マーケティング分析の9つのフレームワーク|役立つ用語や代表的な方法も紹介
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また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。
初回公開日:2021年11月22日
更新日:2024年10月15日
マーケティング分析とは
マーケティング分析とは、マーケティング活動がどのように利益となったのか、自社でデータを集めて次の戦略立案に役立つよう解析することです。
マーケティング分析することにより、新規顧客へのアプローチ方法や、商品のプロモーション活動などについて、効率的で利益につながるような活動が可能となります。
マーケティング分析はなぜ重要?
マーケティング分析が重要とされている理由は、マーケティング分析から収集した情報を元に効果的に製品のプロモーションや顧客に向けてのアプローチなどが行えるからです。
効果的に製品のプロモーションや顧客に向けてのアプローチなどができれば、効率的に利益を上げることが可能となります。
マーケティング分析の代表的な方法6つ
マーケティング分析には、さまざまな手法があります。以下は、マーケティング分析の代表的な方法6つです。こちらでは、具体的にどういった目的で行われるマーケティング分析なのか、その結果からどういったことが導き出されるのかなどを、紹介しています。
マーケティング分析するときの参考にしてください。
1:顧客の分析を行なう
顧客の分析は、顧客の満足度の改善や、購買率を上げるために行われます。顧客の分析から提供しているサービスは、顧客のニーズと合っているのかといったことが理解可能です。
顧客のニーズが理解できれば、アプローチする対象を明確にできます。そのため、顧客を分析すれば、どのように顧客へアプローチすればよいのかが理解できるため、事業拡大や認知拡大などの事業戦略を立てるときに役立つでしょう。
2:価格の分析を行なう
価格の分析は、現在提供している、もしくはこれから提供することとなる、商品やサービスの価格を決定するために行われます。
過去のデータがない新規の商品やサービスを提供するとき、適当な価格をつけることはできないため、価格を分析し適性価格を出すことが必要です。
また、既存商品の価格分析からは、値下げしても売れない商品なのか、高価格となってもそれだけの価値があるものとして消費者が認識している商品なのか、見極められます。
3:ブランドの分析を行なう
ブランドの分析は、消費者が企業の商品やサービスに対してどのようなイメージを持っているのか、ブランドとしての価値を理解するために行われます。
ブランド分析の結果からブランドの強みを知り、価値を大きく引きだせる戦略を立てられれば、新規顧客の獲得につなげることが可能です。
4:販売した実績を元に機会分析を行なう
ここでいう機会とはビジネスチャンスのことです。販売実績を元にした機会分析からは、キャンペーンなどに反応した消費者の数がわかります。
販売実績からどのような条件で市場が反応するのかを把握できれば、商品やサービスを販売する追い風とすることも可能です。
5:ノン・カスタマー分析を行なう
ノン・カスタマー分析は、現在、企業のサービスの提供を受けていない、商品を購入していない非購買層のことを知るために行われます。
たとえば、ある商品が売れたとき、10人中の1人が購入したものなのか、100人中1人が購入したものなのかにより、非購買層の比率は変わるはずです。
そして非購買層の比率が高かった場合、商品やサービスが顧客のニーズからずれていることや、商品までの導線が悪いのではないかといったことが、分析できます。
このようにノン・カスタマー分析することにより、なぜ商品の購入に至らないのかがわかれば、潜在的購買層や見込み客が、将来顧客となってくれるよう問題点を解決に導くことが可能です。
6:パフォーマンス分析を行なう
パフォーマンス分析は、キャンペーンの影響について知るために行われます。キャンペーンのパフォーマンスを分析するには、Web広告などツールを利用しましょう。ツールを利用すれば、コンバージョン率などから、どのキャンペーンが人目を引いたのかが分かります。
マーケティング分析のためのフレームワーク9つ
マーケティング分析するときは、分析データの見落としを防ぐためにも、自己流ではなくフレームワークのような確立された、マーケティング分析の手法を利用しましょう。
フレームワークとは、枠組みのことです。フレームワークを利用すれば、効率よくマーケティング分析ができます。
1:PEST分析
