企業ブランディングのメリットとは?参考になる事例もあわせて紹介
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初回公開日:2021年08月25日
更新日:2024年06月24日
そもそもブランディングとはなにか?
ブランディングとは、自社の価値を顧客に示し、競合他社との差別化するために必要な経営戦略です。サービスや商品のみならず、企業全体や採用にも必要とされている、注目度の高い企業ブランディングについて、詳しく解説していきましょう。
ブランディングに必要なコーポレートアイデンティティ
コーポレートアイデンティティとは、マインドアイデンティティ(企業理念)、ビジュアルアイデンティティ(ロゴやコーポレートカラー)、ビヘイビアアイデンティティ(行動指針に基づいた社員の行動)の3つの要素でできています。
この3つの要素は円状に記されたゴールデンサークルの考え方で、中心よりMI(マインドアイデンティティ)、BI(ビジュアルアイデンティティ)、外枠がVI(ビヘイビアアイデンティティ)という風に形成されています。
またコーポレートアイデンティティを作り上げていく際、中心のMIからBIへ、そして最後にVIと作り上げていくことでCI(コーポレートアイデンティティ)を作り上げていくことが可能になります。
プロモーションやマーケティングとの違い
ブランディングとよく混同してしまう言葉が、プロモーションやマーケティングという言葉です。しかし、ブランディングとそれらは別物で、ブランディングなしではマーケティングやプロモーションしてもうまくいきません。
企業やその商品の価値を示すブランディングを起点とし、次に商品を売るための活動、マーケティング活動する必要があります。広告や販売促進などのプロモーションはこのマーケティング活動の1つです。
つまり、中心核に商品やサービスの定義となるブランディングがあり、それをどのように、どうやって、何を販売し、提供していくのかということがマーケティングやプロモーションです。
企業ブランディングの目的
企業ブランディングとは、その企業の価値を示し、競合他社との差別化を明確にすることが目的です。そしてこの企業ブランディングは、顧客などにその企業のイメージを発信することのできる経営戦略です。
顧客が受動的に感じるイメージではなく、競合他社よりも良いイメージを企業から発信し、それがうまく浸透すれば、事業を成功させるための大きな原動力になります。
企業ブランディングは、顧客、消費者にとって、幅広い選択肢がある中からその企業を選ぶ理由や信頼感になります。
企業が存在する意義を明らかにする
企業ブランディングとは、その企業の存在意義を明らかにすることであり、コーポレートアイデンティティを明確にすることです。つまりその企業が何のために、どこに向かって活動しているのか、その企業の強みは、ということを明確にする必要があります。
そして、その企業の特徴や社員の志が企業理念と言われます。まさにその企業理念が、顧客や外部に向けてその企業の存在する意義を明らかにするものです。この企業理念をもとに、企業がブランディング化し、みんながブランドの共通イメージを持つようになります。
理念をもとに経営活動を行う
商品やサービスを販売、提供する際に、ただ宣伝や販促活動するだけでは、よい結果を見込むことはできません。まず、中核に企業理念(MI)があり、コーポレートアイデンティティを明確にすることで、その理念を軸に経済活動することが大事です。
企業としてしっかりとした理念を持ち、働く社員がそれを理解し、日々の行動で実践されることが、企業ブランディングの成功です。そして企業ブランディングが成功する企業は、小さい企業であっても、選ばれる企業になります。
企業に必要なブランディング手法3つ
経営理念に基づく経営戦略上で、必要なブランディングの手法は、インナーブランディング、事業や商品ブランディング、育成や採用ブランディングの3つのブランディングです。
企業理念があり、またそれに基づいた3つのブランディングがしっかりとされていることが、経営成功に必要なことです。どのブランディングも抜けてはいけない、大事な経営戦略です。
この3つのブランディングは、各ブランディングを横断するため、会社全体のイメージ、社員の行動などあらゆることに影響を及ぼします。ここでは各ブランディングを分けて、詳細を説明していきます。
1:インナーブランディングについて
インナーブランディングは、企業理念を社内に浸透させることが、始めの1歩です。社内の誰もが企業理念を理解し、同じ価値観を共有し、同じ方向に向かって仕事ができるようになることが大事です。そのためインナーブランディングは企業文化の形成ともいわれます。
