ABC分析を活用する3つの手順|パレートの法則とロングテール
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初回公開日:2021年11月22日
更新日:2024年10月15日
ABC分析とは?
ABC分析とは、「売上高」「販売個数」「売上利益」などの指標から、重要視する指標を定め、重要度の高いものからA・B・Cに分類して管理する手法です。
主に売上分析の場で用いられます。また、対象を変えることで多くの場面で活用可能な分析方法です。今回は「重点分析」とも呼ばれるABC分析の活用方法について解説をしていきます。
パレートの法則
パレートの法則は「全体の利益の8割は2割の商品で構成されている」といった考えです。経済・社会学者のV.パレードによって提唱された法則になります。「80:20の法則」とも呼ばれている法則です。
ABC分析は、パレートの法則をベースにしています。パレートの法則を簡単にいうと「2割の従業員が全体の8割の利益を出している」「2割のファンが全体顧客の8割の売上を占めている」「2割の商品が全体売上の8割を占めている」といったことがパレートの法則です。
ロングテール
ABC分析を活用する際には、ロングテールを押さえておくことが重要といえます。
ロングテールではまず、ABC分析で商品を売れ筋A、通常在庫B、見直し商品Cと分けてグラフ化します。売れ筋の商品であるAのように瞬間的な売上はないものの、長い期間で見ると、Cの商品が長い尻尾のように持続的に売上を伸ばしている現象がロングテールです。
ロングテールは「個別には売上貢献比率は低くても、合計すると大きな売上を占める」現象になります。
ABC分析を活用する3つの手順
ここからはABC分析を活用する手順について解説を行います。ABC分析を活用するシーンは多々ありますが、ここでは「売上」を指標とした場合のABC分析活用方法を紹介します。
ABC分析を活用するための手順は3つです。それぞれ順番に解説していきます。
1:データの準備
ABC分析を活用するには、必要なデータを準備する必要があります。ABC分析を売上分析に活用する場合に必要なデータは「商品の売上高」「利益率」「回転率」などです。データが集まれば、表計算ソフトなどで分析をします。
売上分析を行う場合には、売上金額の高い順番で並べかえられる設定にして、表計算ソフトで分析をしていきましょう。
2:構成比の計算
ABC分析を活用するには、全商品の売上における、商品の比率を計算する必要があります。商品の売上比率を出す方法は、比率を出したい商品を全体売上から割り算計算することで算出することが可能です。
ここで算出された比率が、売上の構成比になります。算出された売上構成比の大きな順に並べることで、分析をしやすくします。
3:ABCに分類
商品の売上構成比を行い「累計構成比」を算出します。累計構成比は、それぞれの商品の売上が、全体の売上に対してどの程度の割合なのかを算出した数字です。
売上構成比をベースにして、構成比の大きい順番に並べます。並べた後、商品の売上構成比を合算することで、累積構成比を求めることが可能です。
累積構成比を求めた後は、構成比が70%、20%、10%といったグループに分けます。A=70%、B=20%、C=10%といった感じです。数字の比率は、状況によって変更を行っていきましょう。
ABC分析の活用法
ABC分析は、多くの分野で活用することが可能です。数値化可能であれば、売上でも営業成績でも在庫管理でも活用できるでしょう。誰が業績に貢献しているのか、また、どの商品が売上の比率を占めているのかなどをABC分析の活用で知ることが可能です。
ここでは、ABC分析の活用方法に関して、解説をしていきます。
Aグループの商品
ABC分析の活用方法ですが、売上比率や業績に貢献している商品群をAグループとします。売上比率の高い商品群であるAに関しては、さらに売上を伸ばすために宣伝費用を強化したり、社内の主力商品としてプッシュすることも有効でしょう。
主要なグループであるAグループには、積極的な追加投資をしながら、さらなる売上アップを狙いましょう。
Bグループの商品
ABC分析におけるBグループは、いわゆる普通の商品群です。売上に貢献していないことはないがAグループほどメインではないグループがBグループになります。
Bグループ商品の場合、可もなく不可もなくといった状態のため、そこまで大きく手を入れずに現状維持という方法でもいいでしょう。余計な手を入れて、逆に売上が落ちていくリスクを背負うことは避けるという方法です。
Cグループの商品
Cグループの商品は、いわゆる売れない商品群です。 Cグループの場合、販売促進のための企画を行うなどの方法や、これ以上在庫を抱えない様にするといった判断が必要になる可能性があります。
Cグループの商品は、長い期間をかければ少しずつ売れていくかもしれませんが、何かしらの対策が求められる商品群であると考えられます。
ABC分析による現状把握と対策
ABC分析を活用することで、現状把握ができ、その後の対策も可能です。例えばAの商品が「売れ筋商品」Cの商品が「売れない商品群」という現状が理解できた場合、Aの商品群へ特に力を入れていくこともできます。
また、Aの商品群の販売活動を強化したり、在庫を切らさないようにするなどの努力も必要です。Aの商品群は主力商品のため、販売活動強化や在庫管理をしないと機会損失を出す可能性があります。
逆にCの商品群に関しては、在庫処分キャンペーンを行ったり、追加在庫をおかないといった検討をする必要があるでしょう。
ABC分析を行う際の注意点
ABC分析は、対象を重要度によって分類する手法です。つまり、分類された対象同士の結びつきなどは考慮されていない分析手法といえます。
Cランクの商品が「単発で売れない商品」であったとしても、Aランクと密接な関係性を持つ商品であった場合、Aランクとの組み合わせで売れている可能性もあります。その状況でCランクの商品を排除してしまうと、Aランクの商品売上も鈍ることも考えられます。
ABC分析は、各グループの結びつきは考慮されていない点を注意しましょう。
総合的な観点からの対応も考える
ABC分析を活用する場合には、総合的な観点からの対応も考えることが重要です。季節的な影響や流行、特別な割引などが影響で、一時的に売れた商品がAグループに属していないのかを確認しておきましょう。
一時的に売れた商品を売れ筋商品と勘違いして、過剰在庫になってしまうケースもあります。一過性の売上で判断せずに、総合的な視点でABC分析を活用していきましょう。
インターネットのケースではロングテールも重要になる
インターネットのケースでは、ロングテールも重要になります。ロングテールは、ニッチなCグループの商品の総売上がメイン商品のAグループの商品総売上を超えることを指します。
インターネットでの商品販売の場合、実店舗とは違い、在庫を大量に抱えずに大量の商品をインターネット上に出品することが可能です。
そのため、爆発的な売上はないにしてもコンスタントにCグループの商品が地道に売れていくことで、Aグループの総売上を抜いてしまうこともあります。インターネットでは、ロングテールの考えも重要といえます。
ABC分析の活用法についての理解を深めよう!
今回は、ABC分析についての解説でした。ABC分析は、現状の把握からその後の対策まで活用できるでしょう。注力する商品はどれか、在庫を減らす商品はどれかといった商品の見える化が可能です。
そのため、経験則に頼らずに、データをベースにした商品管理、経営判断ができます。今回の記事を参考に、ABC分析を活用していきましょう。