ROIの計算方法とは?5つの分析ポイントや改善策など多数紹介
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初回公開日:2021年08月25日
更新日:2024年05月31日
ROIとはどのようなもの?
ROIとは、「Return On Investment」のそれぞれの単語の頭文字をつなげたもので、「ロイ」とか「アール・オー・アイ」と読みます。ROIとは、投資によってどのくらい利益を上げることができたのかを示す指標で、「投資収益率」や「投資利益率」と呼ばれます。
投資とマーケティングにおけるROIの違い
投資とマーケティングにおけるROIの意味合いについては、何も変わることはありません。どちらにしても、ROIが投資における利益の割合を表しているからです。
投資とマーケティングにおけるROIで違う部分があるとしたら、どのようにしてROIを当てはめていくのかという部分だけです。
投資でROIを使用する場合は、実際にかかったコストを投資額として算出します。それに対して、マーケティングでROIを使用する場合は、マーケティングによるコストを投資額として算出します。
マーケティングでROIが注目される理由
マーケティングの効果を測定するために、ROIに注目するケースが多くなっています。その背景は、少ない費用で効果的に利益を上げたいと企業が思っているからです。
大きな費用をかけて宣伝広告に力を入れたとしても、それに見合う利益につながらなければ意味がありません。ROIに注目することで、常にかけた費用に対する利益の割合に注視して、効果を測定できます。
ROIの計算式
ROIの計算式は、「ROI(%)= 利益額 ÷ 投資額 × 100」です。実際に利益額を計算する場合は、「利益額=売上額-売上原価-投資額」になります。
それでは、実際の例を見ながら計算方法を確認してみましょう。売上額が500万円、売上原価が200万円、投資額が200万円という例でROIを算出してみます。
利益額は「500万円-200万円-200万円=100万円」です。よってROIは「100万円÷200万円×100=50%」となります。
ROIの計算結果を分析するポイント5つ
ROIの計算をしたままでは意味がないため、計算後にしっかりとROIの分析を行う必要があります。
ここでは、ROIの計算結果をどのように分析すれば良いのかというポイントを5つに分けて紹介いたします。
1:金額の規模が違う事業を比較できる
会社は、金額の規模が違う事業を同時に行っている場合もあります。その時に、利益額の大小だけで投資効果を図ることはできません。
金額の規模が違う事業を比較する場合は、ROIの数値を使います。ROIの数値を考慮に入れることで、利益ベースで事業の採算性を見極められます。ROIの数値が高いほど、事業の採算性が高いと判断が可能です。
2:異なる業種の比較には不向き
業種が異なればROIの水準が異なるため、同一条件でROIを比較検討することができません。業種が異なればビジネスモデルなどが異なるので、ROIの数値だけで単純に比較できなくなるからです。異なる業種間でROIの数値の比較をするのは止めておきましょう。
3:ROIが低くても失敗とは限らない
ROIは投資対効果を示す数値です。その時にROIが低いからと言っても、必ずしも失敗ではない点に注意しましょう。
必要に応じて設備投資や不動産投資などを行っているので、その時の投資額が大きく膨らむことがあります。投資額が大きくなれば、ROIの数値は小さくならざるを得ません。
ROIが低いというだけで失敗とみなすのは、とても早計なことです。ROIが低い場合は、投資額の中身を精査してから失敗かどうかの判断を行いましょう。
4:長期的な利益を目指す施策には不向き
ROIは、計算した時点での投資に対する利益の割合を示しているに過ぎません。そのため、その時点でROIの数値が悪いからと言っても、投資が失敗であるとは言えないのです。
そのため、長期的な観点で投資をする場合は、ROIの数値を見ただけで効果が出たかうまく判断がつかない可能性があります。そのため、長期的な利益を目指す施策には不向きです。
5:事業の成功と失敗が数値で判断できる
ROIを算出することで、事業が成功しているのかどうかが数値で確認できます。実際に行った事業の効果を数値により客観的に確認可能です。
ROIの数値が100%を超えると、投資した費用に比べて利益が上回っています。数値が大きくなればなるほどより成功していると言えます。
その反面、ROIの数値が0%未満の場合は、その事業自体が赤字なので、失敗していると言えるでしょう。マイナスが大きくなればなるほど、効果が薄いと判断できます。
ROIが低い時の改善策3つ
何らかの理由でROIの数値を改善する場合に、どのようなことを意識したら良いでしょうか。ここでは、ROIの数値が低い時に、改善した方が良いポイントを3つ紹介いたします。
1:投資額を削減する
ROIの計算式を見てもらうと分かるように、利益が同じであっても、分母にあたる投資額を減らせれば、ROIの数値は大きくなります。投資額を減らすことで、ROIの改善につながるからです。
投資額を減らす方法として、事業における無駄を省いたり、事業の効率化を行ったりする方法があります。事業におけるコスト削減を徹底的に行うことが肝心です。
2:価格を上げる
ROIの数値を上げるためには、単純に利益が上がれば良いと言えます。利益を上げる方法の一つとして、価格を上げることが考えられます。価格を上げても、販売数が変わらないならば売上が上がり、それにつれて利益も上がるので、結果的にROIの数値が上がるのです。
とくにプレミアム商品の存在は、ROIの数値を上げるのにうってつけです。ブランドイメージや商品イメージにプレミアムがつけば、価格を上げたとしても、購入してもらえる可能性が高くなります。
3:原価を下げる
利益を上げるもう一つの方法は、売上原価を下げることです。売上原価とは、実際に販売した商品の仕入れや製造にかかった費用のことです。売上原価を下げる方法は、仕入れ先の見直しや製造工程の効率化などになります。
利益額が「利益額=売上額-売上原価-投資額」の計算式で算出できるので、売上額がそのままの状態で売上原価が下がれば、利益額がアップします。利益額がアップすれば、ROIの改善につながるでしょう。
ROIと似ているROASとは?
ROIと似た指標としてROASという指標があります。ROASとは、「Return On Advertising Spend」のそれぞれの単語の頭文字をつなげたもので、投資した広告費に対して、どのくらいの売上を上げたのかを示す指標です。
ROIは投資額に対する利益の割合を示したものに対して、ROASは投資額に対する売上の割合を示したものです。どちらの指標も、数値が大きくなればなるほど効果が大きいことを示します。
ROIを計算してマーケティングに活かしてみよう
ここでは、ROIの計算方法や分析するポイント、数値が低い時の改善策などについて紹介してきました。
ROIを活用することにより、どのくらいの投資効果があったのかが客観的に分かります。投資効果を測定したい場合は、ROIを実際に算出してみて、その結果を確認したうえで、しっかりとマーケティングに活かしてみましょう。