インナーブランディングが浸透するステップは、まず理解し、次に仲間と共感し、最終的に自ら行動することです。
始めに、理解とは、企業理念の理解と個人の理解です。企業の方向性を理解し、そのうえで自分がやりたい仕事や強みを活かせる方法を考えます。そして、それぞれの目標を一緒に仕事をする仲間と共有し、個々の強みを活かしたチームを作ります。
会社側が決めた役割をこなす仕事のやり方より、自分で進んで目標を決め、チームで認め合って仕事を進めていく方が、積極的でやりがいを感じる仕事ができるようになります。
そして最後に社員の働きを評価し、高いモチベーションを維持できるよう、社員の働きを社内で共有する機会を設け、社内表彰など社内で評価する基準を設けるようにします。
そして大事なことは、一時的ではなく、インナーブランディングを継続的に行っていくことです。社内で難しい場合はコンサルティング会社を利用して、第三者にブランディングのアドバイスを受けるのも良い方法です。
2:事業や商品ブランディングについて
事業や商品ブランディングとは、なぜその事業や商品を提供するのか、そして誰のために提供するのかを考え、その提供価値をどのように顧客に伝えるのかを考えることです。
物があふれている今の時代では、何か新商品を出すときでも、同じような商品がすでに他社で存在していることがほとんどです。そのような中で、なぜこの商品をこの会社が提供するのか、他社商品との違いは何なのかを社内で明確にする必要があります。
そしてその商品を誰に届けたいのか、だれがその商品を愛し、真の価値を理解し、ファンになってくれるのかを考えなければいけません。そしてその顧客が困っていることや欲しいと思っているものを、どうやって提供できるかを考えていくことが、製品ブランディングです。
事業や商品の成功のためには、その企業しかできない独自性を持ち、はっきりとした真の顧客のために提供するというゴールが必要です。
3:育成や採用ブランディングについて
育成や採用のブランディングとは、ただたくさんの人数を採用するのではなく、経営理念に共感し、この会社で自分を成長させ、会社をより良くしていこうという人材を採用、育成することです。
新卒をたくさん募集し、その人が一生会社で働いてくれる時代ではありません。つまり、採用活動だけでなく、入社後の育成も大事なプロセスであることを忘れてはいけません。
良い人材を採用・育成するために大事なことは、その会社の経営理念をしっかりと伝え、共感して働こうという人をみつけることです。
そのためには社内で大事にしていること、どのような人材を求めているのか、またその会社に入社するとどのように成長できるのかを、知ってもらう必要があります。
そして、向上心を持って入社した人材を、入社後も育成していかなければなりません。社員の強みを最大限活かし、同じゴールをみて育てていくことで、会社も一緒に成長していけるのです。
企業ブランディングを行うメリット9つ
時間もお金もかけて、企業ブランディングするには、そのメリットがたくさんあるからです。そして企業ブランディングは、社員に浸透するよう活動を続けなければなりません。そのブランドの存在意義を明確化し、企業理念をもとに経営することの良さを解説していきます。
1:製品やサービスを販売しやすい環境をつくることができる
企業ブランディングは会社のイメージそのものです。そのイメージが良くなれば、その会社の製品やサービスへのファンが増え、繰り返し購入したり、サービスを受ける人が増えます。
このようにファンが増えれば増えるほど、その製品やサービスへの信頼感が高まり、人気が上がるため、販売しやすい環境になっていきます。
2:ライバル会社との差別化を図れる
企業ブランディングによって、その会社が、その製品やサービスを提供する意味が明確になれば、他社との違いも明確になります。
顧客が製品やサービスを購入する際に、そのブランドの信頼感や安心感は、購入しようという十分な理由になります。ライバル社と価格競争するのではなく、ブランド力で差別化できるようになります。
3:マーケティングの戦略が明確になる
企業理念が浸透している場合、社員の進む方向性が明確になっています。そのため製品やサービスのマーケティングする時も誰に、何を、どうやって販売するかというマーケティング戦略が明確化されます。
マーケティングする際に、良いブランドイメージを既に持ってもらっていると、製品などの価値を伝えやすく、成功しやすくなります。
4:社員のモチベーションが高まる
企業ブランディングで、企業のイメージが良くなっていくと、そこで働いでいる社員は仕事のやりがいを感じ、業務への意識が向上します。