PEST分析は、自社に影響を与えるマクロ環境が分析できるフレームワークになります。PEST分析で分析するマクロ環境とは「Politics(政治)」「Economy(経済)」「Society(社会)」「Technology(技術)」のことです。
4つのマクロを、フレームワークに当てはめて分析することにより、起こりうるリスクが見えてくるため、リスクに対して事前に備えることが可能となります。
2:3C分析
3C分析は、市場環境が分析できるフレームワークのことになります。3C分析の3Cとは「Customer(顧客)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」のことです。
この3つをフレームワークに当てはめて分析すると、どのような顧客のニーズがあるのか、どのような競合他社がいるのかが、見えてくるため、企業全体の戦略や事業戦略を立てるときに、役立ちます。
3:5フォース分析
5フォース分析は、新規参入するときの市場環境について分析するのに、有効なフレームワークとなります。
市場では3つの「競争企業間の敵対関係」「供給企業の競争力」「買い手の交渉力」といった内的要因と、2つの「代替品や代替サービスの脅威」「新規参入者の脅威」といった外的要因の影響があるのです。
この5つの要因をフレームワークに当てはめて、力関係を見たときに、それぞれの力が強ければ、その市場に参入しても収益性が低いということがわかります。
4:SWOT分析
SWOT分析は、内部環境と外部環境について分析できるフレームワークになります。SWOTとは、内部環境に当てはまる自社の「Strength(強み)」「Weakness(弱み)」と、外部環境に当てはまる「Opportunity(機会)」と「Threat(脅威)」の4つの頭文字をとったものです。
フレームワークを利用して、自社の強みや弱み、市場のチャンスはあるのか、脅威となるものは何かを分析することにより、どのような戦略を立てるべきなのかが見えてきます。
5:STP分析
STP分析は、戦略立案時のニーズやターゲット分析ができるフレームワークになります。STPとは「Segmentation(市場の細分化)」「Targeting(ターゲット)「Positioning(立ち位置)」の頭文字です。
フレームワークを利用することにより、市場での戦い方、ニーズはどこになるのか、市場での立ち位置が明確化されるため、戦略立案の要が見えてきます。
6:4P分析
4P分析は、プロモーションミックスを考えるときに利用したいフレームワークです。4Pとは「Product(製品)」「Price(価格)」「Place(流通)」「Promotion(プロモーション)」のことになります。
つまり製品戦略、価格戦略、流通戦略、プロモーション戦略の4つを、このフレームワークに当てはめて分析すると、施策間や戦略に矛盾が生じていないかを確かめられるため、戦略的に消費者へ受け入れてもらえる商品となっているのかがわかるのです。
7:バリューチェーン分析
バリューチェーン分析とは、製品やサービスの価値が消費者へ渡るまでの工程のどの段階で出たものかを、分析できるフレームワークです。
バリューチェーン分析では、企業の活動を製造、販売といった「主活動」と、人事管理、会計といった「支援活動」に分けて考えます。
それぞれの活動をフレームワークに当てはめ、それぞれの強みや弱みを把握できれば、自社の強みや、資源と資産の効果的な配分、コストの削減箇所などが、見えてきます。
8:ファネル分析
ファネル分析は、商品やサービスの購入までに消費者がどの段階で離脱したのかが分析できるフレームワークです。
購入までの間に少しずつ消費者が絞られていく様子が、漏斗の形に似ているためファネル分析と呼ばれています。
商品購入までの間に消費者がどの段階で、商品購入に至らなかったのかが見えてくると、消費者の購買行動を理解することや、自社のマーケティング活動に役立ちます。
9:RFM分析
RFM分析は、顧客を3つの指標に分類するフレームワークになります。分類するのは「Recency(最新の購入日)」「Frequency(来店頻度・購入頻度)」「Monetary(累計の購入金)」の3つです。
指標以外にも一定の基準を設けてそれより上か下かで、ポイントを振っていき、そのポイントから顧客をグループ分けしていきます。最終的には、顧客をグループ化して、適切なアプローチを実施できるようにするのが目的です。
マーケティング分析における用語7つ
マーケティング分析を理解するには、マーケティングの用語を覚えておくことも必要です。こちらでは、代表的なマーケティングの用語を7つ紹介します。参考にしてください。
1:AISAS
AISAS(アイサス)とは、インターネットが普及した後の時代の消費者購買活動のプロセスを、説明している購買モデルのことです。
