ブランディングとはどんな戦略?手順8選と手法で成功させるポイント4選
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初回公開日:2021年08月25日
更新日:2024年05月31日
ブランディングとはどんな戦略?
ブランディング戦略とは「ブランドがどのように見られたいのかを決めてイメージを植えつけていく戦略」です。新しい商品やブランドなど、まだイメージがついていない状態から、世界観や価値観を発信し、消費者に対し、企業が求めているイメージを植えつけていきます。
ブランディング戦略は、製品の差別化が難しくなってきる状況で、差別化を行うための手法として、多くの企業に採用されています。
1:ブランディングの意味
ブランディングとは、ブランドを形成させるために行われる手法です。ブランドとは、商品のデザインやロゴなどを見て、すぐに他の商品と区別できるための手法の1つです。ブランディングとは、自分たちのブランドを消費者に認知してもらい、浸透させることになります。
ブランディングという手法を用いることで、市場における自社商品の強みやポジションを明確にすることができます。
2:ブランディングがもたらす影響
ブランディングがもたらす影響は多々あります。「価格競争の回避」「人材の確保」「社員のモチベーションアップ」「集客」「リピーター」などです。ブランドが確立されることで、他の商品との差別化が可能です。
差別化ができると、無駄な価格競争に巻き込まれることもなくなります。また、ブランドイメージが良くなると「あのブランドで働きたい」「あのブランドをもう一度使用したい」といった声が聞こえてくるようになります。
ブランディングのもたらす影響は大きいといえるでしょう。
3:ブランディングとマーケティングの関係性
ブランディングとマーケティングは違います。しかしブランディングとマーケティングを組み合わせることで、ブランドの市場にもたらす影響力は大きくなっていきます。つまり、ブランディングとマーケティングは、手法は違えど、ブランドを成長させていくには不可欠な要素です。
簡単にいうと、商品を売るために必要なのがマーケティングです。そして、単発ではなく、継続的に売れるための土台作りがブランディングです。ブランディングという土台ができた状態でマーケティングを行うことで、商品は安定的に売れていきます。
4:ブランディングとマーケティングの違い
ブランディングとマーケティングは違います。企業や商品、サービスの目的やミッション、理念などを追求し、内外に知らせる手法をブランディングといいます。マーケティングは、目的を達成するためや、どのように売り上げを伸ばすのかという手法です。
簡単にいうと、企業や商品価値を高めるのがブランディングであり、高めた価値を如何に市場に伝えていくのかがマーケティングです。ブランディングとマーケティングは全くの別物ではなく、相互に干渉しあう存在です。
ブランディング手法3選
ブランディングとはブランドを構築していく手法のことです。ブランドを確立していくには、長い時間がかかる場合もありますが、うまく行けば、少ない費用で大きな効果を期待できるのがブランディングという手法です。
ここでは、製品や企業、インターナルといった3つのカテゴリを例にしたブランディングの手法を解説していきます。
1:製品ブランディング
製品ブランディングとは、消費者に対し、自社の商品が他社の商品とは違うという区別されたイメージを与えるために行われます。製品ブランディングでは、製品の原料や材料、製造から販売にかけての一連の流れも含めて形成されます。
製品ブランディングがうまくいくと、消費者はそのブランドの商品であるというだけで、購入していきます。競合商品が安く売っていても、目当てのブランド以外を購入することはないでしょう。
製品ブランディングは、消費者へ共感や安心感、満足感を与え、他社との差別化を行える手法と言えます。
2:企業ブランディング
企業ブランディングは、消費者や株主といったステークホルダーに対し、企業の特定イメージを持ってもらうために行う手法です。企業ブランディングを行うことで、大きなメリットを得ることができます。
まずは、競合他社との差別化が可能です。自社ブランディングに共感を持ってくれた消費者は、価格が高くても、他社の製品を選ぶことはないでしょう。また、会社で働く社員には一体感が生まれます。