一人一人が目標を持ち、社内で意識が共有されていけば、自然と評価されることも増えます。つまり社内で褒め合いが増えるようになり、社員のモチベーションも維持され、さらに高まります。
5:社内の意思共有ができる
企業ブランディングが社内に浸透することに成功すれば、企業の目標を社員が理解し、同じ方向性で行動することができるようになります。
企業理念を基に組織が動いていけば、「人によっていうことが違う」、「なぜその仕事をしているか分からない」ということが無くなるため、連帯感が強くなり、コミュニケーションも自然と増えていきます。
6:企業の存在意義が明確になる
企業ブランディングで、他社との違いが明確化されていくこと、また顧客にとって価値ある製品・サービスを提供するということは、その企業の存在意義が明確になるということです。ブランド力が強くなっていけばいくほど、その企業の存在価値が人々に認められることになります。
7:経営方針が明確になる
企業ブランディングが成功するということは、その企業の使命や目指すところがはっきりとし、社内に浸透しているということができます。つまり、会社の進むべき方向性が統一化され、社員の行動指針となり、会社の中核である経営方針が明確になっています
8:求めている人材の採用がしやすくなる
企業ブランディングが明確になり、発信するイメージがポジティブであれば、自然と働きたいという人は増加します。会社の規模や給料面だけでなく、会社の雰囲気や社風は、就職先を探すときの大事な判断材料です。
また採用が多くできたとしても、その人が長く会社で働いてくれなければ採用が成功したということはできません。経営理念をきちんと伝え、会社が求めていることが明らかになれば、就職後の離職率も減少します。
9:信頼されるブランドとなることで資金繰りが良くなる
企業ブランディングで、その企業の価値を確立することができれば、社会的信用度も上がります。
また、その企業の希少性、本当の価値が理解されれば、その企業を支援したいと思ってもらえる機会が増えます。つまり、企業ブランディングが成功し、信頼される企業になれば、資金繰りが良くなります。
企業ブランディングを行うデメリット
企業ブランディングのデメリットはただ1つ、企業ブランディングが浸透し、ブランドの価値を理解してもらうまでに時間がかかるという面です。
時間がかかれば、それに伴い人材、時間、費用がかさみます。しかしそのデメリットをひっくり返すことができるほど、ブランディングが成功すればメリットがあることを忘れずに、焦らず企業ブランディングを確立する必要があります。
企業ブランディングのプロセス5つ
企業ブランディングする手順は、現状の把握と分析、ブランドアイデンティティを明確にする、ブランディングのための施策を検討する、施策を実施する、実施した施策を検証するという5つのプロセスがあります。
その、どのプロセスも省いて進めることはできません。各プロセスを詳しく解説していきます。
1:現状の把握と分析をする
企業ブランディングの始めの1歩は、今の状況を知ることです。企業のことや、対象の事業、商品のことはもちろん、顧客について、競合他社について幅広く調査する必要があります。そして今の自社の立ち位置の把握も必要です。
この分析については、社内で調査、分析するとともに、ブランディング会社やコンサルティング会社など、第三者の視点から客観的にその会社を調査してもらうことが良いでしょう。社内では当然のことでも、客観的に見ると、とても魅力的に見えたり、その逆もあります。
多方面から現状を把握し、分析することで、今の会社の全体像が見えるようになります。
2:ブランドアイデンティティを明確にする
先に述べた調査、分析から見えてきた自社の価値や顧客が商品やサービスを購入している理由をまとめていきます。そして目指すブランド像、会社の良さを把握し、ブランドアイデンティティを明確にしていきます。
ブランドアイデンティティは商品やサービスを買ってほしいという戦略的な言葉ではなく、自社の良さや強みが伝わる、顧客に伝わりやすい言葉が最適です。
3:ブランディングのための施策を検討する
ブランドアイデンティティが明確になれば、そのブランドをどのように表現するのかを考えなければなりません。
具体的にはブランド名、Webサイト、ブランドムービー、ロゴなどの作成です。それらはブランドの価値や良さが伝わるよう、ブランドアイデンティティに沿って、顧客に伝わりやすいように考えていかなくてはなりません。
4:施策を実施する
ブランドアイデンティティに沿ったロゴなどが出来上がれば、企業理念のもと、社員がしっかりと理解できるように説明し、社内で共通の意識をもって、ブランドをあらゆる場所や物に使って浸透させていきます。
