ROIとROASの違いとは?使い分け方を知って広告の成果を測ろう!
記載されている内容は2021年08月25日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。
初回公開日:2021年08月25日
更新日:2022年03月03日
ROIとは?
ROIとは、投資した費用に対して、どのくらい利益が出たのかをパーセンテージで表した指標のことです。「Return On Investment」の略称をいい、日本語に訳すと、投資収益率や投資利益率となります。
ROASとは?
一方で、ROASとは、広告費とその広告によって生じた売り上げを比較して、広告の効果を確かめる指標です。「Return On Advertising Spend」の略称で、日本語に訳すと、広告費用の回収率、費用対効果となります。
ROIとROASの違いは?
ROIとROASの違いは、ROIが投資に対する利益に対して、ROASは投資後の売り上げの効果を表しています。
つまり、ROIが利益のパフォーマンスを見る指標に対して、ROASは売り上げのパフォーマンスを見る指標である、と理解すると良いでしょう。それぞれ必要に応じて、指標を使い分けていく必要があります。
ROIとROASの計算方法について
ROIとROASはそれぞれ異なる指標でしたが、算出する計算方法も違ってくるため、紹介していきます。計算方法を覚えて、それぞれ必要な場面に効果的に活用していきましょう。
ROIの場合
ROIの計算方法は「利益÷投資額×100」です。この式にある「利益」は、売り上げ金額から原価や投資額といった費用を差し引くことで算出が可能です。投資額以上の利益が出ていれば、100%より高い数値になります。
ROASの場合
次にROASの計算方法は「売り上げ÷広告のコスト×100」です。この式にある「広告のコスト」は掲載料等を指します。計算によって出された数値が高いほど、広告の効率が良いということになります。
ROIにおける3つのメリット
ROIを活用することで、投資に対する効果を数値化できます。
特にマーケティングでは、投資にどのくらいの予算を配分するべきかの判断の資料の1つにROIを活用しています。ROIを見ることで、これまでの施策の効果を検証するとともに、今後どのような事業や広告に、費用を使えば良いのかも検討することができます。
ここからは、ROIにおけるメリットを紹介します。
1:費用対効果がわかる
1つ目は、費用対効果がわかることです。ROIは、先ほどから述べているように特定の投資に対して、効果を測定することができます。
そのため、現在取り組んでいるビジネスが成功しているのか、収益を上げているのか、また、別のビジネスモデルではどうなのかということも測定できます。また、比較も可能です。
2:規模が違う事業の採算性が比較できる
2つ目は、規模が違う事業の採算性を比較できることです。ROIは投資に対する利益の度合いを具体的な数値で示すことができるため、規模が違う事業であっても、採算性の比較は可能です。
例えば、A、Bというそれぞれ異なるプロジェクトがあった場合、両プロジェクトごとのROI値を算出します。より高い数値が出たプロジェクトが費用対効果が高いとわかり、集中投資という選択を取れます。
3:施策の単位で計算ができる
3つ目は、施策の単位で計算ができることです。ROIは事業やプロジェクトといった大きさではなく、日々の業務、従業員ごとの作業など小さいことからも効果測定ができます。
算出された数値によって、適切なコスト配分、人員配置ができて、従業員の負担軽減と共に収益率アップにも図ることが可能です。また、ROIは通年通した施策だけでなく、季節や時節ごとの単発的な施策の効果測定、事業所や店舗ごとの効果測定にも活用できます。
ROIにおけるデメリット
ROIは先ほど述べたようにメリットがあり、多くのプロジェクトで効果測定ができます。しかし、一方でデメリットも存在しています。ここからはROIのデメリットを紹介していきます。
長期間を見据えている広告運用の利益は測れない
1つ目は、長期間を見据えている広告運用の利益は測れないことです。
長期的な広告運用例として、SNSによる広告で考えてみましょう。SNSはフォロワー数や定期的な投稿によって、成功事例や失敗事例といったノウハウを蓄積して、適正なユーザー層に刺さる広告を提供することで、利益を得ていきます。
これは短期的な運用では利益や結果は出にくく、長期的な運用が必要になってきます。短期的な期間でROIを算出すると、数値は低くなり、費用対効果が低いと判断される可能性があります。
しかし、長期的な期間でROIを算出すると数値が高くなり、費用対効果が高いと判断されることもあるのです。
数値化できない利益は測れない
2つ目は、数値化できない利益は測れないことです。
例えば、企業のイメージをよくするためにボランティア活動をすることや知名度を上げるために広告掲載すること、店舗の雰囲気を変えるためにインテリアの変更、建物のバリアフリー化のための投資といったものが挙げられます。
このような活動や投資といったものは、そのものが影響を及ぼして利益が出たのかを考えにくいと言われています。そのため、ROIに反映されにくく、ROIのみで判断すると、売り上げには繋がらず、直接貢献しない利益を見逃してしまう危険性もあります。
ROASにおける3つのメリット
今までROIのメリットとデメリットを紹介してきました。ここからはROASのメリットを紹介していきます。投じた費用に対してどのくらい成果が出たのかを示すROASの活用を踏まえて紹介します。
1:広告が売り上げに貢献しているかがわかる