目的意識を高く掲げている企業の場合、目標がはっきりとしていて、社員のモチベーションは高くなります。企業ブランディングは、消費者のみならず、働いている人にも好影響を与える手法といえます。
3:インターナルブランディング
インターナルブランディングとは、社内に向けたブランディング手法です。つまり、社員に対して行うブランディングと言っていいでしょう。企業ブランドを社員に理解してもらい、社員たちが、ブランドの価値を向上させる社員になるように行うブランディング手法です。
インターナルブランディングを行うのと同時に、消費者へ向けてのブランディングも同時に行うことで、効果は上がり、ブランドに一貫性を持たせることが可能になります。
ブランディングの手順8選
現在の世の中は、商品やサービスのコモディティ化が進んでおり、他社との明確な差別化が難しい状況です。そのような状況であるからこそ、ブランディングを正しく行い、成功させた企業が、市場で優位になっています。
ブランディングを行うには、正しい手順を知っておく必要があります。ここでは、ブランディングを行う手順を8つ解説していきます。
1:ターゲットを定める
ブランディングを行うには、まずはターゲットを選定していきます。自社の強みや競合、弱みなどを分析し、顧客のニーズを踏まえたうえでターゲットを選定し、市場に参入しながら、ブランディングを開始します。
闇雲に市場に参入しても、ブランディングはうまくいきませんので、時間をかけてでも、分析は最初に行うことが重要です。ここでの分析と、ターゲット選定が、ブランディングの成功の可否を決めます。
持たせたい方向性のイメージを決める
ブランディングを行ううえでの環境分析を済ませたら、顧客に対し、どのようなブランドイメージを持たせたいのかを明確にしていきます。顧客に持たせたい価値をしっかりとイメージすることで、ブランディング手法も変わっていきます。
持たせたい方向性のイメージを決めることは、ブランドを形成するための武器を選定する作業ですので、こちらも重要な作業です。
2:自社のポジションを定める
ブランディング作業を行うには、まずは自社のポジションを定める必要があります。自社のポジションとは、例えば「低価格ですぐに食べられるハンバーガー」と「多少高価だが、材質にこだわったプチ豪華なハンバーガー」といったものです。
簡単にいうと、同じハンバーガーでも明確に価格帯やターゲット層が違うということになります。まずは、自社がどのような路線で、どのようなポジションを取るのかを定めていくことが重要です。
3:環境分析の実施
ブランディングには環境分析の実施が重要です。環境分析とは、経営資源の分析を指します。主な分析のカテゴリは「マクロ環境分析」「顧客分析」「競争環境」の3つのカテゴリです。
この3点を分析することで、市場に機会があるのかや、どのような驚異があるのかを見極めます。これらの環境分析には、PEST分析や3C分析、ファイブフォース分析といったフレームワークを使用します。
PEST分析
外部環境分析で使用するフレームワークにPEST分析があります。PEST分析は「Political Environment(政治・法律)」「Economic Environment(経済)」「Social Environment(社会)」「Technological Environment(技術)」の4つのカテゴリを分析します。
政治環境や法律の面、経済面、個人の消費活動や日々進化する技術面から市場を分析することで、ビジネス環境を計測していく作業です。
3C分析
環境分析のフレームワークである3C分析は、Customer(顧客)、Company(自社)、Competitor(競合)のことを指しています。顧客の動向を把握しながら、市場と競合を分析することで、成功のための条件や、リスクの可能性を探っていきます。
3C分析は、分析するだけでは意味がなく、実際に今後の行動に結びつけることで、効果を発揮します。
ファイブフォース分析
ファイブフォース分析は、競争環境を5つのカテゴリから分析していきます。分析しながら、自社の強みを見つけ出していく分析方法です。
ファイブフォース分析のファイブは「競争企業間の敵対関係」「供給企業の交渉力」「買い手の交渉」「新規参入業者の脅威」「代替品の脅威」という3つの内部要因と2つの外的要因で構成されています。
分析を行いながら、自社の強みを探し、成功の可能性を模索していくことが重要です。
4:ブランドコンセプトを言語化する
ブランディングを成功させるには、ブランドコンセプトを言語させることが必要です。ブランドコンセプトとは、ブランドイメージを言語させたものになります。
