デジタルタトゥーとは?実際の事例からリスクと削除方法・残さないための対策を解説
記載されている内容は2025年12月01日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。
初回公開日:2025年12月01日
更新日:2025年12月01日
インターネットを通じて、誰もが手軽に情報発信できるようになった現代。
ネット上でのコミュニケーションが活発に行われるようになったり、日常的にも、また企業の広告などの面でも利便性が高まっていますが、同時にリスクも存在します。
そのひとつが、「デジタルタトゥー」です。
ネット上でタトゥーのように残り続けるデジタルタトゥーは、果たしてどのような影響を及ぼすのでしょうか。
今回はデジタルタトゥーの事例から削除方法、またデジタルタトゥーを防ぐための対策までご紹介します。
デジタルタトゥーとは?
デジタルタトゥーとは、過去に発信した画像・動画や発言などの情報が、インターネット上に残り続けてしまうこと、また残ってしまった情報そのもののことを指します。
ネット上の情報はスクリーンショットなどで第三者が保存、拡散できるため、一度拡散されれば削除したとしても完全に消すことが難しいという点から、タトゥー(刺青)に名とえられているのですね。
1-1. デジタルタトゥーの種類
デジタルタトゥーには、以下のようないくつかの種類があります。
・個人情報流出
・犯罪歴・逮捕歴
・リベンジポルノ
・誹謗中傷・デマ
・バイトテロなどの悪ふざけ
意図せず起こしてしまうことも多い個人情報流出や過去の犯罪歴・逮捕歴、また元交際相手からのリベンジポルノなど、その種類は様々ですね。
過去の不祥事が再度拡散してしまったり、過去に受けた誹謗中傷・デマなどが不特定多数に広がってしまったりと、デジタルタトゥーは企業にとっても重大なリスクとなり得ます。
事例から知るデジタルタトゥーの恐ろしさ
より具体的にデジタルタトゥーの恐ろしさを知るために、実際の事例を見てみましょう。
近年、企業に影響を与えるデジタルタトゥーとして話題になったのが、大手回転寿司チェーン店での悪ふざけ動画の事例です。
とある店舗で醤油さしの注ぎ口などを舐めるといった悪ふざけ動画を少年がSNSで発信したところ、大きく拡散し、企業にも来客数の減少・株価が下がるといった大きな影響を及ぼしました。
その後は企業側が損害賠償を求めるなど調停にまで発展し、最終的には訴訟は取り下げられましたが、動画を上げた加害者側はもちろん、企業側にとってもデジタルタトゥーとして刻まれてしまった事例です。
デジタルタトゥーによるリスク
前述した事例のように、デジタルタトゥーは個人にも企業・組織にも大きな悪影響を与えかねない様々なリスクを秘めています。
3-1. 個人への悪影響
個人への悪影響として考えられるのは、次のようなものです。
・社会的制裁を受ける
・就職・結婚の妨げになる
・情報を犯罪行為に利用される危険性がある
・家族にまで被害を及ぼす可能性がある
不適切な言動などが拡散されてしまった場合には、社会的制裁を受ける可能性があります。
また、過去のそういった言動や犯罪歴などがネット上に残っている場合、企業が採用を決める際に妨げになったり、結婚相手やその親族から反対を受けてしまうといったこともあるでしょう。
個人情報が流出してしまった、また炎上により特定されてしまった場合、迷惑行為や詐欺など、犯罪行為にその情報を利用される危険性もあります。
顔や住所などが流出してしまっている場合、これらの被害が家族にまで及ぶことも考えられるでしょう。
3-2. 企業への悪影響
続いては、企業に起こり得るデジタルタトゥーの悪影響です。
・企業イメージの悪化
・取引先などからの信頼低下
・採用活動への悪影響
・犯罪行為に巻き込まれるリスク
不適切な投稿や不祥事などがあれば、もちろんそれを見たユーザーからの企業イメージは悪化してしまうでしょう。
またユーザーだけでなく、取引先などからの信頼も失い、取引停止や売上減少などにつながってしまう可能性もあります。
さらに、個人の方でもご紹介したように、個人情報が流出してしまった場合などは、付きまといや詐欺など、犯罪行為に巻き込まれるリスクも高まってしまうでしょう。
デジタルタトゥーを消すことはできる?