1つ目は、広告が売り上げに貢献しているかがわかることです。
ROASを算出することで、出した広告1円分に対して、どれだけの効果があったのかがわかるようになります。どの広告が売り上げにどのくらい貢献しているのかというだけでなく、どの広告に効果がなかったのかも判断ができます。
これらの数値化された情報は、今後の各広告戦略において、どのくらい予算を配分するのかなどといった指標にもなります。
2:算出するためのデータが入手しやすい
2つ目は、算出するためのデータが入手しやすいことです。ROASの算出に必要なデータは、広告費用と広告経由による売り上げです。これらの過去のデータは多くの会社では残していることが多いため、入手することは比較的容易です。
3:ROIよりもハードルが低め
3つ目は、ROIよりもハードルが低めということです。
ROIは広告費用に対しての利益率の指標です。ROIのデメリットも挙げましたが、数値化できない利益を測ることが難しく、ROIに反映されているかの判断が難しい時もあります。一方で、ROASは広告費用に対しての売り上げです。
算出に必要なデータも先ほど挙げたように、広告費用と広告経由による売り上げと入手データが比較的容易であるため、測定のハードルはROIに比べて、低いとされています。
ROASにおけるデメリット
これまでROASのメリットを紹介してきました。ROIと同様にROASにもデメリットが存在します。ここからはROASにおけるデメリットを紹介します。メリットと比較して、参考にしてみてください。
利益が実際に出ているかは測れない
1つ目は、利益が実際に出ているかは測れないことです。
ROASは先ほど紹介したように、売り上げベースで広告の費用対効果を判断します。投資した広告費に対して、実際に利益が出ているのかどうかはわかりません。
ROASで算出された数値が高くても、実際に蓋を開けてみたら、投資した広告費が高くて、利益が少ないもしくは赤字だったということもあり得ます。ROASの数値だけでは全体の把握は難しいと言えます。しかし、広告などの1つ1つの事柄の判断にはROASは役立ちます。
認知度が低い
2つ目は、認知度が低いことです。
ROASはROIと比べて、認知度が低いというのもあり、ROIとよく混同してる方がいます。ビジネスの場でROASという用語を用いて話をしても言葉を知らず、理解されなかったり、ROIと混同して、誤った認識で理解してしまう危険があります。
そのため、説明側が言葉の意味をきちんと理解した上で、相手にもわかりやすい言葉で伝えることが大切です。
ROIとROASの他に知っておきたい3つの指標
今まで紹介してきたROIとROASは、投資した広告費における利益と売り上げの指標でした。この2つを押さえたからといってweb広告の運用やマーケティングに対して最善策を取れるかというと、そうではありません。
ここからはROIとROAS以外にも、知っておいた方が良い3つの指標を紹介していきます。その3つは、『CPA』、『LTV』、『CVR』です。それぞれの詳細はこの後紹介していきます。是非ともこの3つは合わせて学んでおきましょう。
1:CPAについて
1つ目は、CPAです。
CPAとは、日本語で『顧客獲得単価』と表すことができます。『顧客獲得単価』とは、1件の成果や顧客を獲得するの掛かった広告費用がどの程度なのかを表しています。
英語で『Cost Per Acquisition』の略称です。ここでの成果は、商品の購入、会員登録、サンプルの申し込み、問い合わせなどです。
CPAの算出方法は、『コスト÷コンバージョン数』です。コストは広告に掛かった費用で、コンバーション数は獲得した成果です。算出された数値が低ければ効率的に広告運用ができていて、数値が高いと広告費用が高く、効率が悪いと判断できます。
2:LTVについて
2つ目は、LTVです。
LTVとは、日本語では『顧客生涯価値』と表されます。これは、顧客1人がその会社に対して、どのくらい利用するのかを算出する指標のことです。英語で『Life Time Value』の略称です。
LTVの算出方法は、『平均顧客単価×収益率×購買頻度×継続期間』です。これは一例で、業種や商材によっては、計算方法が異なる場合があります。LTVを算出することで、顧客1人1
人の収益分析ができます。
また、分析を元に新規顧客獲得のための戦略を考えることが可能です。
複数の施策を取り入れている場合は、施策ごとにLTVを算出することで、どの施策から獲得した顧客のLTVが高いかを比較して、適切な施策を考えることができます。
3:CVRについて
3つ目は、CVRです。
CVRとは、コンバージョン率のことであり、アクセスに対するコンバージョンの割合を指します。マーケティングにおいて、コンバージョンとは、事前に設定した最終的な成果を、ユーザーが達成することを指します。
CVRの算出方法は、『コンバージョン数÷サイト訪問数×100』です。CVRの平均値はLTVと同様に業界や商材によって変わります。そして算出された数値の低い高いに一喜一憂するのではなく、数値の推移に着目しましょう。
下がり続けているのであれば、原因を追究し、改善と検証をして、数値が上がるようにしていく必要があります。
ROIとROASの違いを理解して広告運用に役立てよう
マーケティングにおいて、ROIとROASを取り入れることで、適切な施策を考えることができます。しかし、この2つは意味が大きく異なるため、まずは言葉の意味から理解するようにしましょう。
そして、1つだけしか取り入れるではなく、他の数値も導入して、複数を組み合わせ、検討することが大事になってきます。