基本的に、ブランドに対するイメージは、人それぞれです。ブランド側としては、ブランドイメージを崩さないようにしながら、ブランドを言語化し、ブランドコンセプトを明確にする必要があります。
ブランドコンセプトを作る際は、伝えたい相手を明確に想像し、その人に届けるようなイメージを持って、言語化することが重要です。
5:ビジョンの統一
ブランディングは、ロゴ作成や他社との差別化に必死になることだけではなく、明確にビジョンの統一がなされることが重要です。ビジョンとは、企業が目指すべき姿や、将来ありたい姿を想像することになります。
ブランディングは社外に発するものだけではなく、社員にも浸透させる必要があります。ブランドを社内に浸透させるためにも、ビジョンを社内で統一し、目指すべきブランド形成を促進することが重要です。
6:ブランドアイデンティティを決める
ブランディングを成功させるには、ブランドアイデンティティを決める必要があります。ブランドアイデンティティとは、ブランドの特徴です。ブランドアイデンティティが決められた場合、ブランドを構成する全てのアイテムに反映させることが必要です。
ブランドアイデンティティはブランドの価値観になります。ブランドを求める消費者に対し、ブランド側の求める価値観と、消費者の価値観が一致することが重要です。ブランドアイデンティティがなければブランド構築を行うことは難しいでしょう。
ブランドの価値を定める
ブランディングにはブランド価値を定めることも重要です。ブランドの価値が高いとは、簡単にいうと名前を聞いただけで、消費者から商品を選ばれるブランドなどを指します。強力なブランドの価値を持っている場合、市場での競争性は優位になります。
強力なブランドは、企業の資産といえます。価値だけで、消費者や取引先に高い満足度を与え、安定、継続的な売り上げ、利益をもたらしてくれます。
ブランド名・ロゴ・キャッチコピーの作成
ブランディングは、商品やサービスなどに優位性をもたらします。ブランド戦略で重要なのは、ブランド名やロゴ、印象的なキャッチコピーです。ブランドの名前やロゴを見ることで、安心したり、迷わず買ってもらえるような威力が、ロゴやキャッチコピーにはあります。
ブランドを成功させ、市場で優位性をもたらすためには、意識してブランド名やロゴ、キャッチコピーを作成していくことが重要です。一度、消費者に認知されることで、大きな効果を発揮します。
ブランドイメージを言語化する
ブランディングでは、ブランドイメージを言語化することが求められます。ブランドイメージを言語化することで、ブランドのイメージを社員と消費者が共有することができ、サービスや社員の態度、チラシやポスターといった販促物にも一貫性を持たせることができます。
一貫性を持たせることは難しいといえます。しかし、強いブランドを構築し、ブランディングを行っていくのであれば、一貫性は必要です。そのためにも、ブランドイメージを言語化し、一貫性を求めていくことが必要といえます。
7:デザイン・広告などを浸透させる
ブランディングを成功させることで、市場において集客や販売で優位性を持つことができます。ブランドを市場に浸透させるには、ブランドに一貫性を持ち、消費者に認知されることが重要です。
そのためには、ブランドデザインや広告などを市場に浸透させる必要があります。ブランドのデザインや広告が浸透することで、過剰なコマーシャルや広告宣伝を行う必要も少なくなります。
デザイン・広告が浸透し、ブランディングが成功することで、少ない費用で売り上げを狙うことも可能です。
8:認知度を検証する
ブランディングを行う際には、ブランド認知度の検証も必要になります。ブランド認知度とは「消費者間で自社ブランドがどれだけ知られているのか」という知名度や「ブランドがどの程度、社会に浸透しているのか」という社会での認知度を指します。
注意したいのが、ブランド認知度は、ブランド人気度とは違うということです。「カッコいい」「高級感があって欲しい」といったブランドから思い起こされるイメージ調査とは違います。
認知度検証は、あくまでもブランドがどれだけ社会に浸透しているのかを調べる指標です。
ブランディング手法の評価を上げる指数4選
ブランディング手法の評価を上げるためには、「需要性」と「差異性」の2つに注目する必要があります。
需要性とは自社ブランドがどのぐらい消費者に浸透しているのかの度合いであり、差異性は他社との差別化の状況です。需要性も差異性もどちらも重要ですが、特に重要なのが差異性になります。