「Attention(注意)」「Interest(関心)」「Search(検索)」「Action(購買)」「Share(情報共有)」の頭文字をとった言葉になります。
AISASの言葉からわかるように、インターネットが普及したことにより、消費者は商品を購入する前に「Search(検索)」するようになり、購入後には「Share(情報共有)」するようになりました。
インターネットが普及した現代の消費者の購入プロセスに合わせたマーケティング施策を検討するときに、AISASが活用されています。
2:SIPS
SIPS(シップス)とは、ブログやSNSなどのソーシャルメディアに対応した消費者の購買活動モデルのことです。
「共感する(Sympathize)」「確認する(Identify)」「参加する(Participate)」「共有や拡散する(Share&Spread)」の頭文字をとった言葉になります。SIPSは、ソーシャルメディアを積極的に利用している生活者の購買活動を考える1つの概念です。
SNSの普及により、企業が商品やサービスの情報を宣伝して拡散するのではなく、専門家やインフェルサーなど、消費者が信頼を置いている人たちが、消費者に向けて情報を拡散することにより、共感が生まれ、それを共有しようとさらに情報が拡散されることをあわらしています。
3:AIDMA
AIDMA(アイドマ)とは、消費者が商品を認知してから購買に至るまでのプロセスモデルのことになります。「Attention(注意)」「Interest(関心)」「Desire(欲求)」「Memory(記憶)」「Action(行動)」の頭文字をとったものです。
マーケティングの手法を決めるときや、効果測定について分析するときに利用されます。
4:ペルソナ
ペルソナとは、家族構成や年収といった属性だけでなく、趣味や価値観など内面的なものまで具体的に設定されている、商品やサービスの利用者像のことになります。
利用者像をこうして細かく設定して作る理由は、マーケティング活動に関わる人たちの方向性のズレを、生じにくくするためです。
また、ペルソナは、企業がイメージしたいものではなく客観的なものにすること、細かすぎず関係者が共有したイメージ像をもてるものにする必要があります。
5:クリティカルマス
クリティカルマスとは、商品やサービスが一般的に普及するかどうかの分かれ目の定着率のことです。クリティカルマスの普及率を超えると、商品やサービスは普及率が一気に伸び市場に定着するともいわれています。
そのためクリティカルマスは、新商品が市場に定着するかどうかのポイントでもあるのです。
6:カスタマージャーニー
カスタマージャーニーとは、顧客が商品やサービスを購入するまでの工程のことになります。顧客の感情や行動について推測し思い描く工程を、旅することに例えているため「Customer(顧客)Journey(旅)」と呼ばれているのです。
顧客目線でのマーケティング再構築を考えたとき、カスタマージャーニーを利用すれば効果が期待できます。
7:キャズム
マーケティング用語のキャズムとは、商品を市場に普及させる前の障害のことです。たとえば、新しい商品はその真新しさから、購入してくれる消費者がいる一方で、新しい商品には手を出さず、商品が普及してからでないと安心して購入しない人もいます。
こうした購買についての行動は、5つの分類に分けることが可能です。
新しいものを比較的早く手に入れようと考える消費者をイノベーター、イノベーターの次にトレンドに敏感な消費者をアーリーアダプター、平均よりも少し早く新商品を手に入れようとする消費者をアーリーマジョリティ、周りの様子をうかがってから手を出す消費者をレイトマジョリティ、とても保守的な消費者をラガートと分類します。
商品を普及させるためには、アーリーアダプターだけでなく、他の分類に属する消費者にも購入を促す必要があるのですが、アーリーアダプターの次に新商品を購買する可能性のあるアーリーマジョリティへ商品の購入行動を起こさせるのは、難しいとされているのです。
このアーリーアダプターとアーリーマジョリティとの間にある問題は、越えなければならない壁とされ、この2つの境界がキャズムと呼ばれます。
マーケティング分析で知っておくといい方法
マーケティング分析をより確かなものとするために、知っておきたい論理的思考のフレームワークがあります。
それは、MECEとロジックツリーです。視点や検討内容に不足があると、マーケティング分析は不十分なものとなってしまいます。そうならないためにも、この2つ論理的思考のフレームワークを活用しましょう。
MECE