例えばパンフレットや会社案内などの印刷物にはすべて共通のロゴを使います。YouTubeやSNSなど外部に発信する場合も同様です。社内では、商品を扱う営業部だけでなく、社員全員でできるだけたくさんの場所、名刺や掲示物、広告などを使い、全員でブランドの普及に努めます。
5:実施した施策を検証する
企業ブランディングは継続して行うことが大事です。社内のブランド浸透や外部へのブランド普及の活動は一時期では成功しません。そしてブランドの普及方法が時代の流れで、取り残されてしまうこともあります。
常に顧客に提供したい価値が伝わるように、実施した施策の検証、見直し、必要であれば別の施策を考える必要があります。
企業ブランディングのポイント4つ
企業ブランディングは、大事なポイントを押さえて行うことで、より効果が上がります。ターゲットに届く情報発信方法、ブランディングを行う時期、ブランディングの構成要素の分析、必要に応じたリブランディングの実施の4つのポイントについて、詳しく解説していきます。
1:ターゲットに届く情報発信方法を選ぶ
企業理念のもと、ブランディングを進めていくと、それをメインターゲット(ブランドパートナー)に届ける必要があります。メインターゲットとはその企業を価値を理解し、ファンになってくれる人です。
そのブランドのイメージをメインターゲットに届ける方法は、まずブランドアイデンティティを象徴するコンセプト、ロゴ、キャッチコピーなどを制作することです。
そしてそのブランドを象徴するロゴやキャッチコピーを、パッケージやグッズ、広告やCM、WebメディアやSNS媒体を使ってメインターゲットに発信します。
どの発信方法を選ぶかによって、どれだけメインターゲットにリーチするかが変わります。また費用対効果なども考えて、より効果的なアプローチ方法を選ぶ必要があります。
2:ブランディングを行う時期の見極め
企業ブランディングを行う最良な時期は、その企業が良い事業やサービスがあるにもかかわらず、認知度が低い時期です。または、志ややりたいことがあって新しい会社を起業する場合、起業のタイミングがブランディングを始めるタイミングです。
ブランディングは顧客に伝えたい価値、というものがしっかりとあることが一番大事です。
高品質な製品やサービスが確立されていることが大前提です。そして社内で話し合ったり、分析や調査を行い、顧客に伝えたい価値がしっかりとあると判断した時期が、企業ブランディングを行う最適の時期です。
3:ブランディングの構成要素の分析
企業ブランディングの構成要素はたくさんありますが、代表的な4つが主に企業の強みを示す「価値」、日々果たすべき「使命」、企業文化や志「精神」、統一した行動目標となる「ビジョン」です。
これら、多岐にわたるブランディングの構成要素を分析し、現状を確認し、企業の目指すべき姿を企業理念にします。この企業理念を作る際に、できる限り丁寧に分析し、調査することが、社内にも顧客にも認められ、愛されるブランディングをすることになります。
4:必要に応じたリブランディングの実施
しっかりと手順を踏んで、企業ブランディングしたとしても、時代の流れによって、企業戦略と顧客の求める価値にズレが生じる場合があります。そのズレを修正し、企業を再活性化させることがリブランディングです。
リブランディングとはただ、ロゴやコンセプトを新しいものに変えるだけでなく、顧客の求める価値を再度調査、分析しなければなりません。そして事業や商品の改善、変更、情報発信方法の変更、ターゲット層の変更、企業文化の改善などを行う必要があります。
顧客が一度持ったイメージを一新することは、容易なことではありません。しかし、企業戦略と顧客の求める価値にズレが生じている場合、そのままにしてしまうとそのズレは広がっていくばかりです。時代の変化に伴い必要と判断した場合は、リブランディングの実施が不可欠です。
参考になる企業ブランディングの事例5つ
ブランディングを学ぶには、実際に成功したブランディング例を参考にするのが良い方法です。
企業がブランド力を高め、顧客からの信頼を得てこの企業の商品を買いたいと思ってもらえることが企業ブランディングです。成功例としてApple、ユニリーバ、タニタ、トヨタ、龍角散の5社を紹介します。
1:海外のデジタル大手企業のブランディング事例
誰もが知っている「Apple」はブランディングを徹底的に行い、強いブランド力を手に入れた会社です。
Appleがブランディングに成功した理由は、「機能とインターフェイスとの最適な統合」という明確なコンセプトのもと、使いやすさとシンプルで魅力的なデザインにこだわりを持ち、ブランディングしたからです。