差異性があると、需要性が低くてもコアファンを獲得することが可能です。ここでは、ブランディング手法の評価を上げる指数4選を解説していきます。
1:ブランドロイヤリティを高める
他社との差異性を高めるには、ブランドロイヤリティを高めることが重要です。ブランドロイヤリティとは、他のブランドよりも、特定のブランドが欲しい、と消費者に思われることです。
ブランドロイヤリティは、消費者のブランドへの信仰心とも言い換えることができます。ブランドロイヤリティを高めることで、消費者は特定のブランドを買い続けます。ブランドロイヤリティを高めることは、最終的に大きな利益をブランドにもたらします。
2:知覚品質の価値
ブランディングにおける知覚品質は、消費者が製品やサービスをシーンに応じて他のブランドと比較した際に、知覚できる品質や優位性になります。
例えば、車であれば「速さ」「燃費」「スタイル」といったものです。注意すべき点は、知覚品質は、シーンに応じて評価が変わるということです。また、実際に品質がよくても、品質の良さが知覚されることがない場合もあります。
また、ポジティブな情報よりも、ネガティブな情報の方が消費者に浸透しやすいという特徴もあるので、注意が必要です。
3:ブランド認知率の指標
ブランド認知率の指標とは、簡単にいうと、消費者や社会に、ブランドがどれだけ認知されているのかを知る指標です。消費者が自社ブランドの製品名を知っているとか、数多くの商品の中から、自社ブランドを見つけることのできるといったことを指します。
ブランド認知率が高ければ高いほど、競争が優位になり、売上、利益の向上が期待できます。
4:ブランドがもたらす連想性
ブランドがもたらす連想性とは、消費者がブランドから連想できる全てのものになります。テーマパークであれば、特定のキャラクターであったり、場所であったり、訪れた場合の気持ちであったりと、ブランドから考えられる全てのものです。
ブランドがもたらす連想性がポジディブであるほど、強い差別化ができるため、重要な手法といえるでしょう。
ブランディング手法で成功させるポイント4選
ブランドを立ち上げて、ブランディングを成功に導くには、押さえておきたいポイントが4つあります。この4つのポイントを随時確認しながら、ブランドを成長させることが、ブランディング成功のコツになります。
ここでは、ブランディング手法で成功させるポイントを4つ解説していきます。
1:継続性を持たせる
ブランディングを成功させるには、継続性が重要です。ブランディングの継続性とは、消費者の記憶から消されないようにすることです。現在の世の中は、情報にあふれており、数多くのブランドがひしめいています。
その中で、ブランドを忘れられないようにするためにも、継続性を持ち、情報を発信し続けていくことが必要です。
2:一貫性を持たせる
ブランディングでは、一貫性を持って主張を行うことが重要です。ブランディングの一貫性とは、媒体によって主張を変えないということになります。
新聞、雑誌、テレビ、WEBなど、発信する媒体は多々ありますが、そのような媒体ごとに主張を変えるようなことをせずに、一貫した主張を行うことが必要になります。
3:信頼感・感情移入を持たせる
ブランディング手法で成功するポイントとして、消費者に信頼感、感情移入を持ってもらうことも重要です。消費者に信頼感、感情移入してもらうためには、ブランドメッセージを発信し、共感を得ることが必要になります。
ブランドに強い共感を得ることで、自然と消費者はブランドに感情移入し、ブランドに目を向けるようになります。共感と感情移入を得たブランドは、売り上げが向上する可能性が高まります。
4:目的を明確にする
ブランディングは目的を明確化にし、ゴールを設定しなければ、いたずらに人件費や広告費を消耗することになります。ブランディングを成功させるには、明確なゴールを決め、ブランドが最終的にはどのような形として残っていくのかをあらかじめ定めておくことが重要です。
ブランディング手法は自社に合った取り組みで推進しよう
今回は、ブランディングの重要性や、ブランディングを成功させるためのポイントを解説しました。マーケットの縮小も懸念される現代において、他社と差別化を行い、売り上げを向上させるためにも、ブランディングは重要です。
今回の記事を参考に、ブランディングを積極的に行い、他社に負けないブランド作りを行っていきましょう。