それでは、デジタルタトゥーを消すということは可能なのでしょうか。
結論から言えば、1章でもご紹介したように、スクリーンショットなどで保存が可能なため、完全に削除するというのは難しいでしょう。
ですが、大元の情報削除やデジタルタトゥーによる風評被害を目立たなくさせるための風評被害対策は可能です。
4-1. 情報・書き込みの削除依頼
削除したい情報がある場合には、そのサイトの運営者などに削除依頼を行いましょう。
サイトで問い合わせ用のフォームなどが用意されていることもありますので、そういったところから削除したい理由とともに削除を依頼します。
ただ、依頼を行っても必ず削除できるわけではなく、削除に応じてもらえないこともありますし、過去のサイトなどですでに閉鎖している、ということもあり得ます。
弁護士に依頼し法的効力を持った削除依頼を行えば可能性を高めることは可能でしょう。
4-2. 風評被害の対策
完全にデジタルタトゥーを消すという方法ではありませんが、
・評判回復のための施策
・検索結果の改善(表示されにくくする)
・SNSなどの監視策
など、風評被害への対策を行うことで、被害拡大を防ぐという方法もあります。
効果的に行いたい方は、専門の対策会社への依頼がおすすめですね。
企業がデジタルタトゥーを残さないための対策
デジタルタトゥーは企業にとっても大きなリスクとなってしまうため、そもそもデジタルタトゥーを残さないよう、予防のための対策を行うことが重要です。
企業がデジタルタトゥーを残さないために行える対策としては、以下のようなものが挙げられます。
・ガイドラインの策定
・従業員研修
・チェック体制の整備
それぞれ詳しく見ていきましょう。
5-1. ガイドラインの策定
まずは、SNSでの発信に関して、ガイドラインを策定するということです。
企業公式アカウントはもちろん、従業員の個人アカウントのデジタルタトゥーが企業に多大な影響を与えることも大いにあり得ます。
投稿の際には個人情報や企業の情報を含めないことや、公式アカウントの発信は属人化しないよう複数人で運営することなど、不適切な投稿を防ぐために明確なルールを定めておきましょう。
5-2. 従業員研修
前述のガイドラインの周知とともに、従業員に対してSNS利用のコンプライアンスやネットリテラシー教育のための研修を行うのも効果的です。
実際の事例なども踏まえてどのような事態を招くか、そのリスクからしっかりと知ることで、ルールを守る理由も理解でき、意識向上につながります。
5-3. チェック体制の整備
公式アカウントでの発信時には、事前にダブルチェックを行える体制を整えておくことも重要です。
チェックを怠ると、個人の判断で気づかずに不適切な投稿を行ってしまう可能性も高まるでしょう。
また、チェック体制を整備しておきたいのは公式アカウントだけでなく、SNSなどでのデジタルタトゥー・炎上につながりそうな投稿すべてに対してです。
目視、またはツールの利用や専門の対策会社に依頼することで、各SNSなどで企業への悪評など、リスクにつながりそうな投稿をいち早くチェックし、迅速に対処するモニタリングが可能です。
まとめ
今回の記事では、インターネット社会となる現代での大きなリスクのひとつであるデジタルタトゥーについて、デジタルタトゥーが個人・企業に与える影響とともに、企業がおこなうべきその対策についてご紹介しました。
デジタルタトゥーを放置すること、また残してしまうことは企業経営に関わる大きなリスクになりかねません。
モニタリング体制の整備や従業員への教育の徹底など、未然に防ぐ対策を心がけましょう。