MECE(ミーシー)は、分類したカテゴリーに漏れやダブりがないかを調べるのに最適なフレームワークです。MECEを利用すれば、物事の全体像を捉えてカテゴリーを正しい分類にわけられます。
たとえば、思いつくままに設定したターゲット像から、重なっている部分や、足りない部分についてMECEを活用し明確にすることが可能です。マーケティング分析でも、最初からMECEを意識しておけば、分析漏れや検討漏れを防いでくれます。
ロジックツリー
ロジックツリーの作成方法は、1つの問題やテーマをどんどんツリー状に分解していく方法になります。このように問題点を細分化させていくことにより、問題の解決策が考えやすくなるだけでなく、問題の全体像も捉えられるため、論点のズレをなくすことが可能です。
マーケティング分析していく中で、経営戦略などで問題が発生したときに、ロジックツリーを利用すれば問題の原因を特定して次のアクションにつなげられます。また、具体的な施策について考えているときも、目的意識を明確にすることもできるでしょう。
マーケティング分析をする際に気を付けるポイント
マーケティング分析するときに、気をつけたいポイントは以下の3つになります。「目的や仮説を持ってから分析を始めること」「分析データがすべてではないこと」「効果的なマーケティング分析するために利用するデータソースはバランスを考える」です。
マーケティング分析するときは、この3つのポイントに注意し、分析は物事の見え方の1つであることを覚えておきましょう。
マーケティング分析に欠かせないMAツールの特徴
マーケティング活動の効率推進には、MAツールの導入がおすすめです。MAツールとは、新規顧客の開拓のためのアプローチや顧客の自動管理といったマーケティング活動を支援してくれるツールになります。
MAツールには、顧客管理の一元化やWeb解析など便利な機能が搭載されていますが、どのような機能がついているのかは、それぞれです。
また、既存のCRMツールなどに連携も可能ですが、既存ツールに連携できるかどうかも、それぞれになるため、導入前に仕様を調べておきましょう。
マーケティング分析を即日始められる方法4つ
これまでの説明によりマーケティング分析には、さまざまな方法があり、さまざまなフレームワークが存在していることがご理解いただけたでしょう。そして、マーケティング分析をすぐ始められるよう、以下の練習方法もあります。
1:Googleアナリティクスを使用する
Googleアナリティクスを使用すると、即日、マーケティング分析を始めることが可能です。Googleアナリティクスは無料で利用できる、マーケティング分析のツールになります。
Webサイト上の集客分析やコンバーションの分析などを、可視化してくれますが、Googleアナリティクスだけではできないこともあるため、注意が必要です。
2:目標のペルソナを決める
自社が目標とするペルソナを決めることも、即日始められるマーケティング分析の練習になります。自社が目標とするペルソナの設定はマーケティング分析だけでなく、マーケティング戦略にも、必要なことです。
そのため、顧客理解を深めた上で自社が目標とするペルソナを考えることは、マーケティング分析の練習になるだけでなくマーケティング戦略の考えにもいきつきます。
3:重要な指標を選んで注力する
重要な指標を選んで注力することも、即日できるマーケティング分析の練習です。マーケティングの重要な部分には、意味のある指標を置く必要があります。
意味のある指標とは、「わかりやすい指標」「比較ができる指標」「行動を変えるための指標」「比較か割合の指標」の4つの指標のことです。
「収益」や「拡散」といったビジネス段階で、1つ指標を選び重要な指標として注力します。こうした指標ごとの役割と定義づけは、マーケティング分析と同じような重要さを持ちます。
4:メールマーケティングを行なう
メールマーケティングも、即日できるマーケティング分析の練習方法になります。メールマーケティングは、いくつかあるマーケティングの手法の中でも昔から行われてきた手法です。メールマーケティングの目的は、見込み客の獲得や、ファンの育成になります。
メールマーケティングの方法は、自社が所有しているメール配信リストにメールを配信することです。メールマーケティングは、メールを配信すれば終わりということではなく、メール配信の結果から、コンバーション率や目標の貢献度を分析します。
マーケティング分析を理解して活用しよう
マーケティング分析は、マーケティング戦略に活用できるだけでなく、事業戦略を立てるときなど、いろいろなシーンで役立ちます。
マーケティング分析するときは、自己流ではなくフレームワークなど確立された手法の利用がおすすめです。マーケティング分析を理解して、自社にとって有益となるように活用しましょう。