今では、iPhoneやiPadは、高額にもかかわらず、誰もが持っている製品であり、新しい商品が出る際には行列ができるほどの人気商品で持っているだけでステイタスになります。その裏には故スティーブジョブズが行った、考え抜かれたマーケティング戦略がありました。
それはユーザーの感性に訴え、デザインにこだわり抜いたブランディングです。製品のデザインはもちろん、パッケージデザインにもこだわり、その商品を購入して、箱を開ける時のワクワク感も大事にしています。
分かりにくい説明書を読まなくても、製品を触っていると使えるようになるのがApple製品です。つまり感性で使える製品といえます。そしてこだわり抜いたデザインは、常に時代の最先端を行き、人々を魅了するデザインです。
2:家庭用品メーカーの環境保護活動によるブランディング事例
LUX、Dove、Liptonなどで知られる「ユニリーバ」は、環境保全活動をブランディングに取り込み、顧客にプラスイメージを定着させることに成功した企業です。
ユニリーバは「サスティナビリティを暮らしの”あたりまえ”に」という明確な目標を、各ブランド、全社員に浸透させ、個人がその目標に基づいて行動する企業になりました。
「ユニリーバ・サスティナブル・リビング・プラン」はSDGSが世間で言われるようになる以前、2010年にユニリーバで導入したビジネスプランです。
このビジネスプランのもと、サスティナビリティを「あると良いもの」から「最低限必要なこと」にすることを可能にし、顧客よりその信念が支持され、確固たるブランド力を持つことに成功しました。
3:健康機器メーカーの身近に実感できるブランディング事例
体重計や健康器具などで有名な「株式会社タニタ」は、「人々の健康づくりに貢献する」というコンセプトのもと、タニタの社員食堂の高栄養・低カロリーの食事が有名になり、ブランド戦略に成功した企業です。
社員食堂のメニューを再現できるレシピ本の販売や、一般の人が利用できる「タニタ食堂」をオープンするなど、顧客に「健康になれる」というイメージを持たせる活動が、様々なメディアに取り上げられ、知名度が一気に上がりました。
そしてそのレシピや食堂を利用した顧客が「タニタ商品を使うと健康になれる」ということを実感し、ブランディングが確立されました。
4:大手車メーカーの品質維持によるブランディング事例
トヨタの品質保証とは、お客様にとって、「品質」が満足、「信頼」できる、「経済的」であること、と定義しています。通常、品質を決めるのはその商品を作る企業側ですが、トヨタはその定義をお客様目線で考えることを、ブランディングの柱としました。
社内では製品企画、製品設計、生産準備、購買、号口生産、検査、販売の8つのステップすべてで品質監査し、順次、そのステップごとで品質保証していくことが、お客様から品質保証してもらえることだと考え、高品質にこだわりました。
このように、妥協しない技術で高品質な製品を作り、お客様に認めてもらえるようにという社内文化が浸透し、現在、「トヨタ製品は高品質」という企業イメージが日本のみならず、世界的に出来上がりました。
5:歴史ある薬メーカーのリブランディング事例
200年以上歴史がある「龍角散」を倒産の危機から救ったのが、リブランディングです。一時期、龍角散はメインターゲットの高齢化により市場のニーズと製品にズレが起こり、倒産の危機に陥りました。
龍角散はリブランディングにあたり、消費者のニーズや不満を聞き取り、調査し、それをもとに「喉を守る」というコンセプトに変更しました。
コンセプト変更により、ターゲットをあらゆる年代に広げ、売れる時期を風邪が流行る冬だけでなく、通年売れる商品へ変化させることに成功しました。そして龍角散製品の強みは残しつつ、消費者のニーズに合わせて商品の形を柔軟に変え、新商品を開発しました。
携帯性を重視した「龍角散ダイレクト」、いつでもどこでも使える「龍角散のど飴」、介護のニーズに応えた「らくらく服薬ゼリーシリーズ」、どれも使いやすさを重要視し、顧客の満足度を高めました。
企業のブランディングについて理解しよう
企業ブランディングとは、経済活動とは直結しないように思われますが、ブランディングを通し企業のイメージを向上させ、売り上げも上がり、愛される企業に成長できます。
企業イメージが良くなれば、競合他社と差別化することもでき、価格競争に巻き込まれることも少なくなります。
そして社員も向上心をもって仕事ができ、経営陣だけでなく社員全員で会社の良い未来のために行動するようになります。仕事にやりがいを持ち、チームとして同じ方向を向いて進む企業は、その大きさに関係なく必ず成功する企業になります。