益」など異なる用語が存在しており、それぞれ指す意味も異なります。

ここでは最後に、IR情報の見方で覚えておきたい用語について解説します。

1:純利益

純利益とは、営業利益から営業外損益や特別損益などを差し引き、さらに法人税や住民税、事業税などの税金を支払った後の金額を指します。税金を支払うことは企業の義務であるので、税金を払った後の純利益が企業にとっての最終的な利益となります。

また、現在進行形で進んでいる会計期間の利益の場合は当期純利益と呼びます。

2:売上高

企業が商品やサービスを消費者に提供する代わりに、消費者から受け取る代金のことを売上と言い、売上の総額を売上高と呼びます。企業経営は売上高をもとにして行われるため、IR情報から企業の経営状況を確認する際には、売上高の確認が必須です。

会計的な知識を持っていないと売上と利益を混同してしまいがちですが、それぞれ違う言葉であることを意識することが大切です。

3:営業収益

営業収益とは、商品やサービスを売る営業活動によって得た収益のことです。企業が収益を得る方法にはさまざまなものがありますが、営業利益を確認することで、本業で得た収益を知ることができます。

一般的に、営業収益が企業経営を支えるものとなっているため、営業収益の数字が伸びていれば順調に企業経営ができていると判断できます。

4:営業利益

営業利益とは、売上総利益から販売費および一般管理費を差し引いた利益を指します。企業が商品やサービスを販売するには売るためのコストが発生しているため、利益として数字を出すには売上の利益からコストを差し引く必要があります。

営業利益が良い会社ほど、評価の高い会社であると判断できるでしょう。

IR情報の見方を知って企業研究をしよう

企業研究におけるIR情報の見方のポイント6つ|覚えておきたい用語もあわせて解説
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IR情報は投資家向けの情報ですが、就活生が企業研究を行う材料としても役立ちます。ぜひ本記事で紹介したIR情報の見方のポイントや、IR情報を利用した自己分析や企業分析での見方などを参考に、IR情報の見方について理解を深めてみてはいかがでしょうか。

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